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一人暮らし向け冷蔵庫の選び方!家電プロレビュアーが容量や相場、用途に合った機能を解説

一人暮らしで使う冷蔵庫は、自炊の頻度によって必要な容量や機能が変わり、部屋の広さとサイズのバランスも考える必要があります。相場はいくらくらいなのか、音がうるさくないか、電気代はどのくらいかかるのかなど、気になることが多く選び方に迷ってしまう人もいるでしょう。
この記事では、家電プロレビュアーの石井和美さんに、一人暮らし向け冷蔵庫の基礎知識と、選び方のポイントについて伺いました。用途に合ったものを選べるよう詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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家電プロレビュアー
石井和美さん
白物家電や日用品を中心とした製品レビューを得意とする家電プロレビュアー。忖度(そんたく)のない率直なレビューが人気で、Webや雑誌、ラジオ、テレビなどで幅広く活動。2018年、茨城県守谷市に家電をレビューするための一軒家「家電ラボ」を開設。冷蔵庫や洗濯機など大型家電のテストも行っている。
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目次
選ぶ前に知っておきたい一人暮らし向け冷蔵庫の基礎知識
まずは、選ぶ前に知っておきたい一般的な一人暮らし向け冷蔵庫のサイズやドアの開閉方向、機能面、相場などの基礎知識について、石井さんに教えていただきました。

冷蔵庫は部屋の雰囲気に大きく影響を与える家電。お気に入りの1台を見つけよう
1. 容量とサイズ
冷蔵庫を選ぶ際、最初に知っておきたいのはライフスタイルや部屋の間取りに合うサイズはどのくらいかということです。一般的な一人暮らし向け冷蔵庫の「容量」と「大きさ」について解説します。
容量|庫内にどれだけ物を入れられるか
冷蔵庫の容量は、基本的にリットル(L)で表示されます。とはいえ、なかなかイメージしにくいでしょう。自分に合った容量の考え方を見ていきます。
冷蔵庫の容量を決める際は、70L(一人分の容量)×世帯人数+170L前後(常備品+予備スペース)という計算方法が、一般的とされていました。ここから考えると、一人暮らしにはおおむね240L程度の冷蔵庫が必要な計算になります。しかし実際には、自炊をする頻度やまとめ買いの傾向などで、必要な容量は人によって異なります。一人暮らしに向いている冷蔵庫は、100L以下の小型のモデルから250L程度の大きめのモデルまでさまざまな選択肢があるので、それぞれの一人暮らしの生活スタイルに合わせて決めるのがよいでしょう。

容量の大きいモデルほど性能が高い傾向がありますが、自炊の頻度が少なく外食が多い人などは、150L以下の小型冷蔵庫で事足りる場合もあります。基本的には150〜200L前後が製品のバリエーションも多く選びやすいでしょう。
大きさ|外寸(幅・奥行・高さ)
本体の大きさを問わず、冷蔵庫を設置する際は、冷蔵庫の上部と左右に放熱用のスペースを、10cm程度ずつ確保する必要があります(背面には必要ありません)。

一人暮らし向けの冷蔵庫は、幅50~60cmのモデルが多く、ワンルームの間取りでも、冷蔵庫を置くスペースの幅が60〜65cm程度あれば設置できることが多いです。ただし必要な放熱スペースはメーカーや機種によって異なるため、公式サイトや取扱説明書などを確認しましょう。
大きめの冷蔵庫を検討している人は、廊下やエレベーターなどを通るかどうかの搬入経路も確認しておくと安心です。
また、電子レンジや炊飯器などを冷蔵庫の天板の上に置きたい人は、天板が耐熱仕様になっているかや、使いやすい高さかどうかもチェックしましょう。

自分の胸くらいの高さの冷蔵庫なら、上に電子レンジなどを置いても使いやすい
2. ドアの数と開閉方向
一人暮らし向けの冷蔵庫は、右側にドアが開く「右開きタイプ」が多い傾向があります。
一方で、ドアの開閉方向を自由に変えられるモデルもあります。「左右(両)開き」と呼ばれるこのタイプは、引っ越しなどで冷蔵庫の置き場所が変わっても使いやすいのが利点。
ドアの数は2ドアタイプが多く、冷蔵・冷凍スぺースともに右開きか、冷凍スペースのみが引き出し式になっているモデルもあります。

右開きの冷蔵庫の一例。引っ越しが多い人は左右開きを選んでおくと安心
3. 各部の名称と機能
冷蔵庫にはさまざまなスペースがあり、食品を入れる場所によって温度帯が異なります。一般的な冷蔵庫の各部の名称と温度は以下のとおりです。

一人暮らし向け冷蔵庫は、庫内にチルドルームか野菜室の片方を備え付けているモデルがほとんど。ドアポケットの数などもモデルによって異なるのでチェックしましょう。
また、冷蔵庫の冷却方法には、冷却器を使って庫内を冷やす「直冷式」と、ファンを回して庫内を冷やす「ファン式(間冷式)」の2種類があります。直冷式は年に数回、庫内に付着した霜を取る作業が必要になるため、霜取りが面倒という人は自動霜取り機能が付いたファン式がおすすめです。
その他、運転音を抑える静音設計や、温度や冷気を調整できる機能など、大型になると高性能な冷蔵庫が増えてきます。
4. 相場・ランニングコスト
冷蔵庫を購入する際はサイズや機能とともに本体価格や、年間の電気代といったランニングコストも重要になってきます。
一人暮らし向け冷蔵庫本体の相場価格と、年間電気代の目安は以下を参考にしてください。
容量 | 本体の相場価格 | 年間電気代 |
---|---|---|
100~150L | 2〜4万円 | 約8000~9000円 |
200L | 3〜6万円 | 約9000円 |
250L | 5〜10万円 | 約1万500円 |
100L以下なら、2ドアタイプの冷蔵庫を2万円前後で購入することも可能です。
容量が大きいものほど本体価格や年間電気代が上がる傾向があるものの、最近は節電機能が搭載された機種もあるため、賢く選ぶことが大切です。
節電を重視したい人は、省エネ法に基づいて設定されている「省エネ基準達成率」が100%以上の機種を選びましょう。
5. 冷蔵庫の駆動音
大型の機種と比べると、小型の冷蔵庫は駆動音が大きい傾向があります。特にワンルームなど狭い空間に冷蔵庫を置く人は、静音設計のモデルを選ぶとよいでしょう。
静音設計は、各メーカーが特に推奨している機能の一つ。騒音の数値を表すdB(デシベル)の表記を強調している冷蔵庫は要チェックです。
騒音数値の一例
dB数 | 騒音程度 |
---|---|
60dB | 静かな乗用車内、普通の会話 |
50dB | 静かな事務所内 |
40dB | 深夜の市内、図書館、静かな住宅地の昼 |
30~40dB | 一般的な冷蔵庫 |
30dB | 深夜の郊外、ささやき声 |
25dB以下 | 静音設計の冷蔵庫 |
20dB | 木の葉の触れ合う音、置き時計の秒針の音(前方1m) |
家電のプロが教える一人暮らし向け冷蔵庫の選び方
基礎知識を踏まえて、一人暮らし向け冷蔵庫を選ぶポイントを石井さんに教えていただきました。
容量で選ぶ
自炊が多いのか、外食や出前が多いのかによって、必要な容量は変わってきます。自分の生活スタイルに合わせて選びましょう。
毎日自炊をする人|容量200L前後の冷蔵庫がおすすめ
スーパーなどで数日〜数週間分の食材を調達し、ほぼ毎日自炊をするのであれば、200L前後の冷蔵庫がおすすめです。
このサイズは一般的に2ドアタイプで、冷蔵室には野菜室かチルドルームのスペースが設けられていることが多いため、食材をそれぞれ適した温度で保存できます。
自炊だけでなく、ふるさと納税やお取り寄せを利用する人や、まとめ買いの頻度が多い人は、200〜250Lの大きめの冷蔵庫で、冷凍庫の容量が大きめのタイプを選んでおくと安心です。

食材をまとめ買いしたり、作り置きのおかずを保存したりするなら、200L以上がおすすめ
自炊よりも外食や中食が多い人|容量150L以下の冷蔵庫がおすすめ
自炊をする頻度が少なく、外食やコンビニ、出前などで食事を済ますことが多い人は、150L以下の冷蔵庫を選ぶのがおすすめです。
コンパクトなサイズが多いため、場所を取らず、圧迫感もありません。外で買ってきた食品を一時的に保存したり、飲み物を冷やす程度であれば問題なく使えます。
ただし、容量が小さい製品の中には、運転音が大きいものや霜取りが面倒な直冷式のモデルもあります。その点も踏まえつつ、購入を検討しましょう。

キッチンの大きさによっても、設置スペースの大きさは変わってくる
用途で選ぶ
自分がどのように冷蔵庫を使いたいかを考えて、用途に合ったタイプの冷蔵庫を選びましょう。
生鮮食品の鮮度を保ちたい人|冷蔵庫内にチルドルームか野菜室のあるモデルがおすすめ
魚や肉などの生鮮食品を購入する機会が多い自炊派の人には、冷蔵庫内に野菜室かチルドルームを備えたモデルがおすすめです。低温の冷気をケースの中に閉じ込めて、食材の鮮度を長時間保ってくれます。
野菜を多めに買う人は、引き出しスペースの大きさにも注目。「キャベツを丸ごと一個保存したい」など、買い物や保存したいものの傾向を考え、使いやすいモデルを選びましょう。

冷蔵室の一番下に設けられている引き出しは、野菜室やチルドルームとして利用できる
冷凍食品を保存したい人|冷凍室の容量が大きいモデルがおすすめ
冷凍食品をよく利用する人には、冷凍室の容量が大きめ(60L前後)のモデルがおすすめです。
一般的な2段構造のほかに、引き出し式のクリアケースに食材を収納する3段構造の冷凍室もあります。それぞれ深さが異なるため、冷凍食品の大きさに適した収納ができて便利です。細かく小分けした冷凍食品を収納したい人は、3段構造を選ぶのもよいでしょう。

2段構造の冷凍室。食品の高さや大きさに合わせて収納できる
飲み物の貯蔵が多い人|ドアポケットや冷蔵室が広いモデルがおすすめ
おもに飲み物を保存したい人は、ドアポケットや冷蔵室の広さに着目して選びましょう。
一人暮らし向け冷蔵庫のドアポケットは2〜3段がほとんどですが、2段の方がスペースに高さが生まれるので、大瓶のビールなど背の高い飲み物も出し入れしやすいです。メインの棚は移動できるものも多いので、状況によって棚を外すなどして対応するといいでしょう。
ただし、冷気の吹き出し口は一番奥にあるため、キンキンに冷やしたいビールなどは、冷蔵室のメインの棚や、低温を保てるチルドルームに入れるのがおすすめ。ただし、棚やチルドの一番奥に入れると、冷気が当たりすぎて凍結する可能性もあるので、手前側に置くように注意してください。
また、氷を作るのが面倒という人は、市販の氷を入れる冷凍庫内のスペースも確保しておきましょう。

棚は外せばスペースの高さを確保できるので、常備品の量とのバランスで決めよう
デザイン性で選ぶ
長く使い続ける家電だからこそ、自分の部屋になじむデザインかどうかも重要な要素の一つ。インテリアや他のキッチン家電と色味や質感をそろえるとおしゃれです。
一人暮らし向けの冷蔵庫はシンプルな見た目や色のものが多いものの、ゴールドなどの上質なカラーや、ツヤ消し加工を施した汚れが目立ちにくいデザインの製品もあります。近年は、インテリアになじみやすいマットな質感の冷蔵庫がトレンドです。

キッチンインテリアに合った冷蔵庫を選ぶと、統一感が出る
一人暮らし向け冷蔵庫の選び方|ポイントまとめ
一人暮らし向けの冷蔵庫は、自炊の頻度や用途に合わせ、インテリアとのバランスも考えて選びましょう。選び方のポイントをまとめました。
- 容量はほぼ毎日自炊をするなら200L前後、外食や中食が多いなら150L以下がおすすめ
- 生鮮食品の保存が多いなら野菜室やチルドルーム、冷凍食品が多いなら冷凍室、飲み物が多いならドアポケットや冷蔵室の広さに着目して、用途に合ったものを選ぶ
- 自分の部屋になじむデザインかどうかも重要
一人暮らし向け冷蔵庫に関するよくある疑問Q&A
一人世帯向け冷蔵庫にまつわる疑問について、石井さんに答えていただきました。
Q. 庫内のにおいを抑える方法は?
A. 庫内のにおいを抑えるコツは、食品をしっかり密閉してから保存することです。作り置きのおかずは必ず密閉容器に入れましょう。肉や魚などの生鮮食品やパンなどは一つずつラップに包み、保存袋の中の空気をしっかり抜いてから保存してください。

「冷蔵庫に入れる前のひと手間で庫内のにおいの発生は防げます」
Q. 床を傷やへこみから守るにはどうすればいい?
A. 冷蔵庫の下に敷く専用マットを使用するのがおすすめです。冷蔵庫の重みによる床のへこみや、傷がつくのを防いでくれます。振動音の防止にもつながるため、アパートなどの集合住宅ならほかの部屋に音が響いてしまう心配も軽減できるでしょう。
Q. 一人暮らし向け冷蔵庫に3ドアタイプはある?
A. 3ドアタイプもありますが、どちらかというと2〜3人世帯向けです。一般的な2ドアの機種に比べると容量は大きめで、縦長のデザインが多い傾向があります。機種によりますが機能も充実しているため、多機能性を求める人や、2ドアの冷蔵庫では容量が足りない人は、3ドアタイプも検討してみてください。

「3ドアタイプは高さもあるので、電子レンジなどの置き場は別に確保する必要があります」
Q. 中古やレンタルの冷蔵庫を使ってもいい?
A. 賃貸で引っ越しが多い人は、家電のレンタルサービスを利用するのもよいでしょう。どの業者もクリーニングや点検を行っているため、衛生面も安心です。
ただし中古に関しては状態があまり良くないものや、傷や汚れが目立つもの、異臭などがする可能性も。価格だけに注目せず、状態や年式、ランク表示なども加味しながら検討しましょう。
Q. ニトリなどのプライベートブランドの冷蔵庫の品質は?
A. ニトリや無印良品などが取り扱う家電は、他社に依頼して製造した商品を自社ブランドとして発売していることが多いため、品質に問題はないと思います。ただし、大手電機メーカーの性能と比較すると見劣りする可能性は高いので、各製品のスペックは必ず確認しましょう。
まとめ
- 冷蔵庫は、放熱スペースや搬入経路も考慮してサイズを決める
- 一般的には2ドアの右開きタイプが多いが、左右(両)開きタイプもある
- 直冷式の冷却方法には直冷式とファン式があり、霜取りが面倒な人はファン式がおすすめ
- 容量は毎日自炊する人は200L前後、外食が多い人は150L以下が目安
- 価格は150L以下なら2~4万、200Lは3~6万、250Lは5万~が相場
- 小型モデルは駆動音が大きいため、ワンルームには静音設計のモデルがおすすめ
- 食品を密閉保存するひと手間で、庫内のにおいを抑えられる
生活必需品の冷蔵庫ですが、一人暮らし向けでもモデルごとに特徴が異なるため、自分の用途に合わせた選び方が重要になってきます。この記事を参考にして、使いやすい1台を見つけてくださいね。
▼おすすめ商品を知りたい方はこちら

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