羽毛布団おすすめ12選｜寝具の専門家が基礎知識や失敗しない選び方を解説！

「羽毛布団が欲しいけど高そうなイメージ。安くて良いものはある？」
「コスパのいいおすすめの羽毛布団が知りたい」

軽いのに暖かくて、快適に眠れるとあって人気の高い羽毛布団。しかし、ネットや寝具店などを見てみると、いろいろな種類があり、値段も安いものから高いものまで幅広く、どれを選べばいいのか迷ってしまう人も多いでしょう。

そこで、寝具の専門家であり、上級睡眠健康指導士の資格をもつ松本康人さんに、羽毛布団の基礎知識や選び方などを教えていただきました。

your SELECT.編集部おすすめの羽毛布団12選も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

まずは、羽毛の種類や主要メーカーなど、商品を選ぶうえで押さえておきたい羽毛布団の基礎知識について松本さんに教えていただきました。

松本さんは、国内外のメーカーに勤めた経験から海外の羽毛布団事情にも詳しい

羽毛布団とは？

羽毛布団という名前は知っていても、どのような布団が羽毛布団といえるのかまでは知らない人も多いと思います。羽毛布団の定義は以下になります。

布団の中の素材に水鳥の羽毛（ダウン）を使っており、羽毛の使用率が50%以上のものが羽毛布団です。
水鳥の種類は、アヒル（ダック）かガチョウ（グース）がほとんどです。水鳥の羽毛を使用していても、羽毛と一緒に入っているフェザー（羽軸）の使用率が50%以上のものは羽根布団と呼びます。最近出回っている、水鳥の羽毛を使った布団のほとんどが羽毛布団となっています。

また、羽毛布団には、本掛け布団、肌掛け布団、合掛け布団、2枚合わせ布団の4種類があり、それぞれ使用する時期・期間が異なります。

＜羽毛布団の種類の特徴＞

羽毛の種類はおもに2つ

羽毛布団で使われる水鳥の羽毛はおもにダックとグースの2種類あります。

ダックとグースの違いは？

ダックはアヒル、グースはガチョウの羽毛です。ガチョウの方が、体長が大きいため、大きくて丈夫なダウン（羽毛）が採れること、アヒルと比べて羽毛のにおいが少ないことから、グース（ガチョウの羽毛）の方が良質といわれています。

ただし、ダウンのランクに関しては、産地や羽毛の種類に関係なく、どれだけ空気を含めるのか（かさ高）や羽毛の洗浄度合いなどによって決められ、価格にも影響します。一方で、産地やダックとグースの違いでは、そこまで価格に差は出ません。

「欧米では、ダウンの種類や産地よりもランクが重要視されています」と松本さん

ダウン率とは？

羽毛というのは、おもに水鳥の胸元から採れるタンポポの綿毛のような毛を指し、一般的にダウンと呼ばれています。羽毛布団にはダウンの他に、フェザーと呼ばれる羽軸（うじく）が付いた毛も含まれており、布団に充てんされているダウンの割合がダウン率になります。ダウン率が高ければ高いほど、布団の重さが軽くなりますが、価格も高くなります。目安として、ダウン率は85%以上であれば軽さや保温性において羽毛布団として満足できるはずです。

左2つがダウンで、一番右がフェザー。1つの布団の中に大きさの異なるダウンが充てんされている

ダウンパワーとは？

ダウンパワーは、ダウン1g当たりの体積のことを指し、ダウンの膨らむ力を示す数値です。ダウンパワーが大きければ膨らむ力が大きく、羽毛の間に空気を取り込んで少ない量でもしっかりとした保温性を発揮できます。一般的にダウンパワーは300以上のものがほとんどで、高級羽毛布団では400以上のものが使われています。

羽毛布団のキルト（縫い方）は3タイプ

羽毛布団は、羽毛が一ヵ所に偏らないように、生地を縫い合わせて羽毛が入るスペースを分けて作っており、その縫い方をキルトといいます。羽毛布団には3タイプのキルトがあります。

羽毛布団にある縫い目がキルト

羽毛布団の側生地は3種類

羽毛を包んでいる生地を側生地（がわきじ）といいます。側生地には、綿やシルクといった天然素材やポリエステルといった化学繊維などさまざまなものが使われています。羽毛は吸湿性が高いのですが、羽毛が飛び出さないように側生地が細かく編み込まれているため、羽毛布団自体はそこまで吸湿性が高いわけではありません。そのため、側生地の素材によってはムレやすくなることもあります。また、羽毛自体はとても軽いため、羽毛布団の重さは側生地の素材によって大きく変わってくるので注意が必要です。

＜おもな側生地の特徴＞

側生地の素材	特徴
ポリエステル	軽量だが、吸湿性が低い
コットン（綿）	吸湿性が高いが、やや重い
シルク（絹）	吸湿性が高く軽いが、価格は高め

おもな羽毛布団メーカーの特徴

おもな羽毛布団メーカーを特徴とともに紹介します。

羽毛布団を選ぶ際に、失敗しないためのポイントを松本さんに教えていただきました。

「リーズナブルでいい羽毛布団はたくさんあります」と松本さん

使いたいシーズン、期間で選ぶ

羽毛布団は、夏以外の3シーズンやオールシーズンで使いたい人が多いと思います。
3シーズンで使用するなら、基本的には冬場でも困らない本掛け布団がおすすめです。ただし、冬場でもエアコンなどで寝室の温度を調整できる場合や、暑がりな人は合い掛け布団でもよいでしょう。

オールシーズン使いたい場合は、合い掛け布団か2枚合わせ布団がおすすめです。2枚合わせ布団は暑い時期は肌掛け布団や合い掛け布団として使用し、冬の時期は2枚合わせて本掛け布団のように使えます。ただし、側生地が布団2枚分の重さになるので、本掛け布団1枚よりも重くなるので注意が必要です。

夏はタオルケット、冬は毛布と他の布団を組み合わせて使っているので、春秋で使える羽毛布団が欲しいという場合は、合い掛け布団や2枚合わせ布団を選ぶとよいでしょう。
夏だけ使える羽毛布団が欲しい場合は、肌掛け布団をおすすめします。

また、側生地の素材もしっかりチェックするようにしましょう。基本的には、化学繊維の方が軽いですが、吸湿性が高くムレにくい、綿やシルクなどの天然繊維の方がベター。特に、比較的暑い時期に使う肌掛け布団や合掛け布団の場合は、できるだけ天然繊維のものを選ぶようにしましょう。

「羽毛布団の側生地と合わせて、布団カバーも綿のものがおすすめ」と松本さん

保温性で選ぶ

羽毛布団を選ぶうえで一番気になるのが保温性です。基準として、ダウンの膨らむ力を表すダウンパワーが300以上であれば十分な保温性があり、400程度だとより少ない量でもしっかりと保温性を確保できます。また、ダウン率が80％以上あれば、軽くて保温性もよいでしょう。

キルトも羽毛布団の保温性に関わる重要なポイント。立体キルトや2層キルトであれば、ダウンに空気が入り込みやすいので保温性が高くなります。また、キルトのブロック数が多ければ多いほど、羽毛が片寄らずにしっかりと厚みをキープすることができるため、ブロック数は20以上あるものを選ぶよいでしょう。

価格で選ぶ

ダウンの品質の目安となるのがダウン率とダウンパワーです。高ければ高いほど質の良いダウン、低い場合はその逆になり、価格にも影響してきます。

高級羽毛布団は、ダウン率が90％以上、ダウンパワーが400以上のものがほとんどで、軽くて保温性に優れています。また、羽毛がへたりにくく、長く使うことができますが、10万円以上になることもあります。一方で安価なものは3万円以下で購入できますが、高級羽毛布団と比べると保温性や耐久性が劣っていたり、すこし重くなったりします。3～10万円のミドルクラスのものは、価格と耐久性、軽さのバランスが取れている羽毛布団になります。

また、側生地がシルクであれば高くなり、ポリエステルは比較的安いなど、側生地の素材によっても多少価格が変わってきます。

松本さんの選び方に基づき、your SELECT.編集部が厳選した羽毛布団全12種を価格帯別に紹介します。

3～10万円の使いやすい羽毛布団

しっかりと長く使えつつ、機能も兼ね備えた3～10万円の羽毛布団を紹介します。

西川のプレミアムラインながらも手を出しやすい価格に抑えた羽毛布団。ダウンは、中国の吉林省で育った良質なグースを使用。キルトは西川独自で開発したユニステークキルトを採用することで、羽毛が片寄りにくくなっています。また、ダウンにフレッシュアップ加工を施しており、羽毛の力をしっかりと引き出しています。

軽さと暖かさに優れる、ドイツ産のグースダウンを使用していながらも、リーズナブルな価格で購入できる羽毛布団。ダウンパワーは380と高級ラインにも迫る数値となっており、ダウンの充てん量も1.2㎏でふっくらとした仕上がり。5万円台ながらも高級ラインに匹敵するような保温性があります。

無印良品らしい、シンプルでスタイリッシュなデザイン。ウクライナの自然の中で放し飼いされたグレーグースのダウンを、粒子の細かい超軟水である三重県大台ケ原山系の地下天然水で洗浄。羽毛本来の膨らみを引き出していてダウンパワーは400。さらに2層キルトを採用しており、しっかりと空気を含み、1枚でも十分暖かい羽毛布団です。

ダウンが大きく保温力が高いと言われているカナダ産のホワイトマザーグースの中でもランクの高いダウンを使用。さらに2層キルトを採用していてしっかりとした保温性があります。羽毛には、ハウスダストやダニ、花粉などのアレルギーの原因を除去効果などもあるトリートメント“アレルGプラス”による加工や抗菌防臭加工などを施しているので、衛星面も安心です。

3万円以下のお手軽羽毛布団

リーズナブルな価格ながらも、しっかりと羽毛布団としての機能を備えた3万円以下の羽毛布団を紹介します。

ポーランド産ホワイトダックを使用。使用している羽毛はダウン率93％、ダウンパワーも400と保温性もバッチリ。さらに、羽毛はパワーアップ加工により、ダウンをふっくらと仕上げ、立体キルトを採用することで、ふんわりとした羽毛布団になっています。柄や色のバリエーションも多彩なので、寝室の雰囲気に合わせて選びやすいです。

1万円台ながらも、国内の職人の手で作り上げ、30ブロックのキルトを施すなど、ていねいな仕事が光る羽毛布団。襟元や足元の部分には羽毛を多めに詰めることで、冷気が入りにくくなっており、より暖かく感じられる仕立てに。ダウンは、ホワイトダックダウンを使用しており、ダウン率93％、ダウンパワー400と高級羽毛布団に匹敵する数値となっていて、コストパフォーマンス抜群です。

ホワイトダックを使用し、ダウン率93％、ダウンパワーも400以上としっかりとした保温力が期待できる羽毛布団です。側生地には、ピーチスキン加工を施していて、ふんわりなめらかな手触り。アレルギーの原因となるものを低減し、抗菌、消臭効果のあるアレルGプラス加工なども施しているので、衛星面も安心できます。

ホワイトダックを清潔かつふわふわに仕立てて使った羽毛布団。ダウンパワーも350あるので、保温性も十分。側生地には羽毛の吹き出しを軽減するために、二重縫製やダウンプルーフ加工が施されているので、羽毛布団が長持ちします。アレルGプラス加工なども施しており、抗菌防臭もバッチリです。

10万円以上の高級羽毛布団

各社の技術が詰め込まれた抜群の機能と耐久性を誇る、10万円以上の高級羽毛布団を紹介します。

世界中から良質な素材を集めて作り上げた西川のこだわりが詰め込まれたプレミアムライン。そのため、きれいで軽くてムレにくい羽毛布団になっています。羽毛は専用工場でていねいに洗浄し、羽毛の機能を最大限に引き出しており、しっかりと空気を含み、保温性もバッチリ。側生地には羽毛吹き出し防止加工を施しており、羽毛が片寄りにくくなっています。

良質な羽毛が採れる地域といわれる北緯45度以上のダウンベルト地帯で採取されたドイツ産のマザーグースのダウンを使用。そのため平均的なダウンの約1.2倍の大きさがあり、そのうえ、ダウンパワーが440、キルトも30ブロックになっているのでと保温性も抜群です。また、抗菌防臭加工を施しているので、嫌なにおいの発生源を抑えてくれます。

フランスベッドの最高級ライン“JOORYU”の羽毛布団。一番の特徴はキルト。フランスベッドオリジナルのキルトを採用しており、襟元、肩、両サイドにフィットするようになっています。また。羽毛、側生地の両方に、制菌加工やハウスダスト対策加工などを施しており、羽毛布団を清潔に保ちやすくなっています。

キルトは2層キルトを採用し、二重縫製、ダウンプルーフ加工を施すことで、羽毛が吹き出しにくくなり、しっかりと膨らみが保てるので保温性も抜群。ダウンは、品質の高さで知られるハンガリー産のものを使用。側生地は細番手の糸を使うことで、手触りもなめらかに仕上げています。

ホワイトダックを清潔かつふわふわに仕立てて使った羽毛布団。ダウンパワーも350あるので、保温性も十分。側生地には羽毛の吹き出しを軽減するために、二重縫製やダウンプルーフ加工が施されているので、羽毛布団が長持ちします。アレルGプラス加工なども施しており、抗菌防臭もバッチリです。

羽毛布団で意外と気を使うのが片づけと収納。片付けてみると思いのほか場所をとったり、収納の際に布団が痛んでしまったりといったことがよくあります。
そこで、失敗しないための片付け・収納方法のポイントを松本さんに教えていただきました。

コンパクトに片づける方法は？

布団は大きいものなので、できるだけコンパクトに片づけたいところ。しかし、羽毛布団は小さくたたみすぎてしまうと、せっかくの膨らみがなくなってしまうこともあるので注意が必要です。横に三つ折りした後に、縦に三つ折りすると手軽にコンパクトに畳めます。スペースに余裕がある場合は、横に二つ折りにして縦に三つ折りにすると、よりふんわりたためます。

あまり押しつけずに、ふんわりたたむのがコツ

Q. 羽毛布団を長持ちさせる収納方法は？

羽毛布団のシーズンが終わった後は、押し入れなどに収納すると思いますが、そのときのしまい方で、羽毛布団の寿命が変わってきます。長持ちさせるには、羽毛布団をたたんだ後に、買ったときに布団が入っていた不織布のバッグに入れて保管します。バッグを捨ててしまった場合は、風呂敷などに包んでしまうようにしましょう。

また、やりがちな失敗なのですが、収納場所がないからといって、布団圧縮袋は絶対に使わないでください。布団圧縮袋で無理やり圧縮してしまうと、羽毛が蓄えていた空気が逃げてしまい、羽毛布団が薄くなり、保温性が低くなってしまいます。必ず不織布のバッグや風呂敷などに包んでしまってください。

押し入れにしまう際は、防虫剤を入れるのを忘れないようにしましょう。中に入っている羽毛や、側生地に使われている綿やシルクは、天然素材のためどうしても虫が付きやすくなっています。虫によって羽毛がへたりやすくなってしまったり、側生地を食べられて吹き出しの原因になったりするので、防虫剤は必ず入れるようにしましょう。

不織布のバッグなどに入れてしまう。羽毛布団の上は、あまり重いものは載せないように注意

最後に、羽毛布団の購入や使用にあたっての疑問点を松本さんにお答えいただきました。

Q.羽毛布団と他の布団との違いは？

A.羽毛布団と他の布団との違いは、素材の特徴によるところが大きいです。

＜布団のおもな素材の比較＞

軽いのに保温力がある

どの布団も厚いものほど、外の寒さを遮断し保温性が高くなります。ただし、綿などの素材は、厚みを出そうとするとその分重くなってしまうという問題点があります。しかし、羽毛布団であれば、しっかりとした厚みがあっても、寝ているときにも気にならないくらいの軽さです。さらに上質の羽毛になればなるほど、少ない量で厚みが出せるので、高い保温力を発揮します。

布団の寿命が長い

羽毛は、他の素材と比べてへたりにくいため、布団の寿命は長め。ウールやコットン、ポリエステルといった素材だと寿命は5年程度が目安といわれていますが、羽毛は5年以上使えるものも多く、高級羽毛布団であれば、10年以上使えるものがほとんどです。

Q.羽毛布団は家で洗濯できる？

A.羽毛布団は家でも洗濯できます。ただし、洗濯機に無理やり入れてしまうと羽毛をつぶしてしまうため、お風呂場などで羽毛布団に軽くお湯をかけて、体積を減らしてから洗濯機に入れるようにしましょう。また、羽毛布団を洗う際は、中性洗剤を使うようにしましょう。

取り扱い表示に洗濯マークがないものは、クリーニングショップなどで洗ってもらうのがベター

Q.羽毛布団で快適に寝るには？

A.羽毛布団は、側生地の目が細かいため、そこまで吸湿性が高くなくムレやすいため、寝つきが浅くなったり、寝覚めが悪くなってしまったりすることがあります。ムレ感を抑えたい場合、羽毛布団の下に、綿素材の毛布を使うと、布団の中の湿気を調節できるので、寝覚めが良くなります。

Q.仕立て直しのタイミングは、どこで見極めればよい？

A.羽毛布団は、側生地が傷んできたら仕立て直してもらうようにしましょう。ただし、仕立て直しする場合は、少なくとも2万円程度は費用がかかってしまいます。10万円以下で買った羽毛布団の場合は、仕立て直しても羽毛がへたってそこまで長く使えないこともあり、かえって高くついてしまうこともあるので、買い替えを検討した方がよい場合もあります。

Q.羽毛布団カバーを選ぶ際の注意点は？

A.布団は寝室の中でも、大きな面積を占めているので、一種のインテリアと捉えて寝室とマッチした柄を選ぶようにしましょう。また、布団カバーの素材は、吸湿性を考えて綿素材のものを選ぶのをおすすめします。

快適な睡眠をサポートしてくれる羽毛布団。
羽毛やキルト、側生地などの違いで、10万円を超す高級なものから、量販店などでも買える1万円台のものまで、さまざまな価格帯のものが販売されています。決して安くはない買い物なので、今回紹介した選び方のポイントに注意しつつ、自分に合った羽毛布団を選んでみましょう。
そして、睡眠の質を向上させて、健康的な生活を送りましょう。