たっぷり働いた後の夜ご飯。コンビニや外食は嫌だけど、自炊をする時間も気力もない……と悩む忙しい女性へ。“つくり置きおかず”を始めてみませんか? といっても、その「つくり置き」をするのが面倒というときもありますよね。
料理家の黄川田(きかわだ)としえさんは「つくり置きのために時間を確保するのではなく、家事の空き時間や、料理をする人なら料理の合間につくってみると、心に余裕ができますよ」と教えてくれました。今回紹介する「万能そぼろ」は10分もあれば完成する“おかずのモト”。これ一つで3品のおかずにアレンジすることができるんです。料理が義務になってしまっている人や、これから自炊を始める人はつくり置きおかずを活用して、心も体も豊かな食生活を意識しましょう。
- 「あぁ、あってよかった」と思える安心感
- “おかずのモト”になる「万能そぼろ」のつくり方
- 万能そぼろがおかずに変身! 簡単アレンジレシピ3品
- 料理が苦手な人は楽しめる過程を見つけることから
「あぁ、あってよかった」と思える安心感
つくり置きおかずの良さは、疲れて帰ってきて冷蔵庫を開けたときに、「あぁ、あってよかった」って思えること。盛るだけ・焼くだけ・温めるだけにしておくと、自分の心に余裕が生まれます。「ただせっかくの休日に、つくり置きおかずをつくるために時間を取ると思うとつらくなってしまい本末転倒なので、自炊をしようと思ったときについでにやろう、と気楽に考えておくのがおすすめ。そうやっていくうちに、自炊をする習慣が身につくかもしれません」
「つくり置き」と聞くと、完成したおかずを保存しておくイメージがありますが、今回黄川田さんに教えてもらうのは、いろんな料理にアレンジできる“おかずのモト”となるそぼろです。「完成したおかずを何品もつくり置きするのは大変ですし、それだとなかなか続きません。でも1品だけつくっておいて何品にもアレンジできる“おかずのモト”なら、完成しているおかずとは違い、週末や自炊ついでの短い時間でつくれて、毎日同じおかずを消費しないと!という気持ちの焦りも生まれません」。少しのアレンジで毎日違うメニューを食べることができ、いいことずくめ! そぼろは単体でもメインのおかずになり、料理の具材としても、トッピングとしても使える万能なつくり置きなんだそう。
“おかずのモト”になる「万能そぼろ」のつくり方
今回紹介する「万能そぼろ」は、フライパンひとつで10分で完成する“おかずのモト”。週末の10分で平日数日分の夜ご飯が時短でつくれるなら、罪悪感も減って、心の余裕が生まれるはずです。
【万能そぼろ】
【万能そぼろ】つくりやすい分量
- 豚ひき肉 300g
- 酒 大さじ1
- 砂糖 大さじ2
- しょうゆ 大さじ2
- しょうがすりおろし 1かけ分
万能そぼろは冷蔵だと5日間、冷凍では風味を保てるのが10日間ほどになります。保存容器は密閉できるものならなんでもOK。「においが強いものは琺瑯(ほうろう)やガラスの保存容器がおすすめですが、そぼろはにおいが強くないのでお皿にラップでも大丈夫です。酸化を防ぐために、空気に触れないようにすることだけ気をつけてくださいね」
万能そぼろがおかずに変身! 簡単アレンジレシピ3品
お肉系のつくり置きのいいところは、1品あればメインのおかずになっておなかも満たされ、栄養も取れるところ。今回紹介したそぼろはつくるのが特に簡単で、汎用性が高くて別の料理に変身させやすいつくり置き。万能そぼろを使ったアレンジレシピを3つご紹介します。
【そぼろアレンジ1】そぼろ丼
1つ目のアレンジ料理は「そぼろ丼」。
ご飯にかつお節とちぎった焼きのり、万能そぼろをのせ、千切りにした青じそと目玉焼きをのせるだけの簡単メニュー。しょうゆをかけていただきましょう。「インスタントのおみそ汁を添えれば、おなかも満たされ栄養も取れる立派な夜ご飯になりますよ。しょうゆをナンプラーに、青じそをパクチーに変えれば一変、アジア風そぼろ丼に変身します」
【そぼろアレンジ2】そぼろとキャベツのオープンサンド
2つ目のアレンジ料理は「そぼろとキャベツのオープンサンド」。
食パンにマヨネーズを塗り、キャベツの千切りと万能そぼろ、ピザ用チーズをのせてトースターでこんがりと焼くだけ。乾燥パセリをふれば完成です。「パンとそぼろは意外と相性が良く、キャベツを入れることでボリュームも出て、食感の違いも楽しめます。白ワインとさば缶なども添えれば、手軽にフレンチ気分が味わえます」
【そぼろアレンジ3】そぼろとじゃがいものオムレツ
3つ目のアレンジ料理は「そぼろとじゃがいものオムレツ」。
溶いた卵に万能そぼろ、小ねぎ、塩、黒こしょう、電子レンジで加熱し冷ましたじゃがいもを加えよく混ぜ、フライパンで焼きます。ご飯のおかずにもなり、買ってきたサラダやコンソメスープなどを添えればボリューム満点の夜ご飯に。「オムレツが難しい場合は、スクランブルエッグにしても味は一緒なのでおいしく食べられます」
“おかずのモト”ではありませんが、そぼろ以外のつくり置きでおすすめなのが、キャベツや人参のマリネ。千切りして、塩、酢、砂糖、オリーブオイルであえておくと、ちょっとした付け合わせになります。「お惣菜のから揚げやお弁当を買ったけど野菜がない!っていうときに添えるだけで色鮮やかになるし、サンドイッチにも使えて便利。ぜひこちらもトライしてみてください」
料理が苦手な人は楽しめる過程を見つけることから
「そもそも料理が苦手という方もいるかもしれませんが、料理を無理やり好きにならなくてもいいと思います。”自炊はしないとダメだと思っているけど、重い腰が上がらない”という方は、好きな器にお惣菜を盛ってみようとか、写真を撮るのが好きだから映える料理を撮ってみようとか、違う角度で楽しんでみてもいいと思うんです」。そうやっていくうちに何か発見があって、“今度は料理をつくってみよう”と進展があるかもしれません。
「それに自分でつくると何が入っているかがわかるので、健康や心の豊かさにつながると思うんです。週に1回でも料理をすると、食べておいしいだけでなく、つくった満足感や達成感などを味わえて、気持ちの変化があるはずです」。食の豊かさは心の豊かさともいえます。ぜひ一度、簡単なつくり置きおかずをつくってみましょう。少し意識を変えることで、暮らしが今よりいいものになるはず。
Profile
黄川田としえ
料理家・フードスタイリスト大学卒業後、プロサッカー選手と結婚。毎日の食事をつくる中で食の大切さを実感し、メイクアップアーティストを経て食の世界へ。現在はテレビ、ラジオ、雑誌、広告、CMでのフードスタイリングやレシピ開発をはじめ、食育を広めるイベントを開催するなど、食に関する活動を多岐にわたり行っている。将来やりたいことは、地域の子どもが通ってくれるような小さなお惣菜屋さんを開くこと。
HP:https://www.instagram.com/tottokikawada/
取材・文/木下歩 編集/杉江はるよ(Roaster) 撮影/菅原景子
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