福岡市と北九州市の2つの政令指定都市を抱え、九州最大の人口を擁する福岡県のローカルクラフトをお届けします。古くから海外と日本を結ぶ玄関口として発展し、その風土と時代背景を反映し多彩なものづくりが引き継がれている福岡の名品を、くるめふるさと大使の高田里穂さんが紹介してくれました。

高田里穂さん

REVIEWER

高田里穂

くるめふるさと大使/モデル/俳優

高田里穂さん

1994年生まれ、福岡県久留米市出身。10代の頃からモデル活動を開始。2010年〜2011年にかけて特撮ドラマのヒロインを演じる。以来、多数のドラマ、映画、CMなどに出演して活躍。2022年11月に「くるめふるさと大使」に就任し、愛する地元のPRに努めている。

福岡県のローカルクラフト3選

髙取八仙窯/まるカップ TOUMEI/FLOWER VASE SCATOLA/ZAiNO
髙取八仙窯/まるカップ TOUMEI/FLOWER VASE TOUMEI/FLOWER VASE
茶陶窯から生まれたいろいろ使えるフリーボウル オブジェとしても存在感を放つガラスの花器 鞄職人がつくった本当に使いたいリュックサック
詳細を見る 詳細を見る 詳細を見る

Craftsmanship
in this Prefecture

福岡県の伝統産業とものづくりの魅力とは?

福岡県の伝統産業とものづくりの魅力とは?

その立地から、古くからアジアとの海外交流・貿易が盛んだった福岡は、独自の文化や産業が発達してきた九州地方の経済の要です。豊かな自然と温暖な気候に恵まれていて、海産物や果物など農水産物が豊富。辛子明太子、博多ラーメンなど全国区の人気を誇るご当地フードや、屋台文化の継承など、個性豊かな食文化が発展しています。こうした歴史的背景や風土は、福岡の伝統産業にも影響を及ぼしていて、中国王朝・宋から博多に伝わった技術がルーツとされる博多織、350年以上の歴史をもち、世界工芸展グランプリを受賞している小石原焼など、織物や焼き物から人形、仏壇まで、幅広い分野の職人の手仕事と伝統が、時代の変化に合わせて進化をしながら残っています。

©福岡県観光連盟

本記事は、提携する企業のプロモーション情報が含まれます。掲載するサービス及び掲載位置に広告収益が影響を与える可能性はありますが、サービスの評価や内容などはyour SELECT.が独自に記載しています。(詳しくはAbout Usへ)

目次

福岡県朝倉郡 【髙取八仙窯】まるカップ
400年以上の伝統を受け継ぐ茶陶窯のあたらしい器

髙取八仙窯(たかとりはっせんがま)は400年以上の歴史をもつ「髙取焼」の窯元で、福岡県南部の東峰村(旧小石原村)皿山にあります。豊かな自然に囲まれた小石原は、茶陶の「髙取焼」と民陶の「小石原焼」の窯元が併存する、全国的にも珍しい陶芸の郷。1669年に三代目八之丞がこの地に移り住んで以来、髙取八仙窯は窯の火をたやさずに、髙取焼の美意識と歴史を受け継ぐ茶陶器をつくり続けてきました。

現在では、親子三代が現役で伝統の茶陶を焼き続けている髙取八仙窯の「まるカップ」は、一家に生まれた髙取由布子さんが、祖父の十三代・髙取八仙(現:宗仙)がつくっていた丸い形状の湯呑みをベースに、「茶せんの振れるまるカップ」をテーマにした新たな器を提案。十三代が改良を重ねて現在の形状に至った、茶陶窯ならではのフリーカップです。気軽に抹茶を楽しめるだけでなく、幅広いシーンで使える万能さが人気となっています。

高田里穂さん

高田里穂さん

子どもの頃に小石原焼づくりを体験してから、陶器が大好きです。髙取焼の400年以上の歴史をギュギュッと詰め込んだ、カジュアルに楽しめるお碗の「まるカップ」は、コーヒーを注いでみると、いつもより口当たりが柔らかく、まろやかになったように感じました。手にふわっとフィットして、つるっとした手触りもとても心地良く、お気に入りの一品が増えました!

陶器のイメージをくつがえす薄さと軽さ

髙取八仙窯/まるカップ

髙取焼は、江戸時代の大名茶人・小堀遠州が好んだ茶の湯の美意識「綺麗さび」の焼き物。綺麗さびとは、千利休のわび茶から派生したわび・さびの世界に明るさや豊かさを加え、すっきりとあか抜けた美を表します。髙取八仙窯ではより高度に精製した粘土を用い、独創的な釉薬使いを施すことで、歴史と伝統によって裏打ちされた洗練した美しさを、現代の暮らしの器にも表現しています。

髙取八仙窯/まるカップ

まるカップを手に取ると、きっとその軽さに驚くはず。陶器でありながら磁器のような薄さと軽さを実現しているのも、髙取焼の大きな特徴です。釉薬を重ねることで生まれる味わい豊かな表情と、きめ細かく繊細な薄肌の両立は、卓越した釉薬技術と製法のたまもの。もともとは黒田藩の御用窯であり、ごく一部の権力者への献上品だった髙取焼の職人技を、気軽に日々の食卓に取り入れられるのは、現代ならではの特権ですね。

どんな飲み物・食べ物にもぴったりの品の良さ

髙取八仙窯/まるカップ 髙取八仙窯/まるカップ

まるカップは両手にすっぽり収まる大きさ。お茶をたてやすい形状なので、自宅で気軽に使える抹茶茶碗にぴったりですし、カフェオレボウルやシリアルボウル、スープカップとしても大活躍するサイズです。ぽってりしたフォルムと広い口から香りが立ち上がるので、ハーブティーやドリップコーヒーを楽しみたいときにもおすすめ。個性豊かだけれど落ち着いた色合いで、料理を盛り付けてもきちんと感が生まれます。

薄づくりなので口への当たりも心地よく、手に持ったときには絶妙なフィット感を発揮するまるカップ。ひとつひとつていねいな手作業でつくられ、独自に調合した釉薬から生まれる模様に同じものはひとつとしてありません。伝統的な茶道具から受け継がれたしっかりとした存在感と、どんな使い方も受け入れてくれる懐の深さを併せもち、「今日はどう使おうか」と考えるワクワク感も楽しい、暮らしを豊かに彩る万能選手です。

What is this feature?

福岡県の伝統工芸品「髙取焼」とは?

福岡県の伝統工芸品「髙取焼」とは?

400年以上前、朝鮮から九州に渡ってきた陶工・八山を始祖に、福岡藩(黒田藩)が直接運営する「藩窯(はんよう)」として開かれた髙取焼。開窯当初の素朴な作風から、桃山風の力強く豪快な作風へ、その後は小堀遠州の指導を受けて「遠州髙取」と呼ばれる繊細でしょうしゃな茶陶づくりへと、時代によって作風が大きく異なることでも知られる。遠州七窯のひとつに数えられた茶陶窯として茶の湯の世界と深い関わりをもち、特に唐物写し茶入が有名。陶器でありながら磁器のような薄さと軽さ、窯元によって調合が異なる釉薬から生まれる複雑で美しい色合いは現代にも受け継がれ、多くの器ファンを魅了している。

商品概要・ご購入はこちら!

髙取八仙窯

まるカップ

参考価格: ¥4,400(税込)

髙取焼の伝統を継承する髙取八仙窯がつくるまるカップは、カジュアルに使える抹茶茶碗として誕生。飲み物はもちろん、汁物の器やご飯茶碗など、幅広い用途に使えるフリーボウルとして人気を集める。現在は一家に生まれ、陶芸家としても活躍中の髙取由布子さん、十五代後継の髙取周一郎さんが制作を担っている。写真の器に使われた釉薬は藁白/飴。

福岡県宗像市 【TOUMEI】FLOWER VASE
手吹きガラスの魅力がつまった個性豊かなフラワーベース

TOUMEI/FLOWER VASE

宗像(むなかた)市に工房を構える「TOUMEI」は、2016年に和田朋子さんと高橋漠さんが立ち上げたガラスウエアブランド。シンプルだけど印象に残る、どこかユーモラスで、不思議と懐かしさを感じる日常使いの花器やグラス、照明などをハンドメイドで制作しています。

TOUMEI/FLOWER VASE

TOUMEIの花器は「宙吹き」と呼ばれる、吹きガラスの製法でつくられます。宙吹きは高温に熱したガラスを吹き竿に巻きつけ、空中で息を吹きながら成形していくハンドメイド技法。型を使わないので少しずつゆらぎが生じ、ときには気泡が入ることも世界にひとつだけの器の個性となります。

TOUMEI/FLOWER VASE

現代の一般的なガラスの色づけは、溶かした透明のガラスに着色剤を加えて行われますが、TOUMEIの独特な色味は、ガラスの原料に鉱物を調合して色ガラスをつくる原始的なやり方から生まれます。非効率的で技術的にも難度が高いのですが、後から着色するのとはひと味違う発色となるそうです。

高田里穂さん

高田里穂さん

洗練されたシルエットと透き通ったガラスがとても美しく、見ているだけでうっとりといやされます。どんなお花を挿そうかと考えるだけでも楽しいですし、いま現在、自宅ではインテリアとしても大活躍中。奥行きのある色合いが光に当たるときれいに反射するので、リビングのラックに飾って毎日眺めています。

一輪挿しでも、束で生けても、様になる美しさ

TOUMEI/FLOWER VASE

古墳のような形の「Kofun」、雲のような形がユニークな「Cloud」、丸みを帯びた形の「Hill」など、シンプルだけど個性的な花器たち。クリアを含め全8色展開ですが、ガラス素材の調合から手がけるため、ときには欠品が生じることも。ですが、リストックを待つ時間も楽しみになる魅力にあふれています。

TOUMEI/FLOWER VASE

水を入れるとがらりと表情が変わるのは透き通ったガラス器ならでは。宙吹きガラスのぼってりした厚みと色合いをいかしたシルエットは、植物を生けた後も美しく見えるように計算されています。光が通ったときの反射も美しく、眺めているだけでぜいたくなひとときを過ごせます。

ただ置いておくだけでも絵になるたたずまい

TOUMEI/FLOWER VASE

花のある暮らしは心を潤してくれますが、お花を生ける元気がないときだってあるもの。TOUMEIの花器はハンドメイドの温かさとガラスの硬質さが絶妙に同居して、そのままでもオブジェとして成立する存在感です。お花があってもなくても、単品でも複数でも空間を愛らしく彩って、くつろぎ時間をより豊かにしてくれます。

商品概要・ご購入はこちら!

TOUMEI FLOWER VASE

Chimney/Cloud/Small hill/Kofun

参考価格: ¥4,620〜(税込)

宗像市を拠点とする「TOUMEI」は、日常に溶け込みながらも無個性ではない花器やグラス、照明などをハンドメイドで制作している。透明なガラスの美しさや魅力が素直に伝わるガラスウエアのファンは全国に広がり、ブランドを代表する花器やグラスは、宗像市のふるさと納税返礼品にもなっている。

Chimney ¥4,620
Cloud ¥9,460
Small hill ¥4,620
Kofun ¥8,910

※すべて税込

福岡県糸島市 【SCATOLA】ZAiNO(ザイノ)
糸島発の鞄ブランドによる大人のためのリュックサック

SCATOLA/ZAiNO

福岡県北西部に位置する糸島市には、手仕事を大切にするさまざまな分野のつくり手が暮らしています。鞄ブランド「SCATOLA(スカートラ)」を展開する鞄作家の玉川佳さんも、そのひとり。夫とともに糸島にほれ込んで、2014年に工房を立ち上げました。

SCATOLA/ZAiNO

ブランドコンセプトは、玉川さん自身が「使いやすい、使いたい」と思うアイテムづくり。「ZAiNO(ザイノ)」はブランド初期からの人気商品で、強度のあるコーデュラのポリエステル生地を使用したクラシカルなリュックサックです。

SCATOLA/ZAiNO

コンパクトなリュックですが、しっかりとマチを設けているので見た目以上のたっぷり容量。背中と肩紐の体に触れる面にはメッシュ素材を使っているので、長時間の使用でも蒸れにくくなっています。クッション性をもたせることで柔らかく体にフィットし、疲れにくいつくりです。

高田里穂さん

高田里穂さん

コロンとしたかわいらしい見た目に反して、たっぷりと入る実用性の高さが魅力。内外に6個もあるポケットも、ふだんからメイク用品などの小物を持ち歩き、荷物が多い自分にはうれしいポイントです。鮮やかなブルーにリアルな牛革のアクセントが、個人的にはとてもツボ。台本と水筒を入れて、撮影現場にも持っていこうかなと妄想中です!

小柄な女性もうれしいコンパクトさ&たっぷり容量

SCATOLA/ZAiNO

「ちいさな子どもと出かけるときに、両手が自由に使えて、たくさん荷物が入るリュック」を目指したZAiNO。女性が持っても大きすぎず、A4ファイルや13.3インチのノートPCがギリギリ入る絶妙なサイズ感で、デザイン性と機能のどちらも欲しい大人を満足させる完成度です。

SCATOLA/ZAiNO

外側に3つ、内側に2つ、背面に1つの計6つのポケットを備えて、こまごました荷物もすっきり整頓。背中のポケットは、お財布やカギなどの貴重品を入れるのにピッタリです。ファスナー付きなので混雑した場所でも安心。お会計の場面でもスムーズにお財布を取り出せます。

性別や世代を問わず使えるクラシカルなデザイン

SCATOLA/ZAiNO

本革と高強度ナイロンを組み合わせたZAiNOのクラシカルなたたずまいは、世代を問わず、ユニセックスに使えるデザインです。ブラックやグレーのシックなカラーから、ブルーやイエローの鮮やかカラーまでそろう全6色展開。カジュアルになりすぎない大人のリュックサックは、全国に愛用者が広がっています。

商品概要・ご購入はこちら!

SCATOLA

ZAiNO

参考価格: ¥30,800(税込)

「SCATOLA」はイタリア語で箱という意味。イタリアと日本で鞄づくりの経験と知識を積んだ玉川さんの 「お気に入りのものをどんどん詰められる箱のようなカバンでありたい」という願いが込められている。ZAiNOは基本的に受注生産で、同じテープと革を使った後づけのチェストベルトも販売中。

高田里穂さんが思う、福岡県のものづくりのこれから

高田里穂さん

中心部の博多付近は都会として進化する一方、私の地元・久留米では、巨峰や柿、いちごなどの農産物が盛んにつくられていて、福岡はまさに都会と田舎のハイブリッド! 空港から都心部への移動もしやすく、物価や家賃も安い。何を食べてもおいしくて、福岡に住みたい人が多いのも納得です。個人的には、明るく陽気な県民性も大好き! 福岡にいらした際は、ぜひ街の人との交流も楽しんでくださいね(笑)。

子どもの頃から久留米がすりや、ムーンスターの靴などを当たり前のように見てきて、工芸と産業のどちらのものづくりも身近な存在でした。上京してから福岡のローカルクラフトは全国的に有名なことを知り、あらためて衝撃を受けたことを覚えています。受け継いできた伝統を大切にしながら、時代に合わせて進化を続けていく福岡のものづくりに、これからも注目したいです!

撮影/藤井由依 文/齋藤春子 編集/阿久澤慎吾・小野光梨(Roaster)

LATEST

このカテゴリーの最新記事