ワタシのためのリラクゼーション

私の心にそっと寄り添ってくれる 毎日のいとしいお茶時間

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お茶はいつも そばにいてくれる、 私の一番の味方

忙しい毎日。息抜き、ちゃんとできていますか? 今回は、息抜きのお供といえばの“お茶”の魅力に迫ります。実は入れ方さえ覚えておけば、1種類の茶葉だけでも、その時々の自分のコンディションに合わせた味が作れたり、お茶を入れる時間が自分を見つめ直す機会になったり……出来合いの飲料では感じることのできない利点がたくさんあるんです。そんな“入れるお茶”の魅力について、昨年お茶ブランドを立ち上げたばかりのモデルのKAINO Yu(カイノユウ)さんに教えてもらいました。

  1. “入れるお茶”がもたらすおいしさと安らぎ
  2. 私が「SA THÉ SA THÉ」を作ったワケ
  3. 気分で自由に楽しむお茶の世界
  4. いつだって私に寄り添ってくれる存在

“入れるお茶”がもたらすおいしさと安らぎ

お茶の街・静岡県静岡市出身のカイノさん。幼い頃からお茶とともに育ってきたという彼女が教えてくれたのは、 “入れるお茶”の魅力について。まず、2つのポイントを挙げていただきました。

1つ目は「気分で味わいが変えられること
出来合いのお茶は、すぐに購入できて飲めるのがメリットですが、大量生産をしなくてはいけないという理由もあり、深みのないさっぱりとした味わいになりがちだとか。「その点、自分で入れる場合は茶葉が選べるし、気分やシチュエーションに合わせて入れ方を変えれば風味も調節できるので、いつでも自分好みの味わいで飲むことができます」

お茶の香りを楽しむカイノさん

2つ目は「自分を見つめ直す時間がもてること
お茶を入れて一息つく時間を作ることは、せわしない現代人にとってきっと必要なこと。彼女自身も生活の中にお茶の時間を積極的に取り入れ、癒やしとともに心の安定を保っているといいます。

「忙しくて落ち着かないときこそ、あえて時間をかけてお茶を入れるんです。仕事や家事から離れて、いっときお茶時間を作ることで、今の私の状況やこれからすべきことなど、頭の中で散らかった情報を冷静に整理することができます」

モデルという職業柄、甘いものを控えるなど節制することも多い彼女。「そういうときは、リラックス効果がある “低温で入れるお茶”が私の味方。イライラも収まるし、心もすごく落ち着く。毎日イレギュラーなお仕事をしていると、テンションの浮き沈みがあったり、気分も変わったりしやすい。今の自分の状態に合わせたお茶を入れて、のんびり自分を見つめ直すこの時間がとても大切だなと日々感じています」

お茶を入れるカイノさん

私が「SA THÉ SA THÉ」を作ったワケ

お茶の魅力を語ってくれたカイノさん。子供の頃から毎朝お茶を飲むことはもちろん、実家がお茶の袋詰めと加工をする工場だったということもあり、お茶という存在が自然と生活に溶け込んでいたといいます。

ではなぜ今になって、改めてお茶について考えるようになり、そしてお茶のブランドを立ち上げることにまで発展したのでしょうか。

お茶を眺めるカイノさん

お茶についてじっくりと考えるきっかけになったのは、コロナ禍での父親との電話でした。コロナの影響でお茶屋さんが店じまいをしたり、農家さんが次々やめていったりとお茶業界が大打撃を受けていること、次世代を担う若者がいないこと、そして消費地でのお茶離れが進み生産量が減っていること。そんな故郷の深刻な状況を聞いて「せっかく私が東京という消費地にいるんだから、何かできることがあるんじゃないか。生まれ育った街の大切な文化を絶やしたくない」と思い立ち、静岡のお茶を取り扱うオリジナルブランド「SA THÉ SA THÉ(さてさて)」を作ることになったそう。

「SA THÉ SA THÉ」のコンセプトは、“日常的に日本茶を飲む”こと。「日本茶ってハードルが高いとか高級だとか、なぜか小難しいイメージをもたれていて。だから『品質は良いけど、手に取りやすい』、そんな位置付けでやっていきたいと思っています」

SNSを使ったPRや、インテリア感覚でお部屋に置きたくなるかわいいパッケージ作り、お茶デビューにぴったりなティーバッグの販売など、若い世代に刺さるような工夫がされているのも、大きな発信力や美的センスを備えるカイノさんだからこそ。

さてさて

販売するお茶の味わいに至っても彼女らしさが光ります。「どんな味かということだけでなく、どんなときに飲んでほしいか、飲んでくれる人の気持ちベースで考えて決めるようにしています。今販売している中で唯一の煎茶『TIME』は、いつどんなときでも日常的に気軽に飲めるお茶というテーマで作りました。今後は『気持ちをシャキッとさせたいとき』のような、心に寄り添ったお茶のバリエーション展開ができたらいいなと思っています」

お茶とチーズケーキ

気分で自由に楽しむお茶の世界

カイノさんの熱いお茶愛についてふれたところで、実践編。皆さんは、同じ茶葉でも気分やシチュエーションに合わせて、お茶の入れ方を変えられることをご存じですか? 

お茶の味にはテアニンというアミノ酸の一種と、カテキン、カフェインの3つの成分が大きく関係していて、この3つのバランスで味が決まるといわれています。簡単にいえば、テアニンはリラックス効果、カフェインは眠気覚まし効果、カテキンは病気予防や殺菌効果があるのですが、このバランスは、お茶を入れるお湯の温度で調整ができるのだとか。

方法は簡単! 例えば、ほっと落ち着きたい休憩時間はテアニンの成分が出やすい低温(約50〜70℃ ※茶葉による)のお湯で、気分の切り替え時や仕事中ならカテキンやカフェインの効果が出やすい高温(約80〜100℃)のお湯でお茶を入れるだけ。「これこそ、“入れるお茶”でしか実現できないこと。ぜひそのときの気分に合わせて、お湯の温度を変えて楽しんでみてください」

透明急須で茶を入れる

Recommended Item!

割れない「透明急須」/煎茶堂東京 ¥3,785(税込)

お茶と同じくらい茶器を愛してやまないカイノさんのおすすめは、小ぶりな一人前サイズがうれしい「煎茶堂東京」の割れない「透明急須」。「樹脂でできているから落としたりぶつけたりしても割れないし、注ぎ口の液だれもしづらく本当にストレスフリー。たくさん茶器をもっていますが、使い心地の良さからふだんはこればかり使っています」
HP:https://shop.senchado.jp/

「お茶の良いところって自由に楽しめることだと思っています。作法にとらわれず、自由に入れて自分なりにおいしく飲めればいい。でも、今日はお茶を飲むぞ!とか、誰かにお茶を振る舞うような特別なときにやってみてほしいのが、お茶を一煎、二煎と入れて、じっくり味わうこと。きっと、いつもとは違うお茶の味わいに感動するはずです」

ではさっそく、カイノさんおすすめの方法で入れてみましょう。
まず、湯飲みや急須に熱湯を注ぎ入れて茶器自体を温めている間に、茶葉(今回は「SA THÉ SA THÉ」の煎茶を使用)を4〜5g(1〜3人分 ※茶器の大きさによる)量ります。茶器のお湯を捨てたら、急須に茶葉をセットして、65℃くらいの低温のお湯を注ぎ入れます。1分ほど蒸らして茶葉が開いてきたら一煎目が完成。淡い色合いの甘くてまろやかな仕上がりになります。二煎目は、急須にそのまま熱湯を注ぎ入れて30秒。高い温度で入れているため、色が濃く抽出され、お茶の渋みと苦みがキリッと際立ちます。

お茶をふるまう

ここまでお茶を深掘りしてきましたが、難しく考えなくて大丈夫。今からお茶デビューをするなら、形から入るのも全然アリ! カイノさん自身も、「SA THÉ SA THÉ」を始めてからお茶を入れる機会がぐっと増え、すてきな茶器を集めるようになったといいます。

「私の場合、茶器はかわいさ優先。コーヒーマグや紅茶カップのようにかわいい湯飲みや急須を見つけるのはなかなか難しいですが、セレクトショップなどに足を運び、地道にコレクションを増やしています」

カイノさんの茶器コレクション

いつだって私に寄り添ってくれる存在

カイノさんにとってお茶とは、幼い頃からいつも自分のそばにいてくれて、味方をしてくれる存在。

「世の中がコロナ禍で不安定になり、いつもの日常ががらりと変化してしまってから、外に出られないフラストレーションで、不要な考えごとが増えて落ち込むこともしばしば。でも、お茶時間を設けることでリラックスできたり、気持ちをシャキッと切り替えられたりと、心の状態が整う気がするんです。今この状況だからこそ、お茶のもつパワーやお茶時間の大切さをより実感するようになりました。注目されることが少ないお茶ですが、まったくハードルは高くありません。急須がなければ紅茶のティーポットで入れたっていいし、好きな味、好きな飲み方を見つけて、気負わずお茶を楽しんでほしいです」

お茶を愛するカイノさん

Profile

KAINO Yu(カイノユウ)
モデル

2014年に雑誌『装苑』のニューカマーモデルとしてデビュー。現在は、ファッション誌や広告などで幅広く活躍する。2020年9月に、出身地である静岡県のお茶を扱うブランド「SA THÉ SA THÉ(さてさて)」を始動。若い世代にもっと日本茶の魅力を知ってもらいたいと日々奮闘中。
Instagram:https://www.instagram.com/kainoyu/
HP(SA THÉ SA THÉ):https://sathesathe.com/

取材・文/田中朝子(Roaster) 撮影/藤井由依(Roaster)

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