最近、身近なシーンで「エコ」や「サステナブル」といった言葉をよく目にするようになりました。エコやサステナブルをうたった、ハイセンスなブランドも続々と登場する中で、エコ活動を実践する著名人も多く、エコは今や一過性のブームを超えた、次世代のライフスタイルとして広がりつつあります。
けれども、なんだか難しそうと感じている人のために。今回は、ファッションモデルとして活躍する中島沙希さんに、今すぐ実践できるエコな暮らしのヒントを教えてもらいました。 いきなり「地球のため」はハードルが高くても、まずは「わたしの心地よい暮らしのため」だと考えて、小さな一歩から始めてみませんか?
- 小さな選択が未来を変えるかもしれない
- まずは自分を心地よくするエコから
- ミニマルなデザインで、使い続けたくなるエコグッズ
- エコとおしゃれは似ている
小さな選択が未来を変えるかもしれない
中島さんがエコに興味をもったのは2年前。サステナブルな情報をシェアするプラットフォーム「EF.」を現在共に運営している、モデル仲間のSONYAさんがきっかけでした。
「撮影の現場にSONYAがマイボトルをもってきたんです。当時の私は、プラスチックごみが問題になっているということは知っていたんですが、具体的に何が問題かは知らなくて、知ろうともしていなかった。でも、私の周りにマイボトルをもち歩いている人なんていなかったので、なにげなく『そういうの気にしているの?』と聞いたんです。そしたら、『ペットボトル飲料やストローを当たり前に使っていると、気づかないうちに微小なプラスチック粒子(マイクロプラスチック)を体内に摂取していることがあると知ってから、なるべくもち歩くようにしてる』という話を聞かされて……。そのとき単純に、怖い!防ぎたい!と思ったんです」
「地球のため」といわれてもピンとこなかった中島さんですが、自分の体を守るためにマイボトルを使うことには納得できたし、それが結果、エコにつながるならいいなと感じたそう。
「自分の健康のために」できることを知り、まだ知らない方へシェアしていきたいと考えた中島さんは、SONYAさんと話し合い、プラットフォーム「EF.」を、立ち上げます。「私は、知らなかったことをSONYAに教えてもらえてうれしかったので、その流れを自分で止めず、みんなにシェアしたいなと思ったんです。いろいろ調べ始めたら、最近はスタイリッシュなエコアイテムがたくさんあることを知りました。これならおしゃれも妥協せず、ポジティブにエコを楽しめそうだなと思ったのも大きいですね」
完璧じゃなくてもより良い選択肢があることを知り、その輪を広げていくことが、彼女のエコライフなのです。
まずは自分を心地よくするエコから
2年ほど前、引っ越しをしたタイミングでシャンプーや洗剤など、身の周りのものをエコアイテムに変えたという中島さん。「私は、“自分はこういうのが好き”というのが明確にある方なので、どんなものであれ、なんとなくで選びたくはないんです。だから、なるべく環境や健康に配慮したものを意識して選びたいし、さらにいうなら、単にエコだからという理由だけでも選びたくはない。だから、いろんなものを実際に自分で試して、使い心地もパッケージも本当に気に入ったものを使いたいと思いました」
環境面においても、ビジュアルにおいても、自分が納得したモノを使って暮らすことは、実際、体にとっても、メンタルにとっても、とても心地よいことだったと中島さんは話します。
その中で中島さんが特に始めてよかったと実感したのが、生理のときに使う吸水ショーツ。
「これも友人にオススメされたのをきっかけに使い始めたんですが、漏れないし、蒸れないし、においもない。こすれてかゆくなることもないから、心身共にストレスが減ったし、生理痛もかなりラクになりました。人によって合う合わないはあるでしょうが、本当に気持ちいいので、まずは夜だけでもトライしてみてほしいですね」
エコは決して難しいことでも、大げさなことでもないから、まずは毎日の生活の中で、自分をより心地よくしてくれるモノやコトから取り入れてみてはいかがでしょうか。
ミニマルなデザインで、使い続けたくなるエコグッズ
どうせ使うなら、環境にも体にもやさしくて、使っていて心地よいと感じられるものがいい。それが中島さん流のエコルールです。
「最近のエコアイテムってすごく進化していて。例えば『エティーク』のビューティーバーは、プラスチックボトル3本分ぐらいのシャンプーやコンディショナーが固形にぎゅっと凝縮されている。目新しくて使ってみたくなるし、天然成分だけでつくっているから、香りも使い心地もすごくいいんです。NY発のマイカップブランド『ストージョ』のタンブラーは、丈夫で安全なシリコン製。折り畳んでバッグに入れられるのがポイントで、毎日愛用しています」
お風呂が好きな人なら、まずはバスアイテムから。料理が好きな人なら、まずはキッチングッズから。自分のライフスタイルに合わせて、始めやすいものから入れば、良さを実感しやすいそう。
そうやってもち物をアップデートしていくことで、少しずつ意識も変わってきたのだとか。
「自分の捨てるゴミの量が目に見えて減ったので、単純に気持ちいいし、ゴミ捨てもラクになりました。地球にも自分にもいいことをしていると思うとマインド的にもいいですよね」
それが自分にとってさまざまな面で気持ちのいいことだと気づいたら、買い物に行くときもエコバッグをもっていったり、プラスチックレスなパッケージのものを選ぶようになったりと、自然とふだんの行動にも変化が生まれたそうです。
エコとおしゃれは似ている
モデルとして日々ファッションに関わっている中島さん。最近では、エコやエシカルをテーマに掲げるファッションブランドも増えていますが、エコは単なるブームではなく、ファッションの根底にある美意識につながることだと感じているそう。
「ファッションが好きな方って、新しいものに敏感だし、知ろうとする力も、変わろうとする力も強いと思うんです。誰がどうつくっているのかわからないものが安く買える時代に、多少値が張っても、つくり手の顔が見えて、過程を知ることができたり、ものづくりのストーリーがあったりするものを選ぶ方に、私自身とても共感できます。そういう意味では、これからの時代、エコとおしゃれはますます深くつながってくる気がします」
おしゃれや買い物に対する考え方も、少しずつ変わってきたという中島さん。
「よく、買い物は投票だといいますが、どうせ買うなら環境への配慮を含めて、素材やつくり方にこだわりのあるものに投票したいと考えるようになりました。もともとモノはそれほど買う方ではなかったけれど、自分が本当に気に入って、長く愛用できると思えるものしか買わなくなりましたね」
自分にとって「よりよいもの」を選べば、自分の体も心も、よりよい方向にきっと変わっていく。そんな積み重ねの先にあるのが「エコ」なのかもしれません。
Profile
中島沙希
モデル1995年福岡県生まれ。2017年よりモデル活動をスタート。ランウェイや国内外のエディトリアルで活躍する傍ら、2021年にサステナブルな情報をシェアする「EF.(イフ)」を立ち上げる。アートや本、テレビドラマにも精通していて、自身のインスタグラムではエコ以外にも、日々さまざまな情報を発信している。
Instagram:https://www.instagram.com/saki_nakashima/?hl=ja
「EF.」Instagram:https://www.instagram.com/ef_ecofriendly/?hl=ja
取材・文/井口啓子 編集/柳瀬 礼(Roaster) 撮影/藤井由依
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