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圧力鍋の選び方!圧力鍋専門家と料理研究家が使いやすいタイプと魅力を解説

煮込み料理やかたまり肉などの調理を短時間で仕上げることができる、圧力鍋。鍋の中に圧力をかけることで高温調理が可能になり、硬い食材も短時間でやわらかくできるのがメリットです。便利そうだとは思っても、「初心者には難しそう」と、購入に踏み切れない人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、圧力鍋研究家のさいとうあきこさんと料理研究家の村越仁美さんに、初心者でも使いやすい圧力鍋の選び方と圧力鍋の魅力、最近のトレンドまでたっぷり教えていただきました。自分にぴったりの圧力鍋を見つける参考にしてください。
※今回は、コンロに置いて使うタイプの圧力鍋についての解説です(電気圧力鍋は対象外です)。
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圧力鍋研究家(圧力なべ協議会公認)
さいとうあきこさん
調理器具メーカーの営業企画職として圧力鍋の構造、安全な使い方、レシピなどを学ぶ。その経験を生かし、圧力鍋の魅力を広く伝えたいと、圧力鍋の料理教室「うちごはんラボ」を主宰する。NHK「あさイチ」、日本テレビ「所さんの目がテン!」、雑誌「通販生活」、その他、ラジオ、デモンストレーションイベントなどにも出演。でも圧力鍋の情報やレシピを発信している。

料理研究家
村越仁美さん
だしソムリエ・豆腐マイスターなど、和の食文化に関わる資格をもつ料理研究家。家族の転勤で過ごした新潟で豊かな食材に触れたことがきっかけで、2006年に料理ブログを開設。ブログが評判を呼び、日本昆布協会昆布大使としての食育活動など、幅広く活動。圧力鍋ではワンダーシェフの公認アンバサダーとして、多数の媒体にレシピを提供している。
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目次
圧力鍋研究家が教える!圧力鍋の選び方
興味はあるけれど、どんな圧力鍋を選べばいいのかわからない人や自分に合う圧力鍋を知りたい人のために、さいとうあきこさんに圧力鍋を選ぶときのポイントを教えていただきました。

「使いやすいものを選べば、毎日の料理に活躍します!」
初心者・使いやすさ重視の人はおもり式、音が気になる人はスプリング式を選ぶ
圧力鍋は、鍋の内部が設定した圧力値になったタイミングで火力を調整する調理道具です。圧力値になったことを知らせるサインは、圧力鍋によって異なりますが、加圧方式は大きく分けて「おもり式」と「スプリング式」の2タイプがあります。
「おもり式」「スプリング式」のメリット・デメリット
加圧方式 | おもり式 | スプリング式 |
---|---|---|
イメージ | ![]() |
![]() |
メリット |
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デメリット |
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「おもり式」は、鍋ブタ上部の蒸気口に付けた圧力調整おもりで、圧力を調整します。設定された圧力に達すると、シュシュっとリズミカルにおもりが振れたり、シューっと蒸気が出るタイプがあります。
視覚だけでなく、音でも圧力がかかっていることがわかるので、初心者の方におすすめです。
「スプリング式」は、圧力が上がってくると鍋ブタについた圧力表示ピンが上がり、その表示ピンの目盛りで圧力状態を確認します。設定圧力を知らせる目盛りが見えたら、火力を弱めるので、加圧調理中はほとんど蒸気音が出ず、静かなのが特徴です。
容量(サイズ)は「家族の人数+1L」が目安
圧力鍋を選ぶ時に気にしてほしいのが、容量(サイズ)です。リットル(以下L)で表示されますが、これは「満水容量」を指しており、実際に調理できる量はこの容量の2/3(豆類は1/3)以下なので注意が必要です。
また、一般的に圧力鍋のサイズの目安は「家族の人数+1L」といわれますが、何をどのくらい作りたいかによってぴったりのサイズは異なります。以下の表をおおよその目安にしてください。
圧力鍋のサイズと調理分量の目安
サイズ | ご飯を炊く | カレーをつくる(市販ルー) |
---|---|---|
小型(2.5L) | 3.0~3.5合 | ルー1/3箱(約3皿) |
中型(3.0~4.0L) | 5.0~5.5合 | ルー1/2箱(約5皿) |
大型(4.5~6.0L) | 7.0~10合 | ルー1箱(約10皿) |
「大は小を兼ねる」と考え、大きめサイズを選ぶ人も多いのですが、個人的にはおすすめしません。なぜなら、圧力鍋の調理では作る量が増えても加圧時間を変える必要はありませんが、鍋の中の食材の量が多ければ圧力がかかるまでの時間と圧力が下がるまでの余熱時間が長くなってしまうからです。大きいサイズの圧力鍋を使うと、ついついたくさん作りがちになり、「圧力鍋を使っているのにあまり時短にならなかった」ということもあるのです。
4人家族の場合、おすすめなのは3〜4Lの中型サイズ。扱いやすいサイズで、小回りがききますし、浅型のものであれば料理の取り出しも簡単です。

左から2.5L(アサヒ軽金属 ゼロ活力なべ S)、3.0L(WMFパーフェクトプラス)、6.0L(ティファール クリプソアーチタイマー)
作動圧力は「高圧」「低圧」を切り替えられるものが便利
圧力鍋はどれも同じではなく、製品によって作動圧力が異なります。この作動圧力こそ、圧力鍋を選ぶ時にもっとも重視してほしいと思っていることです。なぜなら、作動圧力が変わると調理温度が変わり、同じ料理でも「加圧時間が変わる」からです。
鍋ブタのシールや鍋底の刻印、取扱説明書などに記載されています。製品によっては作動圧力としてではなく、調理温度で記載されているものもあります。

圧力表示の一例。このようにシールなどに小さく記載されているものも多い
作動圧力が高いほど鍋の内部が高温になるので、短時間での調理が可能です。反面、煮崩れしやすかったり、やわらかくなりすぎることもあるので、ご自身の作りたいお料理に合わせて選んでください。作動圧力と調理温度の関係がわかりにくいという方には、圧力なべ協議会のサイトに掲載されている以下の表が参考になります。
圧力と調理温度の関係と向いている料理・材料の目安

※圧力なべ協議会「圧力と調理温度の関係と向いている料理・材料のめやす」から抜粋
参考URL:https://www.aapc.jp/JPCC/pdf/poc01.pdf
1つの製品で「高圧」と「低圧」に使い分けできるタイプのものも増えており、価格的にもだいぶ下がってきています。

アサヒ軽金属の「ゼロ活力なべ」は、赤(高圧)白(低圧)のおもりを付け替える
圧力の使い分け方法は、「おもりを付け替える」「ダイヤル設定を変える」「圧力表示を見て調整する」など、製品によって異なります。かたまり肉や玄米ごはんを炊くなら「高圧」、野菜を煮崩れさせずに仕上げるなら「低圧」など、自分好みの仕上がりに調整することができます。切り替え式を選んでおけばレパートリーが広がることは間違いありません。
圧力鍋の選び方|ポイントまとめ
圧力鍋は加圧方式、容量、作動圧力に注目して選びましょう。選び方のポイントをまとめました。
- 加圧方式は、使いやすさ重視の人はおもり式、調理中の音が気になる人はスプリング式がおすすめ
- 容量は大きめではなくちょうどいいサイズを選ぶ。目安は「家族の人数+1L」
- 高圧と低圧の切り替え式なら料理のレパートリーが広がるのでおすすめ
- 高圧は丸鶏・チャーシューなどの塊肉、中圧はポトフやビーフシチューなどの煮込み料理、低圧は薄切りの肉類や小さめに切った根菜類の調理に向いている
料理研究家と圧力鍋研究家に聞く!圧力鍋の魅力とトレンド
さまざまな料理に使える圧力鍋。普段から圧力鍋を使用する機会の多い、料理研究家の村越仁美さんと圧力鍋研究家のさいとうあきこさんに圧力鍋の魅力を語っていただきました。
圧力鍋の最大の魅力はおいしい料理ができること
趣味で始めた料理ブログが評判となったことをきっかけに、さまざまな食品系の資格を取得。今やワンダーシェフの公認アンバサダーとしても活動する村越仁美さん。子どもの頃から圧力鍋と縁があったという村越さんに圧力鍋の魅力について聞きました。

「無骨なデザインになりがちな圧力鍋ですが、フタにポイントカラーが入っているおしゃれなものもあります」
――子どもの頃から家に圧力鍋があったそうですが、村越さんが実感する圧力鍋の魅力を教えてください。
母が圧力鍋の愛用者だったので、時短料理ができて便利だということは知っていました。ご飯を炊けばもちもちでおいしいし、煮物などは短時間で2日間くらい煮込んだような染み込み方をします。時短も魅力ですが、やはりおいしい料理がつくれることが最大のメリットではないでしょうか。
――これから圧力鍋を購入しようとする人たちに、選び方のアドバイスなどはありますか?
圧力鍋ビギナーの方からは、「音が怖い」という意見をよく聞きます。そういう人は音で知らせてくれるおもり式を避けがちですが、最近はおもり式でも音が小さいものも増えているので、そういった製品を選んでみてはいかがでしょう。
また洗い物がしやすい製品も今後増えると思うので注目してほしいです。電気式の圧力鍋で機能が多いものなどもありますが、初心者には使いこなしにくいかもしれません。最初はシンプルで使いやすい製品を選ぶようにした方がいいと思います。
圧力鍋があると、火を止めている時間を活用してもう一品!
圧力鍋は、鍋内部の蒸気圧を高めることによって、高温調理を可能にしてくれる調理器具。圧力鍋があることで日常生活はどう変わるのでしょうか。「圧力なべ協議会」公認の圧力鍋研究家として活動するさいとうあきこさんにお話を伺いました。

「私は浅型の圧力鍋を愛用しています」
――圧力鍋を持っている人には、「一度使うと手放せない」と熱く語る人が多いようですが、その魅力について教えてください。
圧力鍋での調理は、とにかく「火にかけている時間が短い」のが助かります。たとえば、豚の角煮などを作るときも、普通のお鍋なら下茹でだけで1〜2時間かかるところが、圧力鍋なら、加圧時間がわずか20分ほどと、火にかけている時間は、半分以下になるのです。
その他、ごはんも炊飯器よりも早くて、ふっくらつやつやに炊き上がります。しかも、圧力をかけて調理することで、普通の100度の調理では出せない味・食感が引き出されるので、手間をかけないシンプルなお料理でも、おいしくなるんですよ!だからこそ、お料理が苦手な人や初心者さんにもおすすめしたいです。
私はSサイズの圧力鍋でごはんを炊いて、Mサイズの圧力鍋でおかずを作るというように、普段から2台使いしています。
――圧力鍋があれば生活も変わりそうですね。
圧力鍋は火にかけている時間が短いのですが、火を止めた直後は、まだ圧力鍋の内部は、120度前後の高温になっています。そこから、徐々に温度が下がっていくなかで、食材にしっかりと火が通っていきます。
そのため、基本的には、火を止めてすぐにふたを開けることはできません(急冷という方法を使えば開けられます)。その時間が待てない、という方もいらっしゃるのですが、実はその時間は火を止めていても圧力鍋が料理をおいしくしてくれている時間。そう思えば、待つのも苦になりません。火を止めているので、その間にもう一品用意したり、シャワーを浴びたり、お子さんのお迎えに行ったり、ということも可能です。

圧力鍋に特化したお料理教室をしているのですが、いらっしゃる生徒さんたちは、もともと圧力鍋を持ってるけど使えないというお悩みを持たれていました。今では、毎日圧力鍋を使うようになり、鍋を収納している暇がなくなったそうです。圧力鍋を使えば、シンプルなお料理でも、時間をうまく活用しながら楽においしく作れるためご家族からも好評なんだそうですよ。
圧力鍋のトレンドを知る
圧力鍋は、密閉した鍋の中に蒸気を閉じ込めることにより、蒸気圧が高まり沸点が上昇するという仕組みを利用したもの。この仕組みを利用することは変わりませんが、時代に合わせてより安全に、より使いやすく進化しています。
最近のトレンドについてさいとうさんに聞きました。
いまやIH対応がスタンダードに
オール電化の住宅が増えてきたのに合わせて、圧力鍋もIHを含むオール熱源対応のものが主流です。以前は、アルミ素材やIH非対応のステンレスを使ったものが多かったのですが、最近はほとんどがIHに対応しています。
とはいえIH非対応のものもありますので、ご購入前にはかならず確認してください。また、昔の圧力鍋を大切に使っている方も多いのですが、圧力鍋の安全性については、日々進化しています。古い圧力鍋よりも、今販売されている圧力鍋の方が、圧力鍋メーカーが研究を重ねた結果、より安全に使えるようになっています。

現在販売中の圧力鍋は、IHを含むオール熱源対応が主流
フッ素加工製品はお手入れが簡単
圧力鍋でご飯を炊くと単時間でふっくらつやつやに炊き上がるので、「炊飯器を手放した」という方も少なくありません。でも、圧力鍋の鍋肌にご飯粒がこびりついてしまうというお悩みも。
最近増えてきた内面フッ素樹脂加工された圧力鍋なら、そのお悩みも解決します。まだ、取り入れている製品数は多くはありませんが、今後増えていくのではないかと期待しています。
フッ素樹脂加工されている圧力鍋なら、ごはんだけでなく、カレーやシチューなどもスルッと汚れが落ちるので、お手入れが簡単になるのがうれしいです。フッ素樹脂加工は、圧力調理での高温では影響ありませんが、たとえば、圧力調理前に鍋で炒めたり、焼いたり、という作業をする際、熱しすぎると耐熱温度を越えてしまうことがあり、劣化につながります。また、お手入れの際も固いものを使うと傷ついてしまうことがあるので、注意が必要です。

鍋の内部にフッ素樹脂加工をすることで、食材の焦げつき、こびりつきを防止する
圧力鍋に関するよくある疑問 Q&A
圧力鍋を上手に選んだり、使ったりするためのコツを、さいとうあきこさんに聞きました。

「圧力鍋を使いこなして、毎日の料理を楽しみましょう!」
Q. 圧力鍋を使いこなすためのコツは?
A. 当たり前の話で恐縮なのですが、ご自分の圧力鍋の取扱説明書を読むことです。圧力鍋の原理はどれも同じですが、フタの開閉の方法、圧力がかかったサインの見極め方、火力調整のコツ、お手入れの方法などは、製品によって異なります。
だからこそ、実際にお鍋を触りながら取扱説明書を読むことがいちばんの近道です。取扱説明書を見てほしいので、生徒さんには「取説はメーカーからのラブレター」だと伝えています(笑)。30台以上の圧力鍋を使った経験がある私も、初めての圧力鍋を使う時は必ず取り扱い説明書を読んでから使っています。
Q. 圧力鍋を使うにあたって、これだけは気をつけた方がいいということはある?
A. 最近の圧力鍋は、安全対策がしっかり施されているので、安全にお使いいただけます。でも、それはルールを守って使うことが前提です。一つあげると、圧力鍋で一度に調理できる分量は、食材や調味料、水、すべてを合わせて、鍋の深さの3分の2まで。豆類の場合は3分の1までと決められています。現在販売中の圧力鍋は、鍋の内側に調理量を示す目盛りがついているので、この線を超えないように注意してください。

目盛りをしっかり確認しよう
Q. 安心・安全な圧力鍋の見分け方を教えてほしい
A. 圧力鍋は、(一財)製品安全協会の安全基準をクリアした製品につけられる「SGマーク」と、消費生活用特定製品として基準をクリアした製品につけられる「PSCマーク」があります。この2つのマークは、安全な製品であることの証明であることに加えて、万が一製品の不具合などで事故などがあった場合は、消費者保護の立場から賠償措置が実施されます。鍋ブタにシールが貼られているので、確認してくださいね。そしてこのシールは耐熱性があるので、シールを貼ったまま使ってください。

左が「PSC」マーク、右が「SG」マーク。2つのマークがついている製品を選んで
まとめ
- 加圧方式は、使いやすさ重視の人はおもり式、調理中の音が気になる人はスプリング式がおすすめ
- 容量は大きめではなくちょうどいいサイズを選ぶ。目安は「家族の人数+1L」
- 高圧と低圧の切り替え式なら料理のレパートリーが広がるのでおすすめ
- 高圧は丸鶏・チャーシューなどの塊肉、中圧はポトフやビーフシチューなどの煮込み料理、低圧は薄切りの肉類や小さめに切った根菜類の調理に向いている
時間がかかる煮込み料理なども時短で作ることができ、おいしくて光熱費の節約にもつながる圧力鍋。ぜひこの記事を参考に、圧力鍋を毎日の料理に取り入れてみてください。
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