今、気になるタレント&モデルに、“本当に買って良かったもの”を紹介してもらうインタビュー企画。買ったものから見えてくるのは、その人のライフスタイルやパーソナリティ。第一線でたくさんの“本物”を見てきた彼女たちに選び抜かれた逸品たち。その中から、あなたにとっての「the best of your select」が見つかるかもしれません。

今回ご登場いただいたのは、10代で俳優、映像作家としての活動をスタートし、いまや文筆家、保育士、ラジオパーソナリティとさまざまな分野に活躍の場を広げている小川紗良さん。現在は新たなものづくりの場として設立した「とおまわり」での活動を軸に、便利さや効率だけを求める生活で見落としがちな手間と時間をかけた“遠回り”な暮らしの豊かさを映像や文章で発信しています。活動を通じて自然にふれる機会も多い小川さんが、“本当に買って良かった”と思った「アウトドア」にまつわるアイテムを教えてくれました。

SELECTor

小川紗良

文筆家・映像作家・俳優

小川紗良さん

1996年東京生まれ。俳優としてNHK『まんぷく』、ひかりTV『湯あがりスケッチ』などに出演。初長編監督作『海辺の金魚』は全州国際映画祭に出品され、自ら小説化も手がけた。2023年、活動拠点として「とおまわり」を設立。現在、J-WAVE「ACROSS THE SKY」(日曜午前9時〜12時)でナビゲーターを務めている。

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目次

海でも山でも大活躍してくれる、アウトドア活動に欠かせないウエア

小川さんは2020年、俳優業や監督業がコロナ禍により一時ストップしたことで、働くことや暮らすことへの考え方が一変したと言います。
「ささやかな暮らしの中にこそ、心を豊かにする表現の源があること」に気づいた小川さんは、目まぐるしく変化する環境からいったん距離を置くことを決意。文筆業や映像制作など、自ら作って伝える表現手段に熱心に取り組むようになりました。

小川紗良のベストセレクト3-01

「その頃から、私が素敵だなと思う農家さんや職人さんたちを取材してまわっては、映像や文章を通して発信することを続けています。それまでどちらかというとインドア派で、運動は散歩くらいしかしていなかったのに、コロナ禍を機に畑に行ったり、山歩きをしたりするうちに、急激にアウトドアの楽しさに目覚めてしまいました(笑)」

以来、それまで縁のなかったアウトドア系ウエアが必要となった小川さんは、さまざまなアウトドアブランドを調べては、外遊びや取材をするうえで使いやすいウエアを少しずつ集めていったそうです。

リサイクル素材使用の「バギーズショーツ」など、環境に優しいブランド理念にも賛同

「パタゴニアの『バギーズショーツ』を購入したのは今年の春。服は実物を触ってみないと手触りや着心地がわからないので、一度お店で試着してから買いました。最初はイエローを買ったのですが、デザインがかわいいし、海遊びにも山遊びにもどちらでも使えるところが気に入って、結局ブルーの小花柄も買い足しました」

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世界的なアウトドアブランドであるパタゴニアは、毎年売上の1%を環境活動団体に寄付するなど、さまざまな環境保護活動に取り組んでいることでも知られています。

「アウトドアブランドは自然との距離が近いせいか、地球環境を考えた素材を採用していることが多いですが、『ビジネスを営むのに要する以外の収益はすべて、地球を守り、再生させるために使われます。』と宣言しているパタゴニアもまさにそういうブランド。定番人気の『バギーズショーツ』の素材はリサイクル・ナイロン100%で、有機フッ素化合物(PFC/PFAS)不使用の耐久性撥水加工を施しているんです。水陸両用の機能性がありながら、ちゃんと素材にこだわっているところもいいなと思います」

SARA’S BEST SELECT

パタゴニア

ウィメンズ バギーズ ショーツ 5インチ

参考価格: ¥8,800(税込)

アメリカ生まれのアウトドアブランド・パタゴニアは、優れた機能性と丈夫さに加え、デザイン性の高さからファッション好きにも愛されています。『バギーズショーツ』は1982年から大きくデザインが変わることのないロングセラーで、ランニングやハイキングといった野外アクティビティに最適なのはもちろん、カジュアルウエアとしても人気。肌触りが良く、DWR(耐久性撥水)加工を施した、丈夫なリサイクル・ナイロン100%素材を採用。

服を選ぶときは環境負荷のかからない素材を選ぶ

「バギーズショーツ」が登場する機会がいちばん多いのは、幼い頃から通いなれた鹿児島県阿久根市で、SUPやカヤックといったマリンアクティビティを楽しむときだとか。

「『バギーズショーツ』は速乾性も高いので、スイムウエアの上から着用して、海で遊んだ後も快適です。阿久根市はゆかりがあって、0歳のときから通っている場所。季節や気候によって表情の変わる豊かな海があって、マリンスポーツに最高の町なんです。阿久根市では2回映画を撮っていますし、フォトエッセイの撮影もしているので、作品づくりを通じてさらにゆかりが深くなったような気がしています。最近は地域の農家さんの取材でも頻繁に通っているので、私にとっては“第二の故郷”みたいな場所ですね」

プライベートでは大好きな土地で山や海とふれ合い、仕事では自然と向き合いながら食を育む人たちや、海岸をキレイに保つ“ビーチクリーン”活動などに取り組む人たちの取材を続けるうちに、小川さん自身の環境に対する意識も変化したと言います。

「アウトドアに限らず、洋服を選ぶときは素材がすごく気になるようになりました。できるだけ環境負荷のかからない素材を選ぶようにしていますし、すぐ捨ててゴミを増やしたくないので、長く使えることも購入条件のひとつ。色違いも買ってしまった『バギーズショーツ』は、今の私のアウトドア生活に欠かせないのはもちろん、購入条件の面でもピッタリだったんです」

買い物もふくめた日々の暮らしは、自然のペースに合わせた方が豊かに

仕事のフィールドがアウトドアにも広がってから、「季節の変化に自分の感覚を合わせる楽しさを知った」と語る小川さん。

「インドア派だった頃は、自分の暮らしも世の中も、人間のペースで動いている感覚でした。でも自然に触れるようになってから、自然のペースに人間が合わせていくことの豊かさを知りました。たとえば最近は竹林整備をしているのですが、秋になったら伸びた竹を切らなきゃいけないし、春は地面から出てきたたけのこをどんどん掘らないといけない。でも、そうやって竹林で汗をかいたときに吹く風や、ふと射しこむ木漏れ日が本当に心地好いんです。日々の食材も初夏にはビワを捥いだり、秋にはサンマを焼いたりと、旬を楽しむことを以前より意識するようになりました」

ウエア選びにしても、「季節に合わせた服は必要だけど、むやみに数を増やしたくないのでかなり吟味しています」と続けます。

「私が立ち上げた『とおまわり』は、“ときめく遠回りをしよう”がコンセプト。自然のペースに基準を合わせてみたり、立ち止まって今の自分に本当に必要なものは何かを考えてみたり、ほんの少しスローダウンして引いた視点をもつだけで、暮らしも世の中はもっと心地よくなるはず。そういう、心と体にゆとりをもつためのちょっとしたヒントを、私の作る映像なり、文章なりで伝えていくことを、これからも続けていけたらいいなと思います」

「近道」ばかりを求めがちな現代で、あえて「遠回り」する楽しさや豊かさを発信している小川さん。日々のささやかな暮らしの幸せを知り、本当に自分に必要なものを見極めている小川さんの物選びには、人生を豊かにするささやかで重要なヒントが詰まっていました。

小川紗良さんに聞いた、買い物にまつわる一問一答

買って良かったものだけでなく、ふだんどんなスタイルで買い物を楽しんでいるのか。毎回5つの質問を通して小川さんの買い物観に迫ります。

Q. 人にプレゼントされるのは好き? 苦手?

A. どちらかというと苦手です。
もちろん何かプレゼントをいただいたらうれしいんですけど、それなりにこだわりもけっこうあるし、自分に必要ないものは欲しくないタイプなので難しい……。プレゼントを選ぶ人に逆に迷惑かけちゃいそうだなって思います(笑)。そういう自分のこだわりとかも全部理解してくれている、親しい友達からのプレゼントはうれしいです。

Q. 人にプレゼントするのは好き? 苦手?

A. けっこう好きです。
自分の友達は似た者どうしが集まってるというか、自然が豊かな地方に住んでいたり、ふだんからオーガニックなものを食べている子が多いので、好みがわかっているとプレゼントを買うのも楽しいですよね。

Q. 初めて行った土地で必ず買ってしまうものは?

A. 買い物で必ずというものはないですね。
日本でも海外でも観光地じゃなく、地元の人たちの生活が見えるような郊外に行くのが好きなので、そういう場所でどローカルな食べ物には挑戦しがちかもしれないです(笑)。

小川紗良のベストセレクト3-09

Q. 特に物欲が刺激されるジャンルは?

A. 最近はやっぱりアウトドア関連。
基本、長く使い続けることを前提に、機能性もデザインも重視して選びます。

Q. もし宝くじが当たったら何に使う?

A. ほぼ旅に使っちゃうかも。
金額にもよるかもしれませんが、お金はものを買うより体験に使いたいので……。たぶん私はお金でものを買うことよりも、ものを買うことで得られる経験や、それを使ってどう楽しむかが重要なんだと思います。

パーカ¥19,800(税込)/JULY NINE、シャツ¥36,300(税込)/INDIVIDUALIZED SHIRTS、バングル¥11,000(税込)/ERICKA NICOLAS BEGAY(以上すべてメイデン・カンパニー)、ブーツ¥96,800(税込)/Paraboot(パラブーツ青山店)、その他/スタイリスト私物

●お問い合わせ
メイデン・カンパニー 03-5410-9777、パラブーツ青山店 03-5766-6688

撮影/藤井由依 スタイリング/富澤結希乃 ヘアメイク/眞舘 楓 取材・文/齋藤春子 編集/勝又美月(Roaster)