FEATURE
しずおか楽しみ大使・平井綾さんおすすめ!雄大な自然と歴史が育む静岡の厳選クラフト

富士山に代表される雄大な自然や、熱海をはじめとする人気の観光地が魅力の静岡県。歴史的にも徳川家ゆかりの地として、町や文化、そして工芸品が発展してきました。そんな“ものづくりの息吹”が根づく静岡県のローカルクラフトの名品を、「しずおか楽しみ大使」の平井綾さんがご紹介します。


しずおか楽しみ大使/タレント
平井綾さん
静岡県出身。モデル、イベントMC、アンバサダーなど幅広く活動中。唎酒師(ききさけし)の資格を取得し、2023年の「日本酒女子アワード」では初代グランプリに輝くなど日本酒好きとしても知られる。2024年より、静岡県のスポーツ・観光・文化の魅力を伝える「しずおか楽しみ大使」を務めている。
静岡県のローカルクラフト3選
Craftsmanship
in this Prefecture
静岡県は、富士山をはじめとする雄大な自然に恵まれ、熱海や伊東などの歴史ある温泉地も点在する、人気の高い観光地です。温暖な気候を生かし、お茶やみかんなどの栽培も盛んで、全国的にも知られた特産品となっています。また、徳川家康公が青年期や晩年の大御所時代を過ごした地でもあり、多くの人が集まったことで、町や文化が大きく発展しました。江戸時代初期には、駿府城や久能山東照宮、静岡浅間神社の造営にあたり、全国から優れた職人たちが集められました。彼らの高い技術は代々受け継がれ、時代とともにさらに磨かれながら、現在に至るまで静岡の伝統工芸として根づいています。
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目次
静岡県静岡市
【鳥羽漆芸】うるしのロックグラス
伝統の技法・金剛石目塗を用いた美しいグラス
静岡では古くから漆器が親しまれてきました。江戸時代には幕府の商業政策のもとで保護奨励を受け、参勤交代の土産として全国に知れ渡りました。海外でも人気を博し、1900年頃には全国の輸出漆器の大半を駿河漆器が占めていたのです。ところがしだいに、粗製乱造による評判の低下や、第一次世界大戦により対欧貿易が途絶えたことで、多くの駿河漆器職人は廃業を余儀なくされました。
しかし、一部の職人は、品質向上や名声維持のため努力を続け、終戦後の昭和34年(1959年)には、静岡漆器協同組合(現在の静岡漆器工業協同組合)を組織し、結束して駿河漆器を支えてきました。その中の一つが鳥羽漆芸です。鳥羽漆芸は、近年では伝統的な漆器だけでなく、新しい形の漆器の提案を積極的に行っています。今回紹介するガラスに漆を塗った「うるしのGLASS」シリーズは特に人気の高い逸品です。

平井綾さん
伝統技法「金剛石目塗」で仕上げられた逸品。漆と金箔の美しいコントラストがグラスに重厚な輝きを与え、ザラリとした独特の触感が魅力的です。滑りにくくて結露も少ないので、機能的にも◎。伝統と革新が融合した芸術品であり、特別な贈り物にも最適だと思います。
鳥羽漆芸初代が考案。無形文化財にも指定される独創的技法

この「うるしのロックグラス」を印象づける美しい黒の流線模様。これが金剛石目塗(こんごういしめぬり)といわれる技法です。1924年(大正13年)に、鳥羽漆芸の初代・鳥羽清一によって考案されました。漆器制作に砂を使うという画期的な手法(砂の蒔地<まきじ>)で、漆器の下地に砂を用いることで、耐水・耐熱・耐酸性を向上させる効果があります。
また砂の蒔地による下地の上に漆を塗り重ね、ていねいに一つ一つ研いで磨いて仕上げることで美しく深みのある漆器に完成します。この「砂の蒔地」は歴史的にも金剛石目塗だけのもので、その独創的技法は静岡県の無形文化財にも指定されているのです。

ちなみに石目とは、漆塗りの表面に現れる独特の質感のことです。一般的には、炭粉や乾漆粉を漆に混ぜて塗布したり、散らしたりすることで、石の肌のような凹凸のある模様を表現しています。
一方でこのグラスは、金箔やホワイトゴールド箔(金と銀の合金)を貼り、その上を金剛石目塗独自の砂の石目にした後に、仕上げの漆を塗ってつくられています。下から上に広がるシルエットにマットな仕上げの漆とガラスの艶の対比が美しさを際立たせます。適度な凹凸もあるので、滑りにくく、使い心地も抜群です。傷がつきにくいという特徴ももち合わせているので、末長く愛用できるでしょう。
漆の風合いとガラスの艶が美しい。お酒の時間をより上質に

ピンク、紺、緑など、多彩なカラーバリエーションから選べるのもうれしいポイント。インテリアに合わせたり、とっておきのおもてなしのときに使ったり、パートナーと色違いで楽しんだり、自分だけのお気に入りを見つけるのもいいですね。
そして、このグラスでぜひ味わっていただきたいのが、日本酒のロック。冷やした日本酒にグラスの中でゆるやかに溶ける氷が、角のとれたやさしくまろやかな味に整えてくれます。漆の風合いと、氷を透かして揺らめく酒の透明感。その美しさに、思わず見とれてしまうことでしょう。グラスの口当たりもやさしく、酒本来の風味を引き立てます。
日常の晩酌に、週末のゆったりとした夜に。「うるしのロックグラス」でいただく一杯は、味わいに奥行きを与え、心まで満たしてくれることでしょう。あなたのとっておきの時間に、ぜひどうぞ。
What is this feature?
駿河漆器は江戸時代に静岡市にある浅間神社造営の際に全国各地から腕の良い漆職人を招聘(しょうへい)。漆作業に適した気候だったため、造営後も職人たちがそのまま定着し、技術を広めたことでこの地に根づいたといわれています。特徴は「変わり塗り」です。基本的な漆塗技術を応用させ、さまざまな材料や技法を使い、デザインや触り心地にも独特の美しさがあります。現在は漆器だけでなく、家具、仏具、建物、塗下駄などにも応用されています。
商品概要・ご購入はこちら!
鳥羽漆芸
うるしのロックグラス
参考価格: ¥6,600(税込)
グラスに金箔やホワイトゴールド箔を貼り、その上を金剛石目塗独自の砂の石目にした後、漆を塗って仕上げた高級感あるグラス。写真のピンク、緑、紺のほかにも金赤、銀赤、紫など多彩なカラー展開も魅力です。
静岡県静岡市
【iwakagu】わっぱのケース(平型、筒型)
唯一無二の木目が魅力。“支障木”を使ったわっぱ製品

静岡市でオーダーメイドの木工品をつくる家具工房「iwakagu」は、木のぬくもりを大切にしながらさまざまなプロダクトを手がけています。代表の岩﨑翔さんは、木材のもつ背景や個性を尊重したものづくりに取り組んできました。そんな中で着目したのが「支障木(ししょうぼく)」と呼ばれる地域材です。
支障木とは、管理しきれずに倒木の危険性があったり、私有地から道路にはみ出していたり、文字どおり生活の“支障”になっている樹木のことをいいます。支障木は、突発的に伐採の必要が発生すること、そして木の種類や状態もさまざまなことから、一般的にはチップや廃棄物となり、木材としては流通してきませんでした。そんな支障木を活用しようと、岩﨑さんが中心となり静岡で活動するデザイナーや職人、製材所、木こりなどと連携してスタートしたのが「支障木プロジェクト」です。

平井綾さん
静岡の伝統工芸である「わっぱ(曲げ物)」の技術を用い、支障木を使うことで環境にも配慮したこちら。薄い無垢材を使用しているため、木の温かみを感じられます。小物入れとして部屋のアクセントにも取り入れやすいデザインが魅力的です。
生活の支障となる木にものづくりの力で新たな価値を

支障木は、管理されずに自由に育ったからこその特徴的な木目や表情があります。また、反りやうねりが強く機械加工が難しく均一な製品には向きません。「支障木プロジェクト」では、それらを個性として再定義し、ひとつとして同じものがないことを魅力として伝えています。その代表的な製品が、わっぱのケースです。平型と筒型で、それぞれ樫(かし)、桜、カエデの天然木を使った3種類があります。それぞれの木目や木肌を生かし、着色をせずに仕上げられています。
木の表情やぬくもりがダイレクトに伝わるデザイン

薄い木地のわっぱの入れ物があってもおもしろいのではないかという発想から、サイズや形状を試行錯誤して完成したわっぱケース。日常に溶け込むニュートラルなデザインは、まるで木そのもののよう。自然と支障木ならではの唯一無二の表情に目が向きます。

製材された支障木は、静岡の伝統工芸品「めんぱ」の職人による曲げ木加工によりわっぱケースの形となります。通常、「めんば」の弁当箱には杉やヒノキといった曲げやすく加工しやすい針葉樹を使いますが、このわっぱケースに使われている支障木はすべて硬くて曲げづらい広葉樹。それを熟練の職人の手により一点一点曲げることで、他にない木の個性が生かされた製品に仕上がっています。裏面には「iwakagu」のかわいいロゴが刻印されており、見るたびにほっこり。デザインのアクセントにもなっています。
アクセサリー入れやペン立てとして使える2つのかたち

「わっぱのケース平型」は、幅と奥行きが18cm、高さが3.6cmとちょっとした小物を入れるのに最適なサイズ感。アクセサリーや腕時計、鍵など、毎日使う小物をまとめておく“見せる収納”として使うのもおすすめです。木のぬくもりと丸みのあるかたちは、置いてあるだけで空間をやさしく整えてくれます。

一方の「わっぱのケース筒型」は、幅と奥行きが12cm、高さが11.6cmと立方体に近い筒型。この美しい筒型のかたちは、文具の収納にもぴったりです。
例えば、ボールペンやはさみ、定規など、つい散らかりがちなデスクまわりの文具をすっきりまとめてくれるペン立てとして使うのがよいでしょう。また、ちょっとしたおやつ入れとして使うのもおすすめ。キャンディやクッキーなど個包装のお菓子を入れておけば、ひと息つきたいときの気分転換にもぴったりです。
弁当箱として親しまれてきた“わっぱ”に、新たな可能性を。支障木という個性ある素材と向き合いながら、暮らしの中で自由に使える収納としてつくられたこのケースには、道具としての枠を超えた、自然との静かな対話があります。しまう、飾る、使い込む。そのたびに、わっぱの新しい価値がそっと暮らしに広がっていきます。
商品概要・ご購入はこちら!
iwakagu
わっぱのケース
参考価格: ¥14,300〜(税込)
これまでにグッドデザイン賞2023、地産地匠アワード2024準グランプリに輝いている支障木プロジェクトのわっぱのケース。平型と筒型の2種類を用意。それぞれ支障木ならではの唯一無二の木目の表情が楽しめます。それぞれ、樫、桜、カエデの3つの天然木の素材から選ぶことが可能。
平型 | ¥14,300 |
---|---|
筒型 | ¥18,700 |
※すべて税込
静岡県浜松市
【テアトリーノ】遠州織物オリジナル帆布バッグ
遠州織物の魅力を伝える長く愛せるバッグ

静岡県浜松市にアトリエを構えるバッグブランド「テアトリーノ」は、イタリア語で“小さな劇場”という意味。その名のとおり、日々の暮らしの中に小さなドラマを生むような、個性と物語性を大切にしたバッグを生み出しています。
テアトリーノを手がけるのは、オーナーの増田美由記さん。アパレル企業に20年勤めた経験を生かし、2014年にブランドをスタート。2017年から、本格的に遠州織物や天竜ジビエレザーを活用したものづくりに取り組んでいます。そんなテアトリーノを代表するアイテムがこの遠州織物オリジナル帆布バッグです。
老舗織布工場と共同開発したオリジナル帆布を使用

テアトリーノのバッグは、遠州織物と天竜ジビエ革という地域に根ざした素材を大切にしています。遠州地方が誇る高い技術をもつ織物工場、高田織布との共同開発によって生まれたオリジナル帆布は、厚手でありながら軽く、使い込むほどに味わいが深まるのが特徴です 。また、浜松市天竜区域で害獣駆除された鹿や猪の革を活用したジビエレザーも、命を無駄にしない循環的なエシカル素材としてバッグに生かされています。

平井綾さん
静岡県西部は古くから織物産業が盛んで、遠州織物はその代表格です。テアトリーノのバッグには、職人がていねいに織り上げた地厚で上質な帆布が使われており、他にはない独特の風合いと丈夫さが特徴です。何といっても、使い込むほどに味が出てくるのが私のお気に入りポイント。長く愛用できるのがいいですね。
上質なデザインと暮らしにちょうどいいサイズ感

S、M、Lの3サイズ展開ですが、今回紹介するのはどんなシーンにも合わせやすく、使い勝手の良い横長のMサイズ。生地は創業1936年(昭和11年)の高田織布工場が製造。職人の手でつくられるその生地は目で見てわかる上質な素材、風合いが特徴です。留め具部分には天竜ジビエの鹿革を使用。高級感を演出するとともに、デザインのポイントにもなっています。

Mサイズは、幅31cm×高さ22cm×奥行き14cmと、日常使いにちょうどいいサイズ感が魅力です。バッグのシルエットは、台形に近いすっきりとしたフォルム。持ったときのバランスが良く、体にきれいに沿うように設計されています。サイドにかけてやや広がるラインが、柔らかさときちんと感を同時に演出。底マチはしっかりと取られているため、自立する安定感があり、置いたときにも型崩れしにくいのが特徴です。専用のアジャスターヒモが別売りで用意されているので、使用することで、肩掛け、斜め掛けのバッグとしても楽しめます。
必要なものがすっぽり収まる、頼れる収納力


コンパクトすぎず、でも大きすぎない――。お財布、ポーチ、500mlペットボトル、手帳、スマートフォンなどがすっぽり収まる、頼れる収納力。見た目以上の容量があり、普段使いはもちろん、ちょっとしたお出かけや仕事道具の持ち運びにもぴったりです。バッグの内側には、ポケットが3つ。スマートフォンや鍵、リップなど、細かいアイテムの定位置がつくれるので、バッグの中がごちゃつかず、使いたいものがすぐに取り出せます。
しっかりとした帆布の質感と、遠州織物ならではの自然な風合い。さらに機能性も備わった、使い込むごとにどんどん愛着が湧き、長く愛用したくなるバッグです。
商品概要・ご購入はこちら!
テアトリーノ
遠州織物オリジナル帆布バッグ 横長M
参考価格: ¥17,050(税込)
バッグブランド「テアトリーノ」を代表するアイテム。遠州織物や天竜ジビエレザーを活用。オリジナル帆布は、厚手でありながら軽く、使い込むほどに味わいが深まるのが特徴。サイズはS、M、Lを展開。
平井綾さんが思う、静岡県のものづくりのこれから

静岡県は、海・山・湖といった豊かな自然に恵まれた地域で、日本一高い富士山と日本一深い駿河湾を有し、美しい景色とおいしいグルメを同時に楽しめる魅力的な場所です。また、徳川家康が晩年を過ごした地としても知られ、駿府城跡や久能山東照宮など、歴史的な観光スポットも数多く点在しています。
さらに静岡県は、「ものづくり県」としての一面ももち合わせており、現代的な産業だけでなく、長い歴史に育まれた伝統的な技術が今なお息づいています。例えば、家具や雛(ひな)具などの木工細工の技術は、やがてプラモデル産業へと発展し、世界に誇る精巧な模型づくりの礎となりました。また、遠州地域では「遠州織物」などの織物文化が受け継がれ、職人たちの手仕事による美しい布地が今も生み出されています。
このように静岡県は、自然と歴史、そして伝統と革新が融合した土地。輸送用機械から楽器、プラモデル、伝統工芸まで、幅広い分野で高い技術が生かされており、訪れる人々に多彩な魅力を提供してくれます。
ぜひ一度、静岡県を訪れて、その豊かさと奥深さを体感してみてください。
撮影/yoshimi 文/阿久澤慎吾 編集/安部奏海(Roaster)
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