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【一生モノ】ヘアメイクアップアーティスト・松田未来さんが10年使ったもの(前編)
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長く使い続ける「一生モノ」にはスペック以上の理由があります。モノ選びのプロ12名が、過去と未来の10年を見据えて厳選した計72の価値あるアイテムを紹介。ずっと愛着がわく一生モノ選びのヒントを提案します。
しなやかに、自分自身を慈しみながら生きる姿が、多くの女性から支持を集めている松田未来さん。「誰かの正解ではなく、自分の考えを大切にする」という軸は、日々の暮らしの中で選ぶモノにも自然と反映されています。前編では、未来さんが長年愛用するアイテムを通して、心地よい暮らしをつくるモノ選びや、背景にある価値観について伺いました。
ヘアメイクアップアーティスト
松田未来さん
兵庫県出身。株式会社きじま代表取締役。コスメブランドrihkaディレクター。美容業界に20年以上携わり、ヘアメイクとしての専門知見を生かしたプロダクト開発や撮影ディレクション、オンラインコミュニティの主催など、多岐に渡り活動。2026年6月には2冊目となるエッセイ集『私が私を生きる「余白」の美学』(双葉社)を発売。
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目次
昔から備わっていた、先のことを見据えたモノ選び
好きなモノに囲まれた素敵なお部屋で、愛猫のマドレーヌとおだやかに暮らす未来さん。物持ちはいい方だといいますが、どんな基準でモノを選んでいるのでしょうか?
「ときめきだけではなくて『使っているところが想像できるか』を大切にしています。洋服なら着ている自分をイメージして、『タンスの肥やしにならないか?』と自問自答しますし、お皿だったら使うシーンや盛る料理を具体的にイメージします。そのうえで気分が上がる、かわいく見せてくれる、生活を豊かにしてくれる、など“自分や暮らしがちょっとよくなるモノ”を選んでいますね」
「もうひとつは『長く使えるか』という視点。自分の気分が変わって買い換えるならいいのですが、もっと長く使いたかったのに壊れてしまうのは悲しいな、と思うんです。だから安いからといって購入することはなく、多少値が張っても長く使えるモノを選ぶようにしてきました。『長いスパンで見たらこの値段は見合っているな』という投資的な視点は、昔から持っていたと思います」
長い目で価値を捉える視点は、物持ちのよさにもつながっています。今回は、未来さんが10年以上愛用してきた3つのアイテムについて、エピソードを語っていただきました。
ヘアメイクアップアーティスト・松田未来さんが10年使ったもの①:A.P.C.のキルトクッション(エピソードを読む)
ヘアメイクアップアーティスト・松田未来さんが10年使ったもの②:エルメスの名刺入れ(エピソードを読む)
ヘアメイクアップアーティスト・松田未来さんが10年使ったもの③:ストウブのピコ・ココット ラウンド(14cm)(エピソードを読む)
愛猫もお気に入り。サステナブルなキルトクッション
まず最初に紹介してくれたのは、未来さんのお部屋に欠かせない存在になっているというA.P.C.のキルトクッションです。
「A.P.C. Quilts」として展開されているシリーズで、パッチワークやキルティングといった伝統的な手仕事を現代的な感性で再解釈したプロダクト。コレクションの生産過程で生まれる端布や余剰素材を活用し、専門の職人が一点一点ハンドステッチで仕上げるなど、サステナブルな物づくりも特徴です。
腕の中に収まるサイズ感と、程よい厚みで抱き心地も良好
「『A.P.C. Quilts』のシリーズが大好きで、クッションやベッドスプレッドなど色々買い集めていました。中でもこの長方形のクッションが大好きで、何度引っ越しても手放さずにずっと使い続けています」
「もう少し大きなサイズのクッションも持っているのですが、このサイズが一番使い勝手がよくて。本を読むときに抱えるのにぴったりなんです。小さめなのがちょうどいいのか、一緒に暮らしている猫のマドレーヌもお気に入りでよくこの上で寝ています」
背面に3つ並んだボタンがかわいらしいアクセント
茶トラのマドレーヌに合わせて、お部屋の色味は茶系を基調にしているという未来さん。木の家具のぬくもりを生かした空間に、キルトのクッションがしっくりとなじみます。
「インテリアは割とシンプルにまとめているので、このクッションがさり気ないアクセントになっています。いろいろな布や柄がミックスされているのに絶妙に調和していて嫌味がない。この品の良さにはA.P.C.のエッセンスを感じられますね」
手仕事ならではのぬくもりが、お部屋にそっとやすらぎをもたらしてくれるA.P.C.のキルトクッション。これからも未来さんとマドレーヌにやさしく寄り添い、暮らしに彩りを添えていくことでしょう。
ヘアメイクアップアーティスト・松田未来さんが10年使ったもの①A.P.C.のキルトクッション
昨年15周年を迎えた「A.P.C. Quilts」シリーズのクッション。茶色を基調に、柄やアクセントカラーを絶妙に配したデザインと、職人によるハンドステッチならではのぬくもりある風合いが魅力
タイムレスな魅力が宿る、エルメスの青い名刺入れ
関西のヘアサロンで美容師として経験を積んだ未来さん。約10年前、独立と上京という人生の節目に手に入れたのが、エルメスの名刺入れでした。
「独立してヘアメイクとして頑張っていこう、というときだったので、理想として思い描く女性が持っているような、自分に自信を与えてくれるような名刺入れが欲しくて選びました」
出し入れの所作にまで品格を添える、エルメスらしいミニマルなデザイン
「当時はコロナ禍前だったので対面でご挨拶する機会が多く、名刺入れが大活躍でした。自分にとっては緊張する場面でも、この名刺入れがあると不思議と心強く、自信を持って振る舞うことができたんです」
「そのときの気分だった」という明るいブルーも、前向きな気持ちを後押ししてくれました。
「エルメスがつくる色は、鮮やかな色でもどことなく品があったり、長く使っていても飽きがこないところに惹かれます。普段はカラー物を選ぶことに慎重ですが、エルメスだったら挑戦してみよう、と思うほど信頼を置いています。中でもエルメスのブルーは特別に惹かれる感覚があって。当時は直感で選びましたが、今でも変わらずに素敵だなと思います」
スナップボタンでスムーズに開閉でき、シンメトリーな両側ポケットで使い勝手も抜群
独立以来、新たなステージを共に歩んできた親友のような名刺入れ。新しい役職に就いたタイミングで、新調しようか迷ったこともあるそうですが、「やっぱり自分にはこの名刺入れがしっくりくる」と再確認したそう。
「10年愛用してきたことで、少し革がやわらかくなってより手になじむ感じもありますし、今まで一緒に頑張ってきた記憶も重なって、感慨深い気持ちになります。こんなにも好きの温度が変わらないものって貴重だと思うので、これからも大切にしていきたいですね」
ヘアメイクアップアーティスト・松田未来さんが10年使ったもの②エルメスの名刺入れ
エルメスを代表するカードケース「カルヴィ」。一枚革を折り紙のように仕立てたシンプルで美しい構造。流行に左右されないタイムレスな佇まいで、上質なレザーの魅力を存分に堪能できる
一人暮らしの食を支えてくれた、20年来の小鍋
暮らしの中で食事をとても大切に考えている未来さん。おいしくて身体にやさしいものを食べたいので、基本的には自炊がベース。そんな彼女の暮らしをずっと支えているのがストウブの鍋です。
ちょうど一人分のお味噌汁やスープを作るのにぴったりのサイズで使いやすい
「20歳で一人暮らしを始めた際に購入したのがストウブの『ピコ・ココット ラウンド』です。これから自炊をしていくうえで丈夫な鍋が欲しくて、小さなものから挑戦してみようと14cmサイズを選びました。いずれサイズ違いや形違いのストウブ鍋を買い足すことも想定し、色は黒かグレーで統一したいと思ってグレーを迎えました」
「購入した当時は、レシピ本を参考にして料理をするのにハマっていました。ストウブのレシピ本もたくさんあるので、鍋ひとつでできる料理をいろいろ試したり、このままオーブンにも入れられるのでグラタンもよく作りましたね」
14cmサイズは、ゆで卵や少量の揚げ物を作るときにも便利で大活躍
「家での食事は、素材そのもののおいしさをシンプルに味わうような食べ方が好きなんです。アクアパッツァのように魚の旨みを生かした料理や、野菜の水分だけで仕上げる料理、味付けも塩とオリーブオイルだけみたいな。そういう料理に、ストウブの鍋がとっても向いているな、と思います。密閉性が高いので、食材の水分だけでもしっかり調理ができて、味がぎゅっと濃く仕上がる。料理の知識や技術がなくてもおいしく作れるので、私の生活になくてはならない存在です」
現在では5つほどのストウブ鍋を所有しているそうですが、ピコ・ココット ラウンドは出番の多い定番として重宝しているといいます。これからも未来さんの食を支える心強い味方として活躍していきそうです。
ヘアメイクアップアーティスト・松田未来さんが10年使ったもの③ストウブのピコ・ココット ラウンド(14cm)
少量調理に適した鋳物ホーロー鍋。高い保温性と密閉性で食材の水分と旨みを引き出し、無水調理や煮込み、蒸し料理までおいしく仕上げられる。器として食卓に出してもサマになり、料理を入れたまま冷蔵保存も可能
長く使うほどに実感する「ホンモノ」の価値
価格で判断せずに、長い目でモノの本質を見つめる価値観は、昔から変わらないという未来さん。改めて10年以上愛用してきたモノを見ながらこう語ります。
「A.P.C.のクッションも、エルメスの名刺入れも、ストウブの鍋も、見た目の美しさやかわいさだけでなく機能的にも優れていて、毎日使ってもストレスがない。その心地よさが、長く手放せない理由なんだと気がつきました。もちろん、もっと手頃なものもあります。でも、どれも価格に見合うだけの価値があり、時間が経っても色褪せない魅力があります。改めて、信念をもった物づくりの確かさやすばらしさを教えられたような気持ちです」
凜とした佇まいには「誰かの正解ではなく、自分の考えを大切にする」という生き方が表れている
未来さんの審美眼によって家に迎えられた「ホンモノ」たち。これからはどんな風に付き合っていくのでしょうか?
「モノ選びにはこだわりがありますが、使い始めたらそこまで神経質ではないんです。ソファも猫が爪を研いだりしますが、全然気にならなくて。必要であれば長く使うためのお手入れはしますが、多少の使用感は気にしません。暮らしの中で自然に使い込まれた証だと思うので、そういう変化も含めておおらかに付き合っていきたいですね」
10年以上を共に過ごしてきたアイテムは、これからも日常の思い出を刻みながらゆっくりと味わいを深めていくことでしょう。
撮影/wacci 編集・文/豊泉陽子
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