FEATURE
石川県観光大使・新田さちかさんおすすめ 伝統と現代の手しごとが融合する石川の厳選クラフト

「加賀百万石」の名残を色濃くとどめる金沢市を中心に、伝統や文化を感じられる多くの観光名所を誇る石川県。観光大使を務める、タレントで実業家の新田さちかさんが石川の魅力的なアイテムを紹介してくれます。


石川県観光大使/タレント/実業家
新田さちかさん
石川県金沢市出身。「ミス青山コンテスト」で準グランプリに輝き、大学在学中から注目を集める。2023年に個人事務所を設立、会社を立ち上げアパレルブランド「sachat(サーシャ)」や美容や健康に関連した事業に取り組むなど実業家としても活躍。2023年に観光大使に就任。
石川県のローカルクラフト3選
Craftsmanship
in this Prefecture
北陸地方の中央に位置し、江戸時代には「加賀百万石」と称されるほど栄えた石川県。そうした豊かさを背景にして、藩主の前田家は文化振興に力を注ぎました。そして九谷焼や漆器、加賀友禅といった工芸品のほか、能楽などの芸能、さらに茶道や庭園、豊かな自然風土を生かした郷土料理など、全国でも屈指の華やかな文化が育まれたのです。前田家は京都や江戸から優れた名工を招き、地元の職人たちに技術を教える代わりに、彼らを手厚く支援しました。そうした経緯から、とくに金沢の伝統工芸は京都の貴族文化と江戸の武家文化が融合し、優雅さと力強さをもち合わせています。
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目次
石川県小松市
【九谷焼錦山窯】MIROKU
繊細で華やかな伝統技法が映える塗香入れ
錦山窯は小松市にある九谷焼上絵付を専業とする窯元で、 明治39年の開窯から約120年にわたり窯の火を絶やすことなく作陶を続けています。九谷焼には赤を使わない「青九谷」や赤絵金彩の「赤九谷」など、窯元によってさまざまな技法や作風がありますが、錦山窯は代々、金襴手(きんらんで)や釉裏金彩(ゆうりきんさい)など、金を使った絵付を得意としています。先代はきわめて難度が高い技法「釉裏金彩」の名人として人間国宝の認定を受けており、四代目の現当主、吉田幸央さんも伝統の技を継承しながら、時代に合った新しい彩色金襴手の表現を追求しています。ご紹介するMIROKUシリーズは、そんな錦山窯を受け継いでゆく幸央さんの長女、吉田みふゆさんが手がけた、塗香(ずこう)を入れる香壺です。塗香とは香木などを粉末状にして混ぜ合わせた伝統的なお香のこと。元来は、仏教のお清めのためのものでしたが、現在では香水代わりとしても気軽に使用されています。

新田さちかさん
錦山窯は九谷焼の伝統を受け継ぎながらも、現代的なアプローチを取り入れる窯元のひとつ。ここで活躍する吉田みふゆさんは、人間国宝を輩出した系譜を継ぐお孫さんとして注目を集めています。香水や香木、アクセサリーを入れられる小瓶はインテリアにさりげなく彩りを添えてくれるだけでなく、手のひらサイズの愛らしさで、使う人の気持ちを軽やかにしてくれます。ベッド横のサイドテーブルに置いてもかわいいですよね。九谷焼らしい“華やかさ”と、今どきの感性が同居する逸品を、旅の思い出にぜひどうぞ。
「世界を救う」願いを込めた繊細な装飾

MIROKUという名の由来は、慈愛の象徴であり、世界の人を救うと伝えられている弥勒(ミロク)菩薩にちなんだもの。この小つぼに塗香や香水を入れて、香りを楽しむことで人を幸せにしたい(=救う)という願いが込められています。現在ではあまり使われない「テレピン叩き」という伝統技法を用い、金襴手による繊細な装飾が施されています。こちらの「松皮菱(まつかわびし)」は、生命の輝きをあらわす松の緑に、魔除けの意味を込めた菱の実の紋様を描いた香壺です。

「立涌(たてわく)」は、人の立ち姿をイメージした器に動作を優雅に見せるとされる能装束の立涌文様があしらわれています。

「八藤(やつふじ)」は古来から繁殖力が強く、めでたい植物とされた藤の文様を金襴手で描いたもの。繊細な文様と紫色の素地のコントラストが美しい一品です。
インテリアとしても日々の暮らしをエレガントに

絵画のような美しい装飾などにより、世界的にもその芸術性が高く評価されている九谷焼。MIROKUはそんな九谷焼のすばらしさを日常の暮らしのなかで存分に堪能できるアイテムです。縁起の良いモチーフを、伝統的な技法を駆使して精緻にデザインされたたたずまいは、小さいながらも抜群の存在感があります。インテリアとしても日常空間をエレガントに演出してくれるでしょう。

天然香木のチップなどを入れて香りを楽しむ場合は、蓋を外してリビングやベッドサイドに置けば、リラックスタイムがより上質で豊かなものになります。また、やや小ぶりな「八藤」や「立涌」は携帯用の塗香入れとしてデザインされており、旅先などでも香りを楽しむことができます。
What is this feature?
石川県を代表する伝統工芸品のひとつが、色鮮やかな上絵付けが特徴の色絵陶磁器「九谷焼」です。上絵付けとは、本焼きした陶磁器の釉薬の上から顔料で文様を描き、再度焼く技法のこと。九谷焼は「九谷五彩」と呼ばれる赤・黄・緑・紫・紺青の絵の具を用いた華やかで緻密な絵付けが大きな魅力となっています。明治時代にオーストリアのウィーンで開催された万国博覧会をきっかけに海外でも「ジャパンクタニ」として人気を獲得し、その芸術性は今も高く評価されています。上絵付けの技法や画風は窯元、すなわちつくり手によって異なり、その特徴を理解するとさらに奥深く楽しめるようになります。
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九谷焼錦山窯「MIROKU」
八藤 YATSUFUJI/立涌 TATEWAKU/松皮菱 MATSUKAWABISHI
参考価格: ¥33,000〜(税込)
伝統的な「テレピン叩き」という技法を用いて、写真の「八藤」「立涌」「松皮菱」に加え「斧柄」「亀甲」の5種類を展開。金箔を使った金襴手の技法で繊細な模様が施されており、錦山窯の特徴である金彩の美しさが際立つ作品。2017年にはパリで開催されたインテリアデザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展され、高い評価を得ている。
八藤 YATSUFUJI | ¥38,500(税込) |
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立涌 TATEWAKU | ¥33,000(税込) |
松皮菱 MATSUKAWABISHI | ¥55,000(税込) |
※すべて受注生産
石川県金沢市
【竹俣勇壱】食器シリーズ
ジュエリー職人が手がける唯一無二のカトラリー

金沢市でオーダージュエリーの制作と並行し、日用品の制作も手がけている竹俣勇壱さん。「Yuichi Takemata」(上写真①~④、下写真⑤~⑥)と「ryo」(上写真⑤~⑧、下写真①~④)という二つのシリーズがあり、前者は主に「鍛金」と呼ばれる、金属の板をハンマーで叩きながら成形する技法を用いてつくられたカトラリーや食器がラインナップされています。ステンレスの板からひとつひとつハンドメイドされ、あえて鎚目(つちめ)模様を残した味わい深い表情のアイテムはその白眉といえます。

一方、後者は日本に洋食器が輸入され始めた頃の金型を使用。「ギュメレイアウトスタジオ」主宰の猿山修さんがデザインし、生産は新潟県燕市の田三金属が担当。竹俣さんが古色仕上げを施しています。どちらもステンレスカトラリーらしからぬアンティーク感が魅力で、和洋を問わず食卓をおしゃれに演出してくれます。

新田さちかさん
金属工芸の新たな可能性を切り開く竹俣勇壱さん。SNSでも制作過程や展示情報を発信しており、スタイリッシュなステンレス製の器やカトラリーが人気を博しており、創業120年を超える石川県加賀市の老舗旅館「花紫」のアフタヌーンティーで使用されるなど、地元でも愛されています。使うたびに「いつもの時間」が少し特別に感じられる、そんな上質な食器を生み出しています。
飽きることのないアンティークのような質感

光沢を抑えたマットな質感は、古色仕上げ(焼き入れ)によるもの。まるで時を重ねたアンティークのような、しっとりとした落ち着きを感じさせます。また、あえて残された繊細な研磨痕がそれぞれのカトラリーに唯一無二の表情を与え、じっくりと眺めても飽きることがありません。

金属に命を吹き込むかのような「鍛金(たんきん)」という技法。それは、切り出したステンレス板を加工しやすいよう熱処理し、大小さまざまな金づちや木づちで根気強く叩き上げていく、金属工芸の原点というべきもの。
竹俣さんの手から生まれたカトラリーは、まさにその鍛金の賜物。ひとつひとつに惜しみない時間と情熱が注ぎ込まれ、同じものは二つとない、唯一無二の槌目模様をまとっています。
大量生産品にはない、「作品」と呼ぶにふさわしい存在感。手に取れば、そのぬくもりと個性が、いつもの食卓を豊かに、そして華やかに彩ってくれるはずです。
どんな食器にも調和し、食卓に上質感を

回転させた金属板を金型に押しつけて成型する職人技術「へら絞り」を駆使して作られるカトラリー入れ。金属でありながら温かみを感じさせる丸みが、落ち着いた存在感を放ちます。
カトラリーをこの器に入れることで、テーブル全体が洗練され、食卓が心地よい空間へ変わります。大切なゲストを迎える日の食卓では、美しく整えられたカトラリーで、おもてなしの心を伝えてみてはいかがでしょうか。シンプルなデザインは、和洋を問わずどんな食器にも調和し、テーブルコーディネートにさりげない上質感を添えます。
また、どんな草花やインテリアにもなじむので、カトラリー入れとしてだけでなく、花器として季節の草花を飾るのにも適しています。

幅広のリム(縁)がアクセントの「リム皿」は、用途ごとに使い分けできるようS~Lサイズをラインアップ。入れ子式に重ねてコンパクトに収納できるところも魅力です。

手しごとによる鑢目(やすりめ)加工がアンティーク品のような趣を醸し出し、食卓に深みを与えます。ティータイムにお気に入りのケーキや焼き菓子をのせれば、優雅な時間を演出してくれるでしょう。
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食器シリーズ
参考価格: ¥3,080〜(税込)
ジュエリー制作の経験を生かしてつくられる、美しいフォルムとデザイン性の食器シリーズは、さまざまな用途で使えるS〜Lサイズを展開。日常使いはもちろん、特別な場面でも食卓を引き立てる逸品として、多くの人々に愛用されています。
小皿 | ¥5,280〜 |
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スプーン | ¥ 3,080〜 |
フォーク | ¥3,850〜 |
※すべて税込
石川県金沢市
【杉田明彦】鼓椀
現代のライフスタイルに寄り添うモダンな漆器

石川県は日本を代表する漆器の産地であり、よく知られた「輪島塗」のほか、「金沢漆器」「山中塗」が伝統工芸品として指定されています。杉田明彦さんはそんな漆器の一大産地である金沢で作品を制作する漆工です。杉田さんの作品は、ピカピカに表面を磨き上げた一般的な漆器とは趣が異なり、落ち着いた色味と、塗り跡の残る、使い込んだような質感が特徴です。

デザインは現代のライフスタイルでも違和感のないモダンなもの。そこに長く使うほど風合いが増してくる伝統的な漆器の魅力が融合しています。天然木を使用し、乾燥に時間のかかる漆を何度も塗り重ねるなど、非常に手間のかかったものですが、ぜひ日常の器として愛用してもらいたい一品です。

新田さちかさん
金沢市を拠点に活動し、漆器を中心とした暮らしの道具を手がける杉田明彦さん。伝統を大切にしながらも、現代のライフスタイルに寄り添うデザインを追求されている杉田さんの作品は、やわらかな曲線とマットな質感が魅力で、使うほどに深い味わいが生まれる気がします。シンプルだからこそ料理やお菓子を引き立て、和洋問わずテーブルにしっくりとなじむバランスの良さが好きです。思わず日常的に使いたくなる、石川の「今」を映し出す一品です。
ぬくもりを感じさせる優美なたたずまいと質感

鼓椀は、その優美なたたずまいと独特の質感が魅力です。蒔地(まきじ)と漆、そしてベンガラ漆を塗り重ね、研磨した後に「拭き漆」で仕上げられています。奥行きを感じさせる深い色合いとマットな風合いは、ひとつひとつが異なる表情を見せる一点もの。一般的な漆器のつややかなイメージとは異なり、どこかぬくもりを感じさせる、しっとりとした手触りが魅力です。

色は赤、黒、白の3色。サイズはそれぞれS(約直径120×高さ80mm)とL(約直径137×高さ94mm)が用意されています。
料理を引き立たせる3つの色合い

朝のお味噌汁は忙しい時間にほっと一息つかせてくれる大切なもの。漆器は断熱性が高く、そのやさしいぬくもりを逃さず、最後までおいしくいただけます。Sサイズの椀は上品なお吸い物にぴったり。一般的に汁物には朱色の椀が合うとされていますが、鼓椀の落ち着いた色合いは、赤はもちろん白や黒でもマッチします。

飯椀や豚汁など具だくさんの汁物の椀として。また、ゆっくりと時間をかけて味わいたい煮物にもぴったりです。
Lサイズの椀には丼ものやそばなどの麺類をゆったりと盛り付ければ、料亭のような雰囲気が楽しめます。とくに黒い漆器は白いごはんをよりおいしそうに引き立ててくれるでしょう。
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杉田明彦
鼓椀
参考価格: ¥17,600〜(税込)
従来のつやのある漆器のイメージとは異なるマットな落ち着いたたたずまい。程よい厚みと重さで安定感もあり、日常使いから特別な場面まで幅広く活用できるお椀。カラーは黒、赤、白の3色。
黒と赤 | Lサイズ ¥30,800/Sサイズ ¥17,600 |
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白 | Lサイズ ¥31,900/Sサイズ¥18,700 |
※すべて税込
新田さちかさんが思う、石川のものづくりのこれから

石川県は、古都金沢の街並みや武家文化のひとつとして受け継がれてきた茶の湯といった歴史的なものと、金沢21世紀美術館に代表される現代アートが共存する、奥深い魅力にあふれた場所です。歩を進めるごとに新しい発見があり、訪れる人々を飽きさせません。
また自然に恵まれ、日本海の新鮮な魚介や加賀野菜など、食文化もとても豊かです。能登や加賀の温泉地、美しい里山など、訪れた人々はどこへ行っても、暮らしを豊かにしてくれる何かを見つけられると思います。
石川県のものづくりは、長年培われてきた伝統技術を大切にしながらも、現代のライフスタイルになじむよう進化を続けています。たとえば、杉田明彦さんの器は食卓に温かみと個性を添えてくれます。竹俣勇壱さんのカトラリーは、金属製でありながらどこかぬくもりを感じさせ、使うたびに心が満たされるような心地よさが。九谷焼の錦山窯・吉田みふゆさんの作品は、伝統的な色彩とモダンなデザインが融合し、まるでアクセサリーのように日常を彩ります。
みなさんの新しいことに挑戦する姿勢は、現在の石川県のものづくりを語るうえで欠かせないもの。伝統が「今」へとアップデートされる息吹に満ちています。
撮影/藤井由依 文/佐藤旅宇 編集/阿久澤慎吾(Roaster)
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