私のマインドを強くする、 愛するパートナーの存在。

「この子と暮らすようになってから、毎日が幸せでいっぱい」。2020年から宇垣さんが一緒に暮らしている、チワワとトイプードルのミックス犬“チワプー”のてんぷらちゃん。

元気いっぱいで人懐っこい女の子です。“てんちゃん”の存在は癒やしになるだけではなく、宇垣さんのマインドにさまざまな変化をもたらしました。「てんちゃんのためにもっとお仕事をがんばろうと思えるし、心が強くなりました」。2人が出会った日から今日までの話を聞いてみたら、種の壁を越えた信頼関係と、そこから生まれる幸福が見えてきました。

てんちゃんとの出会いは、何気なく入ったペットショップ。「ひとめぼれでした！　一度帰宅して覚悟を決めてから、その日の夕方に迎えに行ったんです」

「テレビ局に勤めていた頃は報道のお仕事もあり、生活が不規則で。その環境でお迎えするのは無責任だから諦めていました。でも、フリーランスになってから以前より生活リズムが安定したので、いい出会いがないかな〜って、ずっと考えていたんですよね。そんなタイミングで出会ったものだから、これは運命だなと！　まだ片手におさまるくらいに小さかったこの子を連れて帰った日が、懐かしい」

それにしても、なぜ“てんぷら”ちゃんなのでしょうか？「ほわほわっと香ばしそうな毛色が、てんぷらみたいでしょ？　第一印象が『てんぷらの衣みたい！』だったので、そのまま名前になりました（笑）」

てんちゃんと暮らすようになり、「かわいくてたまらないのと同時に、自分自身がこんなに変わるとは考えていませんでした」と言います。「家に帰るのが楽しみになりましたし、つらいことがあったりスケジュールがパツパツできつくても、私にはてんちゃんがいるし！って思うと、だいたいのことが平気になりました。一人暮らしをしていたときは、いったいどうやって乗り越えてきたんだろう？って思うほど、気持ちが安定しましたね」

はじめは「この子を守っていかなきゃ」という心持ちだったそうですが、しだいに「自分の方が支えられている」ことを実感していったとか。「てんちゃんは私を全肯定してくれるんですよ。帰宅したらおかえりー！って胸に飛び込んできてくるし、ぴょんっとひざに乗ってきたり。私のことが大好きじゃん！って、なんだかほっとします（笑）。どんなときも受け止めてくれるてんちゃんがいとおしいし、その存在が心強い」

そんな話をしていたら、てんちゃんがお気に入りのおもちゃを持って、宇垣さんの横に。全身で「遊ぼう！」「大好き」を表す姿に、顔がほころびます。「笑った顔も、ちょっとブサイクな瞬間も、全てがかわいいなぁ！」

てんちゃんとの新生活をスタートするまでには、いろいろと考えを巡らせたとか。「祖父母の家にもわんちゃんがいたので動物には慣れてはいましたが、2人暮らしははじめて。いい出会いがあったらお迎えしたいなと思いたってから、環境や気持ちの面でもじっくり準備しましたね。ペットショップでひとめぼれしてから一回家に帰ったのも、『私のエゴで迎えるんだから、絶対幸せにしなきゃ』って覚悟を決めるためでもありました」

というのも、「わんちゃんとの暮らしには責任が伴うでしょ」と宇垣さん。「金銭面や環境的にも、きちんと育てられる余裕があるか、何度も自問自答しました。自分に万が一のことがあったら頼れる人はいるかなど、生活環境を振り返ったり知識を蓄える意味でも、じっくり考えましたね。人間と体のつくりも違うから、食べちゃいけないものや予防接種についても調べたり。だからいざ出会ったときに、この子と一緒にいたい！という素直な気持ちで迎えられたんだと思います」

宇垣家にやってきてからは、「ただかわいがるのではなく、しつけは厳しめにしています」。「一緒におでかけするときや、災害時に避難所で過ごすことになってもいい子でいられるように、そして私が病気で入院したときなどに、安心して預かってもらえるためでもあります」。とはいえ、2人は大の仲良し。「てんちゃんは、クッションの上で一緒に寝るのが大好き。並んでごろんとしているときは、信頼関係を体感するとともに、お互いに心からリラックスできているなと感じます」

「癒やし癒やされる関係」というてんちゃんの存在によって、「私自身も、誰かを元気づけたりほっと癒やせる人になれたらいいなと、より強く思うようになりました」。就活生時代に先輩から聞いた「アナウンサーは、いわばリレーのアンカー。たくさんの人とつくったニュース番組の最後にバトンを視聴者の皆さんに渡す役目」という言葉に引かれて目指した、この仕事。フリーになってからはさらに活躍の場を広げていますが、それは「いくつかの居場所や選択肢がある方が、より広く発信できる」という考えから。

「いろいろなお仕事をさせていただき、本当に恵まれています。テレビやラジオ、雑誌や書籍など、メディアそれぞれの届け方があるから、いろんな方法をもっておきたいんですよ。そもそも一つの場所に依存するのが苦手だし、それは危ういとも感じるので。だから、新しいモノゴトにも臆せず挑戦していきたい」

「これだ！っていう熱い野望はないけれど、経験値を増やすのが好きだし、楽しいんです！　それにてんちゃんがそばにいてくれるから、高いハードルだって怖くない。もともとの性格もありますが、いつもいとしい存在が待ってくれているから、よりそう思えるようになったのかもしれませんね。新しい考え方や表現方法を身につけて、それをもとに発信する何かが、誰かの癒やしや心のよりどころになればうれしいです」