Twitterを中心としたSNSで話題となり、雑誌でも特集が組まれるようになった美容法「ベビーオイル洗顔」。美容愛好家のmimiさんが提唱する「水を使って洗い流さない」ユニークな洗顔方法で、まねしてみた人の口コミが自然に広がったそう。
「たくさんの反応をいただいてとてもうれしいのですが、『ベビーオイル洗顔』が誰にとっても正しいスキンケアだって言いたいわけではないんです。私はもともと肌がとても弱くて、自分に合ったスキンケアを試行錯誤するうちにたどり着いたのがこの洗顔方法。一番大事なのは自分の肌を知って、それに合ったケア方法を見つけることだと思っています」
mimiさん自身が自分に合うスキンケアを追求し続けて見つけた「ベビーオイル洗顔」。そのやり方と、一人ひとり自分らしいスキンケアを見つけるためのヒントを教えてもらいました。
- みんな洗いすぎている? 肌が弱い美容マニアがたどり着いた「洗い流さない」洗顔法
- ポイントを押さえて簡単! 「ベビーオイル洗顔」の正しいやり方
- 自分に合ったスキンケアを見つけよう
- スキンケアに「絶対」はない。柔軟で無駄がないmimi美容の3つのアイデア
みんな洗いすぎている? 肌が弱い美容マニアがたどり着いた「洗い流さない」洗顔法
「ベビーオイル洗顔」の始まりは、mimiさんが肌荒れに悩んでいた10代の頃。「ニキビに悩んだ時期に洗浄力の強い洗顔料や毛穴の汚れを取るパックなどを試したんですが、私には合わなくて肌がガサガサになってしまって。それから、肌の仕組みや化粧品の成分などについて自分で調べながら、もしかしたら洗いすぎているのかもしれないという可能性に思い至ったんです」
肌は本来、何もしなくても自分自身で潤う力をもっているはずなのに、それを洗顔料が奪っているのかも? そう思ったmimiさんは、まずはせっけんや洗顔料を使わず、水だけで顔を洗う方法を試したそうです。ですが、化粧がきちんと落ちないという問題があったため、試行錯誤を続け、結果mimiさんの肌に一番フィットしたのが「ベビーオイル洗顔」だったのだとか。
「ベビーオイル洗顔」にたどり着くまでのmimiさんの仮説と実験の過程を少し詳しく説明します。まず、「クレンジング剤に入っている“界面活性剤”がメイクと一緒に肌の自然な潤い成分を落としてしまっているのでは」と考えたmimiさん。結果として、界面活性剤が配合されていないベビーオイルを使うようになるのですが、オイルを水になじませる働きをもつ界面活性剤が入っていないと、水洗いをしてもきちんとオイルが流れません。そこで、「洗い流せないのなら、ティッシュで吸い取ればいい」という斬新な発想が生まれます。
「最初は反発もありました。洗い流さないなんて汚い、とか。日本人は清潔感を重視する国民性なので、きちんと洗いたい人が多いのもわかります。でも化粧品開発者の方も口をそろえて同意するのは、洗顔がスキンケアの中で一番肌にダメージを与える可能性がある行為で、そこを見直すことが肌にとっては大事だということ。ベビーオイルは洗浄成分が入っていないので、20年間洗顔料を使っていない私の肌にもちょうど良く、かつ水洗いのみの洗顔より化粧を落とすことができました。“ティッシュで吸い取る”という落とし方でも、私の肌にとっては“落としすぎ”よりは良かったんです」
ポイントを押さえて簡単! 「ベビーオイル洗顔」の正しいやり方
それでは、mimiさんが実践している「ベビーオイル洗顔」のやり方を教えてもらいましょう。準備するのはオイルとティッシュのみ。「私が最初に試したのも、性質が変化しにくいという安定性があり、アレルギーのリスクが少ないベビーオイルでした。いろいろ試していく中で、自分に合った他のオイルを見つけ、肌の状態やその日のメイクの濃さなどによって使い分けています」
1. ベビーオイルを片手に3プッシュほど出します
2.もう片方の手でベビーオイルを顔全体に優しく塗ります。こすらず、指でオイルを置くような感覚で
3.両方の手で顔を包み、オイルをなじませます
4.肌の表面にメイクが浮いてきたらティッシュオフのタイミング。重なったティッシュを裂いて、内側のざらざらした面を顔に当て、オイルを吸い取ります。肌の表面がサラサラになるまで、ティッシュを変えて繰り返します
5.目元や鼻の横など細かい部分はオイルが残りやすいので、たたんだティッシュの端を使ってオイルを吸い取ります
「ベビーオイル洗顔」をした後に、お風呂でさっとぬるま湯で顔を流すのがmimiさんのルーティン。あくまでmimiさんの肌に合うやり方なので、ただまねするのではなく、自分の肌に合うようにケア方法をカスタマイズしていくことが重要です。
自分に合ったスキンケアを見つけよう
mimiさん流スキンケアの基本を覚えたら、下のQ&Aを参考に、少しずつ「自分に合ったケア方法」を探してみるのはいかがでしょうか。
Q. 「ベビーオイル洗顔」がうまくできていると感じるときは?
A.「お風呂上がりに、肌がぬるぬるしていなくて、つっぱる感じもない状態が私の理想です。「ベビーオイル洗顔」がうまくいったら急いで保湿をしなくてもいいので、お風呂上がりに子どもの世話ですぐにスキンケアができないときでも焦りません」
Q. 「ベビーオイル洗顔」でメイクが落とし切れないときは?
A.「ベースメイクをしっかりした日は、まず『ベビーオイル洗顔』をして、その後にマイルドな油脂クレンジングオイルでもう一度優しく洗っています。最初から2本目のクレンジングだけでいいんじゃない?と思うかもしれませんが、そうすると洗浄力が高いものを使うことになるので、本来肌に必要なものまで落としてしまう可能性も。ベビーオイルでプレクレンジングをしておくことで、マイルドなクレンジングオイルでもメイクが落ちるんです。また、ラメが入ったアイシャドウを使うときは、ポイントリムーバーで先に目元だけメイクを落としています」
Q. 「ベビーオイル洗顔」をした後はどんなケアをしていますか?
A.「『ベビーオイル洗顔』をした後に肌が乾く感じがなかったら、スキンケアをしなくてもいいかなと思う日もあります。でも、基本的には、その日の肌の調子に合わせて、肌に足したい成分が入った化粧品を選んで使っています」
「通常の保湿剤は数種類の成分が混ざったものが多いですが、そういう化粧品を使っていると、どの成分が自分に合っているのかがわからないですよね。だから、今回紹介するようなシンプルな配合の保湿剤をいくつか試して、自分に合うものを見つけられるといいと思います」
スキンケアに「絶対」はない。柔軟で無駄がないmimi美容の3つのアイデア
最後は、「水で洗い流す必要はない」というユニークな発想を生んだ、mimiさんのスキンケアに対する柔軟な考え方をご紹介。固定観念を覆す3つのアイデアを知れば、スキンケアに対するイメージがきっと変わるはずです。
1. 肌がきれいな人のスキンケアをただまねしてもあまり意味はありません。まねしたいなら、その人の肌質とあなたの肌質が似ているかをチェックしましょう
「例えば今韓国コスメがはやっていますが、韓国人と日本人では肌の角層の厚さが違います。だからやみくもに韓国の人がやっているスキンケアをまねしたからって私たちがきれいになるとは限らないんですよね。せめて自分と似た肌質の人のスキンケアをまねしてほしい。私は敏感肌で38歳。似ているタイプの方は私のスキンケアは参考になると思います」
2.「乾燥肌」「オイリー肌」といった肌分類にとらわれすぎると、本当のあなたの肌の状態が見えにくくなることも
「肌の分類って60年代とかに化粧品会社が言い出したもので、皮膚科学的にそういう分類があるわけじゃないんです。乾燥しすぎてオイリー肌になっている人もいるし、顔のパーツによって肌の質が違う人もいるので、ひとくくりに分類してしまうと、逆に自分に合うスキンケアを見つけるのが難しくなったりする。だから、分類にとらわれすぎず、今の肌の状態をよく観察することが大切です。化粧品も部分によって使い分けていいんです」
3.美容には心のときめきも大事!
「私は多趣味で、寝ないで本を読むこともあって、いつも睡眠不足なんです。でもワクワクしたり、新しいことにチャレンジするときの心のときめきは、美容にとっても大事だと思っています。私にとっては、スキンケアについての科学的知識を学ぶこともワクワクすることのひとつ。オタクなので、調べ物をするのがすごく楽しいんです(笑)」
mimiさんが教えてくれた3つのアイデアに共通するのは、スキンケアはもっと自分らしくてOKということ。「ベビーオイル洗顔」をきっかけに見つけてほしいのは、誰かに押し付けられる「正しいスキンケア」ではなく、あなたの肌に合ったケア方法のようです。「美容は私にとって、より良く生きるためのツール。振り回されるんじゃなくて、やり方を覚えて効率良くケアできるのがいいと思っています」
Profile
mimi
美容愛好家本業は歌手。生粋の美容マニアで、脱・せっけん、脱・クレンジング歴は20年以上。Twitterで紹介した「ベビーオイル洗顔」がバズり、有名美容雑誌にて特集を組まれるまでに。著書に『インテリジェンススキンケア〜ベビーオイル洗顔のススメ〜』(星海社新書、2021年)。
Instagram:https://www.instagram.com/mimitan090909/
取材・文/赤木百(Roaster) 撮影/中野理
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