「ニッポン、地方のいいモノ」特集の第1回目は、2023年の都道府県別移住希望地ランキングで2位になるなど、近年注目を浴びている群馬県のローカルクラフトをお届けします。ぐんま特使を務める安中市出身のモデル、阿久津ゆりえさんが群馬県の魅力的なアイテムを紹介してくれます。

阿久津ゆりえさん

写真:前 康輔

SELECTor

阿久津ゆりえ

ぐんま特使/モデル

阿久津ゆりえさん

1988年生まれ、群馬県安中市出身。ファッションモデル。多くのCMをはじめ、広告や雑誌、MVなどで活躍中。また、群馬県の観光特使も務めており、FMぐんまのラジオ番組でメインパーソナリティーを務めた経験も。明るく自然体な人柄に、男女問わず幅広い年代から共感を得ている。

群馬県のローカルクラフト3選

PRIRET/山ストール、ネックゲイター 萩原将之/青の陶器 Ay/朝焼けのグラデーションワンピース
PRIRET 青の陶器 朝焼けのグラデーションワンピース
伝統の織物をアウトドア向けのストールに 非日常を感じさせる色鮮やかな「青」の陶器 大胆なグラデーションが美しいワンピース
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Craftsmanship
in this Prefecture

群馬県の伝統産業

群馬県の伝統産業とものづくりの魅力とは?

日本列島のほぼ中央に位置する群馬県は、上毛三山に代表される山々や、尾瀬や利根川など、豊かな自然が県内各地に広がっています。その一方で、古くから養蚕や絹織物の生産が盛んな土地として知られており、明治になると当時としては世界最大規模の製糸工場、富岡製糸場(現ユネスコ世界遺産)が設立されました。そこで生産された良質な糸は世界各国へ輸出され、絹文化の普及に多大な貢献を果たすとともに、日本の近代産業化の礎となりました。現在、和装需要の減退や化繊の普及などにより、国内の絹産業は大きく衰退しましたが、群馬県は今なおその技術が受け継がれている全国的にもまれな地域です。

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目次

群馬県桐生市【PRIRET(プライレット)】山ストール
伝統の技法でアウトドアも街も快適に

PRIRETの山ストール

プライレットは桐生市出身の上久保匡人さんが2012年に友人と一緒に立ち上げたブランドです。上久保さんは中学生の頃から登山やキャンプなどアウトドアを楽しみ、大学卒業後はワーキングホリデー制度を利用してカナダへ。自然豊かな環境で山遊びに没頭する日々を過ごしていました。そんな経験と、故郷の伝統的な織物である「桐生織」を組み合わせて生まれたのが、この「山ストール」です。

ストールというとファッションアイテムのイメージが強いですが、こちらはアウトドアでの使いやすさを追求してつくられているのが特徴。軽くて通気性が良く、汗を吸いやすいので、ハイキングやキャンプなどのアクティビティにはもちろん、ふだん使いにもぴったりです。そのコンセプトも話題となり、アウトドア専門誌で取り上げられるなど人気を集めています。

阿久津さん

阿久津ゆりえさん

群馬は山に囲まれている盆地で、夏は蒸し暑く冬は風が強くてとても寒いんです。そんな暑さも寒さもしのいでくれる山ストール。織物の街、桐生で作られていて無縫製の二重織りがふんわり軽くて柔らかいのが特徴です。巻き方のバリエーションは無限大で、山登りのときだけでなくふだんのコーディネートにも取り入れやすいと思います。

軽くて柔らか、蒸れにくいなどその高い機能性のワケ

山ストール

桐生織には、特性が異なる7つの製織技法があります。その中で山ストールに使われているのは「風通織(ふうつうおり)」という技法。この風通織は、無縫製の二重織りなので汗をすばやく吸収し、蒸れにくいのが特徴です。そして一年を通じて快適に使えるのがうれしいポイント。また、天然繊維100%(コットン75%、シルク25%)を採用しており、制菌性やUVカット効果も期待できます。

山ストール

ストールに描かれたグラフィックは、群馬県の山々の等高線をイメージ。熟練の職人さんが色を変えながら、片面ずつ手捺染(てなっせん=手作業でプリント)しています。さらに、シャトル織機でゆっくりていねいに織られた生地は、驚くほど軽くて柔らかな風合い。淡くナチュラルな発色が魅力的で、シンプルな洋服とも相性抜群です。

巻き方は自由に。ストールでもネックゲイターでも

山ストール 山ストール

山ストールは、ハイキングやキャンプ、サイクリングなどアウトドアシーンでの活用を想定してつくられていますが、その優れた機能性は日常使いでも大活躍! 季節やシーンを問わず、タオル兼用のストールとしても便利に使えます。

その上質で心地よい着け心地は、熟練の職人が手作業で仕上げたからこそ。山ストールは筒状になっているので、頭を通せばネックゲイターとしても使えます。特に朝晩の寒暖差が激しい春や秋はバッグに忍ばせておくのがおすすめ。おしゃれで便利なアイテムとして、アウトドア初心者にもぜひ試してほしい一品です。

What is this craft?

桐生織

群馬県ふるさと伝統工芸品「桐生織」とは?

群馬県桐生市の周辺で生産される桐生織は、1000年以上の歴史があるといわれています。もともとこの地域では養蚕や絹織物が盛んでしたが、江戸時代後期になると桐生織が産業として大きな発展を遂げ、西陣織に並ぶ高級織物として「西の西陣、東の桐生」と称されるほどになります。明治になると先進的な工場で生産が行われるようになり、国内だけではなく海外へも広く輸出され、日本の近代化を支えました。桐生織は品種が多く、製法もさまざまですが、おもにあらかじめ染色した糸を用い、織り方によって柄を表現する「先染め」という技法でつくられるのが特徴です。

PRIRET

山ストール(写真左)/ネックゲイター(写真右)

参考価格: ¥12,300(税込) ¥5,300(税込)

オールシーズン使えるタオル兼用ストール。桐生市の伝統織「風通織」で織られ、かつ天然繊維のみでつくられている。デザインは赤城山、妙義山、谷川岳の等高線をモチーフに。ストールとネックゲイターの2WAY仕様に加え、ネックゲイターのみのモデルも展開。

群馬県富岡市【萩原将之】青の陶器
妙義山のふもとでつくられるエキゾチックな器

青の陶器

上毛三山の一つ妙義山のふもとに工房を構える陶芸家、萩原将之さん。彼の経歴は少しユニークで、以前は東京で有名化粧品ブランドのメイクアップアーティストとして働いていました。結婚を機に群馬県へ移住し、独学で陶芸家としてのキャリアをスタートさせました。

青の陶器

萩原さんがつくる器はコンベンショナルなものから、自由な発想による前衛的なものまでさまざまですが、中東の建築を想起させるエキゾチックなデザインと、吸い込まれるような深い青が特徴です。

青の陶器

ひと口に青色といっても、釉薬(ゆうやく)の成分や技法に工夫を凝らすことで、一つ一つが異なる多彩な表情を生み出しています。思わず見入ってしまう深い色みは、決して見飽きることのないターコイズのよう。唯一無二の美しさを生み出しています。

阿久津さん

阿久津ゆりえさん

萩原先生の器はずっと見ていても飽きない不思議な青。数年前に母から「群馬にすてきな器をつくっている人がいる」と教えてもらってから私もすっかりとりこになりました。どこかオリエンタルな雰囲気ももち合わせている作品たちは美しいだけでなく、ちゃんと日常で使いやすいのも魅力なのです。

「青」の陶器で朝食の時間をより豊かに

青の陶器

鮮やかな青色が美しい萩原さんの陶器は、朝食の時間をより豊かにしてくれます。例えばグラノーラやヨーグルトにフルーツをたっぷり盛り付ければ、青いボウルとのコントラストが美しく、まるでアートのよう。

青の陶器

シンプルな食材もボウルに盛るだけで洗練された印象に。ちょっとしたぜいたくを味わえます。青は心を穏やかにしてくれる色。青のもつ落ち着きと爽やかさを日々の生活に取り入れて、癒やしのひとときを楽しんでみてください。

インテリアとしても映えるデザイン

青の陶器

眺めるたびに別の表情を見せる青の陶器は、インテリアとしてもすてきなアクセントになります。リビングや玄関、棚の一角に置くだけで、空間がぐっと洗練されます。また、植物やドライフラワーなどナチュラルな雰囲気ともマッチ。複数の陶器を組み合わせて、同系色のグラデーションや立体感を楽しむのもおすすめです。萩原さんの陶器が、日常をさらに華やかにしてくれるはずです。

萩原将之

ボウルM/茶壷/ゴブレット/蓋物/ボウルS(写真左から)

参考価格: ¥4,400~(税込)※価格はオンラインサイトでの販売価格

青い作品しかつくらない陶芸作家として知られる萩原将之さんの作品。群馬県へ移住し穴窯と工房をつくり独立すると、d47 museum にて「NIPPONの47人 CRAFT」に選出されるなど注目を集める。今回紹介した器以外にも、皿類やカップなども人気。

群馬県伊勢崎市【Ay(アイ)】朝焼けのグラデーションワンピース
手がけるのは若き実業家。伝統の着物を現代の形に

グラデーションワンピ

アイは代表の村上采さんが学生時代に起業し、故郷の伝統工芸品「伊勢崎銘仙」をアップサイクルして販売するアパレルブランドです。“文化を織りなおす”をコンセプトに、ビンテージの伊勢崎銘仙を現代的な洋服に仕立て直すだけではなく、その特徴的な柄をデジタル化してデザインに取り入れた商品も展開しています。

グラデーションワンピース

「朝焼けのグラデーションワンピース」は、日本の伝統にインスパイアされたアイのものづくりのエッセンスが存分に表現されたリネン100%で夏にぴったりの一枚。海から昇る朝日を表現した大胆なグラデーション染めは、四代続く県内の染色工場で着物のぼかし染め技法を用いて仕上げられています。

グラデーションワンピース

お祭りのハチマキからインスパイアされた肩ひもには伝統工芸の組ひもを使用。背中の刺繍ボタンはナチュラルで優しい印象をプラスしています。シックでありながら、日本の風景に溶け込むデザインは夏まつりや花火大会はもちろん、京都や金沢といった歴史ある街では特になじみそう。旅のワードローブの一つとしてもおすすめです。

阿久津さん

阿久津ゆりえさん

大胆なデザインが目を引くアイのお洋服の中でも特に私が気になったのがこちら。美しいグラデーションを眺めていると、少し肌寒そうな温度や情景などいろいろと想像をかき立てられます。着回しがきくのでレイヤードすれば季節を問わず着ていただけると思います。海のない群馬県で、海を想像できるアート作品のような一着です。

夏だけじゃない。春秋も頼れるアイテム

グラデーションワンピ

あまり肌を露出したくない方はTシャツの上からレイヤーするのがおすすめです。逆にワンピースの上からTシャツを着ればスカートをはいているようなスタイルも楽しめます。

グラデーションワンピ

サンダルやストローハットなど夏らしい小物を合わせればリゾート感を、春や秋など肌寒い時期であればジャケットやカーディガンを羽織ればOK。いろいろな着こなしを楽しめて、一枚あれば重宝する万能なワンピースです。

リラクシーな着心地で気負わずおしゃれに

グラデーションワンピ

ウエストがマークされていない、上から下までストンと落ちるストレートシルエットは、リラクシーな着心地をかなえ、体形をカバーしてくれる効果も。マタニティウェアとして着用するのもすてきです。アイのワンピースは、伝統とモダンの融合が生み出す、唯一無二の存在感。あなたのワードローブに、新たな彩りを添えてくれるはずです。

Ay

朝焼けのグラデーションワンピース

参考価格: ¥64,000(税込)

明治の後半から昭和にかけてふだん着として多くの女性が着ていた「銘仙」を現代の服に落とし込み次世代へつなげるAy。大胆なグラデーションが美しいワンピースはナチュラルで軽やかなスタイルに。フリーサイズだが150cm以上から着用可能。

阿久津ゆりえさんが思う、群馬県のものづくりのこれから

阿久津ゆりえさんが思う、群馬県のものづくりのこれから

群馬県は、目を引くような華やかさのある場所ではないかもしれません。けれど、豊かな自然が息づき、その中から生まれた産業や食、美しい風景など、心ときめく魅力がたくさん隠されているんです。まるで宝探しのように、深く掘り下げていくことによって、隠れた魅力が現れて、知れば知るほど、きっと好きになっていただけるはずです。

今回ご紹介したアイテムにも、その魅力が詰まっています。古くから受け継がれてきた伝統工芸の美しさを大切にしながら、新しいトレンドにも果敢に挑戦しているんです。 これからの群馬のものづくりは、多様に変化しながら、もっともっとおもしろくなっていくと確信しています!

撮影/藤井由依 文/佐藤旅宇 編集/阿久澤慎吾(Roaster)