キュービックでコーポレートIT(いわゆる情シス)をやっているmackeeeeと申します。 約半年ほど前からコーポレートITの担当となりました。こちらのブログには初登場になります。よろしくお願いいたします。
資格取得を目指した理由と、実際のテストの内容、取得後の変化などを紹介していきます。 Jamfの運用をすることになった人、資格の取得を検討している人の参考になれば幸いです。
目次
Jamf Certified Associate資格について
まずそもそものJamfの説明をします。 JamfはApple製品のデバイス群(Mac・iPhone・iPad・Apple TV)等を管理するMDMである「Jamf Pro」を開発しているソフトウェア会社です。
Jamf Certified Associateとは、そのJamfが運営している資格で、メインの製品「Jamf Pro」を含む製品群の知識を深めるためのJamf 100コースを受講し、Jamf Certified Associate検定試験に合格した場合に与えられる資格となります。
学習コンテンツの概要
上記リンク先をみていただければ一発でわかるのですが、iOSとmacOSの管理のための基礎知識と、Jamf Pro管理のための基礎知識が合体した内容です。
学習コンテンツの構成
学習コンテンツはweb上のテキスト+埋め込まれたYoutube動画という構成です。検定特化型の学習参考書に類するものは販売されていません。(※執筆時2024年3月29日現在)
学習セクションは5つに分かれ、合計38レッスン+確認問題+予備試験&演習問題の構成です。1レッスンあたり1本のYoutubeの動画となっており、動画の長さは概ね5分程度です。
注意したい点
この資格に必要な知識はJamfを使ったデバイス管理だけによらない点です。macOSとiOSの基礎知識も出題範囲の約半数を占めており、それらの知識も必須となってきます。逆に、普段からApple製品に囲まれる生活をしていたり、基礎知識がある方は大幅に学習時間が短くなります。私の場合はまさにこれで、macOSとiOSのレッスンは2倍速流し見で済みました。
資格取得を目指した背景
主に下記の3点から、資格取得を目指しました。
- 付け焼き刃の状態の状態を脱したかった
- 使いこなせていることを資格の形で証明したかった
- 会社の資格取得支援制度があっった
弊社ではMacPCを合計200台以上保有しておりまして、その管理をJamf製品で行っております。
Jamf運用は突然に
Jamfの選定・導入は前任者が行っていたのですが、ある日突然その前任者が職務を離れる運びとなり、Jamf運用はおろかMDMの運用未経験な私が1人でJamf運用を任せられる状況になりました。
エンジニア経験は多少あれど、情シスは初めて、着任するまでMDMなんて耳にしたことがないレベルでしたので、最初は前任者が書き残していったマニュアルに食らいつき、Web上に散らばるTECブログに目を凝らしながら、日々起こる諸問題に当たっておりました。
運用続けて3ヶ月。一応形にはなっていたが…
3ヶ月睨めっこを続けていれば、一応形にはなります。ただ、「なんとか問題は解決したが、何故解決したかよくわからん状態」の連続だったり、解決スピードが上がらなかったりと、運用は回って入るものの不安は常にありました。
そこで、上司から「一度体系的に勉強してみては」というアドバイスをいただきました。調べてみたところJamf100のラーニングコースがあることを初めて知り、腰を据えて学習することにしました。
学習は無料でできるが、力を証明するために受験
学習するだけならWeb完結で完全無料なので、人によっては何もお金を払ってまで資格取得する必要もないと思います。ただ、資格の形で一定の知識を証明できますし、学習をやり遂げる上での覚悟としては必要十分な金額(100ドル=約15,000円)なので、思い切って自分は資格取得をゴールとすることに決めました。
会社が柔軟に資格取得支援の対象にしてくれた
キュービックは、資格試験に合格した場合全額受験費用を支援してくれる制度がありますが、Jamf Certified Associateはニッチすぎて受験した前例がありませんでした。しかし、受験の相談をしたところ合格した場合は受験費用の支援をあっさりと約束していただけました。ベンチャーならではの柔軟性、ありがたかったです。ということで、条件は揃ったので学習を開始することにしました。
学習方法
最初の1週間はYoutube流し見でインプット
手始めにJamf100の学習サイト上のYoutube動画を流し見するところから始めました。Youtube動画の音声は英語ですが日本語字幕が用意されていたので、を追いました。再生速度は1.5倍〜2倍でなんとか追いつけました。
私の場合、自宅→職場が1.5時間程度とそこそこあり電車通勤だったので、その時間を学習にあてました。
学習期間の目安
私は学習開始から2週間で合格に至りました。平日は2時間、休日は3〜4時間(ただし毎日ではない)くらい確保しました。 前提知識によってだいぶ左右されると思いますので、ご参考までに私の前提知識になりそうな情報を書いております。
Apple製品にどれほど慣れ親しんできたかというのが、必要な学習期間を大きく左右するポイントだと思います。ここが事前に理解できていれば半分近くの問題がほぼ勉強不要となります。
実際のJamf運用の経験もほぼ必須
実際に管理画面を操作する経験は必須です。キュービックではJamf Proの用途としてはPC管理のみでモバイルデバイスの管理は基本行なっていませんでした。しかし、モバイルデバイス管理をしていることを前提に問題は出題されるので、一通り触っておくことは必須です。
- どこの画面のどのタブにどういった設定項目があるか
- その設定項目の用途は何か
- 設定項目によってどんな挙動になるか
ということを把握しておくことは必須です。しかし、Youtubeを流し見しただけでは、たとえ何周したとしてもわからないことが多かったです。そもそもコンテンツにないことも本番のテストでは平気で出題してきました。。。
また、ターミナルを使ったコマンドラインインターフェイスの操作に関する問題も結構出題されます。一通り触ったことがない人には結構きつい内容になっているので、ここも扱えるようになっておくことを強くお勧めします。 iPhoneやMacのセットアップに関する問題も結構あるので、セットアップができる状況の方はぜひ一度触ってからテストに臨んでみてください。
学習に割いたバランスは座学3割・実操作7割
先述の通り、Youtubeのコンテンツはあくまで、実際の操作を後にしてみることが前提の内容になっています。なので学習を体系的に進めた上で、いろいろ触ってみることがいちばんの勉強になりました。もちろん実務でその場面が出てきた時が一番の勉強になります。
学習コンテンツの最後には予備試験も含まれています。こちらは1パターンしか用意されていないので、一度解いてしまうと自分自身の学習レベルが資格試験レベルに到達しているかわからなくなるので、私の場合一通り操作を行った後再度学習コンテンツを確認し、最後に予備試験に取り組みました。(それで良かったと思っています、)
まとめると、おすすめは下記の内容と順番です。
- Youtubeコンテンツを流し見して知識をさらう
- iOSとmacOSを実際にセットアップしてみる
- Jamfの管理画面を一通り操作する
- 再度Youtubeコンテンツを流し見して知識定着を確認する
- 予備試験を受ける
- 受験する
受験について
実はこの資格試験の受験プロセス自体が結構ややこしいものだったので書き記しておきます。
受験ページ
https://training.jamf.com/jamf-certified-associate-exam-japanese-ja
こちらです。100米ドルとなっておりまして、日本語での受験が可能です。
特に日時指定の予約の必要もなく、自分が受けたいときにウェブテストを受けることができます。当日でも可能です。
テストの内容
先述の予備試験を一度解いた結果、基準内の正答率でした。そしていざ日本語版の問題で本番に臨んだのですが大いに内容が違って焦りました。
ぱっと見の感想
「ちょっと何言ってるかわかんない」
大きな壁として立ちはだかったのが、翻訳ツールの訳をそのまま貼り付けただけのような問題文と選択肢に並ぶ日本語たち。
サンドウィッチマンもサンドミウィッチマンになるくらい不可解なんです。(これこそ「ちょっと何言ってるかわかんない」って言われそうですが)
予備試験の滑らかな訳の問題文・選択肢の翻訳とは明らかに異質で当惑しました。日本語を英語に再翻訳して問題文の英語を類推する謎ステップが発生。一体自分は何の試験を受けているんだと、中盤頭がおかしくなってきそうでした。。。
出題内容そのものも予備試験からは明らかにレベルアップしていました。「そんなのラーニングコンテンツに出てないじゃん!」というような問題も平気で出してきます。いやはや厄介。実務経験ゼロでは正直きついです。
気づけば時間をギリギリまで使い、不安で仕方がなかったですが、現れた文字は「合格」の文字!
無事一発合格と相成りました。 しかし、実際に自分が何点取ったかは永遠にわからぬままなので、偉そうに書いてますがギリギリ合格だったかもしれません。
受験にあたって困った/不安を覚えた点
日本語訳
一番困ったのは書いた通り、日本語訳の壁でした。英語がある程度得意な方は英語版で受験された方が、余計な労力を使わずに済むと思います。(私は英語ダメダメなので、その選択肢を取れませんでした)
アカウントの発行
学習ページのログインは不要ですが、受験にはアカウントが必要です。私の場合は個人アカウントを新たに作成して受験に臨みました。 なお、会社のアカウントでログインしてしまうと、会社のカードが紐づいていた場合そこから決済されてしまうので、マジで気をつけてください。。。
受験費用の支払い
実際の支払いは「Link」という決済サービスが使われていました。馴染みのないサービスでだいぶ不安でしたが、Jamfを信頼してここから支払いました。 Jamfからの領収証の発行に受験から4日ほど時差がありました。
また。海外サービスとなるので、日本式の領収証の発行を一切受け付けてくれません。日本円での支払額も換算レートもJamfからの領収証類には一切記載がありません。 そのため会社からの受験料補助の証跡として、クレジットカードの決済履歴・Jamfからの各証明書類等々、合計4枚もかき集めて経理に提出する羽目になりました。
実務への影響
結論、実務にはだいぶ良い影響が出ました。 設定項目とそこがどこにあるか、そしてそれがどういう動作になるか、を徹底的に叩き込んだので業務スピードの着実なアップを体感できています。
点と点になっていた知識が、ある程度体系化した状態で再インプットできたため、理解もしやすくなりました。 結論、Jamf運用の実務者としてはこの資格の取得はかなり有用だと言えると思います。 ただし、「これから導入するぞ!まずは触ったことないけど資格を取って事前知識を入れておこう!」という方には不可能ではないですがかなり不利になるので、運用をしばらくされてからの受験をお勧めします。
長文でしたが、読んでいただきありがとうございます。 Jamfの運用を進めていく方の参考になれば幸いです。
おまけ:上位資格について
今回受験したJamf Certified Associate資格はJamf運用の資格群の中でも最もベーシックなものになります。 上位資格は
- Jamf 200コース
- Jamf 300コース
- Jamf 370コース
- Jamf 400コース
となっており、数字が上がるほど上位の資格です。
上位資格を目指すべきか
一般的な管理者であれば、Jamf 100のラーニングコースで基本的な技術はマスターできますので、さして必要はないのではと思います。 Jamfの販売代理店の方などエキスパートを目指す方や、資格で技術力をアピールしたい方は当然受ける流れになると思います。
ただし、ラーニングの受講と認定試験がセットで$2,500とだいぶお高い(40万円近く)ので覚悟が必要です。 また、Jamf 370コース以上は英語のみとなりますので、英語の壁があることも付け加えておきます。
お知らせ!!
キュービックでは、一緒に働いてくれる仲間を募集しています。興味がある方はカジュアル面談Webエンジニアから応募をお願いします。ご応募お待ちしております。 herp.careers
また、エンジニアチームが運営しているYoutubeチャンネル【TEC TV】があるので、こちらでどんな人が働いているかを見ることができます!