3月3日は「ひな祭り」。ひな祭りといえば、子どものためのイベントというイメージが強いですよね。でもその起源は古代中国から伝わった「五節句」という季節の節目のひとつで、「上巳(じょうし)の節句」と呼ばれていました。もともとは女の子のためのお祭りではなく、大人もそろって春のおとずれを祝い、無病息災を願うイベントだったのです。
仕事に家事にと毎日忙しくしていると、自分自身を大切にしてあげられる機会は思った以上に少ないもの。そんな私たちにとって「ひな祭り」は自らを癒やしてあげるイベントとしてぴったり。お料理が苦手でもつくれるお手軽スイーツでほっとひと息、春を感じながらリフレッシュしてみるのはいかがでしょうか?
- 見て・食べて・癒やされるお手軽スイーツに魅せられて
- 材料は2種類だけ! フライパンでつくれる3色蒸しパン
- 混ぜて固めるだけで菱餅風!? ヨーグルトムース
- かわいいセッティングをして写真に残そう
見て・食べて・癒やされるお手軽スイーツに魅せられて
ひな祭りに向けて、お手軽スイーツを紹介してくれるのは、かわいい料理とスイーツの研究家であるきゃらきゃらさん。自身のお子さんのためにキャラクターを模したケーキづくりを始めたことがきっかけとなり、かわいいスイーツの魅力にハマっていくことに。Instagramで紹介される愛らしいスイーツの数々は、見ているだけで癒やされると評判です。
そんなきゃらきゃらさんのスイーツのもうひとつの特徴、それは「手軽につくれる」ということ。特別な器具やオーブンを使うことなく、家にあるものでつくれることも、人気を集める理由になっています。
「セルクル(ケーキやタルトなどおもに洋菓子をつくるときに使用する型)はスイーツづくりに欠かせませんが、ふだんスイーツをつくらない人にとっては買うのをためらうものですし、買っても置き場所に困りますよね。そこで家にある牛乳パックやクリアファイルで型をつくり、オーブンがなくてもつくれるレシピを考案しています」
手づくりのハードルが下がったところで、ひな祭りにおすすめのスイーツについて教えていただきました。
「ひな祭りは別名『桃の節句』ともいわれますよね。それにちなんでピンク色のスイーツにするのがおすすめです。ピンク色は春のおとずれを感じさせてくれますし、女の子のお祝いにぴったりのかわいい見た目に仕上がります。この時期なら旬のいちごを使うのもいいですね。クリームなどに混ぜ込んでもいいですし、トッピングに使うだけでも華やかになります」
「また、ひな祭りに食べるものといえば『菱餅(ひしもち)』が有名です。ムースやゼリーなどを緑・白・ピンクの『菱餅カラー』にすることで一気にひな祭り感がアップしますよ」
ひな祭りにピンクや菱餅カラーのスイーツにワクワクした経験、皆さんにもあるのではないでしょうか。
材料は2種類だけ! フライパンでつくれる3色蒸しパン
ひな祭りに欠かせない縁起物の菱餅ですが、その色にはそれぞれ意味があるってご存じですか? 諸説ありますが、クチナシの実で色づけされたピンクは「魔よけ」の意味が、菱の実が使われた白は「長寿」や「子孫繁栄」、ヨモギの緑は「厄よけ」や「健康」を祈願されたものだそう。
また、色の順番にも意味があり、下から緑(新芽)→白(雪)→ピンク(桃の花)を表しているとされ、冬から春への季節の移り変わりをイメージして重ねられているのだとか。
そんな菱餅カラーの蒸しパンが、なんと市販のアイスとホットケーキミックスだけでつくれる簡単レシピをご紹介します♪
<材料(70mlのシリコンカップ6個分)>
抹茶生地(抹茶アイス40g、ホットケーキミックス50g)、バニラ生地(バニラアイス50g、ホットケーキミックス55g)、いちご生地(いちごアイス40g、ホットケーキミックス45g)
1.抹茶、バニラ、いちごの3色の生地をそれぞれつくります。アイスクリームは耐熱ボウルに入れ、電子レンジ(600W)で20~30秒ほど加熱。ホットケーキミックスを加え、泡立て器でよく混ぜ合わせます
2.シリコンカップにうすくサラダ油(分量外)を塗り、抹茶→バニラ→いちご生地の順番で、その都度平らにしながら重ねます
3.フライパンに水を2cmくらいの高さまで入れて火にかけ、沸騰したら2を並べてふたをします。中火で8〜10分ほど蒸し、竹串をさして生地がついてこなければOK!
「アイスクリームの甘みがあるので、トッピングをせずそのままでも十分においしくいただけます。シリコンカップから外したときのトリコロールカラーがとてもかわいく、『つくってよかった』と感じてもらえると思いますよ!」
混ぜて固めるだけで菱餅風!? ヨーグルトムース
続いて教えていただくのは、甘さ控えめ&酸味が食欲をかきたてるひんやりスイーツ。実はこちら、牛乳パックを使ってつくられているのですが……見た目だけではまったくわかりません。「菱形の型も売られていますが、買うのはハードルが高い。捨ててしまうものを使うことで、『つくってみよう』という気持ちがわいてきませんか? 牛乳パックは防水加工がされているので、スイーツづくりやお料理に使えるとても便利なアイテムなんですよ」
また、緑の部分は市販のクッキーを活用し、ほどよく手抜きをすることもポイントに。手軽に、時短に、“すぐに食べたい”をかなえてくれます。「世の中にはおいしくて便利なものがあふれています。手を抜けるところは抜く、こだわるところはこだわる。上手にバランスを取って“かわいい食卓”を楽しんでみてください」
<材料(3個分)>
抹茶クッキー100g、バター20g、生クリーム200ml、プレーンヨーグルト300g、砂糖80g、レモン果汁大さじ1、食用色素(赤、またはピンク)少々、顆粒ゼラチン(ふやかさずに使えるタイプ)10g、水50ml
1.ビニール袋に抹茶クッキーを入れ、麺棒でたたいて細かく砕きます。ここに電子レンジで溶かしたバターを加え、袋の上からよくもんで混ぜます
2.クッキングシートの上に牛乳パックでつくった型をのせ、抹茶生地をぎゅっと指で押しながら敷き詰めます(隙間があるとムース生地が漏れる可能性があるので、しっかり端まで!)。これを冷蔵庫で冷やしておきます
3.砂糖、ゼラチン、水を耐熱ボウルに入れて混ぜます。これを600Wの電子レンジで約1分温め、さらに混ぜて溶かします
4.大きめのボウルにヨーグルトを入れ、生クリーム、レモン汁、3のゼラチン液の順に混ぜていきます
5. 4でつくった生地をふたつに分け、片方には食用色素を加えてピンク色にします
6.白色の生地を入れたら冷凍庫で30分。固まったらピンク色の生地を入れ、同様に冷やし固めれば完成
食用色素を少量加えて泡立てたホイップクリーム、いちご、桜の塩漬け、ひなあられなど、春らしいトッピングをすると特別感がアップ。ボリュームがありますが、爽やかな味わいなのでペロリと食べられます。ヨーグルトの酸味とレモンの香りが特徴的で、紅茶や緑茶とよく合います。
かわいくセッティングして写真に残そう
自分でつくったキュートなスイーツ、せっかくなら写真に撮って手元に残しておきたいですよね。
きゃらきゃらさんもInstagramへの投稿を始めてから、撮り方や小道具のセッティングに力を入れるようになったそう。
「撮影にはミラーレスの一眼レフカメラを使っていますが、携帯のカメラでも自然光で撮影すれば思っている以上にきれいな写真を撮ることができます。また、かわいい写真を撮るためにカメラ以上に大事なのが、お皿やカトラリー、ナプキン、お花などといった小道具たち。これらを入れることで世界観がぐっと濃厚になります」
「お皿は、スイーツが引き立つ白いものを選ぶことが多いです。レースモチーフのお皿は、『フランフラン』で見つけたもの。素敵なお皿は、スイーツをよりかわいく見せてくれる名わき役です」
「また、ひな祭りには桃の花を飾る習慣があるので、桃の花を入れると一気にひな祭り感を演出できます。余ったいちごを散らしたり、カトラリーにリボンを結ぶのも私がよく使っている手です。リボンは100均でも買えるので、手軽に取り入れることができますよ」
「そしてもうひとつ重要なのが色のバランスです。小道具をいくつか入れるときも『ピンク・赤系』などテーマカラーを決めてそろえると、バラバラな印象にならずかわいくまとまります」
こんなに素敵に撮影できたら、SNSに投稿して自慢したくなりますね。
ふだん忙しくしているからこそ、スイーツをつくる時間がいい気分転換になるはず。自分のために自分でつくるスイーツは特別な味わいで、きっと極上のご褒美になることでしょう。
Profile
きゃらきゃら
かわいい食卓研究家イタリアンレストランで働き料理の基礎を学ぶ。子どものためにつくったキャラクターケーキをSNSに投稿したところ評判を呼び、しだいに依頼を受けるように。かわいい料理やスイーツを研究する中で、牛乳パックやクリアファイルなど、身近な材料で型をつくったり、トースターやフライパンでつくれるスイーツレシピを多数考案。企業のレシピ開発、レシピ提供、コラム執筆なども手がける。
Instagram:https://www.instagram.com/kobayashi.mutsumi/
Blog:https://ameblo.jp/birthdaybirthday-kira/
取材・文/和栗 恵 編集/豊泉陽子(Roaster) 撮影/norico
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