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部下に聞いてはいけない3つの質問

部下に聞いてはいけない3つの質問

起業した瞬間から部下が数名いたことを考えると、会社が11期目を迎えたということは、僕自身マネジメントというものには10年以上向き合っていることになる。

とはいえマネジメントがどういうものなのかについてはこの2年ぐらい腰を据えて勉強していることもあって理解は進んできたものの、「こうやればうまくいく」という感覚をなかなかつかめずにいる。会社全体のマネジメントがバキバキに機能してくれさえすれば業績は簡単に2倍は行くという確信もあり、自信を持って管理職教育ができるぐらいには早くなりたいと思っているがなかなかこれが・・・。

マネジメントにおける数少ない確信の一つに、「本当の意味で部下を成長させるには、一人で走らせなければいけない」というものがある。

補助輪のついた自転車は、こぐ側に「転ばない」という確信があるため、これに頼った運転技術しか手に入らない。上司が補助輪になる期間の必要性は否定しないが、どんなに短い距離であっても補助輪を外して走らせなければ、自分でバランスをとりながら走行する技術を手に入れさせることはできない。

一人で初めて客先に訪問するその1回は、上司についていく客先訪問数十回分を上回る成長につながる。部下は一人で訪問して初めて、自分の頭で考えて動くというのがどういうことかを理解することになる。本当の成長意欲が芽生えるのもこの経験があってこそ。もちろん、一人で走らせる前提として、最低限の技術を身につけさせること・道幅や走行距離の調整をしてやること・走行をきちんと見守ることなど、「放置」にならないマネジメントは前提とはなるのだけども。

で、問題はここから。一人で走らせるにあたり、聞いてはいけない質問が3つあることに気づいた。

(1)「わかった?」

走らせる前に走り方を指導する際。上司と部下は別々の人間である以上、2人の頭に100%同じものがイメージされることはない。部下本人がわかったつもりでも、上司のイメージとすり合っていなければ意味がない。「わかった?」=>「わかりました」というやりとりに、生産的な意味はないということになる。

また、そもそも「わかりません」とは答えにくいもの。特に、「わかった?」と聞いて「大丈夫です」と返ってきた場合、ほぼわかっていないと考えたほうがいい。

本来、「わかった?」という質問のゴールは「上司と部下の脳内イメージが概ね一致しているかどうかの確認」である。であれば、部下にこれから行う仕事を説明してもらい、正しいかどうかを確認するほかない。

(2)「順調?」「大丈夫?」

部下の「順調です」という言葉は信用してはいけない。これは業務管理系の書籍にも結構書かれていることに気づいた。

本当に順調ならそれでもいいのだが、見立てが甘いだけのことも多い。「順調とは言えないが自分で挽回できると思っている場合」「順調とは言えないが一人でなんとかしたい場合」「順調とは言えないが助けを求めると自分の評価が下がってしまいそうで怖い場合」にも、部下は「順調です」「大丈夫です」と答える。部下の見立てが甘ければ、当該案件が上司の手元に戻ってくる時には炎上している。

計画がきちんと引けているシンプルな仕事なら、「オンスケかどうか」を聞けばいい。そうでなければ、そもそも「順調です」「大丈夫です」という回答が返ってくるような質問をしてはいけないのだ。

「つまづくとしたらどのあたりだと思う?」「うまくいっていないことは何かある?」「どんなサポートをすればうまくいきそう?」など、質問そのものを工夫する。見立てが甘めの部下に対してはさらに、仕事の構成要素をその場で分解させてから上記の質問をする。

(3)「なんで?」

上司としては、純粋に理由が知りたいだけなのだが、「なんで?」という質問には相当な威圧感があり、詰められていると感じるらしい。「なんで」なのかを知りたければ、「なんで」という言葉を使ってはいけない。「もうちょい詳しく教えて」「メリットとデメリットを教えて欲しい」など工夫が必要。めんどくさいのだが。

素直で向上心の高いメンバーが多いキュービックでは、まっすぐ一生懸命頑張ってくれる気持ち良さがある一方、「自分でなんとかしなければ」「上司の時間を奪ってはいけない」などの心理からか「抱え込み」による炎上が散見される。もちろん上司としては炎上してからの方が収拾が大変なので早めにキャッチしたいのだが、上記3つの質問では適切なホウレンソウは上がってこない。

任せるのと放置は大きく違うし、育成よりもスピードを取らないといけないことも多い。マネージャーには高いバランス感覚が求められると改めて思う。