【2024年】扇風機のおすすめ13選！専門家が使用シーンや設置場所に適した選び方を徹底解説

サーキュレーターや室内干し乾燥に使う人が増え、通年で使われることが多くなっている扇風機。最近は上下左右に自動で首振りをする「3D首振り」機能や、風の質にこだわったりしたものなど、さまざまな機能を搭載した扇風機が開発されています。だからこそ購入するなら、より便利で高機能な扇風機を検討したい。そう考える人も多いのではないでしょうか。

この記事では家電ライターとして活躍する倉本春さんに、扇風機の選び方や購入前に知っておきたいことについて伺いました。

家電のプロが教える扇風機の選び方

扇風機と一口にいっても、形状や機能、風の強さ・質などが商品によって異なり、使う場所や目的によって適切なものが変わってきます。倉本さんに自分に合った扇風機を選ぶためのポイントを詳しく教えていただきました。

「扇風機を選ぶ際は、モーターの種類もチェックしましょう」と倉本さん

ACモーターは安価でシンプル、DCモーターは省電力で多機能

扇風機を動かすモーターには、AC（交流）モーターとDC（直流）モーターの2種類があります。

	ACモーター	DCモーター
風量調節	細かな調整はできない	細かな調整が可能
消費電力	多い	少ない
運転音	大きい	小さい
価格	安価	高価
1ヶ月の電気代（※）	約81〜381円	約12〜162円

※編集部調べ（1日10時間／30日間使った場合）

ACモーターの扇風機は風量の細かい調整ができません。できても3段階程度です。メリットとしては、本体価格が安いことが挙げられます。一方のDCモーターはモーターの回転数を細かく制御できるため、風量の細かな設定が可能です。またACモーターに比べて消費電力が少ないため、電気代が安くなります。

DCモーターで駆動するゼピールの「充電式DCフルリモコンリビング扇風機」。風量調整は12段階可能

導入コストを抑えたいならACモーター、機能性を求め、なおかつランニングコストを抑えたいならDCモーターを選ぶといいでしょう。

ACモーターの場合は商品の性能に差がつきづらいですが、モーターの回転数を細かく制御できるDCモーターは、いろいろな機能をもたせることができるため、各メーカーの特徴が出やすくなっています。この記事ではDCモーターの扇風機を中心に扱っています。

設置場所に合わせてタイプを選ぶ

扇風機はリビングファン、タワーファン、卓上ファンの3つに分類されます。

リビングファンは首振りの可動域が広く、広範囲に風を送ることができるため、リビングなどの広い部屋に向いています。上下左右に自動で首振りができるタイプには、室内干し乾燥に適したものもあります。

タワーファンは細長いスタイリッシュな形状で場所をとりません。洗面所などの狭いスペースに向いています。羽根が内部に隠れているので指を羽根に挟んでしまう危険がなく、子どもやペットがいる家庭でも安心して使用できるのもメリットです。

卓上ファンはその名のとおりデスクの上に置くタイプの一人用扇風機です。オフィスなどで自分専用の扇風機として使うことができます。小さな電力で駆動でき、パソコンのUSBポートから給電できるものもあります。

風の質に影響を与える羽根の形状や枚数をチェック

羽根の枚数や形状は、送り出す風の質に大きな影響を与えます。

羽根が少なければ強く重たい風に、多くなれば体への負担が少ない、やわらかい風を送ることができます。短時間の使用で涼しくなりたければ5枚以下、長くゆったりと風に当たりたければ7枚以上がおすすめです。また羽根が多くなるほど風切り音は大きくなりやすくなります。特に風量を上げた場合にその傾向が大きくなりますが、最近は静音性に力を入れるメーカーも増えています。

羽根の形状も、各メーカーがいろいろと研究している部分です。例えば、羽根を2重構造にして内側と外側とで速度の違う風を送り出すように工夫されたモデルなどがあります。バルミューダやゼピールなどが採用していて、自然の風のように予測できない不規則性を持った“1／fゆらぎ”を意識した風をつくり出しています。長時間当たっていても疲れにくいといわれています。

速い風（外側）と遅い風（内側）を同時に作り出す2重構造の羽根。2つの風がぶつかり合うことで風が生み出す渦を解消し、面で移動する風を実現

他にもシャープは蝶の羽根の形状をモチーフにした「ネイチャーウイング」を採用。風にムラが少なく、適度な風を連続的に送ってくれます。ドウシシャは「カモメファン」という、カモメの翼をヒントにした羽根を採用しています。雑気流を作らない形状で、なめらかな風を感じることができます。商品を選ぶ際は、羽根の形状にも注目するようにしましょう。

室内干しの際にも使いたいならヘッドの可動域にも注目

扇風機には左右の首振り機能が付いているものが多いですが、真上に向けられるものや、上下左右にも自動で動く「3D首振り機能」を搭載したモデルも登場してきています。このようなヘッドの可動域が広いモデルは、洗濯物を室内に干す際に乾燥を助けてくれます。室内干しでも使いたいなら、自動首振りが上下左右に対応したものを選ぶようにしましょう。

室内干しの際にも使いたいなら、自動で上下左右に首振りするものを選ぼう

使用シーンに合わせて、その他の便利機能をチェック

扇風機についている便利な機能を紹介します。使用シーンによってあるといい機能は異なるので、チェックしてみてください。

リモコン機能	広いリビングなどで使う場合、遠隔操作ができるリモコン付きのモデルが便利。専用アプリをダウンロードしたスマートフォンから操作できたり、音声操作できたりする製品も登場している。
おやすみモード	就寝時に使うモード。メーカーによって名称や機能に多少の違いはあるが、送風のリズムをコントロールしながら、徐々に風量を下げていく。冷えすぎ防止にもなる。
リズム風	一定の周期で風量に強弱を付けることで、自然の風に近づける機能。おやすみモードと連動して使われることが多い。
静音モード	風量を細かく制御することで静音性を高める機能。赤ちゃんがいる部屋や書斎などに向く。夜間に使いたい人にもおすすめ。
除菌・消臭機能	空気中の菌やウイルスを無効化し、除菌と消臭ができる。タバコやペットのにおいの消臭効果のほか、室内干しの際にも役立つ。
空気清浄機能	ホコリや花粉などの微細な粉じんを集じんして空気を浄化。アレルギーや花粉症に有効。

離れた場所から操作できるリモコンは、リビングや寝室などで活躍

扇風機のおすすめ13選

倉本さんのアドバイスを参考に、your SELECT.編集部がセレクトしたおすすめの扇風機を紹介していきます。

気になる内容をクリック

• リビングファンのおすすめ8選
• タワーファンのおすすめ3選
• 卓上ファンのおすすめ2選

リビングファンのおすすめ8選

DCモーターを使ったリビングファンのおすすめを紹介します。やさしい風を作り出すために羽根に工夫を凝らしたものや、サーキュレーターとしても使える扇風機をセレクトしました。

1913年に国産初の交流扇風機を発売してからおよそ110年。ファン送風技術には強いこだわりをもつのがパナソニック。自然の風に近づけたいという「リズム風」は、信州の蓼科高原に吹く風を計測して作り出したというこだわり。より自然の風に近い1/fゆらぎの風は、急激な体温低下を緩和。長時間あたっても疲れにくくなっています。

蝶の羽根のクビレとうねりを参考にした「ネイチャーウイング」は、回り始めた7枚の羽根が二重の軌跡を描き、14枚相当の風を送り出すことに成功。32段階の風量調整機能と合わせて、ムラの少ない、快適性の高い風を実現しています。また本機は最高111cmまで設定が可能。上向き約50度と高さ110cmのハイポジション設定で、人に風を当てずに部屋の空気を循環させることができます。

3D立体首振り機能を備え、サーキュレーター代わりに1年を通して使うことを想定して、故障の原因となるチリやホコリに強い全閉型モーターを採用。ファンガードが風の拡散を抑える独自の形状になっており、到達距離の長い気流を実現しています。涼を求めるだけでなく、サーキュレーターのように使いたい人におすすめです。

船舶用プロペラの世界トップクラスのメーカー「ナカシマプロペラ」の技術を取り入れた扇風機。羽根は海を舞うカモメの羽根に着想を得て開発されています。きめの細かいやさしい風を遠くまで運ぶことができ、その到達距離は最大22m。サーキュレーターとしても活躍してくれます。また別売りのバッテリー「GenkiPack」を使えばコ－ドレスとして持ち運んで使うこともできます。

ACモーターからタワーファンまで取りそろえる日立の、DCモーター搭載ハイエンドモデルです。8枚羽根に風量調節6段階と基本スペックは高レベル。ボタンが大きいうえに、ポールスタンドにインジケーター表示があるので、離れた場所からの視認性も高くなっています。年配の方と同居している人におすすめです。

初代「ザ・グリーンファン」は世界初のDCモーター搭載の扇風機。バルミューダが目指す「心地よい風」が、ACモーターでは作り出せなかったのが理由で、DCモーター扇風機の先駆けとなりました。2重構造の羽根は、内側の羽根から発生する遅い風が、外側の速い風を引き込み、面で広がる風を生み出すことに成功。別売りの「バッテリー＆ドック」を追加すれば、コードレス扇風機として使うことができるのも魅力です。

顔の情報をもとに人を認識する「ひとセンサー」を搭載。一人でも複数人でも、必要な範囲に、無駄なく風を送ってくれます。また、「まる、ちょき、ぱー」の3つのハンドサインで電源のオンオフ、風量アップ、首振りのオンオフといった基本操作が可能です。羽根は先端に向かって薄くすることで、空気の抵抗を低減。安定してやわらかい風を生み出すと同時に、風切り音を抑え、静音性にも貢献しています。

タワーファンのおすすめ3選

省スペースながら風力の高さを誇るタワーファン。代表格のダイソンから2機種と、日立製1機種をピックアップしました。

空気清浄機能は、密閉性の高いグラスHEPAフィルターが、PM0.1レベルの微細な粒子を99.95%除去。本体に搭載された3つのセンサーが花粉などの微細な粒子を感知し、直近12秒間の空気質をLCDディスプレイにリアルタイムに表示します。首が350度回転するので、部屋全体にきれいな風を送り届けてくれます。

天面に操作パネル、送風口上部にインジケーターと、操作のしやすい構造。温度センサーを搭載しており、室温に合わせて風量を自動で切り替えてくれるのも便利です。設置スペースが小さいタワー型であり、重さも軽いうえ、本体上部裏側に取手がついているので持ち運びがしやすいのもポイント。キッチンや洗面所など、用途に合わせて移動させて使いたい人におすすめです。

卓上ファンのおすすめ2選

暑い日にオフィスや自宅のデスクを快適にしてくれる卓上ファン。おすすめの2機を紹介します。

扇風機、卓上ミラー、フェイスライトの1台3役で使えます。風量は手動で3段階、さらに温度センサーを搭載しているので、室温に合わせて自動で切り替えることも可能です。ライトはリング状に配置されているので、ムラなく顔を照らすことができます。暑い時期以外でも、メイク用のライト付きミラーとして使えるが便利です。

ドウシシャは「カモメファン」で有名なメーカーですが、持ち運びできる携帯用・卓上用の扇風機も多数展開。この機種はコンセント式なので持ち歩きには向きませんが、そのぶんパワーは十分です。上下のスイングなので、周囲の人に風が当たることがないのがメリット。オフィスで自分専用の扇風機を求めている人におすすめです。

扇風機を買う前に知っておきたい3つのこと

人気のメーカーや、サーキュレーターとの違いなど、扇風機を買う前に押さえておきたいポイントについて倉本さんに解説していただきます。

人気メーカーの特徴と商品ラインアップ

扇風機にはさまざまなメーカーが参入しています。特にモーターの回転数が細かく制御できるDCモーター式の扇風機の登場により、メーカーごとに特徴が出やすくなりました。ここではおもなメーカーの特徴と、取り扱っているタイプを紹介します。

メーカー名	特徴	取扱タイプ
パナソニック	国産初の扇風機を開発 日本を代表する家電メーカー。1913年に国産初の交流扇風機「タイフーン」を開発し、業界をリード。自然の風に近い、「1／fゆらぎ」の風や、ナノイー技術を搭載したモデルなどがある。	・リビングファン
シャープ	プラズマクラスターで除菌&消臭 蝶の羽根をモチーフにした「ネイチャーウイング」をリビングファンに採用。またプラズマクラスターによる空気浄化・消臭機能を搭載しているのもシャープならではの特徴。	・リビングファン
シロカ	人認識センサーなど独自のアプローチ コスパのいい家電を送り出しているメーカー。音声での操作や人間を認識して無駄のない送風を実現するなど、ユニークな扇風機をを手掛ける。	・リビングファン ・卓上ファン
日立	すべてのモデルで「微風（うちわ風）」を実現 うちわで扇いだような風をめざして開発した「微風（うちわ風）」が、日立の扇風機の特徴。タワーファンやACモーター扇風機にも導入されている。	・リビングファン ・タワーファン
ダイソン	羽根のない扇風機で市場を席捲 羽根のないおしゃれなデザインの扇風機で注目を集めたメーカー。アプリに対応しており、本体をWi-Fi接続しておけば外出先から操作も可能。空気清浄機を搭載したモデルが多いのも特徴。	・タワーファン
ドウシシャ	船舶用プロペラの技術を応用した扇風機 家電を中心とした生活関連商品の総合商社。船舶プロペラの世界的メーカーの技術を取り入れた扇風機「カモメファン」シリーズは、2012年以来のロングセラーとなっている。	・リビングファン ・卓上ファン

扇風機とサーキュレーターの違い

どちらも風を送るための家電製品ですが、基本的な用途が異なります。扇風機は広い範囲に風を送り、涼しさを得ることを目的とするのに対し、サーキュレーターは直線的に風を送り出し、空気を循環させて温度や湿度を均一化にすることが目的です。最近は扇風機の中にも直進性の高い風を生みだせる、サーキュレーターとして使用できるものも増えています。

特徴／種類	扇風機	サーキュレーター
使用用途	風にあたって涼む	部屋の空気を循環させる
涼しさ	涼しい	直風に当たれば涼しい
サイズ	大きめ	コンパクト
送風距離	短い	長い
送風範囲	広い	狭い

サーキュレーター代わりに使うときのポイント

扇風機で、部屋の空気をサーキュレーターのようにうまく循環させるには、置き場所や向きを工夫する必要があります。例えば、室内より外が涼しいときには、窓を開けたうえで窓に背を向けて使い、外気を室内に取り込むようにします。反対に、室内より外が暑いときには、窓の方に向けて使い、外から入る熱気を逃すようにするのがおすすめです。

室内より外が涼しいとき：窓を開けたうえで窓に背を向けて使い、外気を室内に取り込むように

室内より外が暑いとき：窓の方に向けて使い、外から入る熱気を逃す

窓を閉めてエアコンと併用する場合は、エアコンの対角線に設置し、送風口に向けて風を送ります。

扇風機に関するよくある疑問 Q&A

扇風機にまつわる疑問について倉本さんに教えていただきました。

知っておくと便利な知識を倉本さんに教えていただいた

Q.エアコンと併用すると電気代の節約になるって本当？

A. 結論からいうと節約になります。エアコンは設定温度になるまで稼働し続ける家電です。暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へと溜まる性質を持っているので、エアコンの温度センサーが感じ取るまで時間がかかります。そこで扇風機で部屋の空気を循環させることで、部屋の温度が均一に近づき、無駄な稼働時間を大幅に減らすことができるのです。扇風機の電気代はエアコンの約1/10程度。併用しても十分、節電になります。

扇風機とエアコンを併用することで電気代の節約が見込める

Q.室内干しで扇風機を使うときのコツは？

A. まず干し方ですが、洗濯物どうしの間を広めに開けてください。次に丈の長いものを両端に、短いものを真ん中にくるように「アーチ状」に干します。
扇風機は背が低くて、なるべく上に向けられるものが理想です。洗濯物から1mほど離して、首振り設定で風を、洗濯物の下部に当てるようにすると効果的です。

衣類乾燥に向いているのは背が低くて上に向けられるタイプ。「3D首振り機能があれば、さらに効果的に乾燥させることができます」（倉本さん）

Q.就寝中に扇風機をつけっぱなしにするのはよくない？

A.扇風機の風に長時間当たると、体が冷えすぎてしまうことがあります。就寝時に使う際にはタイマーをかけ、風が体に直接当たらない向きで使うようにましょう。

おすすめの使い方は、扇風機を足元に置き、体と反対側の壁や天井に向けて回します。壁や天井でバウンドした風はやわらかく、空気の循環も生むため心地よく眠ることができます。

就寝時に使うときは、扇風機を足元に置き、体と反対側の壁や天井に向けて回すのがおすすめ

また最近の扇風機には「おやすみモード」が搭載されているものが増えています。就寝時に設定した風量を段階的に下げていく機能で、リズム風と合わせて、一ヵ所に風が当たり続けないよう工夫されています。メーカーによって名前に多少の違いはありますが、最近のDCモーター扇風機の多くに搭載されています。

「おやすみモードは月のマークであらわされていることが多いです」（倉本さん）

扇風機のAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの人気ランキングをチェック

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでは扇風機の人気商品をランキングで紹介しています。どれを買おうか迷ったときには、以下のランキングを参考にしてみるのもおすすめです。

Amazonの売れ筋ランキングへ 楽天市場の売れ筋ランキングへ Yahoo!ショッピングの売れ筋ランキングへ

まとめ

風を送るだけの家電と思われがちの扇風機ですが、各メーカーが心地よい風を送り出すために羽根の形状や枚数を研究するなど、さまざまな工夫を凝らしています。またサーキュレーター兼用タイプも登場してきているなど、目的自体も多様化しつつあります。

扇風機への買い替えを検討中の方や、買い足しをお考えの方は、ぜひこの記事を参考に、用途や希望に合った使い方ができる「扇風機」を選んでみてください。