KITCHEN
食洗機の選び方を家電ライターが解説!工事不要のタンク式と分岐水洗式を比較

手洗いよりも汚れが落とせて、洗う手間も省ける便利な家電・食洗機(食器洗い乾燥機)。工事なしで賃貸住宅でも設置できるタンク式や分岐水洗式が気になっているけれど、性能や設置方法などがわからず選び方に迷っている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、家電ライターのコヤマタカヒロさんに、食洗機の基礎知識と食洗機の選び方を解説していただきました。自分の条件に合った食洗機を選ぶ参考にしてください。
▼おすすめ商品を知りたい方はこちら


家電ライター
コヤマタカヒロさん
パソコンやデジタル機器、家電商品について、幅広く執筆活動を展開しているデジタル家電ライター。企業のアドバイザーやコンサルタントとしても活動しており、主要なモデルは実際に使用したうえで、用途や使用者の属性も考えてアドバイスしています。
本記事は、提携する企業のプロモーション情報が含まれます。掲載するサービス及び掲載位置に広告収益が影響を与える可能性はありますが、サービスの評価や内容などはyour SELECT.が独自に記載しています。(詳しくはAbout Usへ)
目次
選ぶ前に知っておきたい食洗機の基礎知識
商品を選ぶ前に押さえておきたい食洗機の基礎知識についてコヤマさんに伺いました。

「食洗機は使ってみると実に便利で、あるのとないのとでは家事効率に大きな差が出ます」とコヤマさん
食洗機は分岐水栓式、タンク式、ビルトイン型の3種類
食洗機は設置の仕方の違いから、分岐水栓式、タンク式、ビルトイン型の3つに大きく分けられます。それぞれの特徴について解説します。
食洗機の種類と特徴
分岐水栓式 | タンク式 | ビルトイン型 | |
---|---|---|---|
イメージ | ![]() |
![]() |
![]() |
特徴 |
|
|
|
省スペース | |||
設置しやすさ | |||
洗える量 | |||
給水しやすさ |
分岐水栓式の食洗機は蛇口(水栓)の近くに設置するため、水栓周辺に設置スペースが必要となります。取り付けの際には簡単な工事が必要で、水栓の仕様や食洗機の機種によっては取り付けられない場合もあります。事前に十分に確認しましょう。

分岐水栓式は給水の手間がなく便利だが、蛇口(水栓)の近くに設置する必要がある
タンク式は設置場所の自由度をもたせるために開発された食洗機です。タンク式の登場により、これまで設置スペースの問題で購入を諦めていた家庭でも、食洗機を設置できるようになりました。手動でタンクに給水を行う手間はありますが、購入したその日から手間なく使用できるのは大きな利点です。

コンパクトな製品が多いタンク式だが、工事なしですぐに使い始められるのが魅力
ちなみに分岐水栓式とタンク式の食洗機に付属している排水ホースは、どれも1m程度。シンクに排水できるのが理想ですが、タンク式では排水用にバケツなどを用意して対応することも可能です。
最近ではタンク式と分岐水栓式のどちらも使える2WAYタイプも数多く出回っています。最初はタンク式で使い始めてみて、生活スタイルや状況の変化によって自動で給水したいと思い立ったときに、分岐水栓式に切り替えるということも可能です。

圧倒的な収納容量を誇るビルトイン型は後から取り付けるのにはハードルが高い
ビルトイン型は、基本的に最初からシステムキッチンに組み込まれているタイプの食洗機のため、後から取り付けるには大掛かりな工事が必要となります。大容量で高性能なタイプが多いですが、賃貸の場合には設置が難しいでしょう。
分岐水栓式の設置について
分岐水栓式の食洗機を設置する場合は、既存の水栓から食洗機へ水やお湯を分岐させるための部品を取り付ける必要があります。DIYで取り付けられる簡単な作業なので「工事不要」とされていますが、もともとの水栓に合った分岐金具を購入しなければなりません。
また、分岐金具の取り付けを業者に頼むと数万円程度の費用がかかるので、分岐水栓式の食洗機を購入する際は水栓を分岐させることが可能か、自身で工事ができるのかの2点に注意しましょう。
食洗機の便利な機能
最新の食洗機にはエコや節約などを中心に便利な機能が搭載されています。特徴をチェックして、ほしい機能の付いたものを選びましょう。
食洗機の便利な機能と特徴
機能 | 特徴 |
---|---|
タイマー機能 | 電気代が安い時間帯に運転するようにタイマーで運転時間をセットできる |
スピード洗い | 予洗い後や汚れが少ない場合などに使用。洗浄時間を短縮して電気代の節約ができる |
エコモード | 洗浄で使うお湯の温度を調整して電気代を節約 |
強力コース | 「洗い」「すすぎ」「乾燥」の時間が長く、温水の温度も高め |
少量コース | セットする食器が少ないときに使用。すすぎ回数を減らして時間の短縮と節水を実現 |
乾燥 | すすぎ後にヒーターによる乾燥を行う |
庫内洗浄モード | 汚れのたまった庫内をきれいに洗浄できる |

水滴をふき取る手間をなくしたいなら、乾燥機能付きの食洗機がおすすめ
食洗機の人気メーカーの特徴
販売メーカーごとの傾向を知っておくと、選ぶときに役立ちます。分岐水栓式とタンク式の食洗機で人気のメーカーの特徴について解説します。
工事不要な食洗機の人気メーカーの特徴
メーカー | 取り扱いタイプ | 特徴 |
---|---|---|
Panasonic | ・分岐水栓式 ・タンク・分岐水栓併用2WAY |
少人数向けから大家族向けまでそろう豊富なラインナップ。コンパクトなプチ食洗や、ナノイー照射の除菌効果などを備えた機能性の高い食洗機が選べる。 |
シロカ | ・タンク・分岐水栓併用2WAY | 「トルネード除菌洗浄」や「UV除菌」、洗浄が完了した後に自動でドアが開く「オートオープン」など、独自の機能を搭載。付属のバケツから自動で水をくみ上げる独自の「自動給水式」を採用したタイプもある。 |
AQUA | ・分岐水栓式 | 「暮らしをもっと心地よく」をコンセプトにした食洗機は、高圧水流での洗浄や、72℃の温水ですすぐ高温除菌モードを搭載。ステンレスウォールの庫内は耐久性も良く、手入れがしやすいので衛生的に使用できる。 |
サンコー | ・タンク式 ・タンク・分岐水栓併用2WAY |
コンパクトですぐに使用できるタンク式に特化。食洗機市場には後発で参入したが、高温タンク式の中では圧倒的な洗浄力を誇ると評判が高い。3万円を切る低価格と、専用ラックや給水ジャグなどのオプション展開の豊富さも魅力。 |
アイリスオーヤマ | ・タンク式 | 必要最低限の機能に絞り、販売価格を抑えた商品展開を実現。購入しやすい価格、シンプルな操作性とデザインが特徴。現在はタンク式のみ取り扱っている。 |
AINX | ・タンク・分岐水栓併用2WAY | 汚れを確実に落とす高温×高圧の360°回転洗浄で、ガンコな油汚れもピカピカに。LED UVライトと最高75℃の温風乾燥機能で、気になる雑菌を99.9%(自社サイトより)徹底除菌する。 |
エスケイジャパン | ・タンク式 | 「水切りカゴのように手軽に使える卓上型食洗機」をキャッチコピーとした、コンパクトな正方形食洗機。背面の水タンクだけ取り外して給水できるのも他にはない特徴のひとつ。 |
家電ライターが教える工事不要の食洗機の選び方
工事不要で使える食洗機、分岐水栓式とタンク式の選び方について、コヤマさんに教えていただきました。

「食洗機はサイズが大きく、固定の設置場所が必要です。まずはキッチンに置けるかどうかを確認してください」
置き場所で選ぶ
システムキッチンに組み込まれているビルトイン型と違い、タンク式、分岐水洗式の食洗機は、設置場所を確保することが必要です。シンク横、カウンター、ラック・ワゴンのうちどこに設置するのかによって、選ぶべきものは変わってきます。以下の注意点をチェックして、設置できるサイズのモデルから選びましょう。

分岐水栓式は水栓からホースを使って給水するため、水栓から遠すぎる場所に設置することはできません。キッチンの構造や広さによっては、本体の設置場所がホースの接続に届かないなどの理由で、タンク式しか選択できない場合もあります。また、付属の排水ホースは約1mのものがほとんどなので、シンクに届くかどうかもチェックしましょう。
一人暮らしでワンルームなどの狭いキッチンの場合は、シンクの上にラックを設置したり、移動できるワゴンを活用するなどして工夫するといいでしょう。キッチンカウンターに置く場合は、高さにも注意して置き場所を考えましょう。
また、扉がスムーズに開閉できる場所に設置できるのかも重要なポイントになります。前開きの場合は、開いたときに蛇口に当たらないかなどもチェックしておきましょう。扉が上下にスライドするタイプもあるので、それぞれ周辺の空間サイズを事前に確認しておくことが大切です。
収納容量で選ぶ
食洗機を選ぶ際には、一度に洗える容量をチェックしておきましょう。「~人用」と目安の人数を示しているモデルもあるので、参考にするといいでしょう。一人当たりの食器点数は7点程度が目安です。1〜2人用モデルなら食器点数15点程度、4人用モデルなら30点前後を一度に洗浄することが可能です。
容量の目安を無視して食器を庫内に詰め込んでも、温水がうまく当たらず汚れが落としきれないということになりかねません。洗いたい食器の量に対して容量が小さすぎず、カゴがスライドしたり箸やボトル用のスタンドがあるなど食器が入れやすい工夫があるのもポイントになります。

「カゴに小物立てなど小物収納用の工夫があると、格段に使い勝手が良くなります」
洗浄力で選ぶ
食洗機で汚れをしっかり落とすには「奥行き」が重要です。奥行きがある食洗機は噴射された温水がすみずみまで行き渡り、油汚れまでしっかり落とせます。コンパクトな作りで横幅が狭くても、庫内の奥行きがある製品なら、洗浄力も期待できるでしょう。
洗浄力そのものについては、各メーカーで「水流」と「水温」の部分で独自の機能を備えています。
水流を複雑化させて食器の重なった部分の汚れ落ちをアップさせたり、高濃度の洗剤で予洗いしたりと、さまざまな工夫がみられます。
洗浄方式も、下部に回転式の吹き出し口があり高速で天井にぶつけて洗う方式や、上下2段ノズルの採用、全工程において上段・中段・下段から可変的に高圧水流を吹き付けることで洗浄力を上げるものなどがあります。
また、多くの機種は水温70℃以上で洗浄を行いますが、特に油汚れが多くでる家庭では、さらに高めな設定温度がある機種を選ぶといいでしょう。
食洗機の選び方|ポイントまとめ
食洗機は設置スペースに合ったサイズのモデルから、収納容量や洗浄力もチェックして選びましょう。選び方のポイントをまとめました。
- 置き場所に合ったサイズやドアの開き方のモデルを選ぶ
- 一度に洗える食器点数や目安の対応人数など収納容量をチェック
- 洗浄力は庫内の広さや洗浄方式・機能で決まる
食洗機に関するよくある疑問Q&A
食洗機に関する気になる疑問について、コヤマさんにお答えいただきました。

「食洗機を使用した後は、残さいフィルターの掃除をしましょう」
Q. 食洗機の寿命ってどれくらい?
A. 長くて10年くらいだと思います。使用頻度が高いと5年程度で壊れることもあります。食洗機は稼働部である排水弁が詰まり壊れることが多いです。5年くらい使うと、一度修理が必要になる傾向があります。
食洗機は壊れてしまうと、自分では簡単には直せません。修理には出張費もかかり、高額になってしまうこともあるため、長く使用したい場合は保証を付けておくことも大切です。
Q. 食洗機のお手入れ方法は?
A. 運転終了後には、必ず「残さいフィルター」をお掃除してください。
食器についた食べ物のカスをキャッチする役割の残さいフィルターが目詰まりしていると、食器をきれいに洗えなくなったり、異臭が発生したりすることもあるので、使用のたびにカスを取り除くようにします。
また、週1回程度は、庫内を水拭きした後に乾いたふきんなどで拭き上げ、カビの発生を防ぎましょう。月1回程度は食洗機専用のクリーナーを使って庫内の洗浄を行えば、ヌメリやにおいを除去、除菌もできて安心です。

「残さいフィルターはこまめに掃除して清潔に保ちましょう」
Q. 食洗機にかかる電気代の目安は?
A. 容量や使用するコースにもよりますが、1日2回の使用で月1000~1800円程度です。
また、食洗機の場合、手洗いと比較すると使用する水の量が大幅に節約できます。しかし、食器の量が少ない家庭だと、食洗機を使用するより手洗いの方がコストを抑えられる場合もあります。
Q. 食洗機で使用する洗剤は?
A. 必ず食洗機専用の洗剤を使用してください。食洗機で普通の洗剤を使用すると、故障の原因になることがあります。食洗機で泡立ちの良い洗剤を使用すると庫内が泡だらけになり、故障してしまうことがあるため、食洗機専用の洗剤は泡があまり立たないようになっています。
食洗機専用洗剤には以下のように種類がありますので、お好みや使用頻度で選びましょう。
食洗機専用洗剤の種類と特徴
種類 | 特徴 |
---|---|
粉末タイプ | ・比較的安価 ・すすぎ残りが発生しやすい |
液体タイプ | ・種類が豊富 ・洗剤の溶け残りやすすぎ残りが出にくい |
タブレットタイプ | ・計量の手間が省ける ・コスパがあまり良くない |
Q. 食洗機で洗えないものは?
A. 食洗機は高温で洗浄するため、熱に弱いものは基本的に洗えません。
以下のような素材やデザインが繊細なものは避けた方が無難です。
ただし、食洗機には、高熱や高圧な水流に弱いプラスチック製品などを洗浄できるコースを搭載したものもあります。
食洗機で洗えないもの
- 木製品、漆器
- 金・銀メッキ、金箔
- 銀、アルミ、銅
- 高級ガラス食器・グラス
- プラスチック(ソフトコースであれば洗える)

洗えない素材の食器は入れないように注意しよう
まとめ
- 食洗機にはビルトイン型、分岐水栓式、タンク式の3種類があり、工事不要で使えるのは分岐水栓式とタンク式
- 容量、性能、デザイン、価格帯など、メーカーによって傾向がある
- 食洗機はまずは置き場所で選び、容量と扉の開き方や洗浄力もチェックする
- どこにでも置けることを優先するならタンク式
- 食洗機としての性能、使い勝手を優先するなら分岐水栓式が最適
賃貸住宅でも使えて便利な、分岐水洗式とタンク式の食洗機。この記事を参考に、置き場所や容量などをしっかりチェックして、自分に合ったものを見つけてくださいね。
▼おすすめ商品を知りたい方はこちら

LATEST
このカテゴリーの最新記事