2020年8月31日
株式会社キュービック
株式会社キュービック(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:世一英仁、以下「キュービック」)が運営しているクレジットカードの総合情報サイト『CREVIEW(クレビュー)』に設けられた研究機関『キャッシュレスラボ』では、キャッシュレスに関するリアルな本音を調査しています。今回は、2020年6月末で終了したキャッシュレス決済による消費者還元事業について取り上げます。この事業は、消費者に還元があるのに加え、店舗側にも「決済手数料の3分の1を国が補助」「レジ締め、現金取り扱いコストを省くことによる業務効率化」「集客力向上」といったキャッシュレス決済によるメリットが想定されていました。実態として店舗がどのようにこの事業を捉えたか、そして、消費者サイドのキャッシュレス決済に関する意識がどうなっているかを調査しました。
調査について
<店舗>
・調査委託先:株式会社アスマーク
・回答者:全国の飲食店、小売店に関わる自営業者、経営者200名
・調査期間:2020年6月
・調査手法:インターネット調査
<消費者>
・回答者:都内の学生、社会人100名
・調査期間:2020年7月
・調査手法:インターネット調査
調査結果サマリー
キャッシュレス決済導入に至っていない店舗は6割。店舗にとっては、手数料や導入費用、手間が導入の大きな壁になっている。
店舗がキャッシュレス決済を導入した理由は「お客さんのためになるから」が約半数を占める。消費者への調査でもキャッシュレス決済が店舗選びに影響するケースが65%。
調査結果解説
【1】キャッシュレス決済の導入に至っていない店舗が6割
キャッシュレス決済の消費者還元事業について、売上アップの効果があったかを店舗に聞いたところ、そもそも「キャッシュレス決済を導入していない」店舗が約6割を占めました。そこで、キャッシュレス決済を「導入しない理由」をさらに調査しました。
【2】キャッシュレス決済を導入しないのは、「手数料負担がきつい」が4割。
店舗がキャッシュレス決済を導入していない理由としては「手数料の負担」「導入費用の負担」「利用者があまりいなそう」がそれぞれ4割ほどでした。店舗側としては、キャッシュレス決済に伴うコストに対して利用が少ないだろうと感じていることがわかります。
キャッシュレス決済の代表格であるクレジットカードや電子マネー決済の利用には加盟店手数料が約3%かかる場合があり、店舗にとって大きな負担だということは想像に難くありません。
一方で、QRコード決済サービスでは、低負担で導入できるキャンペーンなどが展開されています。低負担で利用できるサービスがあるにもかかわらず導入コストを負担に感じている店舗が意外に多い結果となりました。キャッシュレスといえば従来のクレジットカードなどであるという前提で回答している店舗もあるのかもしれません。また、この調査は2020年6月に実施したものであり、昨今のコロナ禍での売上減の影響も少なからずあったのではないでしょうか。
還元事業では、店舗側へのメリットとして「決済手数料の1/3を国が補助」「レジ締め、現金取り扱いコストを省いて業務効率化」「集客力向上」といったことが想定されていましたが、特にコスト面でのハードルを越えられなかった店舗が一定数あったということでしょう。
おもにコスト面の懸念からキャッシュレス決済の導入に至らなかった店舗がある一方、キャッシュレス決済を利用している店舗が「導入した理由」は何だったのでしょうか。
【3】店舗がキャッシュレスを導入する理由の約半数は「お客さんのメリットになるため」。
キャッシュレス決済を導入している店舗に話を聞くと、約半数が「お客さんにメリットがある方法だと思う」と、消費者のためになるからという回答をしています。
では、消費者はキャッシュレス決済導入店舗についてどのように感じているのでしょうか。キャッシュレス決済が消費者のお店選びに影響があるかどうかを聞きました。
消費者への調査では、キャッシュレス決済が使えるかどうかがお店選びに影響するという回答が65%という結果になりました。消費者にとってキャッシュレス決済はお店選びにおいて無視できないファクターになりつつあり、キャッシュレス決済を導入している店舗の導入理由が「お客さんのため」であることも、この結果から見ると頷けます。また前回の調査報告にもあったように、新型コロナウィルス感染症拡大をきっかけとするキャッシュレス決済利用は増加傾向にあり、消費者のキャッシュレス決済へのニーズは無視できないものとなっています。
このような消費者の声もあるなか、店舗側から消費者還元事業への期待はどうなっているのでしょうか。
【4】今後の期待:「決済手数料を減らしてほしい」が3割。
キャッシュレス決済の消費者還元事業の今後の展開について聞くと、店舗の45%は継続を望んでいませんでした。また、「決済手数料を減らす対策をしてほしい」や「導入の手間を減らす対策をしてほしい」といった負担軽減を望んでいる店舗が合わせて38%となっています。消費者還元事業で「決済手数料の3分の1を国が補助する」といった店舗向けの負担軽減施策があったとはいえ、店舗側には少々物足りなさが残ったということでしょう。
店舗の金銭的負担や手間をどのように解消していくかが、今後のさらなるキャッシュレスの普及にとって重要なカギとなりそうです。
『キャッシュレスラボ』所長・高橋 宏明(たかはし・ひろあき)経歴
1990年、千葉県生まれ。学生時代、キュービックでインターンとして金融領域のメディア運営チームに配属。新卒として入社後、転職領域のメディア運営チームへの配属を経て、2019年1月より金融領域のクレジットカードメディア運営担当となる。キャッシュレスカオスマップの制作や、学生向けクレカ診断チャートなど、キャッシュレス関連のコンテンツ制作に従事し、2020年5月よりキャッシュレスラボの所長として活動開始。
所長よりコメント
今回の調査では、キャッシュレス決済導入にあたって店舗側のハードルとなるのが決済手数料の負担や導入の手間であることがわかりました。一方で、消費者側のキャッシュレス決済へのニーズは高まっており、実際にお客さんのために導入を決めた店舗もある実態が見えてきました。決済手数料の負担や導入の手間の懸念からキャッシュレス決済利用に至っていなくても、お客さんのためにキャッシュレス決済を導入したいと考えている店舗には、より負担の少ないキャッシュレス決済である「QRコード決済」が適しているかもしれません。PayPayをはじめとする決済サービス事業者において、導入手数料や加盟店手数料が発生しないキャンペーンが展開されており、最初の一歩として試してみるのもよいでしょう。例えばPayPayは、2021年9月30日まで決済手数料が無料です。どのような条件で決済サービスが使えるのかを、キャッシュレス決済事業者ごとに調べることもできます。
▼「一般社団法人キャッシュレス推進協議会」サイト
キャッシュレス決済事業者の中小・小規模事業者向けプラン一覧
『キャッシュレスラボ』について
政府のキャッシュレス推進に伴い、関連サービスが多様化しています。キャッシュレスラボでは、本当に自分に合ったキャッシュレスの活用方法にたどり着くために、キャッシュレスに関するリアルな本音を独自の切り口で紹介。キャッシュレス決済を通じて生活が豊かになる人を増やすことを目的に、調査や情報発信を行っています。
「CREVIEW(クレビュー)」とは
「CREVIEW」は、キュービックが運営するクレジットカードの総合情報サイトで、クレジットカードにまつわるさまざまな疑問にお答えしています。近年、ひとり当たりのクレジットカードの保有枚数は2~3枚。カード保有率は80%を超えていると言われています。一方で、日々の決済手段としてカードをうまく使いこなせていない、という方が多く存在するのも事実。CREVIEWでは、クレジットカードの作り方はもちろん、「高還元率カードはどれ?」「学生向けのおすすめカードは?」「ポイントをたくさん得る方法は?」など、一人ひとりの悩みに対して最適な答えをお届けします。実際のカード利用者の声や、独自の切り口での比較を踏まえ、皆さんに「なるほど!」と言ってもらえるようなサイトを目指しています。
サイトURL : https://creditcard-view.jp/