2018年、モモウメは薬剤師向け転職メディアのキャラクターとして誕生した。その後、様々な職種でストーリーを生み出してきたモモウメ。2019年からはOLとして職場のあるあるを発信している。24歳新人のモモちゃんと40歳ベテランOLのウメさん。世代の異なる同僚2人が、働く中で出会うことすべてを笑いに変え、毎日をちょっと豊かにしてゆくさまを描いたショートストーリー。
リアルな声を拾って見えた、「働くこと」の課題
内田
SNSアニメ事業は、2019年に立ち上げた事業です。SNSとマーケティングが融合した新スタイルのアニメを制作し、コンテンツの可能性を開拓しています。視聴者と制作者がSNSで積極的に交流し、そこから得た視聴者のリアルな声とフィールドワークでストーリー構築。プラットフォーム特性に合わせて表現します。キュービックの強みである“ヒト起点のマーケティング×デザイン”で視聴者のより深いインサイト(深層心理)をつかみ、共感を引き寄せる作品を日々生み出しています。
内田
きっかけは僕の入社でした。当時はキュービックに動画やアニメをつくる部署はなく、そのポジションにスタッフを募集していたわけでもありませんでしたが、ご縁があって僕は動画クリエイティブとして入社することになったんです。それで「内田さんの強みが活きそうだからやってみよう!」と動画制作がスタートし、そのままアニメ制作が進行しました。
内田
僕ら日本人にとって、アニメは特別な存在です。ずっと慣れ親しんできた友だちのように、幼少期から大人になるまで、アニメはいつも僕らの側にあり続けますよね。老若男女問わず、世代を超えて多くの人々に愛されるものにしたいと思い、それなら「アニメ」だなと。
山本
はい。『モモウメ』は転職メディアのプロモーション用キャラクターとして2018年に誕生しました。当時は「働き方改革」という言葉が流行していたこともあり、「働き方がどう変わったら多くの人が幸せになれるのだろうか」と、日々みんなで考えていました。
水口
転職メディアのプロモーション用キャラクターということで、僕らはたくさんの社会人に「仕事」についてヒアリングを重ねていました。そこで、「仕事が楽しくないと思う理由」を尋ねると「会社の上司・同僚と上手くいかない」といった人間関係に対する不満が多かった。仕事そのものよりも人間関係に悩む人がこんなにいるのかと、チーム一同驚きました。
山本
裏を返せば、よりよい関係性ができればその仕事をもっと楽しめるのかもしれない。働き方改革は豊かな人間関係の構築によって実現できるのでは、とも思いました。
水口
そこで、職場の人たちとの心地よいコミュニケーションや明るい笑いをアニメで描き、仕事の楽しさを伝えられるアニメを目指すことにしました。
モモウメの成長とともに手にした自らの成長
水口
ヒト起点のマーケティング×デザインという事業的な強み、コミュニケーションを重視する組織的な強みを存分に活かしてコンテンツをつくっています。例えば、実際に視聴者と肩を並べて働く、インタビューやSNSでのアンケートを実施するなど、フィールドワークを中心にリサーチを重ねます。そうして得た声や気づきを丁寧に作品に落とし、各SNSへの最適化をはかりつつアニメ配信を続けています。
内田
互いに忖度をしない。これは『モモウメ』チームみんなで共有していることです。それゆえ、プロデューサーの僕がチームメンバーにアイデアを伝えると「それ面白くないです」と返されることしばしば。まるで、モモちゃんのはっきりとした物言いを受け止めるウメさんのよう。モモウメのなかのやり取り、あれはまさに『モモウメ』チームのリアルです。
前田
そうですね。再生回数が伸びるにつれできることが増えていき、とても嬉しいです。
さまざまな企業様とのお取り組み機会にも恵まれました。ヴィレッジヴァンガードさんとのコラボグッズ展開、P’PARCOさんやツリービレッジカフェでのイベント、ドラマ化、書籍化。ポンコツクエストさんとのコラボ、女優のんさん主演映画とのプロモーションのコラボなど。特にこの一年は走り続けましたね。
バリエーションに富んだアウトプットで、自分が生み出したものが世の中に出ていく感覚を掴めた気がしています。
前田
正直、大変でしたね。大手企業様とのタイアップを複数同時進行させながら、モモウメの方針を決めるマーケティング戦略を練ったりと、重要な業務が複数併走している状態なので、「なにか見落としているタスクがあるのでは」という不安がいつもありました。
とはいえその経験が結果的に『モモウメ』と自分のキャパを広げてくれた実感があり、改めてこの環境で働けていることに感謝しています。
山本
チーム内でそれぞれの得意分野や目指したい方向を相談したことを機に、担当範囲を大きく拡大しました。デザイナーも商談の場に参加し、直接担当者とやりとりをしながら案件を進めるようになりました。入口から出口までを担うようになったことで今まで以上にチャレンジの場が増え、広い視野をもって仕事ができるようになりました。
前田さん同様、私も慣れない業務の数々に奮闘する日々でした。特に、案件の進行管理とデザイン業務の両立が難しかったです。商談や担当の方とのやりとりをしつつ、一つひとつのデザインにも時間が必要という状況で、時間確保に苦しみました。
山本
チームメンバーのおかげです。苦しいときには素直に周囲を頼りました。お願いできる部分はお願いする、困ったときは相談する、自分が力になれそうなら助ける。この繰り返しで前進できました。改めて、このチームで良かったと思っています。
前田
そして何より、力強く僕らを支えてくれたのは、ファンの皆さんですね。YouTubeチャンネルやTikTok、TwitterなどそれぞれのSNSでたくさんのエールをいただきました。
水口
「おかげで今日も頑張れそう」「最近、自分の職場の上司も可愛く見える」「職場でつらいことがあったのですが、この動画を見て元気が出ました」「新人研修として若手に見せたいぐらいタメになる」など。SNS越しに寄せられる働くことへのポジティブなコメントに、僕らは大きな力をもらっていました。
視聴者の皆さんの反応が僕らの仕事への最大のフィードバック。本当に感謝しています。
『モモウメ』をいつもみんなのすぐそばに
内田
もちろん『モモウメ』という今まで積み上げてきたスタイルはありますが、そのスタイルにとらわれ過ぎず、これからもチャレンジを続けたいですね。結局は僕ら作り手が楽しく制作に向き合えていることが大事。僕らの仕事に対する姿勢がそのままモモウメに現れてくると思います。
そのために僕らは「自律駆動型のプロフェッショナル集団」でありたい。みんなの「やりたい」を叶える。チームメンバーそれぞれが強みを活かす。専門分野を極める。極める専門分野はありつつも、決してそこに閉じない。お互いの仕事をカバーできる状態に、相手の専門分野に対してもためらうことなく意見や考えを述べられる状態をつくる。方針やビジョンはマネージャーが道筋を描くものの、やるべきかどうかはチーム全員で決めていく。こんな強いチームを目指します。
最終的な目標としては、いつも視聴者の心のすぐそばにある国民的アニメ、国民的キャラクターになりたいですね。LINEスタンプもこれからもっともっと種類を増やしていく予定ですし、いつかは近所のスーパーやコンビニエンスストアに『モモウメ』のスイーツが並ぶ…なんてこともやってみたい!必ずみんなのそばに『モモウメ』がいる、生活の一部になれるように邁進していきます。