電気ケトルは、やかんを火にかけるよりも短時間でお湯を沸かすことができる便利な家電。温度調節ができるものや保温ができるものなど、機能もさまざまで、用途によって使いやすいものは変わってきます。
この記事では家電プロレビュアーとして活躍する石井和美さんに、電気ケトルの選び方を教えてもらいました。自分に合った電気ケトルを選ぶ参考にしてください。

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石井和美

家電プロレビュアー

石井和美さん

白物家電や日用品を中心とした製品レビューを得意とする家電プロレビュアー。忖度(そんたく)のない率直なレビューが人気で、Webや雑誌、ラジオ、テレビなどで幅広く活動。2018年、茨城県守谷市に家電をレビューするための一軒家「家電ラボ」を開設。冷蔵庫や洗濯機など大型家電のテストも行っている。

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目次

家電のプロが教える電気ケトルの選び方

お湯を沸かすのがメインの用途となる電気ケトルですが、保温機能や温度調節機能があるタイプもあります。また注ぎ口の形状や本体の素材などの違いで、使い勝手が変わってきます。自分に合った電気ケトルを選ぶポイントを、石井さんに教えていただきました。

「電気ケトルの違いを理解するとより使い勝手のいい製品を選ぶことができますよ」

「電気ケトルの違いを理解するとより使い勝手のいい製品を選ぶことができますよ」

用途に合ったタイプを選ぶ

電気ケトルはおもにシンプルタイプ電気ポットタイプドリップタイプの3つに分けられます。

電気ケトルのタイプと特徴

タイプ シンプルタイプ 電気ポットタイプ ドリップタイプ
イメージ シンプルタイプ 電気ポットタイプ ドリップタイプ
機能 お湯を沸かす機能のみ 保温機能が付いている 保温機能と温度調節機能が付いている
向いている人 一人暮らしの人、安いものがいい人 家族で使う人、一日に何度も使う人 コーヒーやお茶などをおいしく淹れたい人

用途によって使いやすいタイプは変わるので、自分に合ったものを選びましょう。詳しく解説します。

お湯を沸かすだけでいいならシンプルタイプがおすすめ

マグカップでインスタントの飲み物を飲んだり、カップラーメンにお湯を注ぐなど、お湯を沸かすことがメインの用途の人は、お湯を沸かす機能に特化したシンプルタイプの電気ケトルがよいでしょう。
シンプルタイプは容量が小さめのものが多いので、一人暮らしや二人暮らしの人にもおすすめです。機能がシンプルな分、価格が安いのもポイントです。

シンプルタイプは、電気ケトルを初めて使う人にもおすすめ

シンプルタイプは、電気ケトルを初めて使う人にもおすすめ

一日に何度も使うなら電気ポットタイプがおすすめ

電気ポットタイプの特徴は、保温機能が付いていること。「朝は家族で食事の時間が異なるけれど、その都度お湯を沸かすのは面倒」「在宅勤務でしょっちゅうお茶を飲む」など、一日に何度もお湯を沸かすから保温機能がほしいという人におすすめです。
シンプルタイプよりも容量が大きめのものが多いので、家族で使うのにもぴったり。機種によっては、温度調節機能がついているものもあり、赤ちゃんのミルク作りなどにも重宝します。

保温機能が付いた電気ケトル。温度を設定して一定の時間保温することができる

コーヒーなどをよりおいしく淹れたいならドリップタイプがおすすめ

コーヒーやお茶を自宅で淹れて、より味わいにこだわりたいという人は、温度調節機能と保温機能が付いたドリップタイプの電気ケトルがいいでしょう。
温度調節機能を使えば、コーヒーは90~95℃、煎茶なら70~80℃といった、最適な温度で淹れられるので、味や香りをより高めることができます。もう1杯追加で飲みたいときも、保温機能があると沸かし直しの手間もなく便利です。

温度調節機能が付いた電気ケトル。電源プレート部分に温度調節ができるボタンやディスプレイが付いていることが多い

使いやすさやデザインで注ぎ口と素材を選ぶ

注ぎ口の形状によって、お湯の出方が変わります。また、本体の素材によって重さや耐久性なども変わってきます。自分が使うシーンをイメージして、使いやすいものを選ぶことが大切です。毎日使うものなので、デザインも好みのものを選びたいですね。選ぶポイントを解説します。

一気に注ぎたいなら三角口、ゆっくり注ぎたいなら細口がおすすめ

電気ケトルの注ぎ口の形状は大きく分けて三角口、細口、やかん口の3種類あります。

電気ケトルの注ぎ口の種類と特徴

タイプ 三角口 細口 やかん口
イメージ 電気ケトルの三角口の注ぎ口 電気ケトルの細口の注ぎ口 電気ケトルのやかん口の注ぎ口
特徴
  • 一般的な注ぎ口で製品の種類も多い
  • 注ぎ口が広くて一度に大量のお湯を注げる
  • 少量のお湯をピンポイントで注げるため、コーヒーのドリップなどに最適
  • 製品によって注ぎ口の広さ・大きさは異なる
  • 水量を調節しやすい

細口は注ぎ口が細く長いのが特徴で、コーヒーをドリップする際など、少量のお湯をコントロールしながら狙った箇所に注ぐことができます。
やかん口は三角口ほど勢いよくお湯が出ない分、水量を調節しやすいので、細めのタイプであればコーヒードリップにも向いています。本体デザインも三角口タイプと比較してスタイリッシュなものが多い傾向です。

扱いやすさならプラスチック、おしゃれさならステンレス、味にこだわるならガラスがおすすめ

電気ケトル本体の素材は、おもにプラスチック製ステンレス製ガラス製の3種類です。
本体の内側と外側で同じ素材が使われていることもあれば、外側はプラスチック製、内側はステンレス製など異なる素材が使われている場合もあります。
素材によって重量や価格、お湯を沸かした際のにおい移りのしにくさ、耐久性などに違いがあります。

電気ケトルの素材の違い

プラスチック製プラスチック製の電気ケトル ステンレス製ステンレス製の電気ケトル ガラス製ガラス製の電気ケトル
おしゃれさ さんかく はなまる まる
軽さ はなまる まる さんかく
価格の手軽さ まる さんかく さんかく
におい移りのしにくさ さんかく まる はなまる
耐久性 さんかく まる さんかく

軽量で持ちやすいプラスチック製は、スタンダードな素材として幅広い用途で使用する人におすすめできます。
ステンレス製は耐久性に優れており、本体に傷や汚れが付きにくいのがメリット。見た目がおしゃれな製品も多く、インテリアにこだわりたい人にもおすすめです。
ガラス製は3種類の中でもお湯へのにおい移りがしにくく、白湯や紅茶などをおいしく飲みたいという人に向いています。ですが重量があるため、扱いやすさではプラスチック製、ステンレス製に劣るといえるでしょう。

必要なお湯の量で容量を選ぶ

電気ケトルには0.5L以下の少量タイプから1.5L以上の大容量タイプまで幅広い種類があります。想定する用途に合わせて、必要な容量を選びましょう。

電気ケトルの容量の目安

目安として、マグカップ1杯に必要なお湯の量は200ml(0.2L)、カップラーメンにお湯を注ぐ場合は350〜500ml(0.35〜0.5L)程度といわれています。
来客などで複数人分のお湯を沸かすなら、適度な容量のある0.8〜1Lの電気ケトルが使いやすいです。家族で使う場合も、コーヒーを飲んだり、赤ちゃんのミルクに使うなど複数の用途が想定されるなら、1L以上の電気ケトルがおすすめです。

お湯が早く沸くW数と便利な機能もチェック

沸騰時間の早さを左右するのが消費電力を表すW(ワット)数です。W数が大きいほど早くお湯を沸かすことができます
より早くお湯を沸かしたいのであれば1000W以上、中でも1200W以上のタイプがおすすめです。製品により正確な時間は異なりますが、1200Wなら0.5Lの水量を3分前後で沸騰させることができます。
なお、電気ケトルは沸騰の瞬間に電力を大きく消費するため、電子レンジやエアコンなど他の電化製品との併用はなるべく避けるのがベターです。

また、電気ケトルは製品によって機能に差があります。転倒時にお湯が漏れるのを抑える機能など、安全機能があると安心です。ほかにもあると便利な機能をチェックして、自分がほしい機能を備えたものを選びましょう

電気ケトルの機能

機能 詳細
安全機能 転倒時湯漏れ防止 給湯口にロックがかかるなどして、本体を誤って倒したときのお湯漏れを最小限に抑える機能
空だき防止 中身が空のまま電源が入ったとき、自動的に電源が切れる機能
本体二重構造 外側がプラスチック、内側がステンレスなどの二重構造で、表面に温度が伝わりにくい構造
蒸気レス お湯を沸かすときに出る蒸気を抑える機能
自動電源オフ 沸騰したら自動的に電源が切れる機能
便利機能 保温 沸騰したお湯の温度を一定時間保つ機能(製品によって15分〜1時間程度)
温度調節 温度を設定してお湯を沸かせる機能(製品によって1℃や10℃ごとなど、一定の間隔で調節が可能)
カルキ抜き お湯のカルキ臭を除去する機能
ワンプッシュふた 片手でワンプッシュでふたを開けられる
フィルター 注ぎ口にフィルターが付き、水が沸騰する際に生じる石灰質の結晶を取り除く。またほこりなどの混入も防ぐ

電気ケトルの選び方|ポイントまとめ

電気ケトルは用途や家族の人数などに合わせて、使い勝手やデザインもチェックして選びましょう。選び方のポイントをまとめました。

  • お湯を沸かすだけでいいならシンプルタイプ一日に何度も使うなら電気ポットタイプコーヒーなどをよりおいしく淹れたいならドリップタイプがおすすめ
  • 注ぎ口の形状は、一気に注ぎたいなら三角口、ゆっくり注ぎたいなら細口がおすすめ
  • 本体の素材は、扱いやすさならプラスチックおしゃれさならステンレス味にこだわるならガラスがおすすめ
  • 容量は、1人なら0.8L複数人で使うなら0.8〜1Lが使いやすい
  • 早くお湯を沸かしたいなら、1200W以上のタイプがおすすめ
  • 安全機能や便利な機能もチェックして、自分がほしい機能の付いたものを選ぶと良い

電気ケトルに関するよくある疑問Q&A

電気ケトルの気になる疑問について、石井さんにお答えいただきました。

Q. 近年の電気ケトルの傾向は?

A. 本体に直接茶葉を入れて抽出できるなど、機能性の高い電気ケトルが増えてきています。

自宅で過ごす時間が増えた影響か、単純にお湯を沸かすだけでなく、特別な機能を備えた製品が出てきています。

例えば2021年にティファールから発売された「テイエール 1.5L」は、本体に直接茶葉を入れて抽出でき、そのままティーポットとして使えるというもの。煮出しボタンが付いており、フルーツを後から入れれば見た目も鮮やかなフルーツティーが簡単に作れます。

ほかのメーカーからも同じような抽出機能が付いた製品が発売されています。今後もこうした機能に富んだ電気ポットが発売されていくでしょう。

Q. 電気ケトルと電気ポットの違いは?

A. 端的にいうと、お湯をそのつど沸かすのが電気ケトル、お湯を保温しておくのが電気ポットです。

電気ケトル3つのタイプ

電気ケトル
電気ケトル
電気ポット
電気ポット
  • お湯を少量から沸かせる
  • コーヒーなどを淹れるのに適したものがある
  • 電気代が比較的安く済む
  • 保温機能が付いている
  • 容量が大きい
  • 電気代が高くなりやすい

どちらもお湯を沸騰させるという機能は同じですが、電気ケトルは必要なときに必要な分だけお湯を沸かすための家電です。

保温機能が付いているものがありますが、保温時間は長くて1時間程度のため、長時間の保温を目的とするなら電気ポットがいいでしょう。

電気ポットは常に保温状態となっている分、電気ケトルより電気代が高い傾向があります。ですが、大家族で1日に何度も電気ケトルを使ってお湯を沸かすのであれば、電気ポットを使う方が経済的といえます。

Q. お手入れしやすい電気ケトルってどんなもの?

A. お手入れのしやすさを重視するなら、ふたを取り外せるものを選ぶといいでしょう。

ふたを本体から取り外せるタイプなら、内側全体をしっかり洗うことができます。本体の口が広いものだと奥まで手を入れやすいのでさらにおすすめです。

ふたを取り外せるタイプなら隅々まで洗えてお手入れしやすい

注ぎ口は三角口の方がお手入れがしやすいでしょう。フィルターが付いていると、ほこりなどが内側に混入するのを防いでくれるので衛生的です。 また製品によっては、内側にフッ素コーティングが施されているものもあります。汚れが付きづらく、また落としやすい点がメリットです。

フィルターが取り外せるものだとよりお手入れしやすくさらに衛生的

Q. 電気ケトルのお手入れ方法や汚れの洗浄頻度は?

A. 内側と外側は定期的に掃除し、汚れが気になったタイミングで内側をクエン酸などで洗浄するといいでしょう。

電気ケトルは基本的に丸ごと水洗いができないため、本体の内側と外側はそれぞれ別でお手入れする必要があります。

まず内側は、沸騰させたお湯の残りをそのままにしておくのではなく、きちんと捨てた後に水洗いをして乾燥させてください

また電気ケトルをキッチンに置いていると、外側に油汚れなどがついてしまうことも。そのため定期的にやわらかい布などで拭くようにしましょう。

電気ケトルを使い続けていると、内側に赤茶色の斑点のようなものができることがあります。これは水のミネラル成分が石灰化して付着したもので、いわゆる水アカと呼ばれます。

カビではないため人体に影響はありませんが、水アカが目立つようであればクエン酸を使って洗浄するといいでしょう。推奨するクエン酸の量や使用方法は製品によって異なるため、取扱説明書を確認するようにしてくださいね。

まとめ

  • お湯を沸かすだけでいいならシンプルタイプ一日に何度も使うなら電気ポットタイプコーヒーなどをよりおいしく淹れたいならドリップタイプがおすすめ
  • 注ぎ口の形状は、一気に注ぎたいなら三角口ゆっくり注ぎたいなら細口がおすすめ
  • 本体の素材は、扱いやすさならプラスチックおしゃれさならステンレス味にこだわるならガラスがおすすめ
  • 容量は、1人なら0.8L複数人で使うなら0.8〜1Lが使いやすい
  • 早くお湯を沸かしたいなら、1200W以上のタイプがおすすめ
  • 安全機能や便利な機能もチェックして、自分がほしい機能の付いたものを選ぶと良い

今回は家電プロレビュアーとして、数々のメーカーの製品を実際に試して分析してきた石井さんに、電気ケトルの選び方を詳しく解説していただきました。お湯を沸かす場面は意外に多いもの。この記事を参考に、使いやすい電気ケトルを選んでみてくださいね。

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