想像よりもはるかに早く訪れた機会
渡部
キュービックとの出会いは学生の頃にさかのぼります。当時の僕は、大学生活にどこか物足りなさを感じていました。何か打ち込むものが欲しかった。そんなときに、キュービックでインターンをしていた友人から誘いを受け、入社しました。
インターンシップでは次々と仕事を任せてもらえました。新しいことを学んでできるようになるのが嬉しくて、キュービックで過ごす毎日がとにかく楽しかったことを今でもよく覚えています。成果が期待を超えるたびに、より大きな期待をかけてもらえて、どんどん仕事にのめり込みました。
渡部
新卒2年目でマネージャーを任されたときは、「やっときたか!」と。以前から“自分がマネージャーだったらこうしたい”というものがはっきりとあり、早くそのポジションを任せてほしいと思っていたもので。ちょっと生意気ですよね。
しかし2020年、新卒3年目に直属の上司から「今度は事業部長を任せる」と言われたときは驚きました。“自分が事業部長だったら”なんて、さすがにまだ考えていなかったので「いくらなんでも時期が早いんじゃないか」と思いました。
僕はミッションをどう正確に迅速に遂行するかという点にやりがいを見出しているので、今回ばかりはずいぶん難易度の高いミッションがきたな…と少し怯みましたね。
新米事業部長として試行錯誤する毎日
渡部
担当部門の事業とメディアの成長を短期と中長期で実現することが、今の僕の仕事です。メディアの戦略を策定し、戦略実行のためのさまざまなアセットを獲得する。そして獲得したアセットを適切に活用し、実行を支援する。これらが事業部長としての役割です。どうやって事業を伸ばしていくのか、どうやってユーザーに価値を提供をしていくのか。マネージャー時代よりもさらに粒度が大きく、抽象度の高い業務を行っています。
渡部
デジタルマーケティングは、結果が数字でわかりやすく見えます。かつての僕は、数字を追って記事を改善し、売上を伸ばしていくことがやりがいでした。“数字以外”が仕事のやりがいの軸になったことはなかったんです。
しかし僕がマネージャーを担っていたとき、印象的な出来事がありました。「マネージャーの存在が仕事のモチベーションになっている」「翼さんが上司だから今の業務を頑張りたい」という声をメンバーからもらえたのです。嬉しかったですね。そのときにはじめて“数字以外”が仕事のやりがいになった気がします。事業部長になった今でも、他のメンバーにとってそんな存在でいられるようにと、心がけています。
事業部長になってから、正直なところ歯痒さを感じないわけでもありません。ひとつの戦略に対するPDCAサイクルは、自分がプレイヤーを担っていたときよりもやや遅くなっている。一方、チームを率いることで扱える金額や会社や社会に与えるインパクトは確実に大きくなっています。こうした貢献感を肌で味わえることは、やりがいでもありますね。
渡部
本当にたくさんあります。
まず、中長期的視野をもって事業と向き合うことでしょうか。
メディアの記事改善なら結果が出るまでのスパンが短く、施策を打って失敗しても素早く新しい施策を打てます。でも中長期の成長を実現するための育成・採用の戦略などは、PDCAを回せるのは早くて半年に一回。その舵の重さを感じ、失敗できないというプレッシャーがあります。
それから、事業部長になってコミュニケーションの難易度が格段に上がりました。日々現場で顔を合わせる人ばかりではなく、顔を合わせられない人にもしっかりメッセージを届ける必要があります。マネージャーをやっていたときは1対1のコミュニケーションに頼っていろんなことが前進したのですが、事業部長になった今は1対1のコミュニケーションに加えて、1対Nのコミュニケーションでいかに前進させられるかが大事だと感じています。
マネジメントに関する悩みは尽きません。自分とは違うタイプのマネージャーをマネージすることには一番の難しさを感じますね。
例えば現場の“プレイヤー”に成果を出してもらう場合、ティーチングをしてスキル提供をしたり、スタンス改善をはかったりすることで成長を助けることができます。
でも“マネージャー”の場合はティーチングをしても成果が上がるとは限りません。僕の場合は“数値目標を達成すること”に大きな価値や面白みを感じるので、マネジメントのスタイルにもこの色がにじみ出ます。一方で、“誰かのためになっていること”とか“社会的価値が大きいこと”に価値や面白みを感じる人もいて、そういう人にはそういう人に最適なマネジメントスタイルがあるはずです。
そのマネージャーが業績の達成で引っ張るタイプか、ビジョナリーに方針を語って引っ張るタイプか。もっと言えば、そのマネージャーの先にいるメンバーがどんなタイプなのかによって最適解が異なってきます。こうした変数の多い“マネジメント”を事業部長としてどう支援するかには、いつも悩みながら取り組んでいます。
新米事業部長としての僕には、まだまだ足りていないことがたくさんある。その前提で、まずはメンバーと強い信頼関係を築けるように努めています。
僕の担当部署は、既存事業でありメディアとして成熟したジャンルを扱います。新規事業が「攻め」ならば、僕たちの部署のメディアは「守り」。成熟期のメディアでどんな新たなチャレンジをするか、「メディアの業績を守る」ことの意味をどうみんなに伝え、力を引き出せるか。試行錯誤の毎日です。
掲げた目標は、「20代のうちに執行役員」
渡部
今後僕の事業部としては、より潜在的な顧客ニーズを探り、これまでとは一味違った価値創造をしていきたいです。
例えば人材の分野でいうと、「転職したい」ユーザーに信頼性の高い情報を提供し、その転職へ向かう一歩を適切に後押しする。これまでクライアントから高く評価いただいていたのはこの点でした。しかし、「転職したい」と望む求職者だけでなく、転職を考えていなくてもキュービックのメディアやプロダクトを介した結果「転職」という人生の新たな選択肢が増える。こうした価値提供もあっていいと思っています。
ウォーターサーバーの分野でいうと、ウォーターサーバーが欲しい人だけでなく、広く自然環境を考える人や水の安全を守りたいと考えている人などもアクセスしてくるようなメディアにしたい。幅広で網羅的なメディア展開をしていきたいです。
…と、こんな風に事業部長としてこれからすべきチャレンジは山ほど出てくるのですが、実は今の僕自身には「これがやりたい」という何かが明確にあるわけではありません。30代や40代になったときに、生活のため・給料を上げるためだけに仕事を頑張るのは寂しいし避けたいな、という軸があるくらい。どちらかというと「自分のためではなく、心の底から“誰かのため”とか”社会をよくするため”に頑張れる状態になるにはどうしたら良いか」ということを日々考えています。
そのために今は、「いろいろな技術を身に付けよう。自身の目標はひとまずなんでもよし。だけど、具体的なゴールを置くことによって今自分のやるべきことが明確になるのでは」と考えたので、「執行役員になる」と宣言しました。
キュービックでは、「こういうことをやりたい」と宣言すると、みんなが応援してくれるんです。自分が今このスピードでさまざまなことを任せてもらえているのは、僕が「20代のうちに最年少で執行役員になりたい」という目標を掲げていることを、経営陣も周りの社員も知っているから。もちろん全てを会社が用意してくれる訳ではありませんが、なりたい姿に近づくための機会は積極的につくってくれますし、必要に応じてサポートもしてくれます。そしてちゃんと期待に応えれば、次の期待をかけてもらえる。その信頼感や安心感がキュービックという会社の良いところで、今日働く僕の大きな支えにもなっています。