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毎年山形に行く理由

毎年山形に行く理由

僕のカレンダーは、仕事もプライベートも関係なく一つにまとまっており、全てメンバーから丸見えになっている。

別に大した理由はない。管理能力が低すぎて、仕事とプライベートのカレンダーが分かれてると把握できなくなるだけ。メンバーからすれば仕事の予定なのかプライベートの予定なのか判別がつかない僕のカレンダーに時折入る「山形出張」は、おそらく世一カレンダー七不思議の1つだと思う。

大阪でも名古屋でも福岡でも札幌でもなく、山形である。片道3時間半〜4時間かかるため、ほんの2〜3時間滞在するだけでもまる1日かかってしまうこの出張、毎年欠かさず行っている。出張と言っても、ある民家に押し入って豪華な食事とお酒をたらふくいただき、前後不覚で帰ってくるだけ。

クラウドソーシングという言葉がまだなかった5年以上前から、インターネットを通じて知り合った方に、コンテンツの制作をずっとお願いしている。この方自身がライティングをされることはほぼなく、ライターさんを背後に抱えてディレクションを行ってくれている形。

彼は仕事が非常に丁寧で、納期遅れも滅多に起こさない。ライターさんの教育もしっかりやってくれるし、人員が不足したらまた追加をしてくれるので制作能力の変動もほぼない。5年以上も前からの付き合いなので、必要なコンテンツの種類も質も当初とはガラリと変わっているが、一生懸命こちらの要望についてきてくれる。頼もしい。

彼は少し前までメーカーでバリバリ働き、管理職まで経験された優秀な方らしい。が、あるとき足が不自由になってしまった。現在も2本の杖なしでは歩くことができない。うちから支払う委託料は決して多くはないが、生活の一助になっていると思われる。

彼と付き合い始めた頃と比べ、会社の規模は10倍以上に成長している。在宅でお仕事をお願いしている方もかなりの数になった。事情を全員に聞くことはしていないが、中には訳あってハンデを背負っている方や、そうでなくても在宅で働くほかない方も、おそらく少なくない。

彼らが作ったコンテンツを、僕らはメディアを通じてユーザーに届ける。ユーザーを動かすことができれば、クライアントの新規顧客獲得に繋がる。クライアントの事業のお手伝いをした結果、うちには成果としての売上が入り、その売上がまた彼らの生活を支える原資になる。

広告の仕事はお客さんの顔を見る機会があまり多くなく、「誰の役に立っているのか」が見えづらく、やりがいも内向きになりがち。それでも、いろんな形でいろんな人を豊かにするお手伝いはできている。

だからこそ、会社は儲け続けないといけない。

いつも食べきれない量の膨大なお食事とお酒で気持ちよく迎えていただく。山菜シーズンの今回は、僕の大好きな「たらの芽の天ぷら」を用意してくれていた。一昨年初めて食べて僕が感動していたこと、去年は時期がずれてありつけなかったことを覚えてくれていた。

従業員数が100人を超えたこと、長年ご協力いただいているメディアが月間50万PVを超えて成長していることなど、近況報告をとても嬉しそうに聞いてくれた。管理系の悩みを話すと、彼自身の経験からドンズバのアドバイスをくれる。後半はお互い日本酒でベロンベロンになるが、ユルく楽しいひと時だ。

キュービックの経営理念は、クライアント・ファーストでもユーザー・ファーストでもなく、「ヒト・ファースト」。そしてクレドの「ONA-KAMA」は、経済合理性重視の「業者」としての付き合いではなく、社内外問わず取引先とも「コミュニケーションで仕事をしよう」というこの理念の表れであり、僕らの成長戦略でもある。

在宅でお仕事をお願いしている方全てに毎年ご挨拶ができるわけではないが、こうしたつながりがメンバーの成長や会社の長期的な発展につながっていくと信じている。

しかし天ぷらの写真撮っておけばよかった。これは、おひたし。