みそや納豆、漬物から酒、みりんなど、昔から日本人になじみの深い「発酵食品」。
美容や健康のためにも積極的に取り入れたいと思ってはいるものの、毎日の食事でとなると、ちょっぴり面倒くさそう……なんて思う人も多いのでは?
「あれこれ用意しなくても発酵食品を一品、メニューに加える。そんな簡単なことでもいいんです」と教えてくれたのは、ウェルネスプロデューサーで発酵食スペシャリストの岸紅子さん。例えば「みそ汁を毎日飲む」だけでも体にうれしい変化があるといいます。
そこでおすすめしたいのが発酵食品の“お取り寄せ”。日本は世界でも有数の「発酵大国」です。全国のおいしい発酵食品を、自宅で味わえる「プチぜいたく」にちょっぴりワクワクしませんか? お気に入りの発酵食品に出合えたら、食生活がもっと楽しく、もっと豊かになるのではないでしょうか。
今回は、岸さん厳選の発酵調味料とご飯のお供を3つずつご紹介。気になる商品があれば、ぜひお取り寄せしてみてくださいね!
- 日本は発酵食品の宝庫!
- 食生活が豊かになる「発酵調味料」3選
- 今すぐ食べたい「発酵食ご飯のお供」3選
- もっと体が喜ぶ発酵食品の食べ合わせ
日本は発酵食品の宝庫!
カビ(こうじ菌など)や細菌(乳酸菌など)、酵母などの微生物の働きによって熟成される発酵食品。世界中にはいろいろな発酵食品がありますが、中でも日本は特に種類が多いそう。
例えば発酵食品の代表格である「みそ」ひとつとっても、地域によってさまざまな種類が生産されています。
「九州地方は麦みそ、東海地方は豆みそなど、それぞれの地域でたくさん収穫できる穀物が原料になっていたり、その土地の風土や歴史、関与する微生物の種類や割合によって味や見た目に違いが出るのがおもしろいところです」
全国各地で生産される「漬物」の中にも乳酸菌で発酵させたものや、こうじやぬかに漬けたものなど、微生物による発酵食がたくさんあります。
古くから野菜や魚などの食品を貯蔵するために、さまざまな漬け方が生み出されてきました。例えば「いぶりがっこ」(大根をいろりの上につるし、薪をたいて薫製させ、米ぬかなどで漬けた秋田の伝統食)、「にしん漬け」(にしんの干物を野菜と一緒に、米こうじと塩で漬けた北海道の郷土食)など、その種類は数えきれません。
そもそも岸さんが発酵食品に興味をもったのは、娘さんの食物アレルギーがきっかけ。自分にできることはないかと食や免疫について学んでいくと、発酵食品には腸内環境を整えてくれるとてつもないパワーがあることを知ったのだとか。積極的に日々の生活に取り入れるうちに、自身の体調も良くなっていることを実感したといいます。
すっかり発酵食品の魅力にハマり、人々にその良さを伝えている岸さん。家族旅行で日本各地のみそ蔵や酒蔵を訪ね、お話を聞くのも楽しいそう。「その土地ならではの食文化にふれることができるのも、発酵食品のおもしろさなんです」
食生活が豊かになる「発酵調味料」3選
日本各地には、みそを始めさまざまな「発酵調味料」が存在しています。スーパーなどではあまり目にしないものでも、意外といろいろなお料理に使えたり、お取り寄せすると新しい発見があります。岸さんが太鼓判を押す3つの調味料をご紹介しますので、日々の食事に取り入れてみては?
「煎(い)り酒」は、酒に酢・梅・昆布・かつおなどを入れて煮詰めたもの。醤油よりも塩分量が少なく、醤油の代わりにお刺身や豆腐料理など、いろいろな料理に使えます。「梅が入っているのでほんのり酸味があり、白身魚のカルパッチョなどにかけると味が整います。油との相性もいいのでドレッシングに加えたり、酢の物にもぴったり。お酢の苦手な人でも食べられますよ」
「玄米のガツンとしたうま味があって、そのままご飯のお供にもなります」と岸さん。自分でつくる塩こうじよりも味が濃厚だそう。「塩こうじは、塩の代わりに使うと味がまろやかになって、料理のうま味が倍増します。お鍋のベースにしたり、あえ物に使ったり、便利な調味料です。『げんまい塩こうじ』にお肉を20分くらい漬け込んでから魚焼きグリルで焼くと、やわらかくなっておいしいですよ」
今では多くの蔵元が種こうじ屋からこうじのもとを仕入れていますが、「マルカワみそ」では昔ながらの方法で、種のこうじ菌をみそ蔵の空間から自家採取してみそづくりをしています。
「自家採取の天然こうじ菌でつくるみそは、そのまま食べても角がなくまろやか。うま味が強いので、だしを入れなくてもお湯に溶くだけでおいしいみそ汁になりますよ」
「ふだん使っている調味料を、お取り寄せしたこだわりの調味料に置き換えるだけで、いつものひと皿がワンランクアップ。料理の幅も広がって、食生活がもっと楽しくなるはずですよ」
今すぐ食べたい「発酵ご飯のお供」3選
今日はキッチンに立つのがおっくう……なんていうときも、「発酵食品」は強力な助っ人。常備しておけば、ご飯を炊くだけで、立派な一食になるものもあります。お取り寄せならではの「プチぜいたく」を味わいながら、身も心も満たされましょう。
「大豆の味が濃くて、とにかくおいしい」と岸さんが絶賛するのが「大豆カンパニー」の納豆たち。日本各地の在来品種の大豆を、昔ながらの手法で発酵させてつくる納豆は、見た目も味も個性豊か。「大粒の『祝黒』は甘みがあり、ふっくらやさしい味。『秘伝豆』は山形で『ひたし豆』(大豆をゆでて、薄味のだしにひたした郷土料理)にする大豆で、ふわっと豆の香りがしておいしいです。『鈴丸』は、小粒な分大豆のうま味が凝縮されています。『その日の気分で納豆を選ぶ』というぜいたくを、ぜひ味わってみてください。オムレツに入れたり、お好み焼きに混ぜたり、そんな楽しみ方もありますよ」
市販されているしば漬けは「調味酢」に漬けて味付けをしたものが多く、食品添加物がいっさい入っていないものは、意外と少ないのだそう。「刻み生しば漬」は、シンプルになすと赤しそと塩だけで乳酸発酵をさせた伝統的なしば漬け。やわらかな酸味でうま味が強く、食べやすいのが特徴です。「防腐効果もあるので、お弁当にもぴったりですよ。ポテトサラダに入れると、うま味が増すのでマヨネーズを減らすこともできるし、彩りも良くなっておすすめです」
唐辛子にみそを加えてつくる東北地方の伝統食「南蛮みそ」。「ひとくちあいこ」は、唐辛子の他にも、青森県田子町産の「たっこにんにく」と県内産の野菜を加え、水は使わず野菜から出る水分とお酒のみでつくられています。みそは田子町産の「枝豆みそ」を使用。「みそのコクとにんにくの風味がマッチしてご飯が進みます。製造はすべて手作業で、食品添加物が入っていないところも魅力的。みそ汁に入れたり、野菜炒めの味付けに使ったりアレンジも楽しめます」
今回ご紹介したものはほんの一部。ご飯のお供になる発酵食品は、全国各地に存在します。気になるものがあったら、まずはお取り寄せしてみてください。
「そのまま食べてもいいですし、調味料のように使ったり、食べ方を工夫してみると発酵食品の奥深さにハマってしまうかもしれませんね!」
もっと体が喜ぶ発酵食の食べ合わせ
「発酵食品はそれだけでも体に良いのですが、食物繊維を一緒にとることでさらに腸内環境が整います。手軽なのは野菜や海藻が入った『おみそ汁』。毎日の食事に積極的に取り入れたいですよね」
「でも、おみそ汁ってだしを取ったり、具材を用意したり、ちょっぴり面倒に感じる人も。そこでおすすめなのが、見た目もかわいい「みそ玉」です。時間のあるときにつくって冷凍しておけば、忙しい朝でも、お湯を注ぐだけで簡単におみそ汁を飲むことができます。お取り寄せした発酵食品にぜひ、プラスしてみてくださいね」
見た目もかわいいカラフルみそ玉
「みそ玉をつくるときに特におすすめの具材は食物繊維が豊富な『糸寒天』。みそに入れてもなじみやすく、他に加える具材の味も邪魔しないのでとっても便利。食べ応えもアップして一石二鳥です」
今回は、糸寒天を入れたみそをベースに、好きな具材をミックスしていきます。
「組み合わせる具材に特に決まりはありません。できあがったおみそ汁を想像しながら、好きな組み合わせを楽しみましょう」
<材料(7個分)>
・みそ 200g
・糸寒天 7g
・お好みのだし 適量
・お好みの具材 適量
<作り方>
(1)みそと糸寒天をボウルなどに入れ、混ぜ合わせます
(2)大さじ1程度を手に取り丸め、具材をトッピングする
(3)できあがったらおわんに入れてお湯を注ぐだけ!
日本に昔からある発酵食品は、手軽に手に入り、リーズナブルで、体にも良いことづくし。なかなか旅行に行けないご時世でも、発酵食品のお取り寄せでその土地の文化にふれられることは、日々のちょっとした楽しみになるのではないでしょうか。お気に入りの発酵食品を見つけて、食卓をアップデートしてみてくださいね。
Profile
岸紅子
NPO法人日本ホリスティックビューティ協会 代表理事 ウェルネスプロデューサー・発酵食スペシャリスト・みそソムリエ「ウェルネスを通じて人と地球の美しい循環を叶える」をテーマに活動しているウェルネスプロデューサーであり、発酵食のスペシャリスト。ウェルネスビューティ講座や、SDGs&サスティナブルな商品開発・キュレーションなどさまざまな活動を通じて、心と体を満たし美しく生きるための情報を発信している。
Instagram:https://www.instagram.com/kishibeniko/
取材・文/矢本祥子 構成/豊泉陽子(Roaster) 撮影/中野理
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