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無煙ロースターの選び方!家電ライターが家庭用の使いやすい商品を選ぶポイントを解説

おうち焼肉をしたいけれど、煙やにおいが気になる…という人にもうれしい、無煙ロースター。しかし、商品によって熱源の位置や加熱方法が異なり、調理のしやすさやお手入れ方法なども変わってくるため、選び方に迷ってしまう人もいるでしょう。
この記事では家電ライターの倉本春さんに、無煙ロースターの選び方を教えてもらいました。焼きたい食材や使用シーンに応じて、煙を抑えておいしい料理が楽しめる商品選びのポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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家電ライター
倉本春さん
白物家電やIoTガジェットなど、生活を快適・便利にする製品の紹介やレビューを中心に記事を執筆するライター。パソコン雑誌の編集経験や元ドッグカフェオーナー兼シェフという経歴を生かした、ていねいでわかりやすい解説が好評を博している。自身が運営するHP「家電あるき」で、気になる家電のニュースやレビューを発信中。
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目次
選ぶ前に知っておきたい無煙ロースターの基礎知識
はじめに、なぜ無煙ロースターは煙が出ないのか、その理由について倉本さんに伺いました。また、無煙ロースターの熱源や加熱方法の違いから、それぞれのメリット・デメリットについても解説していきます。
なぜ煙が出ない? 無煙ロースターの仕組み

油を含んだ煙の発生を抑えることができれば、焼肉後の嫌なにおいも軽減される
焼肉の煙は、熱源に食材の油が触れるなどで、油の温度が高温になることで発生します。この「油煙(ゆえん)」と呼ばれる油を含んだ煙が、衣類やカーテンなどの繊維に付着することで、嫌なにおいが残ります。
この油煙を抑えるために、熱源に油が落ちない構造を採用しているのが無煙ロースターです。食材の油がそもそも触れないよう、上部に加熱線を設置したり、プレートに傾斜をつけて油を1ヵ所に集めたり、各メーカーさまざまな工夫を凝らしています。最近は、油煙を抑える仕組みに加え、煙を吸い込むファンを搭載した商品もあります。

遠赤外線式無煙ロースターの一例。食材から出る脂や水が熱源に触れないため煙が出ない仕組み
加熱方法の種類
無煙ロースターの加熱方法はおもに、「電気ヒーター式」「遠赤外線式」「直火式」の3種類に分類できます。それぞれの特徴を解説します。
加熱方式 | 燃料 | 無煙度 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
電気ヒーター式 | 電気 |
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遠赤外線式 |
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ガス |
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直火式 |
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電気ヒーター式|安定した火力を維持でき使いやすい

商品のバリエーションも多いので、まず電気式から探すのもあり
電気ヒーター式は、無煙ロースターの定番です。加熱線を鉄板の下に設置したものが主流ですが、中には本体内側の両サイドにヒーターを配置したサイドヒータータイプもあります。
プレートの網目の幅が広く、食材の余分な脂を下に落とすタイプのものは、受け皿に水を入れて煙やにおいの発生を抑えます。安定した火力を維持でき、火加減も調節しやすいため、初めて無煙ロースターを使う人にもおすすめです。
デメリットは、加熱線の配置場所で火力が大きく左右されてしまうこと。鉄板の加熱線から遠い部分は温まりにくく、焼きムラが生じやすいため注意が必要です。
無煙ロースターの構造上、煙はそこまで出ません。ただし、熱源の位置や油の処理方法、加熱温度などの影響により、煙の量や出方は変わってきます。
遠赤外線式|赤外線を照射して食材をじっくり加熱

炭火でも知られる遠赤外線式は食材にじっくり熱が届くため、ジューシーな仕上がりになる
遠赤外線式は、遠赤外線を食材に照射して焼き上げる加熱方法です。
煙はこのタイプがもっとも出にくいといわれていますが、ヒーターやバーナーの位置、加熱温度などによって発煙量に差が出ます。
遠赤外線の量が多いほど食材がパサつきにくく、ふっくらと仕上げやすいという特徴があり、特にカーボンやセラミックの素材は遠赤外線が発生しやすいため、多くのメーカーが採用しています。また、最近は遠赤外線+ヒーターのように複数の熱源を使っているものや、セラミックバーナーの遠赤外線効果を利用したガス式の製品もあります。
上部から遠赤外線を照射するタイプは、輻射熱とプレートから伝わる伝導熱を利用するため、両面焼きに近い効果を得られます。厚みのある魚や肉、ジャガイモなど大ぶりな野菜も均一に内部まで熱が届きやすいのが特徴です。

上部からの遠赤外線による輻射熱と、下部のプレートによる伝導熱で両面焼きのような仕上がりに
注意点として、電気式の遠赤外線タイプの製品は本体が大きい傾向があるため、コンパクトなサイズを求める人にはあまりお勧めできません。
直火式|初動が早くすぐに調理が始められる

直火式は強い火力でしっかりと焼き上げることができるのがメリット
直火式は、カセットボンベを用いて火を起こし、その火力で食材を加熱します。直火に近い効果を得られるため、プレートが温まるまでの初動が非常に早く、すぐに調理を始められます。
使用する場所を選ばないので、屋外でのバーベキューなど幅広い用途で活用できます。ただし、カセットボンベの取り扱いには注意が必要です。
直火式の無煙ロースターもそこまで煙は出ませんが、他のタイプと同様に、煙の量は製品によって差が出ます。
家電ライターが教える無煙ロースターの選び方
用途に合った無煙ロースターを選ぶポイントを、倉本さんに教えていただきました。

「最近は自宅での一人飲みの需要が高まり、コンパクトなサイズの電気ヒーター式が人気です」
使う場所に応じた加熱タイプで選ぶ
無煙ロースターは、室内で使うのか、野外で使うのかによって適した加熱タイプが変わってきます。どんな場所で使うのかを考えて選びましょう。
室内で使うなら|電気ヒーター式・遠赤外線式(電気)がおすすめ
自宅などの室内で無煙ロースターを使用するなら、安定した火力を維持できる電気式を選びましょう。電気式の無煙ロースターは火加減を調節しやすく、設定すれば温度を一定に保ちやすいのが特徴です。また、電気を使用する遠赤外線式であれば、より煙が出にくい製品が多いので室内での使用にも向いています。
ただし、前述したようにプレートの熱源から遠い部分は焼きムラが生じやすいので、加熱線の場所は事前に確認しておきましょう。
電気式は少人数用からファミリータイプまで大小さまざまな製品があるため、使用人数や用途に合ったものが見つかりやすいでしょう。プレートの種類も充実しており、幅広い料理を安定した火力で楽しむことができます。

おうち焼肉なら、長時間安定した火力を保てる電気式がピッタリ
屋外で使うなら|遠赤外線(ガス)・直火式がおすすめ
自宅の庭やベランダ、バーベキューなど屋外でも使用したい人は、給電が必要のないガス式を選びましょう。ガスを燃料にして食材を加熱するため、鉄板が温まるまでの時間が非常に早く、高い火力で効率良く調理できます。
注意点としては、ガスが途中で切れてもいいように、カセットボンベの連続燃焼可能時間を事前に確認しておくと安心です。
また、ガス式の無煙ロースターは、本体とカセットボンベさえあればすぐに温かい料理が作れるので、災害時の調理家電としても役立ちます。

野外でも、バーベキューの煙やにおいは体についてしまうもの。無煙ロースターなら安心
煙をさらに抑える機能や構造で選ぶ
無煙ロースターは煙の発生を極力抑えた調理家電ですが、煙をさらに抑える機能や構造にこだわったものもあります。煙の低減を重視したい人は、次のポイントを押さえておきましょう。
吸煙ファンが搭載されていれば、煙の広がりを抑えられる
吸煙ファンを内蔵した無煙ロースターなら、煙やにおいの発生を軽減できるため、室内でも快適に使用できます。ファンが送り出す風がプレートの表面で絶えず循環するため、煙が立ち上がりにくいのが特徴です。
無煙ロースターから立ちのぼる少量の煙の広がりを抑えてくれるので、煙の発生を最小限に抑えて、室内に極力においを残したくないという人向けの機能です。
ただし、ファンの音が気になるという人もいるため、その点は注意して検討しましょう。
サイドヒーティング方式なら、煙の発生を抑えられる
プレート下部の両サイドに熱源を配置したサイドヒーティング方式の無煙ロースターは、鉄板から滴る食材の脂や水分がより触れない構造になっているため、熱源からの煙がほとんど発生しません。
ただし、このモデルは加熱温度を上げにくいなどの理由から、商品のバリエーションが少ない傾向があります。その分、大きさや機能、プレートの種類などの選択肢が限られてしまう点は覚えておきましょう。

サイドヒーティング方式を採用した無煙ロースターの一例。両サイドに設置されたヒーターから発する赤外線で加熱する
使いやすさで選ぶ
プレートやパーツの構造で、使い勝手も変わってきます。次のポイントをチェックして、使いやすいものを選びましょう。
プレートの種類と形状|焼きたい食材に応じて選ぶ
無煙ロースターのプレートや網の形状は、商品によって特徴が大きく異なります。
プレートに傾斜がついたものや穴が開いたものは、食材から出る余分な脂を落とせるので、焼肉をよりヘルシーに楽しみたい人におすすめ。
一方、細かく切った食材を使う焼きそばなどの麺類や、お好み焼き、ホットケーキなどの調理をしたい人は、平面プレートが向いています。
また、野菜や魚、肉などに焼き目を付けたい場合は、網タイプを選ぶと便利です。
中には、付属品として数種類のプレートがついた商品や、1枚に波型や平面、傾斜のついた部分が一緒になった特殊な形状のプレートもあります。
自分がどんな食材を焼きたいかによって、プレートの種類と形状を選びましょう。

プレート種類の例。複数あれば、ホットプレートのようにさまざまなメニューに対応可能
お手入れのしやすさ|パーツが分解できて洗いやすいものを選ぶ
お手入れのしやすさも重要視したいポイントです。食洗機に対応している商品は少ないものの、ほとんどがプレートと油が落ちる受け皿を分解できて、中性洗剤で水洗いできます。ヒーターの上部にカバーが付いたものは、カバーの取り外しが可能かどうかも確認しましょう。

網やプレートだけでなく、油の受け皿の洗いやすさもチェックのポイント
また、プレートの表裏で形状や溝の入り方が異なる場合、表は洗いやすいけれど裏が洗いにくい…という可能性も。可能ならば、プレートの裏面も併せて確認しておくと安心です。

写真のように、裏面だけ溝が複雑に入り組んでいるプレートは洗いにくい可能性も
汚れ落ちに関しては、食材のこびりつきを防ぎ、表面の滑りをよくするフッ素樹脂などの加工を施したプレートが洗いやすいでしょう。
無煙ロースターの選び方|ポイントまとめ
無煙ロースターは使う場所や機能、お手入れのしやすさなどをチェックして選びましょう。選び方のポイントをまとめました。
- 室内で使うなら電気式、屋外でも使うならガス式を選ぶ
- 煙を抑えたいなら吸煙ファンが内蔵されているもの、サイドヒーティング方式のものを選ぶ
- 焼きたい食材に応じたプレートの種類と形状をチェック
- パーツが分解できるものは洗いやすくお手入れが楽
無煙ロースターに関するよくある疑問Q&A
無煙ロースターに関する疑問について、倉本さんに教えていただきました。
Q. 無煙ロースターの消費電力はどのくらい?
A. 製品によって異なりますが、だいたい1200〜1400Wぐらいあれば、高い火力が期待できます。ただし、同じ消費電力の製品でも熱源の位置などによっては火力を十分に発揮できないこともあるので、あくまで目安として捉えてください。
消費電力の高い無煙ロースターと他の家電製品を併用する際は、容量オーバーでブレーカーが落ちないように注意しましょう。
Q. 無煙ロースターを使いつつ、においを抑えるコツは?
A. とにかく換気が大切です。調理中に窓を開けておくか、空気清浄機などを稼働させて空気の循環を促してください。
温度を低めに設定して調理することでもにおいを抑えられますが、香ばしさやおいしさが半減してしまうので、やはり換気を心がけるのがベターです。

「無煙ロースターを使っても部屋のにおいが気になる人は、消臭剤などを使ってケアしましょう」
Q. 炭火が使える無煙ロースターはある?
A. 炭を熱源にする、無煙のバーベキューコンロに分類される製品はあります。ただし、このタイプは屋外での使用が目的で、見た目もアウトドア向きです。遠赤外線の効果と炭のもつ火力を発揮して、食材をパワフルに焼き上げます。
室内で使うなら、やはり使い勝手がいいのは電気ヒータータイプだと思います。
Q. 家庭でも使える業務用の無煙ロースターはある?
A. 多くの焼肉専門店では無煙ロースターを使用せず、店内から外に向けて空気の通り道を作るダクト工事などをして、店内に煙やにおいがこもらないよう工夫がされています。
一般的な無煙ロースターは家庭での使用を想定して販売されているので、業務用をあえて選ぶ必要はないと思います。

焼肉専門店の多くは、ダクトなどの店内設備で煙やにおいの対策をしている
Q. 無煙ロースターを使って、よりおいしく焼き上げるコツはある?
A. 無煙ロースターは種類によって、おいしく焼き上げるコツが異なります。
赤外線式は長い時間をかけてじっくり加熱し、焼いている最中の食材にはなるべく触れないようにしましょう。
電気ヒーター式とガス式は、温度を細かく調節しながら調理してください。特に高い火力を発揮するガス式は、食材が焦げやすいので注意しましょう。

温度は3段階や、9段階まで細かく調節できるものもあるため、食材に適した温度で調理できる
まとめ
- 無煙ロースターには室内向きの「電気式」、屋外向きの「ガス式」がある
- 加熱方法はおもに「電気ヒーター式」「遠赤外線式」「直火式」の3種類がある
- 電気ヒーター式がもっとも使いやすく、商品のバリエーションが多い
- プレートと受け皿が分解できるものはお手入れがしやすい
- 温度をうまく調節しながら焼くことでよりおいしくなる
無煙ロースターは熱源の位置や加熱方法が商品によって異なるため、自分がどんな場面で、どんな料理を作りたいかを明確にしたうえで検討するのがおすすめです。
また、適切な使い方を心がけることで、煙やにおいを最小限に抑えた環境で、おいしい料理が楽しめます。ぜひ本記事を無煙ロースター選びの参考にしてくださいね。
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