KITCHEN
真空パック機の選び方をプロが解説!鮮度とおいしさを保つコツも紹介

真空パック機は、袋の空気を吸い出して真空にすることで食材の鮮度を長持ちさせることができる便利なキッチン家電です。しかし、卓上タイプやハンディタイプ、専用の袋が必要なものと不要なものがあり、選び方に迷う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、料理研究家の川上文代さんに、真空パック機の選び方をお聞きしました。おいしく食材を保存するコツも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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料理研究家
川上文代さん
辻調理師専門学校を卒業後、同校職員としてフランス三ツ星レストラン“ジョルジュ・ブラン”での研修をはじめ、辻調理師専門学校(大阪)、同グループのフランス・リヨン校、エコール辻東京にてプロ料理人の育成に努める。1996年、渋谷区に料理教室「デリスドキュイエール」を開設。著書に『低温真空調理のレシピ』(グラフィック社)などがある。
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目次
選ぶ前に知っておきたい真空パック機の基礎知識
まずは、真空パック機の特徴やシーラーとの違いなど、選ぶ前に知っておきたい基礎知識を解説します。
食材が長持ちするって本当?真空パック機のメリット
真空パック機は、食品などを入れた袋の中の空気を抜いて、真空状態にして保存するための機械です。一番のメリットは、通常よりも長い期間保存できること。食品が長持ちするのは、真空パックによって食品の周りの空気が通常よりも少なくなることで、食品の酸化を遅らせているからです。真空パック機を使って食材を保存する場合、そのまま冷蔵庫で保存するときの2~3倍長持ちするといわれています。
ただし、密封状態でも繁殖してしまう菌もあるので、食中毒を防ぐために肉や魚などは、真空パック後に冷蔵庫や冷凍庫で保存し、しっかり加熱調理するようにしましょう。

袋で保存するためデッドスペースが減らせるので、冷蔵庫や冷凍庫もすっきり整理できるというメリットも
真空パック機とフードシーラーとの違い
真空パック機と似たような機能をもつキッチン家電にフードシーラーがあります。
種類 | 真空パック機 | フードシーラー |
---|---|---|
イメージ | ![]() |
![]() |
機能 | 袋の中の空気を抜いて真空状態にして、密封する | 袋の口を閉じて、食品などの乾燥を防ぐ |
保存期間 | 長い | やや長い |
真空パック機は、袋の中の空気を抜いて真空状態にして、袋を閉じる(シールする)機械です。一方で、フードシーラーはその名前のとおり、袋を閉じる(シールする)機能しかもっていません。
つまり、真空パック機とフードシーラーの違いは、真空状態で密封できるかどうかです。
乾燥などを防ぐために袋に入れて保存する場合はフードシーラーでもかまいませんが、食材を長持ちさせたい場合は、真空パック機を使って、密閉状態で保存することをおすすめします。
プロが教える真空パック機の選び方
数ある真空パック機の中から自分に合ったものを選ぶためのポイントを、川上さんに教えていただきました。

「真空パック機を使えば、食材を無駄にしてしまうことが減りますよ」
種類で選ぶ
真空パック機の種類は大きく分けてハンディタイプと卓上タイプの2つです。卓上タイプには、さらに吸引溝タイプとノズルタイプがあります。
真空パック機の種類とメリット・デメリット
種類 | |||
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イメージ | ![]() |
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メリット |
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デメリット |
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それぞれ詳しく解説します。
扱いやすさ重視ならハンディタイプがおすすめ
ハンディタイプは、専用の袋の吸気口に本体をセットしてボタンを押すだけで真空パックできます。持ち運びしやすく片手で扱えるため、手軽に使いたい人におすすめです。一方で、サイズの小ささから脱気する力が弱いものもあるので注意が必要です。
また静音性の観点から見た場合、どうしても卓上タイプは脱気力が大きい分、音が大きくなりがちなので、音を気にする場合もハンディタイプがよいでしょう。

ハンディタイプ。小型のものが多く片手でも扱いやすい
しっかり真空保存したいなら卓上・吸引溝タイプがおすすめ
卓上タイプは置いて使うタイプで、袋をセットしてボタンを押すだけで真空パックできます。ハンディタイプと比べると、サイズが大きくなるためキッチンの場所をとってしまいますが、脱気の力が強いものが多いのでしっかりと密封することができます。また、脱気力が強いと短い時間で真空パックできるので、効率化も図れます。
脱気方法によって吸引溝タイプとノズルタイプに分けられますが、吸引溝タイプは、でこぼこの付いた専用袋を使います。そのでこぼこの隙間から脱気することでぴったりと真空にできるため、食材をしっかりと真空状態にして保存したい人におすすめです。

卓上・吸引溝タイプ。脱気力の強さが魅力
コスパ重視なら専用袋不要の卓上・ノズルタイプがおすすめ
ノズルタイプは、ノズルから袋の中の空気を吸い出すため、吸引溝タイプと比べると中に空気が残りやすくなっています。一方で、専用の袋が必要ないため、食品保存ができるポリ袋さえあれば真空パックできます。コスパの良さを求めるならノズルタイプがおすすめです。

卓上・ノズルタイプ。専用袋以外でも真空パックできるのがメリット
保存力で選ぶ
食材をできるだけ長持ちさせたい、鮮度よく保存したいという場合は、真空パックする際にできるだけ中に空気が残らないこと、いわゆる“気密性”が大切です。そのときに注目すべきポイントは真空パック機の脱気力です。
脱気力は「kPa」という単位であらわされ、数字が大きければ脱気力も強くなり、しっかりと真空状態になります。一般的に家庭用真空パック機は50〜80kPaのものが多いです。より長持ちさせたい場合や塊肉など大きなものの保存をメインに考えている場合は、80kPa程度あるものを選ぶといいでしょう。小分けにして冷蔵庫などで保存する場合は、60kPa程度でも大丈夫です。

脱気力が何kpaかは「吸引力」などの表示で箱に書かれていることも多い
便利な機能もチェック
真空パック機には以下のような便利な機能が付いているものもあります。自分の用途に合った機能があるものを選ぶといいでしょう。
真空パック機にあると便利な機能
機能 | |
---|---|
シールモード | 真空パックせずに、シール(溶着)だけする機能 |
ロールカッター (スライドカッター) |
専用袋を切り取るためのカッター。ハサミを使わなくてよいので、ロール状の専用袋を使っている場合は便利 |
水物対応 | 集水タンクなど、袋からあふれた水分を取り込むタンクなどを取り付けることで、水分の多い素材や料理でも真空パックできる |
手動モード | 脱気を手動で細かく調節できるので、圧力がかかると型崩れしやすいやわらかい食材でも真空パックできる |
真空パック機の選び方|ポイントまとめ
真空パック機は扱いやすさやコスパ、保存力や機能をチェックして選びましょう。選び方のポイントをまとめました。
- 扱いやすさ重視ならハンディタイプ、しっかり真空保存したいなら卓上・吸引溝タイプ、コスパ重視なら専用袋不要の卓上・ノズルタイプがおすすめ
- 大きいものを保存するなら80kPa、小分け保存なら60kPaの脱気力があると良い
- スープなどの液体を保存したいなら水物対応機能、やわらかい食材を保存したいなら手動モードがあると便利
真空パック機でおいしく食材を保存する方法
そのまま真空パックするだけでなく、ひと手間加えることでよりおいしく食材を保存できる方法を川上さんに教えていただきました。

「真空状態にして調理すると、ゆで時間なども短くなります」
肉や魚を真空パックする場合、みそ焼きにしたり、漬け丼にしたりといったように、食べ方が決まっていれば、そのまま保存するのではなくみそや醤油に漬けてから真空パックすると、より味が染みておいしく食べられます。
また塩分を加えることで傷みにくくなるため、そのまま真空パックするよりも食材が長持ちします。食べ方が決まっていない場合でも、下味として全体に軽く塩をまぶしてから保存するのがおすすめです。

下味をつけた状態で保存するのがおすすめ
野菜は生で食べる場合は別ですが、加熱して食べる場合には、食べやすい大きさに切って真空パックしてから、袋ごと50~90℃でゆでて加熱し、その後氷水につけて熱を取って保存します。そうすることで殺菌でき、食材が長持ちするだけでなく、調理するときもいったん火が通っているので、いろいろな料理に使いやすいです。
真空パック機に関するよくある疑問Q&A
真空パック機に関するよくある疑問について、川上さんにお聞きしました。
Q. 真空パック機の仕組みは?
A. 真空パック機は、真空処理溝から袋の中の空気を吸い出し、シールバーでシール(溶着)することで、密封しています。
真空パック機を正しく使うために、おもな部位の役割も押さえておきましょう。


①真空処理溝 | 溝に袋をセットすることで、袋の中の空気を吸い出す |
②シールバー | 袋を熱で溶かしてシール(溶着)するバー |
③操作パネル | ボタンを操作し、袋の中を真空にしたり、シールしたりする |
④リリースボタン | このボタンを引き上げることで本体カバーが開く |
Q. 真空パック機が使える食材は?
A. 真空パック機は、基本的にほとんどの食材や料理を真空パックすることができます。
ただし、スープのような汁物や水気が多いもの、バナナなどの果物のように強い圧力をかけると変形してしまうようなものは、完全に真空状態にして保存することは難しいです。
真空パック機の中には、水物に対応した機能を備えたものもありますが、思っている以上に空気が残ってしまったり、シール(溶着)が不十分だったりすることもあります。食品保存容器などに対応している機種であれば、水気の多いものも真空パックできます。スープなどの汁物は、専用のコンテナ(キャニスター)があるものを使うのがおすすめです。
また、手動モードがあれば、汁がこぼれないように自分で調整しながら袋を使って真空パックできたり、圧力がかかるとつぶれてしまうような食材でも、様子を見ながら真空パックできて便利です。
Q. ランニングコストが低い真空パック機は?
A. 真空パックするのに専用袋が必要か、食品保存用のポリ袋が使用できるかによってランニングコストに差が出ます。卓上・吸引溝タイプとハンディタイプは、専用袋が必要です。ハンディタイプの方が卓上・吸引溝タイプの専用袋よりも高めなことが多いですが、洗えば繰り返し使えるものがほとんどなので、卓上・吸引溝タイプよりはランニングコストは低く抑えられます。コストを重視するのであれば、専用袋不要の卓上・ノズルタイプが良いでしょう。
Q. 真空パックした食材は冷凍しても大丈夫?
A. 真空パックした食材は、冷凍しても問題ありません。むしろ、真空パックして余計な空気が周りにないので、早く冷凍できたり、冷凍焼けしにくかったり、さらにはより長く食材が保存できたりするのでおすすめです。
Q. 食材の解凍は電子レンジでもできる?
A. 真空パックに使用している袋が電子レンジにも対応しているか確認しましょう。電子レンジでも使用できる場合は、解凍前に袋に穴をあけて、中の空気が逃げられるようにしておきましょう。
まとめ
- 真空パック機を使えば、食材の酸化を遅らせて、長く保存できる
- ハンディタイプは小型で使い勝手がよい
- 卓上タイプは脱気力が強く、しっかりと密封できる
- 卓上・ノズルタイプは一般的なポリ袋が使えるので、ランニングコストが抑えられる
- 肉や魚は下味をつけてから真空パックすると、より味が染みておいしく食べられる
食材や料理などの保存はもちろん、調理の際にも使える真空パック機。多彩な使い方があるだけに、それぞれの用途に合わせた選び方が重要になってきます。
保存性が一番大切なのか、コストパフォーマンスを優先するのか、それとも使いやすさを重視するのかといったように、どこを重視するのかを見極めたうえで、脱気力や専用袋の有無といったポイントに注目しながら、お気に入りの1台を見つけるようにしましょう。
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