ワタシのためのリラクゼーション

おいしく、美しく、 バランスよく。 私を整えるお弁当術

food |

日々のことだから、 料理のスキルは関係なく 簡単に作れるものがベスト

毎日のお昼ごはん、何を食べていますか? 本当なら節約や栄養バランスのためにお弁当を作って職場に持っていきたいところですが、いざとなると調理が億劫になってなかなかお弁当生活への一歩を踏み出せない……という人も多いのでは? そこで、おいしくて美しいケータリングで人気の「美菜屋」代表・浅野美奈弥さんに、心と体を整えてくれる、とっておきのお弁当づくりについて伺いました。

  1. お弁当が叶えてくれる、安らぎと健康への近道
  2. 栄養と美しさはイコールで繋がる
  3. これさえあればうれしくなる、私の定番副菜
  4. お弁当づくりで、本当の“おいしい”を知る

お弁当が叶えてくれる、安らぎと健康への近道

もとはモデルとして活躍していた彼女。料理家になろうと志したきっかけは、意外なものでした。「モデル活動をしていた20代の頃は、毎日のように体重測定があり、オーディションに落ちるたびに自分が太っているからだと思い込んでいたんです」。そして、知識のないまま無理な食事制限をして体調を崩してしまう事態に。

「モデルは美しく見せることが仕事なのに、こんな食生活を送っていたら本当の美しさを人に伝えられない」と、一度モデルをやめて自らの食事を見直し、料理家を目指すようになった、と話します。「若かったあの頃は、食事も仕事も楽しめていなかった。当時と比べて7キロくらい太ったけれど、今の自分の方が断然好きです。無理せず自分の体に正直に向き合えるようにもなりました」

浅野美奈弥さん美弁当01

そんな彼女が作るのは、“カロリーが低くて太らないお弁当”ではなく、“きちんと栄養バランスが整った健康的なお弁当”。「ご飯を食べた後にすぐお腹が空いてしまったり、お菓子を食べたくなるのって、栄養が足りていないからだと思うんです。精神的に落ち込んだり、暗い気持ちになったりするのもそのせいかも。栄養不足は体にも心にも影響が出るので、栄養バランスを考えることはお弁当づくりの最大のポイントです」

具材のこだわりは、旬の野菜を使うこと。それから、すべてのおかずを違う味付けにして一口ごとに楽しめるよう心がけているとか。毎日違う味のおかずを複数作るのはハードルが高く感じるけれど、数日間保存できる常備菜の活用、そして見た目以上に簡単な味付け&レシピが、浅野さん流のお弁当術のようです。

浅野美奈弥さん美弁当02

栄養と美しさはイコールで繋がる

浅野さんの作る常備菜はいたってシンプル。塩もみした野菜や炒めたキノコなど、材料も工程も少ないから作りやすいのが魅力です。

「日々のことだから、料理のスキルは関係なく簡単においしく作れるものがベスト。休日にまとめて数種類作って保存し、1週間組み合わせを変えながらお弁当箱に詰めるのがおすすめです」

浅野美奈弥さん美弁当03

見た目の美しさにも気を遣う浅野さんは、お弁当箱には、おかずがきれいに収まる曲げわっぱを使うことが多いのだそう。「木製のお弁当箱は油が染み込んでシミになりやすいので、具材を詰める前に水にさっとくぐらせてから使うと清潔に保てますよ」。ではさっそく、楕円形(または長方形)のお弁当箱の具体的な詰め方のコツを教えてもらいましょう。

「まず、ご飯をお弁当箱全体に傾斜をつけて盛ります。ご飯の土台がないとおかずが沈んでしまうので注意。そして、ご飯の低い方に副菜のおかずたちを、高い方にはご飯との相性がいいメインのおかずをのせていきます。カップや仕切りはゴミになって環境に悪いので使いません。その代わりにレタスや大葉などで色移りや味移りを防いだり、汁気の多いものはご飯の上に置いてあえて汁を染み込ませたり。これ、案外ご飯が進むんですよ」

浅野美奈弥さん美弁当04

モデル時代さまざまな洋服をまとい、色彩感覚を養ってきた浅野さん。彼女ならではの美的センスが生かされたお弁当の秘密を探ると、以下のような3つのポイントが浮かび上がりました。

  1. 3色以上の副菜を盛ってカラフルにする
  2. 色のメリハリをつけるために、緑色の食材と、ピンクや赤系の食材を隣り合わせで盛る
  3. おかずとおかずの隙間を埋める食材を用意する

例えばヤングコーンや紅芯大根などでお弁当箱の中の隙間を埋めてぎゅうぎゅうに詰めることでお弁当の片寄りも防げるそう。
応用編として、紅芯大根の塩漬けや、柴漬けを刻んでふりかけるとかわいらしく仕上がるのでおすすめだとか。「色鮮やかでかわいい! という声をよくいただくのですが、さまざまな色が使われている=その分、栄養がたくさんあるということ。見た目を最優先に考えているわけではなく、栄養素を考えて詰めると自然と美しいビジュアルになっていた、とも言えますね」

浅野美奈弥さん美弁当05

Recommended Item!

浅野美奈弥さん美弁当09

五島の醤(ごとうのひしお) (醤油麹)150ml、五島の醤(米麹)150ml/五島の椿 各¥918(税込)

今回のお弁当にも入っている浅野さんの定番惣菜「ヤングコーンの魚醤バター炒め」に使用されている「魚醤」。駆除対象になってしまった五島列島の魚を有効活用して作られており、醤油麹の魚醤(写真左)はクセがないので、卵かけご飯やパスタ、炒めものなどにぴったり。米麹の魚醤(写真右)はすっきりと甘みがあり、スープなどに好相性。「どんなおかずもこれで味がワンランクアップします」と話す、浅野さんの必須調味料です。
HP:https://www.gotonotsubaki.co.jp/

これさえあればうれしくなる、私の定番副菜

彩り、日持ち、おいしさの三拍子が揃った浅野さんのお気に入りの副菜は「赤キャベツのラペ」。千切りにした赤キャベツを塩もみして青臭さを取り、10分ほど放置。出てきた水分を捨てたら、白ワインビネガーとハチミツを加えて和えるだけ、という簡単さ。出来立てですぐに食べられますが、時間が経つとより味が染みておいしくなるので常備菜向き。5日間くらいは冷蔵庫で保存が可能です。

浅野美奈弥さん美弁当06

続いて、“おかずの隙間埋め要員”としても優秀な「しましまズッキーニ」。皮をピーラーでしま模様になるように等間隔にむいたら、輪切りにして油で炒め、塩で味付けするだけ。「ナスやキュウリ、カボチャなども同様に皮をしましまにむくとかわいいと思います。そして、むいた皮はオリーブオイルと唐辛子、ニンニクでペペロンチーノ風に炒めたり、きんぴらなどに調理したり。フードロスの削減のためにぜひ捨てずに食べてもらいたいです」

浅野美奈弥さん美弁当07

お弁当づくりで、本当の“おいしい”を知る

難しそうと思われがちなお弁当づくりですが、これなら今まで諦めていた方でも手軽に始められそうですよね。ほんの少し早起きしてお弁当を詰める時間を持つだけで、心にも余裕ができる気がします。

なかなかお弁当生活に踏み切れない私たちに、浅野さんから最後にアドバイス。「最近は、コンビニやファストフード店などで買ってお昼を済ませてしまうことも多いと思います。そういうときは、知らぬ間に摂っている添加物の影響もあり、本当においしいものの味を忘れてしまっているかもしれません。素材本来の旨味や、化学調味料ではないおいしさを知れば、自然と『自分で作りたい』って思えてくるはずなんです。まずは手づくりのお弁当からトライしてみるのはいかがでしょうか」。
浅野さんが教えてくれた簡単テクニックで、心も体も喜ぶお弁当生活の第一歩を踏み出してみませんか。

浅野美奈弥さん美弁当08

Profile

浅野美奈弥(あさの みなみ)
料理家・モデル

学生時代からモデルとして活動。体調を崩したことをきっかけに、一時モデルを休業してライフスタイルの見直しを決意。食にまつわる数々の資格を取得し、料理家として2019年にケータリング事業「美菜屋」を始動した。2021年7月には待望のお弁当のテイクアウトショップ「Minaya STAND」もオープン。
https://www.minayainc.com/

取材・文/田中朝子(Roaster) 撮影/三佐和隆士

ワタシのためのリラクゼーション

いつも輝き続けるために― 仕事もプライベートも頑張るあなたに セルフケアとリラクゼーションのヒントを届ける ウェブマガジン

ABOUT US

SHARE