【2023年】おすすめキャンプナイフ15選｜プロが調理向け、薪割り向けなど用途別に紹介

「キャンプで使うナイフが欲しいけど、何を基準に選べばいいかわからない」
「初心者におすすめのキャンプナイフが知りたい」

そんな疑問をもっている方も少なくないでしょう。

今回は、キャンプおよびアウトドア関連の書籍や雑誌を多数手掛ける編集者・渡辺有祐さんに、キャンプに適したナイフの正しい選び方や、それぞれの扱い方、特徴などを教えていただきました。

また用途別におすすめするナイフを15個ピックアップしたので、選ぶ際の参考にしてみてください。

※2023年2月17日時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので、商品販売サイトでご確認ください。
※1自然で生きる知恵を身につけることを目的とし、自然をより近くに感じることができるキャンプスタイル

キャンプで使うナイフは形状や構造、素材の違いなどによってさまざまな種類がある

ナイフはキャンプで絶対に欠かせないアイテム、というわけではありません。キャンプはあくまでレジャーですから、サバイバルやハンティングと違って、ナイフがないからといってそこまで困ることはないのです。

しかし、日常生活で触れる機会の少ない道具ですから、キャンプだからこそ使いたくなるのも事実。また、デザイン性が高いものも多く、腕時計やスニーカーのように、所有欲をくすぐるアイテムでもあります。

キャンプシーンでのおもな用途

なくて困らないとしても、当然あれば便利なものです。まずはキャンプでのおもな使用シーンをみてみましょう。

調理の際に食材をカット

野外で調理をすることも、日常では味わえないキャンプの醍醐味（だいごみ）です。当然、肉や野菜などをカットするときにはキャンプでも包丁が必要になります。しかし、一般的な包丁にはケースなどがない場合が多く、その点では携帯性に優れたキャンプナイフが適しています。

本当は、袋やトレーなどの包装資材や不要部位などのゴミが少なくなるよう、自宅で切って持っていくといい

焚き火をはじめる前に薪を割って焚きつけをつくる

キャンプの最大の醍醐味といえば焚き火。着火剤などがあれば着火も難しくないですが、キャンプ場によっては薪（まき）のサイズもまちまち。大きくて太い薪にいきなり火をつけるのは困難なので、薪割りが必要になります。

薪からはみ出ているナイフの背の部分をもう一本の薪でたたいて割っていく

薪割りといえば斧（おの）や鉈（なた）を使うイメージがあるかもしれませんが、キャンプナイフの多くは薪割りも可能なほど頑丈。薪を細く割って、焚きつけ※をつくることができます。

※薪に火をつけるために用いる、燃えやすい物

ナイフ各部位の名称

さまざまあるナイフのそれぞれの特徴を理解し、自分に合ったものを選ぶためにも、ナイフ各部位の名称を知っておきましょう。

ブレード	ナイフの刃の部分の全体の名称。鋼やステンレスなど鋼材はさまざま
エッジ	物を切るための鋭利な部分のこと。さまざまな形状がある
スパイン（背）	片刃のナイフのエッジのない部分。「背（せ）」とも呼ぶ
ハンドル	ナイフの持ち手部分。「グリップ」や「柄（つか）」などとも呼ばれる。木やラバーなど素材はさまざま
タング	ブレードとハンドルをつないでいる部分や構造の呼び方。日本語では「中子（なかご）」。ナイフの強度に関わる

ブレードやハンドルの素材、エッジの形状の違いなどで多種多様なデザインのナイフが存在します。重要なのは、それぞれのナイフがどのような役割をもっているか、それぞれのナイフが得意な役割は何かを知ることです。そこを理解することによって、自分にどのようなナイフが適しているのか判断することができるようになります。

ナイフの種類は大きく分けて3種類

見出しではナイフの種類を3つと書きましたが、実際は形状による違いのある2種類と、ナイフとしての機能をもった「ツール」の紹介をしていきます。

シースナイフ

露出したブレードを保護するためのケース（＝シース）が付いているナイフをシースナイフと呼びます。ブレードの長さもあり、強度が高いのでさまざまなシーンで活躍してくれます。ここ数年でユーザーも増えてキャンプでは主流のナイフとなりました。

ちなみに、ブレードが固定されているナイフを「フィクスドブレード」と呼びます。シースナイフのほとんどがこれに当たります。

フォールディングナイフ

ブレードが折りたためるナイフを「フォールディングナイフ」と呼びます。ブレードをハンドル内部に折りたたむことでコンパクトになるので、荷物をコンパクトにおさめたいソロキャンパー向き。

ブレードが可動するため強度は高くないですが、ブレードが薄いものが多く、食材を切るなどの作業に適しています。

マルチツール

ナイフやハサミなどの刃物や、ドライバーやプライヤーなどの工具が数種類付いている道具「マルチツール」。正確にはキャンプナイフの種類には分類されませんが、フォールディングナイフと同様にブレードを折りたたんで収納できるので、コンパクトでありながらさまざまな機能があってフォールディングナイフよりも活躍できる場面が多いのも特徴。

反面、ナイフとしての使いやすさは劣るため、例えば包丁としても使おうと考えている人には不向きかもしれません。どちらかというと、もしものときに備えておく、困ったときにあると便利な道具です。どの機能をとっても単体の道具には使い勝手で及びませんが、1本で何役もこなしてくれるスーパーサブ的な存在といえます。

「自分がおもにどんなことに使うかを想定し、用途に応じて適したナイフを選ぶようにしましょう」

キャンプナイフは千差万別。たくさんあるナイフから、自分に合ったナイフをどう選び抜けばよいか。ここでは初心者向けのキャンプナイフを選ぶ際のポイントについて解説していきます。

汎用性の高さで選ぶならコスパのいいシースナイフを

ナイフの良し悪しの判断がつかないビギナーは、まずはサイズ感やコスパのよさを重視して選ぶとよい

キャンプではナイフ以外にもたくさんの道具を持ち込むことになります。そのためできるだけ荷物は減らしておきたいもの。ナイフだけで何本も持ち運びたくないという人は、汎用性の高いナイフを選ぶといいでしょう。

キャンプにおける汎用性とは「大は小を兼ねる」の発想で、強度が高くて薪割りもできるシースナイフを選べば、不向きながらも調理に使うことはできます。一方、フォールディングナイフでの薪割りは壊れる可能性があるのでおすすめできません。

シースナイフは価格的にはピンキリなので、ナイフのことがまだよくわからないという人は、入手しやすい価格で選ぶのもよいでしょう。選ぶときは実際に握ってみて、扱いやすいサイズ感・重さであることも確認しておきましょう。

料理メインで選ぶならブレードが薄くて長いものを

シースナイフでゆで卵をカット。薄切りを試みるも、ブレードの厚みによりつぶれてしまう

フォールディングナイフはハンドルにブレードを収納するために、ブレードが薄くつくられていることが多いので、汎用性の高いシースナイフよりも調理向きといえます。

シースナイフはブレードに長さがあり、一定の強度を保つためにある程度の厚みもあります。ブレードに厚みがあると、調理時に食材を薄切りにしたい場面では不向きなのです。

左がシースナイフ、右がフォールディングナイフのスパイン（背）。フォールディングナイフのほうが薄く、シースナイフには厚みがある

ふだんとは違う環境で行うキャンプですが、できるかぎりストレスを感じることなく調理に専念したい。そんな人は、屋外に持ち出せるようにケースが付いたキッチンナイフを選ぶのがいいかもしれません。

フォールディングナイフは携帯性を向上させるためブレードの長さが短めです。日常的に自宅で使っている家庭用の包丁は15cm以上ありますが、フォールディングナイフは10cm以下のものが多く、その点では調理に不向きといえるからです。

アウトドアメーカーが販売しているキッチンナイフは、持ち出しやすいようにケースが付いている。しっかりと刃の部分が固定されるケースならなお安心できる

焚き火メインで選ぶなら強度の高いパワフルなナイフを

着火をしやすくするフェザースティック（薪を薄く削って鳥の羽のような状態に削り重ねる）も容易につくれる

「焚き火メイン」のナイフとは、すなわち薪割りもできるナイフであるかどうかです。

薪を割るとき、割りたい薪に当てたナイフの背を、もう1本の薪でバトンのように持ってたたく「バトニング」をします。この方法であれば、斧や鉈などのように重量のある刃物を使わなくてもナイフで薪を割ることができます。

バトニングもできるナイフを選ぶなら、やはり強度の高いシースナイフ一択です。特に、ブレードの鋼材がハンドルの末端まで入っている「フルタング」と呼ばれる構造のナイフであれば、力強くバトニングすることができ、太くて硬い薪でもナイフが壊れることを気にせずに作業ができます（ただし節がある薪は斧でも困難なので、何でもかんでも割れるわけではありません）。

焚き火作業に向いているフルタングナイフは、鋼材も多く使用しているため重量があり、値段も高め

重量は運搬時にはデメリットになりますが、薪割りなどの力強い作業時にはアドバンテージになりますから、むしろ力の弱い人向けといえるかもしれません。ただし、値段は高い傾向があるので、キャンプ場で販売されている薪を割る程度であれば、フルタングほど強度の高いナイフでなくても十分です。

フルタング	コンシールドタング	ナロータング
ブレードと同じ（もしくはそれ以上）幅のままハンドルの末端（グリップエンド）まで鋼材が続いている。そのため重量もあり高価になるが、もっとも頑丈。	タングがハンドル内部に完全に隠れる構造。ハンドルの半分以上鋼材が入っているので、強度はそこまで弱くはなく、重量も含めたバランスがいい。	タングがブレードの幅よりも狭く削られたタイプ。ハンドルを貫通しているタイプもある。強度は高くないため、バトニングよりもクラフトなどの作業に向いている。

また、焚き火向けのナイフには背の部分が90度の鋭角に設定されているものが多く、この部分でメタルマッチのロッド（マグネシウムやフェロセリウム製の棒）を擦（こす）ることで火花を散らし、焚き火の着火にも使うことができます。「マッチが濡れてて使えない！」なんて場面でも着火できるので、もしものときに心強いです。

ナイフの背でロッドを勢いよく擦ると火花が出る。麻ひもをほぐしたものや紙などに着火することができる

「ナイフとセットで着火時に使えるオプション品などが付属するナイフもあるので、個々人の要不要に応じて選ぶと無駄な買い物を防げます」

ここからは渡辺さんのアドバイスを参考に、編集部が厳選したおすすめのキャンプナイフを紹介していきます。今回紹介するナイフは、初心者向き、調理向き、焚き火向きとそれぞれの特徴に特化したアイテムを厳選しました。また、番外編で多用途に使えるナイフ機能をもったおすすめのツールも紹介します。

気になる内容をクリック

• 【初心者向きナイフおすすめ3選】コスパもよくてマルチに使える
• 【調理向きナイフおすすめ4選】携帯性に優れた調理特化型をチョイス
• 【焚き火ナイフおすすめ4選】中級者以上向けの本格ナイフ
• 【番外編マルチツールおすすめ4選】ナイフ以外の機能も豊富

※2023年2月17日時点の価格です。価格が変更されている場合もありますので、商品販売サイトでご確認ください。

【初心者向きナイフおすすめ3選】コスパもよくてマルチに使える

ナイフ1本であれこれ使いこなしたい！ という人におすすめなのが以下の3つの商品です。
コスパもよいので入門者向けのナイフになっています。これらを使ってみて、より自分の嗜好（しこう）に合ったナイフを選ぶ指針としてみるのもよいでしょう。

130年の歴史を誇るスウェーデンのナイフブランド「モーラナイフ」。スウェーデン国王からも高い評価を受け、国を代表する企業のみに与えられる王室の認定も受けています。
スウェーデン鋼による切れ味鋭い刃と握りやすいグリップ、ファクトリー生産による均一で高品質なラインナップを実現。

コンパニオン ヘビーデューティーはスタンダードモデルのコンパニオンと違い刃厚が厚めで、薪割りなどのハードな場面でも活躍してくれます。

ハンドルもラバー素材でグリップ力が高く、安定して作業することができます。

日本のキャンプメーカーとしてもメジャーな、新潟県燕市にある新越ワークスが展開するアウトドアブランド「ユニフレーム」のナイフ。適度な重量感と3.5mmの刃厚により、バトニングなどのハードな作業も問題なくこなしてくれます。

背は角が立っているため、メタルマッチを使用しての着火にも対応しています。

ブッシュクラフトとは自然環境下における生活の知恵・技術の総称です。多くの道具に頼らない、よりプリミティブ（原始的）なキャンプを楽しむスタイルとして人気が高まっています。

フィンランド語で「ルーキー」の意味があるALOKAS（アロカス）の名を冠したナイフ。キャンプで活躍する入門向けナイフですが、ブッシュクラフト用として十分に使用できる要素が詰め込まれています。

約10cmの刃渡りと2mm厚のブレードは、どんなシーンでも使いやすいサイズ感。ステンレスで錆びにくく、それでいて研ぎやすい鋼材が使われている。

ブッシュクラフトとは自然環境下における生活の知恵・技術の総称です。多くの道具に頼らない、よりプリミティブ（原始的）なキャンプを楽しむスタイルとして人気が高まっています。

【調理向きナイフおすすめ4選】携帯性に優れた調理特化型をチョイス

キャンプでの調理に向いたナイフを紹介します。携帯性に優れたものや、野外調理に特化したナイフを選んでみました。

キャンプ用のナイフとしての歴史も長く、日本でも多くのユーザーがいる、フォールディングナイフの象徴的な存在。刃をハンドル部分に収納することができるので、持ち運び時にとてもコンパクト。クッカーなどの中に入れて携行できます。刃を収納する構造上、薄くつくられているため、調理にも向いています。サイズ展開も豊富で好みで選ぶこともできるのも特徴。携帯性をとるか、調理のしやすさを重視するかで、サイズを選びましょう。

ユニフレームから出ている人気のギザ刃シリーズの中でも、もっともコンパクトなタイプ。オピネル同様にハンドル部にブレードを収納できます。刃物の名産地岐阜県関市で製造される国産ナイフで、先端のギザ刃は食材をしっかりと噛んで切りやすい形状に。先端以外はストレート刃でキッチンナイフとしても使えます。

1884年にスイスで創業。年間約2600万本を生産するヨーロッパ最大規模の総合ナイフメーカーのビクトリノックスが展開する、アウトドア向けのキッチンナイフ。野菜や肉、魚などさまざまな調理に使用できるナイフで、自宅包丁と同じような感覚で使用することができます。一般的なナイフと違って外れることのない固定式の専用ケースが付いているので持ち運び時も安心。

キャンプ用だけでも数十種類の展開のあるモーラナイフの、フィッシング（釣り）に特化したナイフ。魚に刃が入りやすいように薄いステンレス鋼で作られており、短いブレードは細かい作業に適しています。そのため、釣りのシーンに限らず調理全般に活躍します。濡れた場所でも安全かつ効率的に作業するために、グリップ力が高く、冬でも冷たくなりにくいラバーハンドルを採用しています。

【焚き火ナイフおすすめ4選】中級者以上向けの本格ナイフ

ここでは焚き火をする際の薪の準備などに活躍するナイフを紹介します。サバイバル仕様の本格的なものも含め、中級者以上で道具にこだわりたい人におすすめのナイフです。

ブッシュクラフト愛好家が必要とする全てがそろっている、モーラナイフのフルタングモデル。過酷な状況下でも耐えるよう設計されているパワフルなナイフです。ファイヤースターターも付属しており、ナイフの背を使えばこれ1本で着火もできます。シースにはダイヤモンドシャープナーが付いており、簡易的に切れ味を取り戻すことも可能です。

フィンランドのナイフメーカー「ケラム」の北欧ナイフ。天然木を採用したハンドルは美しいデザイン性が魅力。部分的に焼入れを施したSTPカーボンブレードはカミソリのような切れ味です。北欧ならではのシースもまた、所有欲を満たしてくれます。

ノルウェーで親子3代にわたって経営しているナイフブランド「ヘレナイフ」。1本1本をていねいにつくるクラフトマンシップにあふれた高品質ナイフで、実に所有欲を満たしてくれる1本です。木のハンドル部などデザイン性の高さが際立ちますが、使い勝手はもちろんプロ仕様。切れ味は申し分なく、バトニングなどの作業にも十分に対応します。

イギリスの冒険家「ベア・グリルス」の名を冠したガーバーのサイバイバルシリーズのフォールディングナイフ。ロックバック式の半波刃のブレードにより、ロープの切断などさまざまな作業に対応するため、サバイバルシーンでも活躍できます。ハンドル部にはゴム製のテクスチャが施されており、滑りにくいのも特徴です。

【番外編マルチツールおすすめ4選】ナイフ以外の機能も豊富

ナイフの機能もありながら、それが本職ではなく、あらゆるシーンを1本でこなしてくれる便利なマルチツールを紹介します。機能の数だけ道具を少なくできるのが最大のメリット。

1884年にスイスで誕生したマルチツールやアーミーナイフを製造するビクトリノックス。同社の定番モデルのスタンダードスパルタンに、ノコギリを搭載したモデルがこちら。登山やキャンプなどで活躍するマルチツールに簡易なノコギリが付いているため、焚き火シーンでも活躍します。

フォールディングナイフからマルチツールまで幅広い商品展開を誇るアメリカのブランドで、ベトナム戦争のときに軍用ナイフとして人気を博し、冒険家監修のサバイバルシリーズもリリースしています。サスペンションはプライヤーにハサミやナイフ、ドライバー類と多機能なツールを備えたモデルで、登山やキャンプなどさまざまなシーンで活躍します。

アルコールストーブや持ち手のないクッカーを加熱した際、プライヤーで掴むことが可能

人気のユニフレームのハサミタイプ。ただのハサミではなく、極厚ブレードにギザ刃を採用している多機能ハサミで、マイナスドライバー大・小、栓抜き、ガス抜き、くるみ割りのツールとしても使えます。家庭でもキャンプでも使用しやすいのが特徴。きゅうりやソーセージなど長細い食材であれば、ハサミでカットしたほうが手軽で安全に調理できます。

アメリカ最大級の高品質マルチツールブランド「レザーマン」のコンパクトモデル。日常のふとしたシーンや、アウトドアやDIYなどの一般使用、現場作業などのプロユースにも対応するため、幅広い分野で活用されています。マイクラにはハサミやナイフ、ドライバーと爪ヤスリ、ピンセットなど10種のツールが内蔵されています。

最後に、キャンプナイフについての疑問点をまとめて紹介します。活用法やお手入れの仕方などを渡辺さんに教えてもらいました。

Q. キャンプナイフの正しい扱い方は？

A. 力を入れすぎないこと。子どもの頃に教わった、ハサミや包丁の扱い方の基本を押さえることが大切。

ふだん扱い慣れないキャンプナイフ。それも日常とは環境が異なる野外で扱うことになるので、慎重に扱うにこしたことはありません。心がけたいのは力を入れすぎないこと。バトニング中、薪が割れないからといって、薪をナイフごとたたきつけるような動きをすると、すっぽ抜けたときに危険です。

もし割れそうもない硬い薪に出くわしたら、力ずくで割ろうとせずに、他の薪に切り替えましょう。

枝を加工してブッシュクラフトのように何かを創作するときも同様。鉛筆削りの要領で、腕の力ではなく親指で背を押すように削ることで、大きな力を使わずに作業できます。

ナイフを受け渡しするときも、子どものときに刃物の扱い方で習ったとおり。相手側に刃を向けずに、ハンドル部分を向けて渡します。もしくは、所定の位置に置いて、相手に取ってもらうとより安全です。

また、使用しないときはブレードをむき出しにしたままで放置せず、使い終わったらしっかりとシースにおさめてしまっておくこと。誰も見ていないところで子どもの手が届いてしまうような場所に置かないようにしましょう。

Q. キャンプナイフを扱うときにグローブは必要？

A. 慣れないうちはグローブがあったほうがいいでしょう。

軍手などでも構いませんが、滑りやすいので注意。防刃タイプのグローブのほうが安心できます。

素手で扱うことで、木材が硬いのか、湿っているのかなどの感触が手に伝わりやすく、力の加減も調整できるメリットもあります。過度に力を入れずにナイフを扱うことに慣れてきたら、素手で扱うことにチャレンジしてみましょう。作業内容によっては、ナイフを持つ逆の手はグローブを着用すると安全です。

Q. 1本のナイフで調理も薪割りもするもの？

A. 1本で両方の作業を行えます。衛生面を気にするなら、その都度洗って使えばよいだけ。

もし衛生面を気にしているのであれば、使用シーンが変わるたびにしっかりとブレード部分を拭いて汚れや油分を落として使い分けましょう。

調理向き、焚き火作業向きと、得意分野が異なるナイフの場合は、確かに使い分けたいものです。一方、ナイフの種類によっては調理と焚き火と両方こなせる万能タイプもあります。そうしたナイフをチョイスすれば1本で2役をこなしてくれます。

モーラナイフ／カンスボルは、刃元は厚く、刃先にかけて薄くなっているので刃元ではバトニング、刃先では食材を切るなどの細かい作業が可能。軽量ながら丈夫さも兼ね備えている、オールラウンドナイフとしてバランスのよさが魅力です。

Q. 自宅にある鉈や斧はキャンプナイフの代わりになるの？

A. 薪割りメインであれば問題ないですし、ナイフよりも使い勝手がいいと思います。しかし、携帯性ではキャンプナイフに劣るものが多いので注意。

鉈や斧はそれこそ薪割りが本職みたいなところがありますから、使い勝手はナイフ以上。しかし、重量があり、ケースも固定式でない場合もあるため、運搬には不向きなことも。キャンプ場で販売されている薪を割る程度であればオーバースペックにもなりがちです。

斧であればハンドアックスやハチェットという名で販売されている、アウトドア用の小振りの斧があります。これらはケースが固定式で運搬時のことも考慮されているのでおすすめです。

小振りな斧だとしてもナイフよりは重量がある。自身の力をそこまで込めずとも比較的容易に薪割りができる

Q. キャンプナイフとあわせて買いたい商品はある？

A. グローブも一緒に買って、ナイフとともに育てていきましょう。

安全面を考慮すると、ナイフを扱うときのグローブ着用が望ましいのは前述したとおりです。手を保護するために欠かせないグローブは、キャンプの薪割りなどでナイフを扱うとき以外でも活躍するアイテムですから、買いそろえたいものです。

特に革のグローブは使う人それぞれの使用感が現れるアイテム。ビンテージのジーンズを育てるように、自分だけの一品にすることができます。オイルを塗布するなど手間はかかりますが、ナイフと一緒に一生の相棒として育てたいものです。

また、焚き火の準備で薪割りをするとき、インパクトが地面に吸収されてしまい薪に力が加わらないこともあります。そんなときに薪割り台があると、過度な力をかけずに薪を割ることができます。運搬する荷物に余裕があるなら、セットで購入してもよいでしょう。

さらに、ナイフの切れ味が悪くなってきたら、いずれ砥石（といし）が必要になってきます。

Q. 切れ味を落とさないためにメンテナンスはどのくらいの頻度ですべき？

A. 日常的なメンテナンスは都度。研ぎの頻度は使用頻度や使い方にもよるので明言できませんが、切れ味が悪くなったと感じたら、ナイフを研ぐようにしましょう。

日常的なメンテナンスとは基本的なことで、まずは使って汚れたらきれいにすることです。使ったまま放置してしまうと、食材のにおいが残ったり、魚や肉の油分が残ったりしてしまい、切れ味が低下しやすくなります。バトニングなどで木を割った場合も同様。木の樹脂が付着している可能性があります。油分は中性洗剤で洗い落とし、お湯で洗い流すといいでしょう。お湯を使うことで殺菌にもなります。

砥石を使ってナイフの切れ味を回復する。慣れていないと正しい研ぎ方がわかりにくいので、専門店のスタッフに聞いてみたり、ワークショップに参加したりして学びたい

Q. 銃砲刀剣類所持等取締法違反にならない？

A. キャンプ当日以外で車載したままだと違法。キャンプ当日でも車載場所によってはNGの場合もあります。

キャンプ当日は「正当な理由」になるので認められます。焚き火道具や調理道具などと一緒に、用途がわかりやすい形で運搬しましょう。キャンプ後、車載したままにしておくと、正当な理由がないため違法となります。

また、キャンプ当日でも助手席のグローブボックスの中にしまっておくなど、取り出しやすい場所に置いておくのはNG。車で運搬する場合は、すぐには取り出せないような場所に置いて運搬します。バックパックに入れておく場合も同様。ベルトループが付いたシースだとしても、腰に装着するのはフィールドに着いてからです。

また、銃砲刀剣類所持等取締法の対象となるナイフは刃の長さが6cmを超えるものとされていますが、6cm以下のナイフだとしても軽犯罪にふれる可能性があります。刃の長さに関わらず、扱いや運搬方法には注意しましょう。

キャンプスタイルも多様化し、便利な道具ばかりに頼らず、少ない道具で自身の創意工夫で楽しむ、よりプリミティブ（原始的）なキャンプを楽しむ人が増えてきました。

かつてはメーカーがよいキャンプナイフをつくっても実際に使われるシーンが少なく、一部のマニア向けのアイテムという位置づけでした。しかし、需要の高まりとともに使いやすさや価格などライトなキャンパーニーズに応えるナイフがたくさん出てきています。

選択肢が多く迷ってしまうかもしれませんが、ナイフの特性を調べて、自分の使いたいシーンに適しているかで選ぶことで絞り込むことはできるでしょう。

この記事で紹介したおすすめ商品も参考にして、ぜひ自分にぴったりのナイフを見つけてください。