FEATURE
【一生モノ】モデル・高山都さんが10年後も使いたいもの(後編)
前編では、高山都さんが歩んできた10年を支えた愛用品をご紹介しました。後編では、40代を迎えた現在の彼女が、「これから先の10年、20年も一緒に年を重ねていきたい」と願う、未来のパートナーたちについてお話を伺います。
モデル
高山都さん
1982年生まれ。大阪府出身。モデル、執筆業、商品のディレクションなど幅広く活動し、丁寧な生き方を発信するInstagramも人気。趣味は料理、ランニング、器集め、旅行、和装。
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目次
「チーム」から次の人生へ。見送る責任まで愛するモノ選び
「最近は、モノを手に入れるときに、その子が我が家の『チーム』になじむかどうかだけでなく、手放すとき、つまり誰かへ見送るときの『第二の人生』まで考えるようになりました」
審美眼を磨き続けてきた彼女が今、選ぶのは、時間と共に価値が損なわれるものではなく、むしろ月日を重ねるほどに味わいが増していくモノ。そこには、憧れの先輩から受け取った刺激や、家族と共有する豊かな時間、そして自分自身の軸を大切にする、凛とした決意が込められていました。
モデル・高山都さんが10年後も使いたいもの①:ジョージ・ナカシマの椅子(エピソードを読む)
モデル・高山都さんが10年後も使いたいもの②:カルティエのサントス デュモン(used)(エピソードを読む)
モデル・高山都さんが10年後も使いたいもの③:PAYDAYのデニムジャケット(used)(エピソードを読む)
憧れの背中を追って迎えた「未来への投資」
リビングの窓辺で静かな光をたたえているのは、ジョージ・ナカシマの椅子。この椅子との出会いは、高山さんが心から尊敬し、憧れとしている先輩・石田ゆり子さんが愛用していることからでした。
「『生活のたのしみ展2025』で、『石田ゆり子さんがいっしょに暮らすものたち』という企画を観たんです。モノに対する愛情や審美眼が本当にすばらしくて」
リビングの角にどっしり、静かな存在感を放つ椅子
実際に香川県の工房で一点ずつ作られた椅子が届いてから、まだ1年弱。高山さんは、この椅子をあえて「ピカピカの一年生」と呼びます。
「今はまだ新しいけれど、いつか暮らしの跡がたくさんついても、『これが私たちの10年だね』と笑いながら眺められる日を楽しみにしています。この椅子は、10年後の自分を豊かにしてくれると、未来への投資なんです」
神経質にならず、日常を共にする中で生まれる深みを愛でる。そんなおおらかな付き合い方が、椅子に新しい命を吹き込んでいくようです。
モデル・高山都さんが10年後も使いたいもの①ジョージ・ナカシマの椅子
20世紀を代表するデザイナー、ジョージ・ナカシマが設計した椅子。現在は、香川県高松市にある「桜製作所」の工房で、熟練の職人により一点ずつ受注生産されている
自分の背筋をピンとさせてくれる「時を繋ぐバトン」
40歳の誕生日に、高山さんが「自分へのギフト」として選んだのは、カルティエのヴィンテージウォッチ『サントス デュモン』でした。
「昔から、前の持ち主から引き継がれてきたストーリーを感じられるヴィンテージが大好きなんです。この時計も、誰かが大切に使ってきた時間を、今度は私が人生の大きな節目に受け継いでいく。そんな『バトン』のような感覚に惹かれました」
手巻き式で、手がかかるとこも愛おしいという高山さん
とりわけ、時計は『バトン』という言葉がしっくりくるそう。
「もちろん一生使い続けるつもりで迎えましたし、ベルトの色を変えれば、その時の自分の世界観に合わせて印象も変わる。一生をかけて、直しながら使い続けていきたい名品だと思っています。でも、もし将来、私のライフスタイルが変わってこの時計を生かしきれなくなる日が来たら、その時は潔く次の方へ繋ぎたい。時計だけではなく、『私の家で眠ってしまうくらいなら、もっとこの子が輝ける場所へ見送ってあげたい』と思うんです。前の持ち主から受け継いだ物語に、私の刻んだ時間を少しだけ乗せて、また誰かの宝物になっていく。そんなモノの循環の中に自分がいられることが、とても豊かなことだと感じています」
彼女の時間を一緒に刻んでいく、タイムレスなパートナーです。
モデル・高山都さんが10年いたいもの②カルティエのサントス デュモン(used)
1904年に、ルイ・カルティエが有名な飛行士のために創ったアイコン的な時計。高山さんは手巻き式のヴィンテージモデルで、あえてマニッシュな存在感を放つメンズサイズをチョイス。大切に使用している
60年の時を超えて迎えた「夫婦のパートナー」
最後に見せてくれたのは、神戸の古着屋で見つけた1950〜60年代のデニムジャケット。すでに半世紀以上の時を刻んできた一着ですが、高山さんにとっては今も現役の一軍アイテムで、これからのパートナーでもあるそう。
「古いモノですが、驚くほど生地が柔らかくて、羽織った瞬間に体にすっとなじむんです。この『クタッと感』は、長い年月愛されてきた証。60年経ってもこれだけかっこいいのだから、これから先の10年、20年もその価値は絶対に変わらないと確信しています。デニムが似合う大人でいたい、という私自身の目標を象徴するような一着ですね」
オーバーサイズなので、サッと羽織れて便利
このジャケットは現在、夫の達郎さんと共有して楽しんでいるんだそう。
「我が家では、自分たちのチームに迎えたモノを、二人でシェアして育てていく過程を大切にしています。私が着たときのシルエットと、彼が着たときの馴染み方はまた少し違う。それぞれの生活の跡を刻みながら、深みのある藍色(インディゴ)を一緒に育てていく。そんな風にモノを通じて家族の時間を共有できることは、幸せの一つです」
驚くほど柔らかな風合いが心地よい
モデル・高山都さんが10年いたいもの③PAYDAYのデニムジャケット(used)
1950年代〜60年代に製造されたアメリカン・ワークウェア。60年以上の歳月を経て、藍(インディゴ)染めが独特のエイジング(色落ち)を遂げ、深みのある風合いに
暮らしの跡を「艶」に育てる。モノの未来までを引き受ける審美眼
情報のスピードが速い現代。SNSを見過ぎて自分の「好き」がブレそうになったとき、高山さんは立ち止まる時間を作るそう。そんな時は、向田邦子さんや白洲正子さんなど憧れの先人たちの本を読み、自分の好きなものを書き出したりする時間を大切にしています。
「トレンドを追うことは、自分を消費することにも繋がりかねない。モデルはトレンドを表現する仕事ですが、私の生き方そのものはトレンドを追わなくていいと、あるとき思ったんです。そう腑に落ちて、心がすごく軽くなりました」
「お気に入りに囲まれたこの部屋が大好き」と微笑む高山さん
「買うこと、使うこと、そして手放すこと。そのすべてに責任を持ちたい」と語る高山都さん。
彼女のチームに加わったモノたちは、10年後、どんな姿になっているのでしょうか。その輝きは、きっと彼女自身が積み重ねてきた、誠実で温かな人生そのものを映し出しているはずです。
撮影/wacci 編集・文/藤田華子
