Culture

キュービックが人事評価に1,000時間以上をかけるワケ

  • 染谷 和彦
    染谷 和彦
    マネージャー
    1965年、東京都生まれ。東京大学卒業。総合広告代理店(13年)、珈琲店経営(9年)、レディースアパレル企業宣伝部・人事部(3年)、WEBマーケティング企業CHRO(4年)を経て、2018年5月にキュービックに入社。ピープルエクスペリエンスオフィスのマネージャーとして採用・育成等を統括。組織面から事業をサポートしている。産業カウンセラー、キャリアコンサルタント資格保有。
  • 初野 美咲
    初野 美咲
    ジュニアマネージャー
    1991年、東京都生まれ。早稲田大学基幹理工学部在学中にキュービックにインターンとして入社。大学卒業後は富士通株式会社にSEとして新卒入社し、大規模SI事業に携わる。2015年7月、キュービックに中途社員として再入社。自社メディアの企画からWEB広告集客まで、幅広く担当。2018年にはマーケティング部署で社員インターン含む60名程のマネジメントを経験。2019年1月よりピープルエクスペリエンスオフィス・タレントマネジメントチームに異動し、人事制度設計や育成施策の実行を担当。

メンバーの「能力」を高めるCDC

ずばり良い組織の定義とはなんでしょうか?
染谷

染谷

社員一人ひとりがより高い価値を発揮できる組織だと私は考えています。そのために必要なのは、「能力」と「意欲」の掛け算。どちらか一方だけが高くても、もう一方が低ければ、結果として出せる価値の総量は大きくなりません。

当社ではメンバーの「能力」を高めるためにはCDC、「意欲」を高めるためには信頼の醸成が不可欠だと考えています。

CDCとはなんですか?
初野

初野

Career Development Cycle(以下 CDC)のことです。1サイクルを半年とし、まず、本人の強み・課題・WILL(やりたいこと)と会社の要望を紐づけた目標をセットします。次に毎月、目標に対して「今月何をやったか」「結果はどうだったか」「どんな強みが活きたか」「どんな課題がみえたか」を振り返り、上司と面談。上司の評価後に全役職者が集まり、最終的な評価を確定させます。目標を達成できたかだけではなく、そこにどんな強みが活きたのか、どんな課題があったのかを議論し、来半期にどんな成長テーマをセットすることが本人にとって適切かを検討する、といった流れでサイクルを回します。

cdcの説明の図
初野

初野

キュービックではこの一連の流れをCDCと定義しています。

CDCが目指すのは「メンバーが自分の成長テーマについて認識し深く納得した上で、成長に向けた具体的な行動に自律的に取り組み、結果として成長できている状態」をつくることです。

このサイクルのなかにキュービックの人事評価制度があります。

一般的な人事評価制度と何か違いがあるのでしょうか?
染谷

染谷

設定した目標を達成できたら評価が上がる、達成できなかったら下がる。これが一般的な「評価」や「査定」と言われるものだと思います。キュービックの人事評価制度は「どんな強みを活かして達成するか」「課題を乗り越えるためにはどんな成長テーマが必要か」まで、上司と会社が本人と一緒になって考えます。

これは人事評価制度も、キュービックのコアバリュー「ヒト・ファースト」に基づいてつくられているからなんです。「ヒト」を使って「コト」を為すのではなく、「コト」を通して「ヒト」を為すのが「ヒト・ファースト」の考え方です。

常に「よりレベルの高い仕事」に積極的にチャレンジすることを推奨し、「仕事を通して人が成長し続ける」環境を提供することがキュービックにおける人材開発の「あるべき姿」だと考えているのです。

初野

初野

キュービックの評価は、実績でみる「成果評価」、クレド(行動指針)をいかに体現できているかの「クレド評価」、当社のコアスキルであるCUEM力(ヒト起点のマーケティング×デザインを行う力)と職種別スキルを測る「スキル評価」の3つの軸で構成されています。

ステージが低い社員ほどよりプロセスを重視して評価するため、クレド評価・スキル評価の割合が高くなります。成果を出してから次なるミッションを与えるのではなく、ストレッチなミッションを課し、一人ひとりが自分の力で成長していけるようにしています。

実際の評価会議では、評価の点数をどうするかよりも、その人自身の強みや課題、将来のWILLやどうなりたいかを話し合う時間が長いんです。30名以上の全ての役職者が一堂に会し、白熱した議論を交わしています。

制度設計をする上で大変だったのはどこでしょう?
初野

初野

制度の設計よりも、運用の方が大変です。かなり力を入れています。

評価会議では、直属の上司だけでなく別部門の全ての役職者を交えて議論し、一人あたりに30分以上かけて評価を確定させています。これには複眼的に成果や活躍と向き合うことで、評価の客観性、透明性、公正性を担保するという狙いがあります。

直属上司は「なぜその評価なのか」を別部門の役職者に説明し、評価結果の合意を得る必要があります。ですから役職者には高い評価スキルが求められます。本人の強みを活かすにはどのような期待をかければいいのか、どのような課題を克服すれば本人の持ち味が一層輝くのか、評価結果をどのように伝えれば本人はもっともエネルギーがわくのか。たしかな前進をもたらすべく、メンバーのインサイトに挑み、メッセージングにもこだわりぬいています。

染谷

染谷

CDCに含まれる会議と面談の時間を計算してみたところ、100人強のメンバーを評価するのに毎回1,000時間以上かけていることがわかりました。

初野

初野

これまで細かく計算したことがなかったんですけど、そんなに時間をかけていたんですね…!

これだけ評価に時間と人数をかけられる原動力は何ですか?
初野

初野

タレントマネジメントチームでは社員向けの研修や施策ももちろんたくさん用意しているのですが、私たちは何よりも「仕事が人を一番育てる」と思っています。

半期の仕事に対する評価の質を高めることで次の半期に自分のすべきことが明確になり、まっすぐ未来に向かえると思うんです。だからこそ、これだけ時間と人員をかけて取り組んでいますね。

染谷

染谷

「向き合えば向き合うだけ成長する」と信じているからですかね。

一般的には「成長するもしないも本人次第」とされている。でもどんな人でも向き合えば向き合っただけ成長するんじゃないかなって、キュービックにきて初めてそう思えるようになったというか。これまでの職場で自分が上司だったとき、キュービックのように向き合えていたら結果は違ったのかなと思い返すことがあります。

極端に言えば、見込みがある人だけに絞って成長させる方が絶対に楽なんです。 でもキュービックは会社としてそれを選択しない。代表である世一の「本人が頑張っている以上、会社としても諦めたくない」という想いが今の組織をつくっています。

「何をやるか」より「誰とやるか」、「信用」ではなく「信頼」の醸成

「能力」を高めるためのキュービックのCDCについてよくわかりました。 ではメンバーの「意欲」を高めるためには?
染谷

染谷

やはり、「信頼の醸成」だと思っています。

初野

初野

当社においてはそこが要ですよね。会社の成り立ちから考えてもそうだと思います。私たちは明確に「組織としてこういう事業をやろう」「このようなミッションを実現しよう」と掲げて始まったスタートアップ企業ではありません。そこにいる人やそこにある価値観、育まれた組織風土に魅力を感じて、自然と人が集まりました。何をやるかは集まった人たち起点で定め、その人たちの成長とともに事業を拡大し、今に至る。「何をやるか」よりも「誰とやるか」が先、そんな会社なのです。

染谷

染谷

この組織の意欲の源泉は「ヒト」なのです。ですから、その間に築かれる「信頼」が重要。「信用」ではなく「信頼」です。信用はある一定の条件下で相手を承認すること、信頼は無条件に相手を承認して期待を寄せること。仕事だけのつながりに閉じてしまうと信用はできても、信頼するのは難しいでしょう。だからオンもオフも関係ない、仲間同士の豊かなつながりを育むコミュニケーションが必要だと考え、社としてもそこへ大きく投資しています。「仲間同士」というのは決して同じ部署メンバーとの関係だけではありません。業務ラインに紐付く上司部下のタテの関係、同期のようなヨコの関係や、他部署メンバーとのナナメの関係もそうです。

例えばその「仲間同士の豊かなつながりを育むコミュニケーション」として、どんなものがありますか?
初野

初野

会社規模が小さかったころから続く「FAM制度」があります。FAMとはファミリーの略。部署も年齢も社歴もバラバラな10〜20人程度のコミュニティで、会社から支給された予算を活用してさまざまな取り組みを行っています。ランチをしながら悩みを抱えるメンバーの相談に乗ったり、新しく入社したメンバーの歓迎会を開いたり、メンバーの誕生会を企画したり、仕事終わりにスポーツをして一緒に汗を流したり、休日にキャンプをしてリフレッシュしたり。FAMごとに工夫をこらした活動が行われています。まさに家族のような関係を目指して取り組んでいます。

染谷

染谷

3ヶ月間の社員向けオンボーディングでもさまざまな施策を行っていますね。会社への理解を深めてもらうコンテンツのほか、「経営陣との1on1」や本人が交流したいメンバーとランチができる「リクエストランチ」など、所属部署以外にも関係性を広げていくための施策が非常に多いです。

キュービックを全員で創っていく

初野

初野

まだ会社が50人〜100人規模だった頃はコミュニケーションの密度が今以上に高く、全員の人となりがよくわかりました。特別な仕組みがなくとも阿吽の呼吸で意思疎通ができ、会社という名のコミュニティに大きな安心感や居心地の良さがありましたね。今だってもちろん安心感も居心地の良さもあるのですが、当時のキュービックを知っている私としては「うちの会社はまだやれる!」という気がしてなりません。もっともっと、強い信頼関係を構築していきたいと思っています。

メンバーが増えどれほど多様性に富んでも、「この人たち・この会社のことが好き」「この仲間と一緒だから頑張れる」「この仲間とともにキュービック、そして社会をよくしていきたい」そんな風にみんなが思える組織にしたいですね。

染谷

染谷

強い信頼が根底にあれば、個人としても組織としても大きな挑戦ができるはずです。この会社に集う一人ひとりの才能や可能性を最大限引き出せる環境がつくれたなら、とんでもないことが起こるだろうなと思っています。その景色を早く見てみたい。一歩一歩前進していきたいと思います。