ライフスタイルプランナーとして多くの女性からの支持を集める長屋なぎささん。彼女の身のまわりを見渡すと、そこには決意や人生のビジョンを静かに映し出すモノたちが、心地よい体温を持って佇んでいました。

REVIEWER

長屋なぎさ

ライフスタイルプランナー

長屋なぎささん

1986年 岐阜県生まれ。 ライフスタイルプランナーとして、企業のディレクションやアドバイザー、ビジュアル監修、ライフスタイルアイテムの商品企画など、幅広く活躍。 二児の母でもある。

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目次

「長く使う」と決めて買ったわけではないけれど

「実はもともと、物持ちがいい方なんです」と語る長屋なぎささん。

10年、15年と愛用しているモノが、彼女の生活には当たり前のように溶け込んでいます。しかし、それらは最初から「10年使おう!」と意気込んで手に入れたわけではありませんでした。

20代の頃は、新しいアイテムを次々と手に入れるスタイルにおもしろみを感じた時期もあったそう。しかし、歳を重ね、多くのモノに触れる中で、自分自身の好みや「日常的に使い続けたいモノ」が少しずつクリアに見え、生活を整えてきたと言います。

「モノが溢れていると、自分の思考や気持ちがぼんやりしてしまう。逆に、いまの自分に必要なモノだけに囲まれていると、自分が何が好きか、何をしたいのかなどがクリアになる。そうして、心が整う感覚があるんです」

「モノが溢れていると、自分の思考や気持ちがぼんやりしてしまう。逆に、いまの自分に必要なモノだけに囲まれていると、自分が何が好きか、何をしたいのかなどがクリアになる。そうして、心が整う感覚があるんです」

そんな彼女が「結果的に」10年愛用し続けてきたモノたち。それらは単なる道具ではなく、長屋さんの人生のビジョンや決意を映し出す品々でした。

ライフスタイルプランナー・長屋なぎささんが10年使ったもの①:ラルフローレンの白いコットンレースワンピース(エピソードを読む

ライフスタイルプランナー・長屋なぎささんが10年使ったもの②:シャネルの名刺入れ

ライフスタイルプランナー・長屋なぎささんが10年使ったもの②:シャネルの名刺入れ(エピソードを読む

ライフスタイルプランナー・長屋なぎささんが10年使ったもの③:ストウブのWa-NABE・フレンチオーブン

ライフスタイルプランナー・長屋なぎささんが10年使ったもの③:ストウブのWa-NABE・フレンチオーブン(エピソードを読む

「おばあちゃんになっても着たい」と願った、白いレース

10年以上前、表参道のラルフ ローレンで出会ったコットンレースのワンピースは、長屋さんの「未来の自分」への期待を込めた買い物でした。ハワイに住み、海外の文化に深く触れていた当時、この繊細なレースに惹かれた彼女が思い描いたのは、数十年後の自分の姿です。

レースの甘さと、クラシカルなシルエットのバランスが絶妙なワンピース

「単に甘いワンピースとして着るのではなく、将来、肌にシワが増えた時にこそ、さらっとかっこよく着こなせる女性でありたいと思ったんです。海外って、加齢もポジティブに捉える傾向がありますよね。自分もそんなふうに歳を重ねられたらと思い、期待を込めて購入しました」

薄手のコットンで、羽衣のように軽やか

お子さんが小さく、抱っこが必要な最近では出番が少なくなっていますが、手放そうと思ったことはないそう。時を経て生地に味が出て、ヴィンテージのような風合いになっていく過程さえも、彼女にとっては愛おしい変化なのです。

ライフスタイルプランナー・長屋なぎささんが10年使ったもの①ラルフローレンの白いコットンレースワンピース

約10年前に表参道店で購入。繊細なレースが特徴のロングワンピース。経年変化によるコットンの風合いの変化を、ヴィンテージのように楽しめる

独立の意志が刻まれた、シャネルの名刺入れ

ハワイで購入したシャネルの名刺入れは、独立を決めた「決意の象徴」でした。ブランドロゴを主張しすぎない、長く使える普遍的なデザインを選んだのは、当時の彼女の等身大の覚悟だったのかもしれません。当時は、それまで培ってきた人脈を通してのお仕事が多く、名刺交換の機会もそれほど多くありませんでした。それでも、ここぞという場面でこのケースを取り出すたびに、背筋がスッと伸びるような感覚があったと言います。

独立当時の彼女にとっては、少し背伸びをした買い物だったそう

「名刺交換をする頻度が高いわけではないので、いまはコンパクトなお財布として使っています。正直に言えば、収納容量など、お財布としての使い勝手がバツグンというわけではないんです。でも、それ以上に思い入れが強くて、眠らせるのではなく使っていたいと思って」

名刺交換の頻度が高くない現在は、お財布として活用

独立した当時の不安や希望、そしてこれまで大切に築いてきた仕事への想い。それを手に取るたびに初心に立ち返らせてくれるこのアイテムは、機能性を超えた価値を持つ、特別な存在であり続けています。

ライフスタイルプランナー・長屋なぎささんが10年使ったもの②シャネルの名刺入れ

独立時にハワイの店舗で購入。現在はキャッシュレス生活に合わせミニ財布として活用。レザー特有の手なじみの良さと、トレンドに左右されないシンプルさが魅力

独立時にハワイの店舗で購入。現在はキャッシュレス生活に合わせミニ財布として活用。レザー特有の手なじみの良さと、トレンドに左右されないシンプルさが魅力

誰かのために作る喜びを教えてくれた、黒い鋳物鍋

数あるキッチンの相棒のなかでも、ひと際信頼を寄せているアイテムが、10年以上前から使い続けているストウブの鍋。購入のきっかけは、現在のパートナーと暮らし始めたことでした。それまでは自分のためだけに作っていた料理が、「誰かのために作る」という視点に変わったタイミングでお迎えしたそう。

黒を基調とした長屋さんのキッチンにしっくりなじむ

「ずっと、おいしいご飯を作れるようになりたいという憧れがあって。ストウブは、そんな私にとって憧れであり、いつか手に入れたいと思っていた調理器具でした。お料理を作って、このままテーブルに出してもサマになる。日常からホームパーティーまで、大活躍してくれています」

4人分のお味噌汁を作るのにちょうどいい小ぶりなサイズ

当時は2人暮らしだったため小ぶりなサイズを選びましたが、家族が4人に増えたいまでも、この鍋は毎日の味噌汁作りに欠かせないスタメン。お子さんも「この鍋にはお味噌汁ね!」と、すっかり愛着が湧いているそうです。
使い込むほどに油がなじみ、共に歩んできた月日が味わいとして刻まれてきました。自分自身が使って本当に良かったという実感があるからこそ、新婚の友人にお祝いとして贈ることもある、彼女にとっての幸せの象徴のような鍋です。

ライフスタイルプランナー・長屋なぎささんが10年使ったもの③ストウブのWa-NABE・フレンチオーブン

10年以上前に購入。日常使いしやすい小ぶりなサイズをチョイス。鋳物ホーロー鍋ならではの保温性と、無水調理も可能な機能性で、現在は毎日の味噌汁作りを支えている

モノは、なりたい自分への輪郭を鮮明にする「道標」

インタビューのなかで、長屋さんは自身の歩みを象徴するアイテムたちを慈しむように見つめながら、こう語ってくれました。

「私にとってモノを選ぶことは、単に便利な道具を手に入れることではなく、その先にいる『なりたい自分』へのビジョンを乗せることなんです。10年前、未来の自分に期待して手にしたモノが、いまの私を支え、背筋を伸ばしてくれている。そうやって自分の想いや物語を投影できるモノだけを身のまわりに置いていくことで、不思議と自分の心もクリアに整っていくのを感じます。10年という月日は、モノが古くなる時間ではなく、そのモノが私の一部としてしっくりとなじみ、私の人生を私らしく導いてくれるための、大切なプロセスなのだと実感しています」

愛おしそうにワンピースをあてる長屋さん

自分の感性を信じ、モノに物語を投影する。長屋さんのモノ選びの軸には、自分自身の歩んできた時間を肯定し、日々の生活を慈しむ温かな眼差しが込められていました。

撮影/wacci 編集・文/藤田華子