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「テーブルフォト」入門! インスタに投稿したくなる、 “白い世界観”の写真撮影術

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洗練された“白の世界” ちょっとの工夫で 私の写真がもっと素敵に

インスタグラムの利用が一般化して、写真撮影へのモチベーションがますます高まっている人も多いはず。手土産にもらったかわいいおやつ、あの名店でゲットしたケーキ、自分で手づくりした愛着のあるスイーツ……せっかくならば、自分らしく素敵な写真を撮ってアップしたい!

今回は、自身でつくったスイーツをテーブルコーディネートして撮影、そしてインスタグラムに投稿をしているフードデザイナーのAi Horikawaさんに、おうちで簡単にスマホで撮れる”テーブルフォト”について教えていただきます。

堀川さん

Aiさんのテーブルフォトは、計算してつくり上げられた“白い世界観”が印象的。白い背景を生かしたスイーツの配置、構図、食器や小物の入れ方など、すぐにまねできるポイントをお聞きしました。

  1. “白い世界観”がスイーツを際立たせる
  2. 撮影前に整えておきたい「白い世界」
  3. アートな世界観で写真を撮るコツとは?
  4. 食器とスイーツの相性も大切

“白い世界観”がスイーツを際立たせる

「美しくデザインされた写真で、自分らしい世界観を表現したい」
もともとスイーツづくりが大好きなAiさん。昔から自作のスイーツを自分なりに撮影していましたが、大学時代に始めたインスタグラムで、海外インスタグラマーたちが撮るアーティスティックな「テーブルフォト」と出合い、衝撃を受けたといいます。

堀川さんのインスタ

そもそも「テーブルフォト」とは、テーブルの上にコーディネートした食べ物を食器などと一緒に撮影すること。

「以前は、スイーツがおいしそうに見えることを優先して、すごく寄って撮った写真ばかりでしたが、これだと誰が撮っても同じだなとふと感じたんです。でも、海外のインスタグラマーさんたちの写真は、余白をもたせた構図で、視点を真上に設定したり、植物やカトラリーなどと一緒におしゃれにコーディネートしたりするなど、とにかく独自の世界観があって。私もこんなふうに素敵な世界観の写真を撮ってみたいと思いました」

それをきっかけに、インスタグラムで気になった写真をとにかく集めてフォルダに保存。まずは、自分がどんな写真が好きなんだろうと、自らの“好き”を分析することから始めたといいます。

皿を並べる堀川さん

そんなAiさんが、現在の“白い世界観”で撮るテーブルフォトに行き着いたのは?

「お洋服もインテリアも、シンプルなものが好きな私にとって、“白い世界観”には自然と引きつけられるものがありました。白い世界観なら、スイーツを際立たせつつ、洗練された雰囲気を演出してくれます。また自分でも同じような世界観をつくりやすそうだと感じたことも理由です」

ただ、白い背景なら誰でも取り入れやすそう、と思いきや意外にも落とし穴が。シンプルな分きちんと計算しないと、チープな印象になってしまうこともあるのだとか。「背景の質感ひとつとっても、ツルツルしているかマットなのかで、かなり印象が変わります」

「私の写真は偶発的なアートというよりはデザインに近いです。構図や色、小物の角度など、全体のバランスを見て計算することは、細かいけれどすごく楽しいですよ」

撮影前に整えておきたい「白い世界」

いざ白い世界をつくるためには何が必要? Aiさんに、おうちで簡単に真似できる撮影環境と用意すべきアイテムを教えていただきました。

撮影においてまず大事なのは、電気の光ではなく、自然光(自然な太陽の光)で撮ること。照明で自然光に近い光がつくれるのであればそれでもOKですが、Aiさんはいつも自然光が入る部屋の窓際エリアにスイーツや小物を準備しているといいます。
「ふだんは、逆光かサイドから光が当たるようにセッティングしています。直射日光が当たらない方が、影も強くなく柔らかな光で撮影できるのでおすすめです」

テーブルに並べる堀川さん

それでは、撮影場所の準備です。
まず、背景には表面がツルツルした画用紙「ケント紙」(1m×1mくらいが理想)を使用。スイーツを真上から撮りやすくするため、ローテーブルや床に直接敷くなどして、低めの位置に背景となる紙をセッティングします。紙の下に空気が入ると影ができたりゆがんだりするので、ピンと張った状態にして端をマスキングテープなどで留めておきましょう。

簡易的ローテーブル

「紙の上にスイーツを直接置いたり、お皿のまわりに材料やフルーツを並べたりすることもあるので、私はふだんは油分や水分が染みないタイプのボードを使っていますが、初心者ならまずは、手に入りやすい『ケント紙』からはじめるといいと思います。その場合は被写体を置くときに、設置面が濡れていないか、汚れていないかをしっかりと確認してから置きましょう。他にも大理石柄のシートを貼った板、石こうを塗った板など、質感が変わると印象も変わっておもしろいので、慣れたらぜひいろいろな背景を楽しんでみてください」

そして今回被写体となるスイーツは、ドーナツ。
コーディネートには、カッティングボード、クッキングシート、丸いお皿、フォーク、紅茶の入ったマグカップ、キッチンクロス、ユーカリを準備。自然光の加減によっては、被写体を明るく見せるレフ板(被写体に光を反射させる白色や銀色の板)もあると便利です。

ドーナツの撮り方

アートな世界観で写真を撮るコツとは?

撮影の準備ができたらさっそく実践。
アートな世界観で撮るために、ここは絶対に押さえておくべき!という4つのポイントを教えていただきました。

スイーツをアートに撮るポイント

1、余白は多めにとり、被写体は1箇所にまとめて疎密(そみつ)を意識する
画面いっぱいにたくさんモノを配置してしまうと、奥行きがなく散漫とした写真になってしまいます。モノのある部分とない部分のメリハリをつけて、主張させたい部分に目が行くように配置させましょう。

2、布や植物、お皿などをあえて見切れさせることで、広がりを生む
モノ全体を画角に収めるよりも、どこかを見切れさせることで、日常を切り取ったような自然な一枚になります。

3、ちょっとしたゆがみや傾きはNG。水平垂直をしっかり整えて
意図のないゆがみや傾きは、見る人に不安定な感覚を与えてしまうので注意。スマホで写真を撮るときは、水平垂直がわかる補助線「グリッドライン」機能を使って撮影位置を整え、安定感を保ちましょう。

4、雑多にならないよう、入れる色は4色まで
統一感を出すために色は入れすぎないように。スイーツ自体が鮮やかな場合はお皿やカトラリーを白で統一させるなどを意識してみてください。

下の写真のように、一般的にやってしまいがちなNGカットと今回撮影したOKカットを見比べてみると、ちょっとしたことでも見え方に大きく影響することがわかります。

NGOK

NGカットでは、ブラウンのカッティングボードにドーナツの色がなじんでしまい、メインのドーナツがぼんやり見えてしまいます。そこで、OKカットのように白いクッキングシートを一枚敷いてみると……一気にドーナツが際立ち、主役感アップ! 一度シートをくしゃくしゃに丸めてシワをつけたり、端を手でちぎったりすると、こなれた印象になるので試してみてください。
また、NGカットではカップのもち手が画面ギリギリの位置にきており、切るのか入れるのかが曖昧。「モノの配置を決めるときは、どう見せたいのかをよく考えて、すべて“意図してデザインすること”が大事」とAiさんは話します。

少しずつ配置や角度を決めていく

そして、メインであるスイーツを際立たせるために活躍するのが、小物。
Aiさんは、主張の強い派手なものは避けて、テーブルの上にあっても違和感がないものを選ぶようにしています。「カトラリーや、キッチンクロスのような布類、植物は手軽に使えて便利。植物も花や葉の色が濃くて主張があるものよりも、薄い色のものが使いやすいので、私はユーカリがお気に入りです」

カトラリー

“よし、撮れた!”と撮影後の写真を見てみると、目に見えている色と違うことも多いですよね。写真は、撮影はもちろん「編集」がカギになるとAiさん。写真の色みを調整することで、より自分らしい世界観に近づけていきます。

編集する際に大切なのは、まず、目で見えている色みに近づけるようにすること。「ある程度、人が記憶している色って決まっていますよね。いちごはこんな色、ドーナツはこんな色って。その差が大きくない方が、見た人が違和感なく受け入れやすい。だから極端に彩度を上げたり、明るくしたりしないよう気をつけています」

そこからAiさんは、自分らしいエッセンスをプラスします。同じ白い世界でも、温かみを感じる黄みが強い白、スタイリッシュな印象の青みが強い白、落ち着いた印象のグレイッシュな白とさまざま。Aiさんの場合は、明瞭度を上げてシャープで青みがかった白い写真に調整しています。「スイーツやナチュラルな雰囲気のお皿や布などを撮るので、そのままだとふんわりした印象になりがちな写真を、シャープに仕上げると洗練されて見えるんです。いろいろな加工アプリがあるし、フィルターもたくさんあるので、試しながら自分の好みを見つけてみてください」

食器とスイーツの相性も大切

食器コレクション

やっぱり主役のスイーツと合わせる食器は重要。いろいろな種類のスイーツをつくるAiさんがもっているのは、ほとんどが平らで丸いお皿ばかり。

「ドーナツやクッキーなど、スイーツは設置面が平らなものが多いので必然的に平皿が多くなります。お皿の形は何でも良いのですが、まずはバランスの取りやすい真ん丸のお皿から挑戦するのがおすすめです。色も、スイーツがきれいに見えることが大前提。例えば、白いケーキならグレーのお皿に置いたり、チョコレートなら同化しないように黒ではなく白のお皿にしたり。焼き菓子を木製のボードに置くのであれば、今回のようにクッキングシートを敷くなどして、ちゃんと主役が見えるようにするのがポイントです」

RECOMMENDED ITEM!

テーブルフォトレコメンドアイテム

人工大理石サービングボード ラウンド/TASTEMADE ¥ 4,620(税込)

Aiさんのお気に入りは、人工大理石でつくられたプレート。「大理石の柄が強すぎず、主役のスイーツを引き立ててくれるのでよく使っているお皿。キッチンカウンターやテーブルなどをつくる際に出る端材を利用して、アップサイクルした商品です。表面はフラットですが、側面は下部を削り、段差がつけられているので横から見た姿も美しくて気に入っています」

HP:https://shop.tastemade.jp/collections/tastemade

「テーブルフォトは、自分がつくったスイーツがさらにかわいく見えるうれしさがあります。スイーツをつくるのも、スイーツの写真をデザインするのも好き。自分の欲求や楽しみ、好奇心を全部満たしてくれるのが魅力ですね」

見る人を引きつけるAiさんの“白い世界”。その理由は、何よりも本人が自分の“好き”を追求し、楽しんでいるからなのかもしれません。Aiさんもそうだったように「まずは、まねすることから」。いつもとちょっと撮り方を変えて、自分の世界観を表現してみませんか?

Profile

Ai Horikawa
フードデザイナー

Instagramに投稿していたスイーツの写真をきっかけに、ライフスタイル動画メディアを制作しているTastemade Japanへ入社。企画や動画制作までを手掛け、クリエイティブディレクターを担当。2021年に独立し、現在はフードデザイナーとしてレシピ開発、コーディネート、撮影、SNS運用など幅広く活動している。

HP:https://lit.link/aimogmog

Instagram:https://www.instagram.com/ai_mogmog/

Twitter:https://twitter.com/ai_mogmog

Line公式アカウント:https://lin.ee/WDiq9jZ

Voicy:https://voicy.jp/channel/2633

取材・文/高野瞳 編集/田中朝子(Roaster) 撮影/菅原景子

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