“ナチュラル”なファッションで 身も心もポジティブに

仕事でもプライベートでも、洋服にふれる時間が「一番、気分が上がるとき」だという高橋愛さん。自他ともに認めるファッション好きの彼女は、年齢とともに心の制限が解けて、視野が広がり、自分らしさがより自由に表現できるようになったといいます。

例えば、周りの意見に流されず自分自身がときめく洋服だけを選べるようになったり、体形のコンプレックスを受け入れられるようになったり、はたまた地球環境に配慮した素材を選ぶようになったり。これらによって「身も心もポジティブ人間になった！」と話します。

高橋さんのクローゼットは「衣装のような、ユニークなアイテムが多い」といいます。「例えばデニムジャケットなら、腕の部分がふんわりしていたり、ポケットの生地がほつれていたり。光沢がある素材や、カラーもカラフルなものが多いかな」

彼女いわく“ファッションに正解はない”。

「『それってちょっと変じゃない？』とか他人に意見されることがあったとしても、結局は自分がときめいて選んだものを着た方が断然幸せなんです」

地方ロケやお散歩中でも、常にファッションのことが頭にあるという彼女。そのため、気づくとすぐにお買い物をしてしまい、洋服だけでもかなりの数になるとか。
「なので、マメに後輩や友人に譲るようにしています。あまりにも個性的な洋服が多いからか、みんなに『ハードルが高くて使えないよ！』『これ、愛ちゃんはどんなときに着るの……？』って言われることが多いですね。でもいいんですよ、私はときめいた洋服たちに囲まれていたいから、これからも集めていきます（笑）」

ファッション誌でも活躍しているため、トレンドにふれる機会も多い高橋さん。「流行やベーシックなアイテムも気になりますが、私はあまのじゃくなので、あえてそこから外れたアイテムを選ぶタイプ（笑）。とにかく人と一緒がイヤ！　だってファッションは『私らしさ』を表現する手段だから」

無邪気に話す彼女ですが、「私らしさ」を楽しめるようになるまでには、時間がかかったといいます。「私、もとからハッピー人間だったわけじゃないんです（笑）。10代でこの世界に入ってから、プロのカメラマンさんに撮っていただいた自分の写真を見て『なんなのこの顔』と落ち込んだり、レコーディングした歌が想像していた声と違ったりして、自分を否定していた時期がありました」

その中の一つに、「身長が低いこともあった」と高橋さん。「目指していた宝塚（音楽学校）を諦めたのも154cmという背丈が理由だったから、ずっと引っかかっていましたね。でもモーニング娘。のお仕事やモデル業を続けるうちに、誰にでも体形の悩みがあるというのが理解できたから、だんだん自分を受け入れられるようになりました。ファッションについても『逆に私の身長が生きるスタイリングを楽しもう！』と、ぐんぐんポジティブになれたんです。コンプレックスとラッキーは隣り合わせ。自分のマインド次第で、どんなふうにも状況は変えられるものです」

そして「背が低いからこの洋服は着られない」ではなく、「自分に合わせて工夫すること」に行きついたそう。「丈が長いなら切っちゃえばいいし、大きいならベルトでウエストマークする手もあるなって。洋服を楽しむ幅も広がるし、アレンジを考えることで引き出しも増えます。ファッションを通していっそう、ありのままの自分と向き合うことが楽しくなりました」

高橋さんのファッション愛は、家にいるときでも同様です。「おうち時間は、ある意味一番ありのまま（笑）。人に見られないルームウェアでも、何でもいいや！って日はありません。コロナ禍でお出かけすることが減ってからは特に、家でのおしゃれ熱も高まりましたね」

おうち時間のファッションで大切にしているのは「リラックスできるかどうか」。「ジェラートピケやスナイデルホーム、ピーチ・ジョンなど、ルームウェアが有名なブランドもたくさんありますし。モコモコした質感やレーシーなものなど、袖を通すときにテンションが上がるものを直感的に選んでいます」

もう一つは、地球にやさしい素材を使っていること。「これは部屋着にかぎらずですが、素材や縫製など、こだわりが込められているものを着ると、着心地の面でも心の面でもほっと落ち着きます。例えばオーガニックコットンだったり土に返る生地を使っていたり。自然にやさしいものは肌触りもいいし、身につけていると癒やされるんです。好きなファッションにわくわくする感覚とはまた違う気持ちよさがありますね」

その着心地のよさを体感してから、お洋服のお手入れも環境にやさしいものを選ぶようになったとか。「おすすめはよく通っている『コスメキッチン』で見つけた、エコストアの洗濯用洗剤。植物由来の界面活性剤を使っていて、アルコールや着色料も無添加です。コスメキッチンをはじめとする各所にリフィルステーションというスペースが設置されており、そこに行けばボトルに継ぎ足しできるんですよ！　そうしたエコなシステムもいいですよね」

「できる範囲で環境にやさしいものを選んでいきたい」と話す高橋さん。「私は洋服をきっかけに、歯磨き粉やシャンプーを使わない日をつくるなど、日常生活でも地球にやさしく過ごすことを意識するようになりましたし、『いいもの』への価値観が変わりました。地球にいいことをしているという気持ちに加えて、気分や着心地だけではない、手放した後のことも考えるのは大事だなと」。その考えから、自身のプライベートブランド「fukuu（フクウ）」で洋服をつくるときも、オーガニックコットンや土に返るウッドパルプが原料のアセテートサテンを採用したのだそう。

そもそも高橋さんが環境へのやさしさやオーガニックを意識するきっかけとなったのは、モーニング娘。時代の先輩・安倍なつみさん。「20年近く前だったので、まだオーガニックという言葉自体も浸透していなかったのですが、安倍さんは少し遠くても当時珍しかったナチュラルローソンに行くなど、ナチュラルさを大切にする方だったんですね。そんな人が近くにいたから、10代の頃から頭の片隅にはそうしたモノゴトへの意識がありました。今思うと、安倍さんは本当に目を向けられるのが早かったのだなって」

「洋服だけではなく食べるものやコスメにもいえますが、ナチュラルなものを身につけたり使っていると、より自然体の自分がいきいきしてくる気がします」

続く#03では、ナチュラルメイクが映える高橋さんのビューティー事情や、美肌をつくるオーガニックなインナーケアにも迫ります。