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自分らしい整理収納がわかれば、 お気に入りの暮らしが見つかる

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整理収納は、 身近で最強の 自分を救うライフハック

SNSやテレビで見かけるすてきなおうちに憧れて、一念発起して片付け。でも、またすぐに散らかって……自分にはやっぱり片付けは向いていない!と苦手意識を抱えている人は多いはず。でも、それは自分が悪いのではなく、単純に自分に合った整理収納を知らないから。逆にいえば、自分に合った整理収納がわかれば、いつでも心地よく暮らすことができるのです。

見た目も使い勝手も快適になれば、家事や仕事のパフォーマンスも上がり、おのずといろんなことに前向きに。そこで「収納を変えれば未来が変わる」をテーマに活動する整理収納アドバイザーの本多さおりさんに、整理収納が生活に与えてくれる作用と、実践のノウハウを教えていただきました。

  1. 整理収納は、ものを通して自分を見つめること
  2. 暮らしやすさを重視すれば、部屋も心もすっきりする
  3. 使うたびに楽しくなる“悦な収納”を目指して
  4. 思い込みを手放して、自分も収納も変えていけばいい

整理収納は、ものを通して自分を見つめること

使いやすさを優先しながらもシンプルでスタイリッシュな収納スタイルにファンの多い、本多さおりさん。昔からインテリアが好きで、自分の部屋や職場のデスクを快適にするため、整理収納を工夫していたそう。実家を出てからは、「整理収納は自分を助けてくれる」ということを実感するようになったといいます。

「整理収納というと、見た目を整えることだと思っている人が多いんです。でも実は整理収納って『使うものを選んで、使いやすく住所を決めること』。洋服でもキッチン用品でも文房具でも、その人が生活する中で絶対に使うものってありますよね。それが取り出しにくく配置されていたら、いくら見た目がすっきりしていても、作業がしんどくなるし、ストレスもたまる。でも、それが使いやすい場所に置かれていたら、作業もスムーズになって、暮らしやすくなるし、気持ちもおのずとラクになるんです」

中古マンションをフルリノベ

そんな実感から、いろんな人が快適に暮らすサポートをしたいと考え、整理収納コンサルタントを仕事にして10年。やればやるほど、整理収納は単なる生活術ではなく、自分と向き合う作業だと感じるようになったと話します。

「自分のもちものを整理すると、私ってこんなものをもっていたんだ!と、それまで気づいていなかった自分と嫌でも向き合うことになります。私の場合、同じような白いカットソーを買いがちだったんですけど、そういった傾向がわかると、これはもう買わないでおこうって対策が立てられる。これは必要か、必要でないか。自分と対峙(たいじ)することを繰り返していくと、ジャッジする目が養われて、本当に大切なものがどんどんクリアになる。ものを通して自分を見つめることで、今の生活だけでなく、心も、ひいては未来だって変えていけるんです」

本多さん自身、以前は自分と他人を比べて悩むこともあったそうですが、自分を見つめ直したことで、最近では「自分は自分だ」と線引きできるように。うじうじ悩むことも減ったそうです。

暮らしやすさを重視すれば、部屋も心もすっきりする

実際、ものと心は深く関係しているようで、本多さんのもとには「ものが片付かなくて、心が落ち着かない」という悩みを抱えた人が多く訪れます。でも、本多さんいわく、「片付け」と「整理収納」はまったく別もので、分けて考えた方がいいそう。

「実は『片付け』は、使ったものを元の場所に戻すことで、そんなに難しいことじゃない。なのにできない理由は大きく2つあって、まず1つ目は、ものが多すぎたり、ものを分類せずにごちゃ混ぜのまま収納しようとしていること。だからまず不要なものは取り除いて、使う場所や用途に分ける。これが『整理』です。そしてもうひとつ、そもそも片付けるべき場所が決まっていなかったり、決まっていても取り出しにくかったり。そこで、ものの置き場所を決めて、使いやすいようにスタンバイさせる。それが『収納』なんです」

つり戸棚を整理する本多さん

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ハサミスタンド

山崎実業 タワーシリーズ キッチンナイフ&ハサミスタンド ¥2,310(税込)

本多さんがキッチンの収納アイテムとして活用しているのが、包丁やキッチンバサミを一括収納できるナイフスタンド。「刃物類を安全に収納できるだけでも便利ですが、もうひと工夫するのが私流。側面に強力マグネットを取りつけて、ピーラーやシャープナーまでを貼り付け。使用頻度が高いキッチンアイテムを、ワンアクションで取り出せるので快適です。キッチン棚の扉裏についている包丁収納だと、子どもの手が届くのでヒヤヒヤしますが、これを手に入れてからは、安全な場所に設置できるのでその心配もなくなりました」

暮らしも心も快適にしたいなら、最初から「見た目のきれいさ」は目指さない方がいい、と本多さんはいいます。「見た目の美しさを真っ先に目指すと、使いやすさをおろそかにしてしまうことがある。最近よく聞く“シンデレラフィット”って確かに見た目はきれいですが、それを実現させるよりも、まずは毎日使うものがサッととれてラクに戻せる収納を目指してほしいですね」

大切なのはきれいになった部屋を見て満足することではなく、自分が暮らしやすい、お気に入りの空間を作ること。それをかなえるために使い勝手を追求していくと、おのずと収納もシンプルになり、見た目もすっきり整ってくるそうです。

アーチ形の鏡

使うたびに楽しくなる“悦な収納”を目指して

それでは「すっきり整って暮らしやすい家」をかなえるためには、具体的にどうすればいいのか。キッチンを例に、本多さんに「整理収納の基本の3ステップ」を教えていただきました。

最初に、キッチンにあるものを全部出して、調理器具、食器、食材、消耗品……といった感じでカテゴリー別に並べます。同じ調理器具でも、使う場所や用途の違うものは分けて。

器を並べる
器を仕分ける本多さん

次に、使用頻度や思い入れによって「一軍」「二軍」「三軍」に分けます。一軍は見た目もお気に入りで、使い勝手の良いものなので、おのずと少数精鋭に。最後に、一軍はキッチンの引き出しの手前に、二軍はその奥に、三軍は上の棚に……といった具合に、場所を分けて収納します。毎日用いる一軍はパッと取りやすくて、かつ、目に入ったときにうれしくなるレイアウトが良いのだそう。

引き出しに収納された器
器を取り出す本多さん

生活することは、突き詰めると、ものを出して、使って、しまうの繰り返し。「だからこそ、きれいに片付けられたときがピークの収納よりは、ものを出したりしまったりするたびに『なんて使いやすいんだ!』と感動できる収納を目指した方がいい」と本多さん。用いるほどにうれしくて、持続可能で「あっちも整理してみよう」と、どんどん前向きになれる。それが、彼女が提唱する“悦な収納”なのです。

思い込みを手放して、自分も収納も変えていけばいい

整理収納ブームの今、ネットではいろんなHow toがあふれていますが、どんな方法が“悦”となるかは、人それぞれ。「整理収納ってやればやるほど、自分って変わらないなと確認することも多いんです。でもたとえば、リビングについバッグを置いちゃうクセがあって、その人なりの理由があるとしたら、それは必ずしも直さないといけないことではない。だったら、それに合わせてそこにバッグを掛けられる何かを作るなど、方法を変えた方がいいと思うんです」

その人に合わせて、ちょっと工夫するだけで、生活が心地よくなるのが収納のすばらしいところ。「同じ人でも、環境が変わればライフスタイルも変化するし、好みも変わっていく。だから収納も、固定的なものよりは、変えやすいものの方がいい。今、家で過ごす時間が増えてストレスを感じている人も多いと思うんですが、例えば私みたいにリビングにワークスペースを作るなど柔軟に変えていけば、予測不可能な事態も快適に乗り切ることができるはずです」

その時々の暮らしに自分を寄せて工夫すれば、身も心もラクになれる。整理収納は自分を救ってくれる、いちばん身近で最強のライフハックなのかもしれません。

収納を楽しむ本多さん

Profile

本多さおり
整理収納コンサルタント

2011年より個人宅向け整理収納サービスをスタート。現在は書籍や雑誌・Webなどのメディア出演、企業の収納コーディネイト監修や開発ワークなど、多岐にわたって活躍。代表的な著書に『暮らしをまわす』(エクスナレッジ)、『モノが私を助けてくれる』(大和書房)。2021年秋に初のエッセイ『暮らしをそのままの自分に寄せて』(主婦の友社)を上梓。
Instagram:https://www.instagram.com/saori_honda/?hl=ja
HP:https://hondasaori.com/

 

取材・文/井口啓子 編集/柳瀬 礼(Roaster) 撮影/林 ひろし

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