忙しい日々が続くと、休んでいいタイミングがきたのになかなかお仕事モードが抜けずにリラックスできない、なんて経験ありませんか? ブランドディレクターとして活躍する石田一帆さんは、そんなときこそビールを飲むことをおすすめしたいのだそう。
自宅でPCに向かって作業をする時間が長いという石田さん。そうなるとONとOFFの境目があいまいになってしまうため、仕事終わりにビールを飲むことで気持ちを切り替えることを、毎日のルーティンにしています。ビール好きが高じて、ついに自分好みのクラフトビールまでディレクションした石田さん流の“ビールの粋な楽しみ方”を参考に、自分を癒やす手段のひとつとして、お疲れさまの一杯の習慣を始めてみませんか?
- キリリとした爽快なのどごしを体感して
- 種類によって異なる、味わいの特徴をつかもう
- ビールをおいしく飲むための冷やし方
- グラスに注いで視覚も満足させる
キリリとした爽快なのどごしを体感して
二十歳になってお酒を楽しむようになった当初から、石田さんにとってビールは当たり前の存在でした。「両親ともにお酒が大好きで、いつもおいしそうにビールを味わっている姿を見ていました。ずっと憧れの飲み物だったわけですが、大人になって初めてビールを飲んだとき、のどごしの良さにとても驚い たんです。この感覚は他の飲み物では感じられないもの。父と母が楽しんでいたのは“これだったのか!”と思いました。何とも言えないビールのあの爽快感って、疲れも吹き飛ばしてくれる気がするんですよね」
ビールをたしなんでみたいけれど、飲み慣れていなければ味わい方もわかりませんよね。そんなビールビギナーに向けて、タイミングと量を工夫した飲み方を提案してくれました。
まずはタイミング。
「のどが渇いているなと感じたときや、汗をかいた後に飲むと余計においしく感じます。スポーツの後やお風呂上がりの一杯もおすすめです」自分のライフスタイルに合わせて、飲む時間を設定することから始めてみましょう。
飲み方についても具体的にアドバイス。
「小さなグラスにビールを注いで飲むことから始めてみてはどうでしょう? 飲み切れる量から試せば、飲むペースがゆっくりでも、最後の一口までぬるくならずに済みますよ。そしてのどごしの良さを楽しむ。すっきりしたキレをのどの奥で感じてもらいたいです」
種類によって異なる、味わいの特徴をつかもう
ビールが造られる過程についてふれると、そのおいしさも理解しやすくなるもの。石田さんがディレクションしたクラフトビール『NORM』のものづくりへのこだわりとおいしさの理由を例に、知っておきたいビールの入門知識を紹介します。
クラフトビールとは、小規模で生産されるビールのこと。大手ビールメーカーが造るビールと区別する意味で使われることも多い言葉です。
そして、ビールには以下の3種類の発酵の方法があります。
- 上面発酵…発酵の温度が高く、熟成期間が短い。上面発酵で造られるビールをエールビールと呼ぶ。
- 下面発酵…発酵の温度が低く、熟成時間が長い。下面発酵で造られるビールをラガービールと呼ぶ。
- 自然発酵…自然界にある野生酵母で発酵させて造る自然発酵のビール。
自然発酵で造るビールの種類は少なく、市場に出回るビールの多くはエールビールとラガービールの2種類に分けられます。
香りの個性を楽しめることからクラフトビールとして選択されることが多いのがエールビール。それに対して『NORM』はドライなのどごしが特徴のラガータイプです。
「そもそもクラフトビールにラガータイプが少ないのですが、ラガービールが好きなのでラガータイプにしました。ラガービールは温度管理に繊細さが求められるため、エールビールより造るのが大変。ビールは材料となる水がおいしさのカギを握るのですが、きれいで優しい富士山の伏流水を使用することで、クセが少なくまろやかな口当たりの、上品な味わいになります」
ビールをおいしく飲むための冷やし方
石田さんの自宅でのビールの飲み方についても教えていただきました。石田さんの感覚だと、ビールはぬるくなるとおいしさが損なわれてしまうそうで、冷蔵庫で冷やしておいたものを飲む直前に冷凍庫に移し、2分から5分ほどたってから飲むようにしているのだそうです。
「『NORM』は冷蔵庫でしっかり冷やした3度くらいの温度がしっかりとしたキレの良さと、スッキリとクリアなのどごしを感じられるのですが、ゆっくり飲むうちに温度が上がってきても、よりクラフト感や華やかさが出ててきて、オレンジワインのような芳醇(ほうじゅん)な味わいになってきます。温度変化によるおいしさの違いも楽しんでいただきたいです」
『NORM』に限らず、冷やし具合には好みもあるので、慣れてきたら、自分の味覚がちょうどいいと感じる飲み頃を探ってみるのもおすすめです。
「餃子や唐揚げのような揚げ物もビールのクリアなのどごしのおかげで箸が進みますし、さっぱりした料理もさらにおいしく感じさせてくれます。私は薬味を使ったおつまみが好きで、茗荷(みょうが)、青唐辛子、大葉、しらすをあわせたものに、ちょっとのお醤油を垂らして鶏ガラスープのもとを混ぜただけの簡単なおつまみをよく作るんですが、友人にも好評です」
グラスに注いで視覚も満足させる
ビールを缶のままではなく、グラスに注いで飲んでほしいと石田さんは言います。それにはふたつの理由があるのだとか。
「まずは色を楽しんでほしいので、クリアなグラスに注いでみてください。視覚から得られる情報も味覚に影響するもの。例えば澄んだ色のビールは、すっきりしたキレの感覚を強くしてくれます」
もうひとつは、ビールの最大の魅力ともいえる、のどごしの良さを助長してくれること。「私が愛用しているのは、ストレートの形をしたタンブラーです。丸みのあるグラスを使えば口に入るまでに時間がかかるのでやわらかい口当たりになりますが、キレを感じたいならストレートのものを。ダイレクトにのどまで届くので、爽やかな刺激が味わえます」
お気に入りのデザインを選べばおいしさもひとしお。石田さんが一番よく使っているのは、かすかなアンバーの色味を帯びた『RITOGLASS』のアイテム。
シンプルで端正なデザインは、手に取るたびにうっとりします。アパレルブランド『CITEN』とコラボレーションしたサーモマグのタンブラーも手放せないもののひとつ。「キャンプをするときに野外でビールを飲むのにも使っています。冷えた状態を長くキープしてくれるのでとても重宝しています」
明日も元気に過ごすために、がんばった自分に乾杯。一日の終わりをのんびりゆったり締めくくり、生活に潤いをもたらす癒やしの存在として、ビールの楽しみ方を学んでみてはいかがでしょうか。
Profile
石田一帆
ブランドディレクター・PRInstagramで配信するメイク解説動画で人気を集め、著書『MAKE UP THE DAY 毎日のトラブルに負けない、 抜け感メイクルール』(KADOKAWA)を刊行。コスメやアパレルのブランドディレクターを経て2021年11月にはクラフトビールのブランド『NORM』をローンチするなど幅広く活動中。
Instagram:https://www.instagram.com/ishidakazuho/
取材・文/渡辺愛 編集/杉江はるよ(Roaster) 撮影/服部希代野
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