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中堅エンジニア×VPoE対談!エンジニア主導で立ち上げるフィンテックサービス

  • 尾﨑 勇太
    尾﨑 勇太
    中堅SIerにて金融系システムを担当し、SEとして経験を積みながらTLなど管理業務も遂行。2017年教育系のインキュベーション事業を行なうベンチャーに転職し、PMとしてWEB/アプリ開発を担当。2018年、株式会社SHIFTにてテストPMとしてポータルサイト運営会社の品質管理を担当。2020年11月よりキュービックにテックリードとして入社し、新規プロダクト開発や脆弱性対応を担当。

経験やスキルを活かし、自身の腕を試したい

まずは、キュービックへの入社経緯を教えてください。尾﨑さん、お願いします。
尾﨑

尾﨑

僕はもともと戦略系コンサルタントを目指していましたが、就活中に大手シンクタンクでもITコンサルタントの割合が8割であることを知り、急遽エンジニアにシフトチェンジ。未経験から入れる二次受けのSIerに入社しました。プログラミングの基礎はもちろん、ウォーターフォールモデルで詳細設計から総合テストまでを一気に学んだのですが、やはり上流の工程に関われない歯痒さがありました。

そこで、WEB系のベンチャー企業に転職。開発規模は小さくなりましたが、プロジェクトマネージャーとしてアプリやWEBの開発を行えました。やりがいはあったものの、結婚や妻の出産などで生活が変わり、給与レンジをさらに上げたいと思い、品質管理に進みました。メガベンチャーで成長性もあり、自社内開発も見込めましたが、直近5年以内に開発部署が新設されないとわかったことと、セキュリティが強固で仕組みを作っても全社適応させるためのサーバーが建てられず、IT投資が想像よりも進まないことがネックとなり、離れる決断をしました。

その頃は、ちょうどキュービックがエンジニアリングを強化している時期でした。今までやってきたことが活かせること、これまで受託開発をやり続けてきたので自社開発へのあこがれがあったこと、ゆくゆくはプロダクトマネージャーになりたいと思っていること、開発だけでなくてマーケティングのキャッチアップもできることなど、多くの要素を鑑みて、自分次第でさまざまなキャリアを拓けると思い、キュービックに参画しました。

続いて、後藤さん。どのような入社経緯でしょうか?
後藤

後藤

僕のソフトウェアエンジニア人生の始まりは20代後半です。電気工学を専攻していたので、卒業後はエンジニアリング会社でハードウェアエンジニアとしてエレクトロニクス畑の仕事をしていましたが、その後ソフトウェアエンジニアに転身しました。アメリカのシリコンバレーで研修を受ける機会があり、僕にとってその体験が大きな刺激となったのです。

「せっかくなら本場で仕事がしたい」と思いました。2年かけてアメリカでも通用するようなエンジニアリングを勉強し、海を渡り、シリコンバレーのベンチャー企業にシステム開発マネージャーとして入社。米国市場の株式公開に貢献しました。

その後はYahoo! JAPANでインドの携帯キャリアとソフトバンクと3社でアジア進出のプロジェクトを進めたり、ネオキャリアの海外事業部CTOとして東南アジアを中心に採用WEBシステムの企画・開発を担当したり…。ゼロイチでの事業立ち上げを、ワクワクしながら次々に遂行してきましたね。

キュービックにジョインしたのは、前職でスタートアップの立ち上げがひと段落したからです。ちょうど役員任期が満了したタイミングでした。キュービックであれば自分が持っているスキルや経験を活かせそうだなと思い、入社しました。

僕はどうやら根っからのベンチャー好きなようで(笑)。未開拓であればあるほど惹かれるのです。キュービックの企業としての力の底上げにおいては、テクノロジーチームのレベルアップが不可欠だと感じました。

優れたマーケターを育てながら、会社は十分に成長しました。しかし、会社の成長率から鑑みるとエンジニアのチームづくりや体制は、正直なところ万全では無いように見えたのです。同じような話を入社前にCTOの加藤からも聞いていたので、これは僕の腕の見せ所だぞと。 燃えましたね。

チームやプロダクトをゼロイチでつくれる面白さ

実際にキュービックに入ってみて感じたことを教えてください。
尾﨑

尾﨑

SIer時代はどうしても社内政治がつきものでしたが、キュービックにはそういった煩わしさを感じません。後藤さん、加藤さんをはじめ、ボードメンバー相手でも気軽に「ちょっと良いですか」で時間を取れたり、部署やチームが違うメンバーでも困っている人がいたら自然と助け合ったりできるのがいいですね。

マーケターとかUIやUXのプロとかエディターとか。いろいろな業種の人が一つ屋根の下で働いているので、特にプロダクト開発するにあたっては、そうした専門性を持ったプロの人たちに直接フィードバックをもらえるのがいいところなのかなと。相互にフィードバックしてプロダクトを作る環境が整っているのは魅力です。

プロダクトの宣伝のためにLP(ランディングページ)を作りたければ、外注しなくても社内にLPを作れる人がいますし、それこそSEOで検索順位を上げるプロがすぐ隣にいる。話を聞くことも任せることもできるので、自分の専門性に集中できるのはありがたいです。

一方で、社内のエンジニアカルチャーがまだ弱く、土台整備が課題といったところですかね。

ただ、僕自身はそこに面白さを見出しています。今はまさにチームビルディングができる時期。新たなチャレンジが好きな人、大きな裁量を持ちたい人にとっては、すごくいいタイミングなのではないかなと。テックの第一人者になれるチャンスなのではと思ってます。

後藤

後藤

まさに、キュービックのエンジニアチームは発展途上。現在、エンジニア環境の整理とルールづくりに力を入れているところです。

具体的には、組織開発、技術基盤づくり(開発プロセス・セキュリティ対応・標準化)ですね。どう変えていくか、どんな人材が必要なのか考え、効果的な体制を模索しています。エンジニアを育成するカリキュラムについて、日々、経営陣の中でも議論しています。

今のキュービックにはジュニアなエンジニアが多いので、環境整備や育成が大切なのです。

自分たちでサービスがつくれるようになって、「キュービックのエンジニアってなんかイケてるらしいよ」と社内外で噂されるチームづくりをしたいですね。そうすればきっと、メンバー同士で切磋琢磨してさらに成長できるし、どんどん優秀な人材が入ってくるでしょう。それが僕の理想です。

尾﨑

尾﨑

僕が入った当初は、マイクロサービスであればAWSの構築からサービスローンチまで、ゼロイチで実施できるようなメンバーが多かった。広く浅く携わる分、専門性が伴っていなかったり、技術的負債の返済など本来注力すべきタスクが後手に回ったりしていました。

現在はSRE(Site Reliability Engineering)チームが部署内につくられ、サーバーの運用・保守などは専任のインフラチームが対応できるようになっているので、ある程度分業化が進んできました。チーム単位で専門性や運用の改善は進めつつも、自動化やセキュリティ対策など部署横断で取り組まないといけないものに関しては、得意な分野と不得意な分野を相互に補完できるような動きを進めようとしている。そんな状況です。

後藤

後藤

これからジョインされるミドルエンジニアの方と一緒に、「もう一度会社を創るみたいなフェーズ」とも言えるのかもしれません。

尾﨑

尾﨑

点から線にしていくことを推し進めたい。ゼロイチでプロダクトを作っていくので、技術的負債のないものに携われるのは、これからジョインされる方にとっての一つの魅力ではあるのかなと思います。

テクノロジーの力でデジタルメディア事業をアップデートする

エンジニアチームが今、挑戦されていることについて教えてください。
尾﨑

尾﨑

キュービックの既存デジタルメディアの多くはWordPressで作成されているのですが、WordPressだけではなく、PHPのフレームワークのLaravelを使ったプロダクトを採用して、実践プロダクトの開発を行なっています。

外部ベンダーへの開発の外注は今まで部分的には行っていたのですが、WordPress以外を使ったデジタルサービスに関しては社内にノウハウがない状態でした。そこで、社外のベンダーにシステム要件を伝えた際に各社から一定の基準を持った提案を受けられるよう、RFP(提案依頼書)の作成を行いました。RFP自体も社内では初の試みでしたが、どうにかベンダー選定から実際にプロダクトを納品してもらうところまで進めることができました。

後藤

後藤

ものは考えようで、僕から見ると「WordPressでおよそ80億生み出している」ってある意味すごいことなのですよ。自社で一つ一つデジタルメディアを開発するのではなく、既にできているアプリケーションを使ってマネタライズできていることは誇るべきことです。だからこそ、エンジニアのリソースが少なかった中でも、業務委託さんに頼りつつ、成長できた。これは一つの大きな成果だと思います。

一方で、「WordPressのテクノロジーに依存している」とも言えます。さらに成長させるためにはWordPressに加えてPHPやRubyを使い、複雑なアプリケーションでないと実現できないデジタルメディアを作っていく必要があります。

エンジニアではない人にもわかりやすく伝えるとすると、これまでのキュービックは建売住宅を数多く建て皆さんから人気を集めてきた状態。そして成果として売上も出ている。でも壁の色を変えたり、間取りを変えたり…そういう注文住宅のようなデジタルメディアも作って事業拡大を図っていこうというのが今僕らが挑戦していることです。

ビジネスモデルとしては完成しつつ、会社としては次の成長段階に差し掛かっている、ちょうど途中なのです。一つのモデルのみに頼らず、リスクヘッジのためにもさまざまなテクノロジーを使って発展していこうと。そして作られたデジタルメディアがローン比較サイト『ロンたす』です。

記事作成はこれまで通りWordPressを利用しているのですが、送客や診断はオリジナルのアプリケーションを取り入れています。

尾﨑

尾﨑

WordPressやPHP Laravelを使った設計図を作ったのですが、結果的にはうちで開発できなかったので、委託せざるを得なかった。外部へ委託するには、僕らが作りたいものを正確に描く必要があったので、「こういうのを作りたいんだけど」と三社くらいに頼んで、見積もってもらいました。本当はやっぱり、自社内で完結させたかった。今は最小機能版が作れているので、グロースさせるのはこれからジョインしてくれるミドルエンジニアの方にぜひお願いできると嬉しいですね。

以前のように事業部から依頼されて動くのではなく、これからはエンジニアがマーケターとともにビジョンを描いて、僕たち主導でそのビジョンを具現化させる設計図をつくりたいです。

後藤

後藤

今後は『ロンたす』のようなデジタルメディアが増えていくでしょうね。現在のデジタルメディアにとどまらず、ユーザーに新たな価値を届けるデジタルサービスが出てくると思います。『ふるセレ』もそうですよ。

今まさに当社のデジタルメディア事業をアップデートすべく、新しい取り組みが動き出したという感じです。

選択の幅が広がるエンジニアのキャリアパス

現在、エンジニアのキャリアパスはどのようになっていますか?
後藤

後藤

「あなたはここをお願いします」と、一方的に仕事や役割を決められてしまうことも会社によってはあると思うのですが、キュービックではその点において双方向のコミュニケーションを大切にしています。相手の声に耳を傾け、「ではどういうところにアサインしましょうか」「やりたいことに近い仕事を作りましょう」というように、本人のなりたい姿とアサインのマッチングに配慮し、かつ強みを伸ばしていくサイクルをつくっています。

尾﨑

尾﨑

2021年になってキャリアパスを整えまして、選択肢が随分と増えました。テックリードからマネージャーになってVPoEというパターンもあれば、テックリードからPdM、プロダクトマネージャー、そのままプロダクトを引き継いで、関連会社の代表取締役みたいなパスもある。さらに加藤さんのようにテックリードの技術にひたすら突き進んでCTOになる道もある。管理職のラインでいくのか、技術のラインでいくのか、選択肢の幅が広がりました。

実はその前年まで、テックリーダーの次にマネージャー、その次がVPoEと、「まさかのマネージャーの次が経営陣なの!?」といった状態でした(笑)。そこで、僕らがオリジナルでエンジニアのキャリアパスのたたきを作ったのです。

後藤

後藤

専門性のある技術職だからこそ、今いる会社にポストがないと感じてしまったら、離れてしまう人も出てきてしまいますからね。

尾﨑

尾﨑

とはいえ、ここまでキャリアパスを明示できる会社は多くないと思っています。空いたポストを埋めるように、キャリアが進んでいく会社もあるなかで、キュービックでは目指すところを決めて、会社全体で一人一人のキャリアを応援してくれる。恵まれた環境だと思いますね。

今後どのような発展がありそうでしょうか?
後藤

後藤

経営的な立場ではポートフォリオ(事業の組み合わせ)で表現をしているのですけども、事業ごとに収益も管理しますし、場合によっては事業ごとにスピンオフして分社化する可能性もありますよね。

「今後3年かけてそういう体制を作っていきましょう」ということで将来の計画を描くわけですが、そうなると、各セグメントごとにCTOが必要になる。つまり、自分の技術を総合的に生かせる場を作っていかないといけません。

キャリアパスの観点でみれば、その計画にフィットすると自分の理想のキャリアが描けるような形にしないといけないと思います。

尾﨑

尾﨑

自分が携わった事業で成功したらその事業のCTOになれるチャンスが生まれる、これは夢がありますね。CTOが既にいる会社に入って自分がCTOになるのはなかなか難しいかもしれませんが、事業内のCTOが生まれてくる可能性があると思うとワクワクします。

後藤

後藤

カンパニー制みたいなのができて、それぞれの色やカンパニーのテクノロジーが独自であって、若いメンバーに社長をやってもらって。

僕はラボ機能を作りたいんですよね。基礎研究、できればどこかの大学と共同で。基礎研究を僕らが商品化するとか。それを僕らが顧客とマッチさせるとか。

ユーザー特性に応じて何かを出す基礎技術があったりすると、それをランディングページに応用できたり、人によってダイナミックに変わるランディングページができたり。テクノロジードリブンで収益とうまく連動させるような仕組みをつくるための基礎研究が大事だと思うので、そういったものができるくらいまでチームを成長させたいです。