FEATURE
とっとりふるさと大使・上田まりえさんおすすめ オーダーシャツから陶器まで鳥取の厳選クラフト

日本を代表する砂丘の鳥取砂丘があり、お米、野菜、果実、畜産がバランスよく営まれる全国有数の農業県でもある鳥取県のローカルクラフトをお届けします。地域に根ざした手しごとを大切にしている鳥取の名品を、境港市出身で、とっとりふるさと大使を務めるタレントの上田まりえさんが紹介してくれました。


とっとりふるさと大使 タレント
上田まりえさん
1986年生まれ、鳥取県境港市出身。2009年から約7年間、日本テレビのアナウンサーを務めた後、タレント、ラジオパーソナリティ、ナレーター、MC、スポーツキャスター、ライター、講師、歌手など活動の場を広げる。とっとりふるさと大使の他に、境港フィッシュ(FISH)大使も務める。
鳥取県のローカルクラフト3選
Craftsmanship
in this Prefecture
中国地方の北東部に位置する鳥取県は、北は日本海に面した白砂青松の海岸線が続き、南には中国山地の山々が連なります。豊かな自然に恵まれたことから、森林資源を生かした木工製品や、良質な砂鉄を原料とする鍛冶が発達。平安時代から近世にかけては、和紙や陶器が盛んにつくられました。その後も染織、木製家具、木竹工、玩具、皮革、ガラスなど多種多彩な工芸品が誕生。現在も、伝統的な技法を受け継ぎながら、時代に合わせた発展を続けています。また鳥取では、ふだん使いの日用品の中に“用の美”を見出した「民藝運動」が盛んだったこともあり、日々の暮らしを豊かにする民藝の器や雑貨が豊富。「とっとり民藝」として注目を集めています。
写真提供:鳥取県
本記事は、提携する企業のプロモーション情報が含まれます。掲載するサービス及び掲載位置に広告収益が影響を与える可能性はありますが、サービスの評価や内容などはyour SELECT.が独自に記載しています。(詳しくはAbout Usへ)
目次
鳥取県境港市
【伯州綿のシャツ屋】伯州綿のオーダーシャツ
国産和綿でつくる、世界にひとつの理想の一枚
境港市で2020年にスタートした「伯州綿(はくしゅうめん)のシャツ屋」がつくるのは、一人一人に合わせた理想の一枚を形にするフルオーダーのシャツです。 伯州綿とは、江戸時代から弓浜半島で栽培されていた「和綿」の一種。伯州綿シャツの企画・製作・販売の全てをひとりで手掛ける仲里心平さんは、服の素材としての伯州綿のポテンシャルに惚れ込み、生産地である境港市に移住しました。
もともとは神奈川県横浜市出身の仲里さんの経歴は、少々ユニークです。洋裁を学び、アパレル会社に勤務した後、「原料からのものづくりがやりたい」と織物職人に転身。職人としてさまざまな素材に触れる中で「和綿」と出会いました。その後、地域おこし協力隊のメンバーとして栽培に関わった伯州綿に魅了され、境港市での起業を決意。伯州綿のフルオーダーシャツの製造・販売を始めたのです。

上田まりえさん
安全かつ安心な伯州綿づくりを伝承するために、農地の中間管理をしている境港市農業公社では、農薬や化学肥料を使わない綿栽培に取り組んでいます。「伯州綿のシャツ屋」の仲里さんはとてもセンスが良く、温かなお人柄とものづくりへの真摯な情熱の持ち主。伯州綿のオーダーシャツは、境港に根ざした伝統素材と現代らしい感覚が融合した、まさに新しい形の地域商品だと思います。
和綿ならではのやわらかなボリューム感

伯州綿は境港市・米子市にある弓浜半島(きゅうひんはんとう)の特産品として知られていましたが、明治期に安価な外国産の綿におされて生産量は激減。産業としての栽培が消えかけていた中、境港市は、伝統的な地域資源である伯州綿を次の世代に継承するためのプロジェクトをスタートさせました。その一環として、伯州綿の栽培およびPR活動に関わる、地域おこし協力隊の募集が行われたのです。

伯州綿の特徴は、繊維の太さと弾力性の強さ。空気をよく含んで保温性に優れているため、古くから、布団や着物の中入綿などに重宝されてきました。収穫された綿には獣毛のような質感があり、そこから糸を紡ぎ、生地を仕立てると、少し厚手のふんわりとした風合いが生まれます。どこかほっとするような素朴な肌触りは、伯州綿シャツを着たときの独特な心地よさにもつながっています。
オーダーメイドだから現れる“美”シルエット


伯州綿のシャツはオーダーごとにオリジナルの型紙を制作するため、スタンダードなものからシャツワンピースまでデザインは自由自在。個性的な一着も、肩の傾斜、袖の角度など、人によって体型の違いが出やすい部分がきちんとフィットするので、全体のシルエットが美しく決まります。
フルオーダーの受注生産と聞くと、ちょっとハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、伯州綿シャツは素材の一部が日本の伝統的な資源です。購入することが地域に根ざした日本産資源の歴史を守ることにもつながります。自分のためだけでなく、日本のものづくりが継承されていくことへの小さな貢献として、世界でひとつだけの特別な一枚を仕立ててみませんか?
What is this feature?
江戸時代後期から弓浜半島一帯で栽培が盛んだった国産和綿の一種。繊維が太くて弾力に富み、保温性の優れた伯州綿は、産地の境港が国内有数の良港だったこともあり、全国的な知名度を誇っていました。しかし明治時代の綿の輸入関税撤廃により、日本国内の綿栽培が一気に衰退。消えてしまうかと思われた伯州綿は、鳥取の伝統的工芸品「弓浜絣」の原料として、少量ながら栽培が続けられました。2008年からは境港市農業公社が主体となり、伝統ある地域資源を後世へ継承することを目標にした取り組みが始まり、現在では日本でも有数の和綿の産地となっています。
商品概要・ご購入はこちら!
伯州綿のシャツ屋
伯州綿のオーダーシャツ
参考価格: ¥38,500〜(税込)
伯州綿が原料の生地を使用した受注生産のフルオーダーシャツで、レディース・メンズどちらにも対応。衿タイプ、ボタン、ポケットなど細かなオーダーに応えるだけでなく、シルエットや着心地などの希望を実現する。製作期間の目安は約1ヶ月半〜2ヶ月(藍染生地の場合は+4週間程度)。
スタンダードシャツ | 38,500円~ |
---|---|
ワンピース | 52,800円~ |
※すべて税込
鳥取県東伯郡
【ドモク堂】バターケース
随所にこだわりのつまった、温かみのある手しごと

つい手にとりたくなる親しみやすさ。湯梨浜町を拠点にする木の手しごと作家、ドモク堂・朝倉康登さんの作品には、そんな魅力にあふれています。手を動かすものづくりに魅せられた朝倉さんは、2014年から本格的に木のものづくりを始めました。

木のお皿やカトラリー、家具など、朝倉さんがおもにつくるのは毎日の暮らしにさりげなく寄り添う道具たち。バターナイフが付属している桜の木のバターケースは活動初期からの定番で、愛用者も多い人気プロダクトです。

鳥取県産の木材を使うのが朝倉さんのこだわりで、閉めたときにケースとふたの木目がぴったりと合うのは、1枚の桜の木から彫り出しているから。天然木材なので、同じ木目は二つとありません。ケース内面の手彫りの跡からも、手しごとのぬくもりが伝わります。

上田まりえさん
林業も盛んな鳥取には、木のものづくりをされる作家さんが活躍されています。こちらのとてもきれいなバターケースは、繊細なつくり込みを感じる一品。鳥取では自然と共存しながらていねいに暮らしている方が多いと感じますが、だからこそ、こうした生活に寄り添い、心を豊かにしてくれる手しごとが生まれるのかもしれません。
使いやすさと美しさが同居するシンプルな形

冷蔵庫から出したバターをすぐ使いたいのに固くて取りづらい、なんてことがありますが、木のバターケースは木材がほどよく湿度を調節して、バターが固くなりすぎることがありません。バターの油分が木のうるおいを保って劣化を防ぐので、とても理にかなった保存容器なのです。

付属のナイフは木製でもしっかりバターが切れて、使い勝手バツグン。さらに、持ち運びのときにナイフがケースから抜けてしまったり、ケースの中でカタカタと動いたりしてしまわないように、柄の部分にたわみをもたせた形状にしてケースへの収まりをよくしています。
日々の料理や生活に寄り添う端正な日用品

シンプルな木のバターケースは、そのまま食卓に出してもサマになる端正さ。ケースに移すことでバターの鮮度を保ち、使いやすくなる機能的メリットもあります。冷蔵庫にそのまま入れられるのも便利です。職人の手しごとによる木工品のやさしい佇まいは、日々の暮らしにそっと寄り添い、小さな幸せを運んでくれます。
鳥取県倉吉市
【国造焼】面取急須
鳥取の豊かな風土が生んだ生活のお供

「国造焼(こくぞうやき)」は倉吉市で明治に創業した、四代続く窯元です。四代目・山本佳靖さんの作品は、白釉をベースにした日々の生活になじみやすいものばかり。いずれも鳥取の豊かな風土のイメージを作品に込めて制作しています。

面取急須の独特な模様は、白い釉薬に「面取」という技法を施したもの。「面取」は新作を待ちわびるファンも多い、国造焼の人気シリーズです。幾何学模様をくずしたようなユニークな形は、焼く前に器の表面をかんななどで削り取り、平らな面をいくつもつくっていくことで生み出されます。

表面の白釉に「貫入」と呼ばれるひび模様が入っているのが、国造焼の特徴のひとつ。貫入は制作の段階でも発生しますが、実際に使用することによってさらに増えていきます。暮らしの中で使い込まれることで表情が変化し、風合いが増していく姿を楽しめる急須です。

上田まりえさん
焼物に適した良質な土や石に恵まれた鳥取は、どのエリアにもすてきな窯元があります。「国造焼」は白壁土蔵群が有名な倉吉エリアの窯元です。モダンな印象の面取急須は、男性でも女性でも手の大きさに関係なく持ちやすいサイズで、お茶を入れる時間が楽しみになります。お茶のお供には、ぜひ倉吉名物「打吹公園だんご」をどうぞ。
どんな手でもしっくりなじむ使い心地

容量は八分目で400ccが入り、日本茶4〜5人分を一度に入れられるたっぷりサイズ。持ち手の形がとても握りやすいので、手が小さい人でも安心して扱えるのもうれしいポイントです。

表面に面取が施されていることで、お茶を注ぐために持ち上げたときも、持ち手と本体に添える手がしっかりホールドされます。一つ一つ手しごとでつくられているので、同じ形はひとつとしてありません。表情の経年変化を楽しみながら、自分だけの急須を育てていきましょう。
暮らしの中で、一緒にときを重ねていく

面取急須は同じシリーズのタンブラーやぐいのみと合わせるのはもちろん、どんな器と合わせてもしっくりなじむ、不思議な魅力に満ちています。自分だけのひとりの時間、大切な人をもてなす時間、さまざまなお茶のひとときにそっと寄り添い、暮らしを豊かにしてくれる茶器です。
商品概要・ご購入はこちら!
国造焼
面取急須
参考価格: ¥11,000(税込)
倉吉市に工房を構える国造焼。四代目である山本佳靖さんの作品は、暮らしの中で使いやすく、手になじむものばかり。人気の「面取」シリーズ以外にも、星座をイメージした線文技法や、砂丘の風紋をイメージした飛鉋技法を使った器など、さまざまな焼物を制作している。
上田まりえさんが思う、鳥取県のものづくりのこれから

全国でいちばん人口が少ない鳥取県ですが、すごくおもしろい魅力がつまった県です! 海も山も身近にあって、星空がとてもきれいに見えますし、お水がいいからお酒もおいしくて、食材の宝庫。でも奥ゆかしい県民性か、肉質日本一にも輝いたことがある「鳥取和牛」や「大山(だいせん)どり」など全国に知られるブランド鶏もあるのに、PRベタな人が多いんです(笑)。
そんな鳥取県には、本当にすてきな手しごとのつくり手が大勢いらっしゃいます。どれも日々の生活にそっと寄り添い、暮らしを豊かにしてくれるものばかり。まだまだ知られていないものも多いので、ぜひ鳥取まで会いにいらしてください。東西に長い小さな県ですが、実は空港が2つあって、東京から県内へのアクセスは良好なんですよ。
撮影/yoshimi 文/齋藤春子 編集/阿久澤慎吾・小野光梨(Roaster)
LATEST
このカテゴリーの最新記事