「美容って生まれつき容姿に恵まれた人がスペシャリストになるためのものだと思っていたけれど、きちんと学べば誰でも自然と身につくんだって気づいたんです」と語るのは美容家であり、毛髪診断士の資格をもつ濱田文恵さん。
今回はその美容とは切っても切り離せない髪についてのお話。髪は肌のようにターンオーバーがないため、一度傷むと修復が難しく切るしかありません。パサつきや、うねりなどの傷んだ髪が原因であることもしばしば。だからこそ、日々のお手入れが大事なのです。お手入れといってもブラッシングやトリートメント剤をつけるなど、やることはいつもどおりでOK。そのうえで「そのケアが髪にとってなぜいいのかを知っておくこと。楽しみながらやること」が大切だと濱田さんはいいます。
- 楽しみながらの「お手入れ」できれいを積み重ねる
- ヘアケアの基本はブラッシング
- 忙しいときこそケアする時間を大切に
- 髪は見た目年齢のバロメーター
楽しみながらの「お手入れ」できれいを積み重ねる
「髪のパサつきや、うねりなどで悩んでいる方が多いと思うのですが、ほとんどの人がヘアケアをなんとなくの感覚でしていることが心配」だと濱田さんはいいます。というのも、現在は透き通るような白い肌のもち主である濱田さんですが、社会人1年目の頃に仕事のストレスで大人ニキビを発症。これをどうにかして治そうと、あらゆるニキビ用化粧品を試し皮膚科でニキビ治療も行うものの、通院をやめた途端にニキビが再発するという悪循環に陥ります。「これにはきっと、別の根本的な問題があるのではないかと思い、自分でニキビ肌を克服することを決意しました。独学で得た知識で、原因に沿ってスキンケアを始めたらどんどん肌がきれいになっていったんです」
この経験を通し、表面的なケアではなく「そのケアがお肌や髪にとってなぜいいのか」を理解することが大切だと感じた濱田さん。そうして美容について調べるうちに、知れば知るほどお肌や髪をケアすることがおもしろくなり、楽しんでケアをすることこそが美しさにつながっていくのだと気づいたそう。
濱田さんが髪の美容に目覚めたのは、化粧品の広告代理店勤務を経て、美容家として独立した後。忙しさから円形脱毛症になり「原因を探ってみよう」と毛髪診断士の資格を取得。頭皮の状態を良くするために生活習慣を改めたり、インナーケアを行うことで、今のような黒く艶やかな髪を維持するすべを手に入れました。
「雨の日にスタイリングがうまくいかなかったり、お手入れしても髪の状態が良くならないという人は、基本的なヘアケアの見直しが必要かもしれません」。諦めずに、日々のお手入れを改めていけば、悩み解決の糸口が見つかると勇気づけてくれました。
ヘアケアの基本はブラッシング
濱田さんいわく、ヘアケアの基本の「き」として見直してほしいのがブラッシング法。
簡単なケアだけれど重要な役割があるといいます。「頭皮も顔の肌と同じく皮脂が出るのですが、皮脂は適量ならば天然の潤いべールなんです。ヘアオイルを使わなくてもブラッシングで十分だったりします」。キューティクルに潤いのベールをまとわせるようなイメージで、髪の根元から毛先までブラシを優しく滑らせるようにブラッシングをするのがおすすめ。また表面だけでなく、後頭部などの内側の毛も忘れずに行いましょう。
また、髪の毛は3層構造になっており、一番外側の層のことをキューティクルと呼びます。これは上から下に向かって、魚のうろこのように重なり合っているのですが、この表面がめくれたり剝がれたりしないよう、整えてあげるのもブラッシングをする狙い。ヘアブラシはイノシシやブタの毛などブラッシング向きのものから、頭皮マッサージも行えるものまで種類があるので、使い分けするのもコツ。
マッサージができる一石二鳥のKOBAKOのヘアスムースブラシも濱田さんのイチオシ。「お風呂で使えるヘッドブラシは頭皮がほぐされるだけでなく、頭皮が元気になることでそこからつながる顔の皮膚までハリが出て、少し小顔になった気がします」。美髪と、きゅっとしたフェイスラインを同時に手に入れられるなら、毎日のお手入れにも気合が入りそうです。
忙しいときこそケアする時間を大切に
現在1歳の男の子のママである濱田さん。「以前は毎日お気に入りのシャンプーやトリートメントを使う時間がありましたが、今は子育てが忙しく毎日時間を取るのが難しくなりました。だからこそ、ヘアケアをしている瞬間が特別なご褒美時間になりつつあります」
お子さんが早く寝た後の時間を利用して、週に2回は「サボン」のヘアマスクでヘアパック。シャワーキャップをかぶってじんわりと保湿していると「これで今日も髪がきれいになった!」とうれしい気持ちになるのだとか。ヘアケアの時間をもっと好きになるために、使っていて心地よいと思うアイテムを見つけるのも美髪を育む近道です。
頭皮ケアも毎日のヘアケアに取り入れています。「頭皮は美しい髪を育む大地のようなもの。頭皮用ブラシでのマッサージしたら美容液でしっかり保湿します。乾燥が気になる冬は、特に気を配ってお手入れしたいものです」
どんなに忙しくても「これだけは絶対にやらないで!」というNG行動も教えてくれました。それは寝癖直しスプレーやスタイリング剤をつけた直後、髪が濡れた状態のままヘアアイロンを当てること。「髪は濡れているときがもっとも弱った状態。スタイリング剤をつけたら一度ドライヤーで乾かし、その後アイロンを使うのが正解です」。お風呂上がりにすぐ髪を乾かす、という心構えも忘れずにいたいものです。
髪は見た目年齢のバロメーター
肌は一度ダメージを受けても回復するチャンスはあるし、今は美容医療などの選択肢も存在します。それに比べると、髪は傷んだら復活させるのが難しく、頭皮が老化すると髪も元気がなくなり、量も減るといわれることもあります。
「そう考えると、ヘアや頭皮のケアはスキンケア以上に力を入れた方がいいと思うようになりました。髪の毛の状態って見た目年齢に大きく影響すると思うんです。髪がきれいな人はとても若々しく見えますよね。自分の美しさを引き立たせてくれるのが髪。そのことを胸に刻めば美髪を育む気持ちも自然に湧くと思います」
お手入れの度合いが目に見えてわかりやすい髪の毛は、その人自身の輝きを体現する存在。未来も美しい人であるために、早速今日から美髪ケアに取り組んでみては?
Profile
濱田文恵
美容家・毛髪診断士自身のニキビ肌改善をきっかけに美容を学び始め、知識を得ることで誰もがきれいになれることを実感。そのおもしろさを世に広めるべく、美容家の道へ。西洋と東洋を組み合わせた独自の「美養法」を提唱し、予防を根底に美容寿命を延ばすための記事の執筆や監修、セミナー講演などを主宰し、悩める女性たちに手を差し伸べている。女性誌やメディアでも幅広く活躍中。
https://www.instagram.com/tyanfumi/
取材・文/渡辺愛 編集/杉江はるよ(Roaster) 撮影/藤井由依(Roaster)
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