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「自分の分身を作れ」は本当に正しいのか

「自分の分身を作れ」は本当に正しいのか

経営者もしくは管理職に対するアドバイスとして、「自分の分身を作って業務委任を進め、自らは仕組み化や育成、戦略立案などより高次な業務・ボトルネックソリューションに注力しなさい」というものがある。

分身を作れ、分身を作れと非常によく言われるが、よく考えてみると実際に分身を作って仕事を任せてうまくいってる人に出会ったことがない気がする。僕自身も、これまで自分の部下を「分身」として仕立ててきた実感はないし、そうしようと頑張ったこともない。

社長の仕事は「その他全部」で、社長の業務は「特に優先順位の高い順」。「その他全部」を自分と同じ優先順位・クオリティで片付けられる分身が出来上がる日は来ないと思った方が賢明に思う。どんな組織でも、トップからの視界とNo.2からの視界はそれほどに違う。

分身づくりに腐心して自分の劣化コピーを作ることより、一つ一つの機能を自分よりできる人間、もしくは現時点ではできなくても適性の高い人間にこれを渡していくことの方がずっと生産的。トップにはトップにしかできない仕事・本来トップがやるべき仕事もあるわけだし。実際、ほとんどの経営者・管理職はそうしてきたのではないだろうか。

「トップにしかできない仕事」は最後はコミュニケーションらしい。意思決定すら機動性重視でどんどん現場に権限委譲している会社が増えており、一方で意思決定の拠り所になる理念や戦略を浸透させることが経営陣に最後に残る仕事だと最近学んだ。まだまだ先は長そうだ。