一人暮らしでもおいしくごはんを炊くために必需品の炊飯器。サイズや価格、便利な機能など、一人暮らしに適した選び方を知りたい人も多いのではないでしょうか。
この記事では、キッチンまわり評論家のさわけんさんに、一人暮らし向けの炊飯器の選び方を教えてもらいました。味やコスパの良い炊飯器を選ぶポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。

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さわけん

キッチンまわり評論家・科学する料理研究家

さわけんさん

科学的に料理を考えて、狙ったとおりの料理をつくるレシピの達人。辻調理師専門学校で11年間、講師として西洋料理を教える。また、キッチンまわりの家電やアイテムにも精通しており、モノ比較雑誌の編集者が頼る識者としても活躍。「あさイチ」(NHK)や「ZIP!」(日本テレビ)など、多くのテレビ番組にも出演する。

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目次

プロが教える一人暮らし向け炊飯器の選び方

一人暮らしの人に合った炊飯器の選び方について、さわけんさんに解説していただきました。

「20分以内の早炊きをウリにした炊飯器がありますが、お米をもっちり炊くには早炊き機能でも30分以上かかる炊飯器を選びましょう」

「どこまで味にこだわるか、どんな使い方をしたいかなど、それぞれのニーズによって選び方も変わってきます」

おいしく炊くなら、一人暮らしでも5.5合炊きがおすすめ

炊飯器は釜の大きさによって、一度に炊ける容量が変わります。大きく分けて、3合炊き、5.5合炊き、10合(1升)炊きがあります

炊飯容量の目安

人数 一人暮らし 2〜4人の家族 5人以上
炊飯容量 3合 5.5合 10合(1升)

おいしく炊き上げるには、できるだけスペースを空けて炊くことが大事です。味にこだわりたいなら、炊きたい量より大きいサイズの炊飯器を選びましょう
例えば3合炊きの釜で3合のお米を容量目一杯で炊くと、うまく炊けないことがあります。これは釜の中心部分までしっかり火が通っていないのが原因で、食感がもっちりとしません。さらに、米の重さで底の部分の米がつぶれてしまい、おいしく炊き上がりません。
一人暮らしでも毎回1合ずつ炊くのは面倒だから多めに炊いて冷凍保存したいという人なら、5.5合炊きの炊飯器が理想的なサイズです。

逆にキッチンが狭いからなるべくコンパクトなものがほしいという人、毎日ごはんを炊くという人なら、3合炊きの炊飯器で1合ずつ炊くのもよいでしょう。ただ3合炊きの炊飯器は火力が弱いものが多いので、目安として消費電力が多いもの(700W程度)を選びましょう

炊きたい量よりも容量が大きい炊飯器だと、よりおいしく炊ける

ごはんは、炊きたい量よりも容量が大きい炊飯器だと、よりおいしく炊ける

味とコスパを求めるなら、2〜3万円前半のIH方式や圧力方式を選ぶ

炊飯器は、おもにマイコン方式IH方式圧力IH方式の3つの炊飯方式があり、方式によってお米の炊き上がりと価格帯が異なります。

炊飯方式別の特徴と価格帯

炊飯方式 マイコン方式 IH方式 圧力IH方式
特徴
  • 内釜の下の電気ヒーターで加熱
  • 価格が安い
  • 火力が弱く炊きムラができる
  • 磁気の力で内釜自体を加熱する
  • 炊きムラが少なくおいしく炊ける
  • IH方式に加えて米に圧力を掛けて炊く
  • 日本人好みのもっちりとした食感
価格帯 数千〜1万円前半 2万円〜 3万円台〜10万円以上

一定のおいしさを求めるのであれば、IH方式や圧力IH方式の炊飯器を選びましょう

ごはんのおいしさは、お米の中のデンプン質をいかに糊化(こか:のり状になること)させるかで決まります。IH方式や圧力IH方式の炊飯器は、内釜全体で加熱するので炊きムラがなく、均一に糊化してくれるのでふっくらと炊き上がります。また、炊いて余ったごはんを冷凍保存する場合でも、おいしさを損ないません。

IH方式の炊飯器で2万円台〜、圧力IH方式の炊飯器で3万円台前半〜で購入することできます。予算に余裕がある人は、5万円以上の高級炊飯器を狙ってみてはいかがでしょうか。

ごはんを炊くだけでよいという人は、マイコン方式を選んでもいいでしょう。味はIH方式や圧力方式に劣りますが、安価な商品が多く、5000円以下で購入できるものもあります。

ちなみに、炊飯器は定期的に新機種が発売されますが、2〜3年前などに発売した機種でも、スペックは新機種とほぼ同じです。型落ち商品のため安く購入することができます。コスパを求めるなら、選択肢の一つになるでしょう。

圧力IHの中には、釜の中を真空状態にしてお米にたっぷり吸水させて、米の甘みを増幅させる炊飯器もある

圧力IHの中には、釜の中を真空状態にしてお米にたっぷり吸水させて、米の甘みを増幅させる炊飯器もある

食感にこだわるなら炊き分け機能、時短したいなら早炊き機能の付いたものを選ぶ

一人暮らしの炊飯器を選ぶときに重要なポイントとして、炊飯器に付いている機能が挙げられます。特に炊き分け機能と早炊き機能の2つは、注目したい機能です。

一人暮らし用炊飯器を選ぶときのおすすめの機能

機能名 特徴 おすすめの人
炊き分け機能
  • 白米以外に、無洗米モード、玄米モードなどお米の種類、銘柄、固さなど炊き分けができる
  • おかゆや炊き込みごはんが炊けるものもある
  • 白米以外も炊きたい人
  • お米のおいしさにこだわりたい人
  • 好みの食感で食べたい人
早炊き機能
  • 通常の炊飯時間より、時間を短縮して炊ける
  • 炊飯時間を短縮したい人

炊飯器には、固めややわらかめなど、炊き上がりのお米の食感を変えられる機能を搭載した機種があります。自分好みの食感に炊くことができるので、炊き分け機能があると便利です。

また、炊き分け機能はカレーや親子丼なら固め、しょうが焼きやハンバーグならやわらかめ、と料理に合わせて炊くこともできます。炊き込みごはんを作れる機種もあり、自炊を頻繁にする人にとってはうれしい機能といえるでしょう。

お米の食感や用途別など、炊き方だけでもかなり細分化されている

お米の食感や用途別など、炊き方だけでもかなり細分化されている

もう1つの一人暮らし向けの機能が、早炊き機能です。通常、炊飯には45〜60分かかりますが、早炊きは25〜40分で炊き上がります。家に帰って、早く炊きたてのごはんを食べたいという人におすすめの機能です。多くの機種に搭載されている機能ですが、メーカーによって炊飯時間は異なります。

ちなみに、20分以内の早炊きをウリにした炊飯器もありますが、お米をもっちり炊くには早炊き機能でも30分以上かかるものがおすすめです。

一口に炊飯器といっても、大きさや形状など各メーカーさまざま

メーカーや機種によって違いがあるので、購入前にしっかりチェックしよう

調理機能やスマホ連携など、便利な機能もチェック

炊飯器の中には、冷凍ごはんをおいしく食べるための機能や、煮物などのおかずが作れる機能、スマホのアプリで遠隔操作できる機能など、一人暮らしにうれしいさまざまな機能が搭載されたものがあります。用途に合った機能が付いているものを選ぶことで調理の幅も広がり、より便利に使うことができるのでチェックしてみましょう。

おもな炊飯器の機能の特徴

機能名 特徴 おすすめの人
調理機能 パンやケーキのスポンジ、煮物などのおかずも調理できる機能。ごはんを炊きながら、同時調理できる商品もある
  • 料理の手間を省きたい人
  • コンロの口数が少ない人
エコ炊き機能 炊飯器からの蒸気を抑えて炊き上げる機能。必要最低限の電力しか消費しないため、通常よりも電気代の節約ができ、早く炊ける
  • 炊飯時間を短縮したい人
  • 光熱費を抑えたい人
冷凍保存用炊飯機能 冷凍保存用の炊飯機能。解凍後、おいしく食べることができる
  • 冷凍ごはんをおいしく食べたい人
  • 時短したい人
スマホ連携 スマホのアプリを通して、外出先から設定を変更したり、炊き上がりを確認したりすることができる。スイッチを入れ忘れていたときでも、予約ができる
  • 便利さを重視する人
  • 日中仕事で家にいない人

一人暮らし向け炊飯器の選び方|ポイントまとめ

一人暮らし向けの炊飯器は、サイズや価格、機能を比較して、自分のニーズに合ったものを選びましょう。選び方のポイントをまとめました。

  • おいしく炊きたいなら、5.5合炊きがおすすめ
  • おいしくてコスパも良い炊飯器が欲しいなら、2〜3万円台前半が狙い目
  • IH方式、圧力IH方式の炊飯器なら、炊きムラがなくおいしく炊ける
  • 炊き分け機能、早炊き機能があると便利
  • ごはんだけでなくおかずも作りたいなら、調理機能がある炊飯器を選ぶ

一人暮らし向け炊飯器に関するQ&A

一人暮らし向けの炊飯器にまつわる疑問について、さわけんさんに答えていただきました。

「IH方式や圧力IH方式の炊飯器の場合、熱源(IH)の数が多いほど炊飯の火力が強くなり価格は上がりますが、ごはんがよりおいしく炊けます」

「壁や天井など炊飯器から出る水蒸気には気を付けて使用しましょう」

Q. ライスクッカーとの違いは?

A. ライスクッカーは炊きムラができやすく、炊飯器は炊きムラがありません

ライスクッカーは炊きムラができやすく、炊飯器は炊きムラがありません。

ライスクッカーは、アウトドア用に作られた少量炊きの炊飯器です。火にかけて炊く直火炊きタイプが主流でしたが、最近では0.5~1.5合が炊ける電気タイプのものが小型炊飯器として人気を集めています。

ライスクッカーと炊飯器のメリット、デメリットを比較してみました。

ライスクッカーと炊飯器のメリット、デメリット

ライスクッカー 炊飯器
メリット ・炊飯時間が20分以内と短い
・コンパクトサイズで場所を取らない
・炊きムラがない(IH方式、圧力IH方式)
・一度に多くの量が炊ける
デメリット ・炊き上がりにムラがある
・一度に多くの量が炊けない
・炊飯時間が40分以上と長い
・一人暮らしだと場所を取る

炊飯器のデメリットである炊飯時間の長さは、早炊き機能を使えばライスクッカーとさほど時間差はありません

炊きムラがあまり気にならず、省スペースで設置したい人はライスクッカーでもよいと思いますが、総合的に考えて、炊飯器を使うことをおすすめします

Q. ごはんを食べきれなかった場合の保存方法は?

A. 保温せず、冷まして冷凍保存をしましょう。

ごはんは保温の状態でおいておくと、水分が抜けて香りも変化し、味が落ちていきます。ごはんが残ったら、ラップや電子レンジ対応の器に1食分ずつ小分けにして、粗熱を取ってから冷凍庫で保存しましょう。冷凍することでお米に含まれる水分が逃げず、電子レンジで解凍してもパサつくことがありません。

冷凍保存後のごはんは、炊きたてのものよりお米の表面がどうしても硬くなります。この性質を利用して、チャーハンやドリアに使うのもおすすめです。

ごはんをラップで包む際は平たくすることで、均等に冷やすことができる

ごはんをラップで包む際は平たくすることで、均等に冷やすことができる

Q. 早炊きでもおいしく炊くコツは?

A. お米は炊飯前に水に浸けておいた方がおいしく炊けます。朝仕事に出かける前に洗米をして水に浸けておき、帰宅後早炊き機能で炊けば、時間短縮でおいしく炊くことができます。

Q. キッチンで炊飯器を使うときの注意点は?

A. 炊飯器から出る水蒸気に気をつけましょう

壁などに日常的に水蒸気が当たると、カビや劣化の原因になります。食器棚の中段に炊飯器を収納している人は、炊飯の際は棚を前にスライドするか、棚から出して通気の良い場所に移動させましょう。

また、キッチンが狭いという人は、キッチンワゴンを使うと便利です。キッチンワゴンは調理器具や食材などを収納できるワゴンタイプのアイテムで、炊飯器を置くこともできます。キャスター付きのものだと水蒸気が出ても問題ない場所に移動でき、使わないときは空きスペースに収納できます。

炊飯時はどうしても水蒸気が避けられない。

炊飯時はどうしても水蒸気が避けられない。機種によっては、水蒸気をカットできるものもある

Q. 内釜の種類によって味に違いはあるの?

A. 大きな違いはないです

各メーカー、内釜の材質にこだわっています。例えば、象印は鉄、タイガーは土鍋など熱伝導率の高い素材を採用しています。熱伝導が高い素材はお米に満遍なく熱が伝わりふっくらと炊き上がり、どの素材でも味に大きな差は出ません。しかし、内釜の重さや厚さがあるとよりおいしく炊きあがるのでチェックしてみましょう。内釜の重さや厚さがあると保温力が増し、炊飯時の熱を漏らさずにお米に伝えることができるためです。

また、もう1つ注目したいのが内釜の保証期間です。内釜は炊飯器の中で劣化が早く、塗装が剥がれるなど破損しやすい部品です。保証期間が長ければ、それだけメーカーも自信があるというわけです。長く使うことを考えるなら、内釜の保証期間が長いものを選びましょう

「釜は熱伝導が良い金属製のものであれば、材質による差はさほどありません」

「釜は熱伝導が良い金属製のものであれば、材質による差はさほどありません」

まとめ

  • 日常的においしいごはんを食べたいなら一人暮らしでも炊飯器は必要
  • 一人暮らしでも5.5合炊きの炊飯器がおすすめ
  • おしいくて安い炊飯器が欲しいなら、2〜3万円前半が狙い目
  • IH方式、圧力IH方式の炊飯器なら、炊きムラがなくおいしく炊ける
  • 食感の炊き分け機能、早炊き機能があると便利
  • 保温機能はあまり使わず、残ったごはんは食べ終わったらすぐに冷凍保存するのがよい

一人暮らしでもおいしいごはんを食べたいなら、炊飯器は欠かせません。大きめの容量を選べば、冷凍用に多めに炊きたいときにも便利です。そのほかにも、調理機能などの便利な機能を活用することで、一人暮らしの食生活を豊かにすることができるでしょう。この記事を参考に、自分に合った炊飯器を見つけてくださいね。

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