花に寄り添う暮らしを発信するインスタグラマー、Smithさんの部屋に一歩入ると、思わず深呼吸をしたくなります。なんとも言えない癒やし空間をつくり出しているのは、生き生きと咲くカラフルな花たち。
「花には、生きているものにしか生み出すことができない潤いがあるんです」と語るSmithさんにとって、花と向き合うことは自分を癒やす時間。玄関を開けた瞬間、ふわっと広がる心地よい香りやつぼみが開く瞬間など、花の生命力を感じると、なんとも言えない幸せな気持ちに包まれるのだそう。
憧れはあっても“素敵に飾る自信がない”なんて少し気後れしてしまいそうになるけれど、自身も日常的に花を飾るようになってからわずか1年半だというSmithさんは“花を美しいと感じる心さえ持っていればOK”と背中を押してくれます。
- 好きな色合いのブーケを買ってみる
- お花と花瓶、どちらも主役に
- インテリアの仕上げにお花の彩りを
- 花をめでることで自分も元気に
好きな色合いのブーケを買ってみる
Smithさんが花を飾るようになったのは、コロナ禍のステイホーム期間のことでした。「近所のスーパーに買い物に行ったとき、300円くらいの小さなピンクのブーケに目が留まったんです」
それまで家に花を飾る習慣はなかったけれど、家で過ごす時間が必然的に長くなったこともあり、ふと、インテリアの一部としてお花を楽しんでみよう、と思ったのだそう。「試しに飾ってみたところ、想像以上に部屋の雰囲気が明るくなったことに感動。お花の持つ魅力のトリコになりました」現在住んでいる部屋の壁はコンクリート打ちっぱなしで、無機質で冷たい印象があるところが悩みだったそうですが、色とりどりのお花が空間を鮮やかに変え、生活に潤いを与えてくれることを実感しているのだとか。
お花を飾るとき、初心者さんが悩みがちなのが何種類かのお花の組み合わせ方。そんなときは、好きな色のブーケを買って色合いの参考にしたり、同系色のものを合わせて買えば失敗しないというコツも教えてくれました。
また、好きな花屋さんを見つけるのも花を身近な存在にするきっかけに。世田谷区の松陰神社前にある『duft』という花屋に通い始めてから、ますます花が好きになったそう。duftで扱う存在感のあるお花のチョイスは、Smithさんを夢中にさせます。お店に通うたび、新しい花の種類を教えてもらったり、自分では考えもしなかった組み合わせ方のアドバイスをしてもらうことで、世界観が広がったと言います。
まずは身近な花屋をのぞくことから始めて“素敵だな“と感じたお店の店員さんに、おすすめの花を聞くのも、センスを磨くきっかけになるそうです。
お花と花瓶、どちらも主役に
Smithさんはお花選びのセンスにたけているだけでなく、合わせる花瓶のチョイスも秀逸。華やかで個性的なお花と、クセのある花瓶を合わせるのは一見ハードルが高そうですが、Smithさんは「変わったデザインの花瓶ほど使いやすい」と説明します。
「花瓶はそれだけでオブジェとして成立するものを選びます。花も花瓶もどちらも主役のような存在感のものを合わせれば、不思議と調和するんですよ」と、目からウロコの言葉。少し慣れてきたら、花瓶と花が色相環(※光の波長の違いで知覚される色をリング状に並べたもの)で対面どうしの色になる「ピンクと緑」「オレンジと青」「黄色と紫」など補色の関係になるように合わせたり、同系色でまとめるように心がけると、バランスよく生けられるようになるそう。
初めて花瓶を買うなら、足つきで15cmから20cmくらいの高さのものが扱いやすくおすすめ。「筒型になっていれば、ブーケもそのまま生けられます。たくさんお花を買うのは難しいという場合、口の部分と足より上の部分がすぼまっているメリハリのある形の花瓶であれば、1輪だけで飾っても存在感が出ますよ」と初心者向けのセレクトもレクチャーしてくれました。
インテリアの仕上げにお花の彩りを
インテリアファブリックと花の配色も、お気に入りの空間に仕立てあげるポイントです。お花や花瓶を使った部屋の模様替えならば、いつでも簡単に変化が加えられるというメリットも。
ベッドリネンの色と合わせたとき、ハッとするような色使いになることを考えるそう。ベッドリネンの2色をベースにしたキャンバスに、ビビッドな色の花と花瓶をベッドサイドに置いて散りばめることが多いそうですが、アクセントを花の色でプラスすると、ほどよく引き締まり、空間に奥行きが生まれるのだとか。
洗面所もお気に入りの場所。「ここに置くタオルと花や花瓶の色がマッチすると、身支度する時間も気分がよく、幸先のよい1日をスタートできます」とも話し、広い空間から小さなコーナーまで、花の色をめでながらカラーコーディネートを考えるのは至福の時だと語ります。
たくさんある花瓶についても、インテリアの一部として活用する工夫がなされています。リビングの棚に色別に並べることで、量が多くても美しくまとまり、絵の具のパレットのように花瓶と花のコーディネートが考えやすくなるそう。お店のディスプレイのような存在感を放ちつつ、利便性のある収納は花瓶集めを始めたならぜひまねしてみたいアイデア。
花をめでることで自分も元気に
水を替えたり、茎をカットして水を吸いやすい状態に整えてあげるなど、花を長持ちさせるには毎日の手入れが必要。そんな作業を行うときも機械的にならず「花を生き物としてとらえ、ていねいに接してしている」というSmithさん。いつもたくさんの幸せをくれる花に対して敬意のような感情を抱いています。
実際、Smithさんは自分のためだけでなく、人に花を贈りたいと思うことが増えたそう。「相手のことをイメージしてじっくりと選びながら、喜んでくれる顔を想像すると幸せな気分になる」と話します。感受性を高めてくれる花のある暮らしは、愛情深い心を養うことに少なからず影響しているようです。そう考えると花のケアをする時間は、自分磨きに紐づいていると言えるかもしれません。
愛情や感謝、美しいものに共感する気持ちなど、プラスの感情を育ててくれる花のエネルギーは、自分にも人にもやさしくできるきっかけに。心の元気をチャージしたいとき、花に触れてみてはいかがでしょうか?
Profile
Smith
インスタグラマーコロナ禍でのステイホーム期間をきっかけに花のある暮らしに目覚め、花やインテリアのコーディネートをSNSを通じて発信。繊細で女性らしいセンスに共感が集まりすぐに人気アカウントに。花瓶をはじめとした、ミックス感覚に優れた雑貨選びにも注目が集まる。
Instagram:https://www.instagram.com/shimihome/
取材・文/渡辺愛 編集/杉江はるよ(Roaster) 撮影/藤井由依(Roaster)
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