“カクテル”と聞くと、バーテンダーが美しい所作で生み出すプロフェッショナルな世界を思い浮かべる人が多いはず。ですが、ドリンククリエイターの佐藤仁美さんは「意外と家で簡単につくれる」と言います。
特別な道具を使わず、気軽に挑戦できるレシピを年間70種類以上生み出している佐藤さんに、見た目もかわいい3種のカクテルレシピを教えてもらいました。
- 家にある道具と材料でできる? 魅力あふれるカクテルの世界
- まずは初級編。簡単なのに見た目がかわいい「ボタニカルジントニック」
- 残ったワインが特別な一杯に。身体もポカポカになる「ホットサングリア」
- チョコの代わりにカクテルはいかが? 大人のバレンタインに「ストロベリーウイスキーカクテル」
家にある道具と材料でできる? 魅力あふれるカクテルの世界
「お酒に何かを加えたもの」がカクテルです。例えばハイボールのように、ウイスキーにソーダを加えたものもカクテルとなります。バーなどでバーテンダーがつくったものを楽しむのが一般的なイメージですが、今回あえて家でのカクテルづくりをおすすめする理由を佐藤さんに教えてもらいました。「家でつくるカクテル」の魅力はこの3つです。
- 意外にも、家にある道具と材料で簡単につくれる
- 缶チューハイや缶ビールを選ぶよりもぜいたくな気分になれる
- もし興味が湧けば、マニアックな世界に踏み込んでもおもしろい
1. 意外にも、家にある道具と材料で簡単につくれる
「カクテルはプロにしかできないのでは……?」という心配はご無用。カクテルづくりに使う本格的な道具は、カクテルシェーカー、メジャーカップ、バースプーン、ミキシンググラス(材料を混ぜるときに使う大きめのグラス)、ストレーナー(ミキシンググラスの上にセットして果肉などが入らないようにする網状の道具)などさまざまですが、そのほとんどは家によくあるアイテムで代用することができます。
「材料もベースさえあれば、あとは家にあるものでできる」と佐藤さん。「スイーツ作りは分量を間違えると生地が膨らまなかったり、甘くならなかったりして難しいですよね。でもカクテルにはそういう失敗がほとんどありませんし、短時間でパパッとつくれるので挑戦しやすいと思います。分量もレシピにとらわれすぎず、自分の好きな配合を試してみたり、自由な感覚でチャレンジしてみてください」
2. 缶チューハイや缶ビールを選ぶよりもぜいたくな気分になれる
ふだんの晩酌は仕事帰りのコンビニかスーパーで買った缶チューハイが定番の方も多いかもしれません。それに比べたら一見高級そうに見える「カクテル」ですが、ベースのお酒さえ1本買って家でつくってしまえば、見た目は華やかで満足度が高く、実はコスパがいいのかも。アレンジ次第で自分好みのバリエーションを楽しめるので、それだけでもリッチな気分を味わえます。
3. もし興味が湧けば、マニアックな世界に踏み込んでもおもしろい
アレンジの幅が広いからこそ、家でもつくれるし、興味が湧けばとことんこだわることができるのもカクテルの魅力。本格的に勉強すると新しい世界が広がるはずです。
例えば、カクテルには「ショートカクテル」と「ロングカクテル」の2種類あるのをご存知でしょうか。
【ショートカクテル】
・氷を入れないカクテル。できたてをすぐ飲み終えるのがおいしく味わうコツ
・早く飲み終えやすいよう、小さい三角のグラスが使われることが多い
【ロングカクテル】
・氷を入れたカクテル。時間がたっても冷たさがキープされる
・タンブラーのような長いグラスが使われることが多い
こういった違いを覚えて、そのカクテルにぴったりのグラスを選べるようになると家でつくるときも、外で飲むときももっと楽しむことができそうです。
まずは初級編。簡単なのに見た目がかわいい「ボタニカルジントニック」
まず最初に教えてもらったのは、きゅうりと緑茶を使ってアレンジをする「ボタニカルジントニック」のレシピ。
ジン→トニックウォーター→緑茶の順でコップに注ぎ、混ぜずにレイヤーにすることで味の変化を楽しめる一杯です。「野菜を使うので食事との相性もよくヘルシー! 罪悪感なく晩酌を楽しめますよ」
<材料(1杯分)>
・ジン 30mL
・緑茶 60mL(緑茶は冷やしておく)
・トニックウォーター 60mL
・スライスしたきゅうり、ライム
・お好みでハーブなど
1.グラスいっぱいに氷を入れて、ジンを注ぐ。ジンを冷やすようにスプーンで氷をくるくると混ぜる。
2.ライムと、縦に長くスライスしたきゅうり2枚をグラスの内側に貼りつけるようにクロスさせて飾る。
3.氷に当たらないようトニックウォーターを注ぎ入れる。
4.冷やしておいた緑茶を注いで、レイヤーをつくる。
(家に用意があれば、ハーブを上にのせてもかわいい)
「ボタニカルジントニック」の完成! 仕事終わりのリフレッシュにぴったりの爽やかなカクテルです。ジントニックに慣れてきたら、トニックウォーターではなくソーダやジンジャーエール、グレープフルーツジュースで割ってみるなど、好みでアレンジしてみてください。
残ったワインが特別な一杯に。身体もポカポカになる「ホットサングリア」
次に紹介するのは寒い冬に飲みたい「ホットサングリア」。サングリアはワインに好みのフルーツやスパイス、甘味を加えてつくるワインカクテルで、冷やして飲むイメージがありますが、ホットワインのように温めて飲んでもおいしいのだとか。ボトルで買ったものの、飲みきれずに残っているワインや余ったフルーツなど、余り物を賢く使ってつくれるエコなレシピを教えてもらいました。
<材料(2杯分)>
・赤ワイン 500mL
・砂糖 40g
・オレンジ果汁またはオレンジジュース 50mL
・柑橘類のピール(オレンジ、レモン、ライムなど)
・好みのスパイス(シナモン、ナツメグ、ベイリーフ、アニス、クローブ、八角など)
・トッピング用のオレンジ、ハーブなど
1.鍋に砂糖、ピール、オレンジジュース、スパイスを入れ、ひたひたになるまで赤ワインを入れて(ワインは全部入れず残しておく)5分間煮詰める。最初は中火で焦げないよう混ぜ、砂糖が溶けたら弱火に。
2.ワインに香りが移り、とろみが出てきたら、残りの赤ワインを入れて弱火のまま温める。途中でバニラエッセンスを数滴足すと、甘い香りがプラスされておすすめです。
3.茶こしを使ってグラスに注ぎ、ハーブやオレンジなどのフルーツをトッピングする。
ワインの深い味わいに、フルーツの甘味とスパイスの香りが重なったホットサングリア。夏はフルーツをワインに漬け込み、氷を入れてロックにしてもいいですし、赤ではなく白ワインにチャレンジするのも楽しそう。家に余っているワインがある人は、今晩さっそく試してみてはいかがでしょうか。
チョコの代わりにカクテルはいかが? 大人のバレンタインに「ストロベリーウイスキーカクテル」
バレンタインの季節になると、毎年どんなチョコレートを用意しようかと悩みますよね。もしあげたい人を家に招くことができるなら、今年はチョコレートではなく、甘いカクテルで気持ちを伝えるのはいかがでしょうか?
最後に教えてもらうのは、いちごとチョコレートを使った「ストロベリーウイスキーカクテル」。コンデンスミルクも入って甘くてとろけるような舌触り、デザート感覚で楽しめるカクテルです。
<材料(2杯分)>
・牛乳 100mL
・バーボンウイスキー 30mL
・ストロベリーシロップ 15mL
(いちごジャムやいちご3粒、砂糖5gでも代用可能。今回はMONINのシロップを使用)
・コンデンスミルク 10g
・板チョコレート 1/2枚
(好みでミルクチョコレート、ホワイトチョコレートでも可能)
・トッピング用のいちご
1.チョコレートを溶かし、グラスを逆さまにしてフチに沿ってくるくると転がすようにしてコーティングする。
2.牛乳、ウイスキー、ストロベリーシロップ、コンデンスミルクと氷をプロテインシェイカーに入れて、10回程度シェイクする。
3.グラスに注ぎ、ハート型にカットしたいちごを飾る
「今回は男性に人気が高いバーボンウイスキーでつくりましたが、スコッチウイスキーやウォッカ、ジンに変えてもおいしいですよ」と佐藤さん。友達どうしで一緒にシェイクし合い、それぞれ好みの一杯をつくってみるのも楽しいかもしれません。
意外にも、手元にあるものではじめられるカクテルづくり。思ったより肩ひじ張らずに楽しめそうです。毎日のちょっとしたごほうびとして、誰かと一緒に楽しむためのきっかけとして、かわいくておいしいカクテルをつくってみるのはいかがでしょうか?
Profile
佐藤仁美
ドリンククリエイター元MONINブランドマネージャー。「誰かの1日が楽しくなるように」という思いから、Instagramで200以上のドリンクレシピを掲載。スターバックスコーヒージャパンでのドリンク開発の経験から、誰でも簡単につくれるレシピを考えるように。
Instagram:https://www.instagram.com/hitomi_beverage/
取材・文/森美和子(ミニマル) 構成/大倉詩穂、赤木百(Roaster) 撮影/中野理
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