薬剤師の夜勤バイトの実態は？病院やドラッグストアの収入例、求人の探し方

「薬剤師が夜勤で働くとどのくらい稼げる？」
「薬剤師の夜勤には、どんな働き方があるか知りたい」

薬剤師の夜勤の仕事に興味があり、夜勤で働くメリットやデメリット、注意点、求人の探し方を知りたい人もいるでしょう。
元薬剤師で現役キャリアコンサルタントとして活躍する柿間さんに、薬剤師が夜勤で働くときの職場や収入例、求人の探し方、よくある質問を聞きました。まずは、your SELECT.編集部が厳選した夜勤求人を扱っているおすすめの転職サイト・エージェント5社を紹介します。

まず薬剤師が夜勤で働く場合の業務内容や収入相場などについて、柿間さんに聞きました。

そもそも薬剤師の夜勤とは？ 当直との違い

薬剤師の夜勤と当直の違い

医療現場では、夜勤と当直という言葉は同義で使われることが多いですが、厳密にいうと違いがあります。
夜勤とは、日中と同様の業務を22時～翌5時に行うことです。給料は、労働基準法によりふだんの給料の1時間平均額より25％増しで支払うことが義務づけられています。

一方、当直は夜間の時間帯に緊急対応する当番であることです。そのため、基本的には待機していて仮眠を取ることもできます。
給料については「当直手当」が支給され、その額は通常勤務1日当たりの平均賃金の三分の一を下回らないことが義務づけられています。

「薬剤師の夜勤求人数はかなり少ない」と柿間さん

薬剤師が夜勤で働く場合の勤務先は？

前提として、医師や看護師とは違い、薬剤師が夜勤で働くケースはかなり少ないです。
夜勤のみのパートはほとんどなく、正社員かパート・アルバイトで日勤と夜勤の両方を行うパターンが多いです。勤務先としてありえるのは、病院や24時間営業のドラッグストアです。

【職場別】薬剤師が夜勤で働く場合の業務内容と収入相場

※病院により当直手当の金額の差が大きく、深夜時給のみのところもあります。

薬剤師が病院で夜勤をする場合の業務内容・収入相場

病院で夜勤をする場合の業務内容は、救急対応がメインです。具体的には、入院患者さんの急変や救急患者が運ばれてきたときに、医師の指示のもと調剤を行います。
病院は夜勤のみの募集をすることはほとんどなく、日中に働いている正社員やパートの薬剤師が当番制で夜勤を担当します。

収入相場として私の知っているケースでは、当直手当5000円と時間外に当たる22時～翌5時の勤務が25％増しで支払われるそうです。ただし、当直手当の金額は病院によって差が大きく、深夜時給のみで手当はないところもあるようです。
パートの場合は、ふだんの時給の25％増しで支払われます。

薬剤師がドラッグストアで夜勤をする場合の業務内容・収入相場

ドラッグストアで夜勤をする場合の業務内容は、日中の勤務時と違いはありません。
調剤を併設している場合は処方箋に基づいて調剤を行い、調剤を併設していないドラッグストアの場合は、第一類や要指導医薬品の説明を行います。それ以外に、ドラッグストアの品出しやレジ打ちなどの業務も行います。

ただ、夜間に調剤を受け付けていることは少なく、夜間は薬剤師を置かずに第一類や要指導医薬品の販売を控えていることが多いので、ドラッグストアでの夜勤求人は非常に少ないです。

収入相場としては、正社員・パート共に時間外に当たる22時～翌5時の勤務が25％増しで支払われます。

薬剤師が夜勤で働いたときの収入例について、柿間さんにお聞きしました。

正社員で、夜勤ありで働く薬剤師Aさんの場合

Aさんは病院の薬剤師として正社員で働いていて、週に1回夜勤があります。夜勤は17時～翌9時です。

病院で働く薬剤師が夜勤をする場合、医師や看護師と比べると救急対応の頻度は少ないです。救急患者の搬送時や入院患者の急変時に、医師の指示のもと薬物療法を行います。救急対応がない場合は、仮眠を取ったり、カルテの確認作業をしたりします。

調剤薬局でパート（日勤・夜勤）で働く薬剤師Bさんの場合

Bさんは24時間営業の調剤薬局併設のドラッグストアで、週3回の日勤、週1回の夜勤というスタイルで、パートで働いています。夜勤は20時～翌8時で休憩時間は1時間です。

夜間の調剤件数は日中より少ないです。調剤以外の時間は、第一類や要指導医薬品を購入するお客様への説明や、ドラッグストアの品出しやレジ打ちなどをします。休憩は1時間なので仮眠時間はありません。

実際に、薬剤師の夜勤求人を探したいと思ったときに利用するのが、転職サイト・エージェントです。利用前に押さえておくべきポイントは以下の2つです。

「夜勤求人はそもそも少ないので、幅広く情報収集が必要」と柿間さん

1. 転職サイトと転職エージェントの違いを知っておく

薬剤師の夜勤求人を探すうえで知っておきたいのは、転職サイトと転職エージェントの違いです。

転職サイトは、自分の希望条件で掲載求人を検索して応募します。一方、転職エージェントは担当のキャリアアドバイザーがつき、面談を実施して希望条件に合った求人の提案をしてくれます。

それぞれのメリット・デメリットをまとめました。

	メリット	デメリット
転職サイト	・希望する求人を探せる ・自分のペースで転職活動ができる	・転職サポートは受けられない
転職エージェント	・応募書類の添削、面接対策を受けられる ・企業の内部情報や雰囲気を知ることができる ・非公開求人の紹介を受けられる可能性がある	・採用のハードルが上がることがある

夜勤求人は数自体が少ないので、転職エージェントに登録しておきながら、自分でも転職サイトで探していくのがおすすめです。

また、転職エージェントのビジネスモデルは、採用人数に応じて募集側が成功報酬を支払います。そのため、選考のハードルが高くなる傾向があります。

転職サイトやエージェントによって取り扱っている求人が違い、夜勤求人は取扱数自体が少ないので、目安として3社ほどに登録しておきましょう。

2. 夜勤のある求人数が多いか、探しやすいかをチェックする

薬剤師の夜勤求人はそもそも数が少ないので、夜勤求人がWebサイトに掲載されているのかを確認してみましょう。
また、ほとんどのサイトがフリーワードで「夜勤」と検索して絞り込めますが、「夜勤なし」という記載がヒットしてしまう可能性があります。
その点、夜勤求人の絞り込み機能があるWebサイトは、スムーズに夜勤求人を探しやすいです。

柿間さんのお話をもとに、編集部がおすすめする転職サイト・エージェントを5社紹介します。

（※2022年12月時点）

マイナビ薬剤師｜年収600万以上の夜勤求人を探している人におすすめ

出典：マイナビ薬剤師　公式サイトより

▼夜勤求人件数

マイナビ薬剤師は、株式会社マイナビが運営している転職エージェントです。夜勤の求人数が1400件以上と、今回紹介している薬剤師向け転職エージェントの中でもっとも多いです。

顔を見て話をすることを大切にしていて、対面やWebでの面談を行っています。
全国14ヵ所に拠点があり、地方の薬剤師さんも相談しやすいです。

また、登録時には薬剤師転職サポートブックがもらえるなど、親身に相談に乗ってほしい人におすすめです。

公式サイトへ→

ファルマスタッフ｜薬剤師の夜勤求人を効率的にチェックしたい人におすすめ

出典：ファルマスタッフ　公式サイトより

▼夜勤求人件数

ファルマスタッフは、株式会社メディカルリソースが運営しています。全国に12の拠点があり、夜勤の求人数は237件と多いです。
「22時以降勤務あり」という検索軸があるため、ピンポイントで夜勤求人を探せるのも便利です。
夜勤求人をなるべく多く確認したい人におすすめです。

公式サイトへ→

ファル・メイト｜幅広い年代の薬剤師が利用している

出典：ファル・メイト　公式サイトより

▼夜勤求人件数

ファル・メイトは、株式会社ファル・メイトが運営しています。若手から定年後のベテランまで幅広い年齢層の薬剤師が利用しています。

夜勤求人数は46件とそこまで多くないですが、「今すぐ転職を考えていなくて情報収集をしたい」という人も歓迎しているので、気軽に登録しやすいです。夜勤の求人はすぐに見つからない可能性が高いので、登録しておいて連絡を待つのも有効です。
そのため、夜勤求人の情報収集をしておきたい人におすすめです。

公式サイトへ→

ジョブメドレー｜薬剤師の夜勤求人を比較してお気に入りの求人を見つけたい人におすすめ

出典：ジョブメドレー 公式サイトより

▼夜勤求人件数

ジョブメドレーは株式会社メドレーが運営する転職サイトです。同社の取締役には医師がいて、医療や介護業界出身の社員も多く、医療の現場を知っている人の目線で運営されていることが特徴です。

採用側は無料で求人広告を掲載でき、採用時に成果報酬で支払います。そのため、採用側が求人を掲載しやすく、他の転職サイト・エージェントでは取り扱っていない求人を見つけられる可能性があります。
他にはない薬剤師の夜勤求人をチェックしたい人におすすめです。

公式サイトへ→

indeed｜ピンポイントの地名で薬剤師の夜勤求人を絞り込める

出典：indeed　公式サイトより

▼夜勤求人件数

indeedは薬剤師専門ではなく、さまざまな職種の求人を検索できるサービスです。
転職サイトよりも費用がかからず、病院やドラッグストアなどが簡単に求人を掲載できるため、他の転職サイトには掲載されていない求人が多く掲載されています。

また、フリーワード検索で求人を絞り込んでいく転職サイトなので、住所や駅名などでも検索できるのが特徴です。ピンポイントの地名で仕事を探したい人におすすめです。

公式サイトへ→

柿間さんに、薬剤師が夜勤で働くメリット・デメリットについてお聞きしました。

「夜勤は、少人数で幅広い仕事を担当するのでスキルアップにつながる」と柿間さん

薬剤師が夜勤で働く3つのメリット

薬剤師が夜勤で働くメリットは以下の3つです。

1. 時給の単価が高く、手当をもらえることもある

22時～翌5時の間は通常時給の25％増しになります。例えば、パートで働いていて通常の時給が2500円の場合は、深夜時間帯は時給3125円です。また、病院などでは当直手当をもらえることもあります。
夜勤で働くのに抵抗のない方なら、同じ勤務時間で多く稼げるといえます。

2. 少人数で働くため、スキルアップにつながる

薬剤師は医療職の中でも給与水準が高い傾向があり、深夜時間帯は必要最小限の人数しか配置されていません。勤務先にもよりますが、夜勤で働く場合は1人もしくは少人数で働くことが多いでしょう。
病院であれば救急対応をしたり、少人数で幅広い仕事をこなしたりする必要があるので、必然的にスキルアップにつながります。

3. 日中の時間を有意義に使える

薬剤師に限りませんが、夜勤明けの日は休日になることが多いため、日中の時間を有意義に使えます。役所や銀行に行くなど日中にしかできない用事をすませたり、平日の昼間ですいているときに外出したりできます。

薬剤師が夜勤で働く2つのデメリット

薬剤師が夜勤で働くデメリットは以下の2つです。

1. 何か起こったときの対処がしづらい

薬剤師の夜勤の現場は少人数で働いているため、何か問題が起こったときに相談できる相手がいない可能性が高いです。また、薬剤のことで疑問点があっても、製薬会社の窓口が開いていないため、問い合わせができません。
状況に応じて、臨機応変に動く対応力が必要とされるので、向き不向きがあります。

2. 生活リズムが崩れ、体調を崩しやすい

薬剤師の場合、「夜勤のみで週5日働く」という求人はほぼありません。
薬剤師が夜勤で働く場合は、日勤と夜勤が交ざった勤務スタイルになるのが一般的なので、生活が不規則になりやすいです。
生活が不規則になると体調を崩しやすくなります。体調面に不安のある方は、なるべく夜勤は避けた方がよいかもしれません。

「夜勤は、向き不向きが分かれる働き方です」と柿間さん

常勤・バイトの夜勤で働くのに向いている薬剤師

夜勤で働くのに向いている薬剤師は、以下のような人です。

1. 日中に別の仕事や勉強をしたい、効率よく稼ぎたい人

先ほどメリットでもお話ししましたが、夜勤明けは休日になることが多いので、日中の時間を活用できます。日中に学校に通って勉強していたり、別の仕事をしていたりする人にとっては、夜勤は効率よく稼げる働き方といえます。

2. 夜勤を経験してスキルアップしたい人

夜勤を経験すると、少人数で幅広い仕事を経験できるので、スキルアップを図りたい方は一度経験してもいいかもしれません。
ただ、夜勤に限らず、一人薬剤師の環境でもスキルアップは可能です。

「夜勤は、効率よく稼いで、日中の時間を有効活用したい人におすすめ」と柿間さん

「年収を増やしたい」と考えて夜勤求人を探している薬剤師の人もいるかと思います。ただ、薬剤師の夜勤求人は数が少なく、期待するほど高収入を得られるわけではありません。
夜勤のある病院は、調剤薬局よりも給与水準が低い傾向があります。

もちろん他にやりたいことがあって日中の時間を空けておきたい人は、夜勤を中心に働くのもいいと思います。しかし、収入アップを目指したい人なら、夜勤で働く以外に以下の2つも検討してもいいでしょう。

薬剤師は人手不足のエリアほど給与水準が高くなります。そのため、地方など人手不足の薬局に転職するという選択肢もあります。転職を検討してみる方は「薬剤師転職サイトおすすめ7選をプロが比較！職種別にランキングで紹介」の記事で転職サイトについて詳しく紹介していますので、確認してみてください。

また、夜勤ではなく副業をするという選択肢もあります。詳しくは「薬剤師資格を生かすおすすめの副業は？収入例、探し方と注意点を紹介」の記事で紹介しているので、興味のある方は確認してみてください。

「収入アップを考えるなら、副業や転職を検討してもいいのでは」と柿間さん

最後に、薬剤師の夜勤に関する質問に対して、柿間さんに答えていただきました。

「夜勤をするには、それなりの経験とスキルが必要です」と柿間さん

Q. 薬剤師が夜勤をするのに必要な経験はある？

A. 明確に必要な経験はありませんが、少人数で働くことになるので「一人薬剤師」の経験があるかを問われる可能性が高いです。

Q. 夜勤求人を探す薬剤師は複数の転職サイト・エージェントに登録すべき？

A. 薬剤師の夜勤求人はそもそも数が少ないので、いくつかの転職サイトやエージェントから情報収集しておかないと、なかなか見つけられません。転職サイト・エージェントそれぞれに登録して探すといいでしょう。

Q. 未経験やブランクでスキルに自信がない薬剤師は、夜勤で働ける？

A. 夜勤は相談できる人がいないことが多いので、新卒や実務経験のない薬剤師が夜勤で働くことはかなり難しいです。経験を積んでからチャレンジすることをおすすめします。

薬剤師が夜勤で働く場合は、22時～翌5時の勤務は深夜時給になるため25％増しになります。勤務先によっては夜勤手当がつくこともあります。
ただし、薬剤師の夜勤求人は数がかなり少ないです。求人を探す際は、転職サイト・エージェントどちらにも登録しておき、広く情報収集することをおすすめします。

また、夜勤は少人数で働くのでスキルアップにつながるメリットがありますが、何かあったときに相談できる人がいなかったり、体調を崩しやすかったりするデメリットもあります。
収入アップを目的として夜勤の仕事を探しているなら、副業や人手不足の薬局で働くという選択肢もあります。自分に合った働き方を検討してみましょう。

薬剤師転職サイト・エージェント一覧表

薬剤師向け転職サイト・エージェント	特徴	公式サイト
マイナビ薬剤師	＼親身に相談に乗ってほしい人におすすめ／ ・全国に14拠点あるので地方でも探しやすい ・顔を見てキャリア相談ができる	公式サイトへ→
ファルマスタッフ	＼夜勤求人を効率的にチェックしたい人におすすめ／ ・全国に12の拠点があり、夜勤求人数が約230件と多い ・夜勤求人を絞り込みできる	公式サイトへ→
ファル・メイト	＼夜勤求人の情報収集をしたい人／ ・全国に5拠点あり ・若手から定年後のベテランまで幅広い年齢層の薬剤師が利用	公式サイトへ→
ジョブメドレー	＼他にはない夜勤求人をチェックしたい人におすすめ／ ・医療の現場を知っている人の目線で運営されている ・全体の求人数が多く、他にはない夜勤求人を見つけられる可能性がある	公式サイトへ→
indeed	＼住所などピンポイントの情報で検索したい人におすすめ／ ・地名などのフリーワードで求人を探せる ・他には掲載されていない夜勤求人を見つけられる可能性がある	公式サイトへ→

【このサイトの運営者情報】

運営会社	株式会社キュービック（CUEBiC Inc.）
会社ホームページ	https://cuebic.co.jp/
所在地	〒169-0074 東京都新宿区北新宿 2-21-1 新宿フロントタワー16階
代表取締役	世一英仁
設立	2006年10月24日
資本金	31,000,000円
事業内容	デジタルメディア事業 SNSアニメ事業 通販事業者向け集客支援事業 プラットフォーム事業 有料職業紹介事業（厚生労働大臣許可番号　13-ユ-311579）
連絡先	03-5338-3550