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上場しません

上場しません

まる1年以上かけて勉強して悩んだ結果、上場はいったんやめとくことに。相談乗っていただいた方、お話聞かせていただいた方、いろんな勉強させていただき本当にどうもありがとうございます。

正確には「キュービックホールディングス本体での直近3年以内での上場はやめておく」という意味。たとえばこれから将来性のある事業が子会社から生まれたとして、資金調達がっつりやってスケールさせていこう!となればもちろんその子会社の代表がやりたきゃやればいい。

また、本体でも何があっても一生やらないという意思決定をしたわけではない。時価総額100億円前後の小型の上場を、直近で無理してやるのはやめましょうって程度。

ということで、やる気になったらすぐいけるぐらいの準備は少しずつ整えていくつもりではいる。無理はしない程度に。

1. 現在のモデルでは調達資金の使途がない

仮に2桁億円の調達ができたとして、使い道がない。自社メディアも今の所右から左にPVが流れるだけのものがほとんどなので、ダウンロード数がモノをいうスマホアプリなどとはワケが違う。

と思ったらイトクロさん上場するんだね。資金使途が気になるが・・・M&A頑張っていくのかな。

2. あんまり値がつかない気がする

うちがやってるwebメディアはやデジタルマーケティングは、業態的に投資家の皆さんがワクワクするような新しいモデルではない。ソリューション会社と見られちゃったらほんとひどいことになるし、ポイントサイトの会社がクラウドソーシング銘柄みたいな見せ方をして上場するのもどうかと思う。

そして値がつかなければ上場しても大したメリットはなくなり、デメリットの方が際立つ可能性が高いと判断。

3. 上場維持コスト

ちゃんと勉強する前からわかっていたことだけど、上場時や維持にかかる数千万円〜億のコストがやっぱバカバカしくなった。だったら従業員にボーナス還元してやりたいし(そういう問題じゃないんだろうけど)。

非上場のまま同じ金額を事業そのものに投資した方が会社はスケールする。少なくとも今の業態・事業規模であれば、このコストを上場維持に使うことは費用対効果の悪い投資であると言わざるを得ない。

4. 採用まわりでも今のところメリットはない

資金調達面だけでなく、人材調達能力も上場企業の方が圧倒的に高いと聞くし、実際にそう思う。ある会社では上場前後で応募者数が軽く100倍以上増えたとか。

が、営業会社でも人材派遣会社でもないうちは、大量採用を今後もする予定がない。現時点では「全員採用体制」もうまくいっており、定期的にいい人材を獲得することができている。応募数をやみくもに増やす必要がなく、問題はどちらかというと採用した人材をしっかり戦力化していくフローである。ここに上場キャッシュは必要ない。

新卒採用に至っては社員数の3倍を超えるインターンが常時稼働しており、彼らの中の一定数は毎年入社してくている(しかも即戦力)ので、時間とコストを割いて公開募集をする合理性も特にない。

結局ここでも、業種業態との噛み合わせ的に、上場はやはり戦略上うまくないと言える。

5. 創業者メリットはほぼないに等しい

ここはもともとどうでもいい部分だが、いろんなお金持ちに話を聞いて確信できた。

100%オーナーである僕には上場による創業者メリットはないと言い切っていい。売り出しで何億円かのキャッシュを得たところで生活はおそらく変わらないだろうし、そもそも会社が傾けば僕の個人資産なんて全部会社の再生にぶっこむ以外の使い道はない。

100%オーナー会社では経済面で言えば間違いなく「会社=オレ(ファウンダー)」である。一体である以上、上場せずとも自分の資産だけ太らせて逃げることもあり得ない。流行りの「上場ゴール」も、「会社=オレ」ではない経営者が、キャッシュの持ち逃げを前提としてやることだと思っている。

なお、僕には創業者メリットはなくても、従業員にはストックオプションを配れる。が、たかだか数百万円を一時的に手にした後に業績が悪化して給料を下げないといけなくなるよりは、会社の成長とともに給料を伸ばしてあげたり決算賞与を配ってあげた方が地に足がついててやはりイイ。

つまりまとめると、「現在のコア事業と会社の規模的に、上場が戦略上マッチしない」のヒトコトに尽きる。デメリットを覆い隠すぐらいのメリットを、現在のキュービックでは作れない。

調達資金や大量採用した人材を、適切に事業拡大に回すことができるビジネスモデルが新規事業開発の過程で生まれれば、前提が変わる以上当然再考すべきということになる。