【2023年】ビジネス書のおすすめ20選！定番の名著から話題の人気本まで書評メディア編集長が紹介

「ビジネス書はたくさんありすぎてどれから読めばいいのかわからない」
「20代、30代で読んでおくべきおすすめのビジネス書が知りたい」

ひと口にビジネス書といっても、テーマや内容は千差万別です。それぞれのキャリアや仕事の状況に合ったビジネス書を見つけるのは相当大変なこと。しかし、今の自分に本当に適したビジネス書と出合えれば、あなたの仕事やビジネスを劇的に変えてくれることでしょう。

この記事では、ビジネス書の書評・要約まとめサイト「bookvinegar」の編集長である坂本海さんに、ビジネス書の選び方や読み方、おすすめのビジネス書についてお話を伺いました。

また、坂本さんおすすめのビジネス書を目的別に20冊ご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

まずは、自分に合ったビジネス書に出合い、読後の効果を高めるための方法について坂本さんに伺いました。

ビジネス書の選び方

ビジネス書はさまざまなテーマのものがあり、数多く発刊されています。とにかく時間がないビジネスパーソンは、無駄な時間を過ごさないためにも、選び方がとても重要です。
ここでは、世代や立場別に選び方のポイントをお伝えします。

若手社員（20代）のビジネス書選びのポイント

キャリアの浅い20代のビジネスパーソンがまず読むとしたら、ビジネスの原理原則や物事の捉え方について書かれている本を選ぶとよいでしょう。顧客は何を求めており、企業は何をすべきか。利益とはどのように増やしていくものなのか。そうした、ビジネスをするうえで根本となるようなしくみ、スキル＝ビジネスの原理原則を知ることで、今後のビジネスにおける成長具合が変わってきます。

ほかにも、著名なコンサルティングファームで活躍するコンサルタントの書いたものにも注目してみるといいでしょう。論理的思考力について整理されているので、これからのビジネスの土台となる考え方の枠組みが身につくはずです。

中間管理職（30～40代）のビジネス書選びのポイント

仕事をバリバリとこなし管理職として奮闘する30～40代の方は、ひとつ上の目線のビジネス書を選ぶのがポイントです。

ふだん自分の行っている仕事の目線、立ち位置、役職など、20代の頃と比べれば、当然上がります。そこから“見える”物事をより理解するために、さらに上の目線を学んでおく必要があります。例えば、経営層の考え方も理解しておくために、経営戦略の本などを読んでおくとよいでしょう。

また、中間管理職はメンバーを束ねて、部署やチームでの成果を求められるため、マネジメントの本を読むべきです。

経営層・経営者（40代以上）のビジネス書選びのポイント

経営層や経営により近い立場の管理職の方々は、他社の経営者が書いた本を読むとよいでしょう。

キャリアを重ねると、仕事の進め方がある程度自己流となってくる部分も多いはずです。他の会社の経営者が書いた本を読むことで、多様な視点からの知識や参考事例を得ることができ、経営術のさらなる向上につながります。

また、経営者は大局を見て判断を下さなくてはいけないため、社会の変化やトレンドには敏感であるべきです。仕事に直接関係がなくても、メタバースやWeb3、SDGsなど、旬のテーマの本は手に取るようにしたいものです。

これから入社する学生（20代前半）のビジネス書選びのポイント

社会人になる前のビジネス書初心者の大学生が読むとすれば、若手社員と同様に、物事の見方や思考法に関する本がよいでしょう。論理的思考ができるかは、就職活動の面接ではもちろんのこと、入社後の仕事ぶりにも直結します。入社後、すぐにビジネスパーソンとして活躍できるように、できるだけ早い段階で準備しておくことが大切です

ビジネス書の読み方

ビジネス書から最大限学びを得るために読み方のポイントを知っておきましょう。

自分の現状や改善点をしっかりと把握したうえで読む

ビジネス書を読む前に、自分のビジネススキル、今後のキャリアの方針を振り返ったうえで、改善点や目標をできるだけ具体的に挙げていきます。そのうえでビジネス書を読めば、自分にとってより有益な情報や知識を得ることができます。

ビジネス書を読んでいれば、「こういう考え方をすればよかったんだな」と思い返すことが多々出てくるでしょう。逆に、仕事中に「このシーンの対応は本に書いてあったな」と思い出すこともあります。ビジネス書は自身の仕事に照らし合わせながら読むと、理解がより深まります。

ビジネス書を読み、実践し、ビジネス書で振り返ることでスキルアップする

知識を縦に深掘りしていくことに時間を費やす

ビジネス書の内容をしっかりと理解するのには時間もかかりますが、その時間は、知識を縦に深掘りしていくための時間です。通勤中の電車内や湯船に漬かっているときなど、直接ビジネス書を読んでいない時間も、内容について考えてみましょう。

時間を置いたり、環境を変えたりすることで、読んでいたときより考えが深まることもあるため、インプットの質が高まります。

本記事でのあなたに合ったビジネス書の探し方

本記事では、ビジネスに関連した目的別におすすめの1冊を紹介しています。まずは、ふだんから自分の弱点だと認識しているテーマの本を読んでみてください。
一方で、自分の強みと思われるテーマも、「必要ない」と思わず、チェックしてみましょう。強みのスキルはより精度を増し、武器となります。

事業戦略	アイデア	マネジメント	マーケティング	ロジカルシンキング
コミュニケーション	交渉力	伝え方	教え方	仕事の効率化
人間関係構築	リーダーシップ	自己コントロール	働き方	転職
経営者の働き方	経営術	管理職の役割	若手社員と仕事術	人間力

※下記で各テーマのおすすめを紹介しています

立場や目的別に坂本さんが厳選したおすすめのビジネス書20冊をご紹介します。自分が読むべきビジネス書を探してみましょう。

Uberの元マーケティング責任者が書いたビジネス書です。徐々に規模を拡大していき、世界中で使われるようになったネットワークサービスであるUberやAirbnbなどを、ユーザーがいない状態からどうやって成長させたかを解説しており、スタートアップや新規事業を進めるうえで大事なことを知ることができます。

また、著者は現在ベンチャーキャピタルで働いており、そこで関わってきた企業が事業を0から1にし、1から10に成長させた事例も紹介されています。事業を広げていく戦略を体系的に知ることができる、経営者におすすめの一冊です。

アイデアがかたちになる過程において「アイデアをひらめくこと」が占める割合は1％ほど。本書はひらめいたアイデアを「実現する力」をテーマにした本です。アイデアを実現するために必要である、①アイデアを整理する力 ②仲間を引き込む力 ③引き込んだ仲間たちを統率する力について、それぞれの必要性と発揮していくための手法について解説しています。

著者はCPU世界最大手インテルの元CEO、アンディ・グローブ。後進の起業家、経営者、管理職に向けて書いたマネジメントの解説書です。巨大企業のトップとして経験を積み重ねてきた、チームでアウトプットを高めるためのマネジメント手法が紹介されています。

マーケティングの際に行われがちな定量的なアンケート調査などでは、人の心をつかむアイデアは生まれません。タイトルどおり、1人の顧客の意見を通して見つかるサービスの魅力こそが強度のある「アイデア」であり、その分析方法から戦略まで解説されています。マーケティングにおいて本当に大事な考え方、手順が書かれているので、事業拡大を目指す経営者にとって参考になる一冊です。

世界屈指のコンサルティング企業であるマッキンゼーが行っている問題解決のプロセスと手法を紹介しています。タイトルにある「完全無欠の問題解決」の方法は、7つのステップで構成されており、あらゆるタイプの問題に応用できる実用書です。

IT界の巨人――スティーブ・ジョブズ、エリック・シュミット、ラリー・ペイジたちの共通の師であるビル・キャンベルのコーチング手法が紹介されています。エリック・シュミット自身も執筆に参加。コミュニティとして機能するチームのつくり方がわかります。

著者はビジネス・ブレークスルー大学経営学部准教授で、英語のプロコーチ。最良の代替案を用意する交渉術、口車に乗せる交渉術など、欧米人がよく使う13の交渉術が書かれています。交渉術の基本から、どのようなロジックで交渉していくか、相手に交渉の先手を取られたときの対処法などが実践的に学べます。

どうしても伝えたいことを考える、相手を傷つけずに共感する、自分自身の思い込みを再検討するという3点がコミュニケーションにおいてもっとも重要なことであると踏まえたうえで、文章、プレゼン、会話、質問、情報収集に関するアウトプットとインプットの技術が書かれています。ビジネスシーンだけでなく、あらゆる場で使えるコミュニケーションのコツを知ることができます。

日本ハムファイターズ（現北海道日本ハムファイターズ）で俊足巧打の名二塁手として長くチームを支え、コーチとしてリーグ優勝を3回、日本一を2回を達成した育成手腕の評価も高い白井一幸氏によるコーチングの本。コーチングは小手先のノウハウではないとし、「人としての心のあり方」だと主張する同氏の考え方を知ることができます。

がんばりだけでは得られない、より大きな成果を出すための方法や考え方が書かれています。努力で得られる成果には限界があり、スマートに生きることで成果を最大化し、かつその成果を出し続けることが可能になると著者は述べています。

1500名以上の従業員全員がリモートワークで働く会社、株式会社キャスターの取締役CROの著書。「コミュ力」を身につける方法ではなく、「自分の得意なパターンで勝負すること」や「読めない空気は読まなくていい」など、人間関係を楽にする仕事術がまとめられています。

ハーバード大学の経営大学院である、ビジネススクールの教授として、リーダーシップを研究してきた著者による、リーダーシップの本質をまとめた本。組織の意思決定者の立場で何かしらを判断することは、関係者の状況など多くのことを考えなくてはならず、プレッシャーも多いものです。そうした状況でリーダーシップをいかに発揮するかが書かれています。

400mハードルの日本記録保持者で、陸上選手を引退後も指導者など幅広く活躍している為末大氏のセルフコントロール術。自分の気持ちをコントロールし、人生を切り開いていくための方法や考え方が書かれています。

「自分の好きなことを仕事にしなさい」というアドバイスを否定し、自分が世の中に与えられる価値を磨くことが大切だと著者は説いています。自分の「やりたいこと」ではなく、自分は世の中に何を与えられるのか、キャリアを構築していくにあたって必要な考え方がわかる1冊。

20万部突破のベストセラー。転職に必要なのは情報ではなく思考法であると説き、うまくキャリアを構築する方法が書かれています。転職先で活躍するためのポイントに加えて、転職エージェントの使い方なども具体的に述べられており、転職を考えている人は必見です。

京セラとKDDIを創業した希代の経営者、稲盛和夫氏による人生と経営の哲学が述べられた1冊。経営者として立ち向かった困難な課題の解決方法が、実例をもとに書かれています。迷ったとき、「人間として正しいか」というシンプルな考えに立ち返って判断、行動してきた稲盛氏の考え方がわかります。

経営コンサルタントとして、多くの経営者と対話してきた石井光太郎氏による著作。多くの経営者が見失っている経営の本質と、経営コンサルタントが企業の戦略に関わる功罪が書かれています。経営を考える出発点は、「善い会社」の自己定義が必要だと説いています。

マッキンゼー、リクルートなどの大企業での経験を経て高松氏が手に入れた、最適解を最速で導き出すためのステップと武器がまとめられています。筋の良い仮説の立て方など具体的に書かれており、実践で使える問題解決力が身につきます。

ワンキャリアの取締役CSOである北野唯我氏の著作。仕事のスピードを上げるための方法から、人にわかりやすく伝えるための文章の書き方など、若手ビジネスパーソンが身につけておきたいビジネススキルについて書かれています。

著者は、アメリカの心理学者で、ビジネススクール・ウォートン校の終身教授であるアダム グラント。見返りを求めずに他者の利益を優先することが、実は成功をもたらすということを、科学的な実験によって明らかにした本です。

ビジネス書の古典にして名著である本を著したビジネスの偉人たちとして、海外であればカーネギー、コトラー、ドラッカー、国内では松下幸之助、稲盛和夫などが挙げられます。

彼らの本は普遍的なことが書かれているので、令和になった今でも古さを感じず、学びを得ることができます。）

「マネジメント【エッセンシャル版】ー 基本と原則」（P.F.ドラッカー 著／ダイヤモンド社）と「生き方」（稲盛和夫 著／サンマーク出版）

今の時代にそぐわない部分もありますが、多くのビジネスパーソンたちに影響を与えてきた本として、彼らが何を語っていたのかは、知っておくべきでしょう。

ビジネス書は読みづらいイメージがありますが、「ビジネス書雑学」を読書に取り入れれば、読書を楽しみながら気軽に習慣化することができます。

ビジネス書を読むことを習慣化するコツ

読書の習慣がなく、ビジネス書を読むことはハードルが高いと感じている人も多いのではないでしょうか。
まずは、ビジネス書を読むことを習慣化させるためのコツをご紹介します。

ちょっとしたスキマ時間を利用する

とりあえず買って、スキマ時間に読む習慣をつくるのがおすすめです。時間を捻出するために電車に乗るときは必ず読む、ランチを食べ終わったら必ず読む、寝る前に15分読書時間をつくるなどルールを1つ決めるとよいでしょう。

机に積んでおき、いつでも手に取れるようにしておきたい

付箋を貼りながら読む

その本の中で大事なことが書かれている箇所に付箋を貼っていくというのもおすすめです。だらだら読むよりも、こうして一つアクションを入れると、読んでいても飽きずに、メリハリがつきますし、意識して重要な箇所を探そうという意識が働きます。

読後の感想をSNSやブログに書く

Twitterやブログなどで本の感想を書くことを習慣にしておくと、本を読む動機になります。また、人に伝えるためにあらためて本の内容について考えるので、その反すうする時間も、読む効果を引き上げます。

ビジネス書は時代を映す！ あなたが新卒入社時に売れていたビジネス書をご紹介

ビジネス書は、その時代時代で求められていることを反映しています。今から30年前、25年前…と5年刻みでさかのぼり、当時読まれていたビジネス書を、書籍の流通大手であるトーハンのランキングデータをもとに紹介します。

すでに読んだことのある本でも、今読み返してみると当時とは違う新たな発見があるかもしれません。読書のきっかけとして、活用してみてください。

30年前のビジネス書ベストセラー

1993年：現在、52歳の人が新卒（大卒）入社した年

25年前のビジネス書ベストセラー

1998年：現在、47歳の人が新卒（大卒）入社した年

20年前のビジネス書ベストセラー

2003年：現在、42歳の人が新卒（大卒）入社した年

15年前のビジネス書ベストセラー

2008年：現在、37歳の人が新卒（大卒）入社した年

みんな読んでいる年代別ベストセラー

ベストセラーになる本はそれだけ多くの人に需要があったということです。そして、読者にとって理解しやすい内容であるという傾向もあります。ビジネス書を読む習慣をつくるうえでも最初にベストセラーを読んでおくのがおすすめです。直近6年のビジネス書年間ベストセラーを紹介するので、気になったものをぜひチェックしてみてください。

最後にビジネス書に関する気になる疑問について、坂本さんにお答えいただきました。

Q. ビジネス書を読むべき人とは？

A. 好奇心がある人は、ビジネス書を読む効果は高いでしょう。『人を選ぶ技術』（小野壮彦著／フォレスト出版）によると、活躍するポテンシャルが高い人とは、好奇心が高い人。好奇心があれば、積極的に新しい知識を習得しにいき、それが成長につながります。その過程でビジネス書が大きな力を発揮してくれるでしょう。

好奇心があまりないという人も、ビジネス書を読んでみてください。ふだんビジネス書を読まない人にとって、ビジネス書は「知らなかった世界」そのものです。きっと好奇心を刺激してくれます。

Q. ビジネス書は初めから順番に読んだ方がいい？

A. 一から全部読もうとすると疲れますし、読書が続かなくなるので、もう少し気軽に考えるべきでしょう。

1冊読まなくても大事なところだけ読めば、それで立派な財産となります。その本の中で何が大事かは、目次を見ればだいたいの構成がわかります。最初に目次を見て、何が書かれているのかを把握し、興味を引く部分、自分に必要と思われる部分を読めば十分です。

タイトルに紐づいた章が第1章であり、もっとも重要な部分だとわかる

Q. 同じテーマのビジネス書を複数読むのは無駄？

A. 旬のテーマの本を読もうとするときは、複数冊読むとよいでしょう。著者の立場（属性）によって経営的視点であったり、経済的視点であったりと、同じテーマでも捉え方が違います。また、入門書で浅く広く理解して、専門書でさらに理解を深めるという読み方をしてもよいでしょう。
1冊だけでは、当たり外れもあるので、複数冊読むことで全体像の理解がより増していきます。

Q. 帯の推薦文は本選びの参考になる？

A. ビジネス書は、帯の推薦文が多いジャンルといえます。実績をもった識者が不用意に推薦すると自身の実績に傷をつけることになるので、本当に良い内容だと思わなければ推薦文は書けません。その点、帯に推薦が入っている本は、少なくとも大きく外れである本はないといえます。海外の経済界の著名人の推薦文がある本は、良書の可能性が高い傾向があります。

Q. ビジネス書の賞を受賞した本は読むべき？

A. もっとも手堅く外れがない方法は、ビジネス書をたくさん読んでいる人に紹介してもらうことです。しかし、周りにそうした人がいないということも多いでしょう。そんなときはビジネス書の賞を受賞した本を読むのもおすすめです。識者がよいと認めたもので、時代の潮流にあることは間違いありません。その潮流を確認する意味でも、受賞した本を読んで損はありません。

今回はビジネス書の書評・要約まとめサイト「bookvinegar」の編集長である坂本海さんにお話を伺い、ビジネス書の選び方、読み方や、おすすめのビジネス書について解説しました。

ビジネス書は自分の現状、改善点を把握したうえで、求めるビジネススキルと立場から自分にとって確実に学びを得られるものを選びましょう。
また、時間をかけて知識を縦に深掘りしていくのを意識して読むのもポイントです。ぜひ本記事を参考にして自分にぴったりのビジネス書を見つけてくださいね。